2013年11月14日(木)
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『アサシン クリード4 ブラック フラッグ』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
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ユービーアイソフトより、11月28日にPS3/Wii U/Xbox 360/PC版、2014年2月22日にPS4版が発売される『アサシン クリード4 ブラック フラッグ』(Xbox One版は発売日未定)。
本記事では、海外版発売の約1カ月前となる9月23日から3日間にわたって行われた、“『アサシン クリード4』ワールドプレスツアー”での、開発陣へのインタビューを掲載する。
――『アサシン クリードIII』から進化した部分を教えてください。
制作にあたってもっともチャレンジした部分は、ゲームの世界観設定です。今回は、カリブ海の海賊という初めてのロケーションでしたので、作り上げるのに1年かかりました。通常は1つの都市に限って作り上げるのも大変なところを、50のロケーションに加え、都市も3つ作り上げました。
――今回、7つものスタジオが開発にかかわっているとのことですが、各スタジオをまとめ上げて、開発を進めるのに困難だった部分は?
コミュニケーションです。この点を解決するため、コミュニケーションチームというものを設けました。まったく文化や性質の異なるチームが1つの目的に向かって共通のビジョンを持つことが重要でしたので。
――開発チームが成長していったと感じる部分は、どういった点でしょうか。
開発チームには、ゲーム業界などをはじめ、それぞれ異なる環境で10年を過ごしてきたなど、経験豊富な人材が集まっています。その、各メンバーが持つ異なる経験が、コミュニケーションを通じて開発の強みとなっていった点に成長を感じています。
――異なる感覚を持ったメンバーのやる気が上がった事例などあれば教えてください。
チームのメンバーに、“ゲームを体験して楽しんでもらう”ということをしてもらいました。初期の段階で製作したゲームを体験してもらったんです。具体的には、メールでそれぞれにミッションを与えて、チームのメンバーはそれをプレイして、上がった意見をフィードバックしたものをデザイナーに送って、反映されたものをチームメンバーに見せると、メンバーは「自分たちの意見がゲームに反映されたんだ。自分たちはゲームにインパクトを与えられる!!」という風に、モチベーションアップにつながっていました。
――今作でもっとも注目してほしい部分を教えてください。
カリブ海を舞台に作り上げた世界観です。いろいろなロケーションを作ったので、ジャングルや都市、海などを自由に駆け回ってほしいです。こういったものは、私のお気に入りのゲームである、『スーパーマリオ64』から影響を受けて取り入れた部分です。
――日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
『アサシン クリード』の人気が出てとてもうれしいです。シリーズのファンは世界中にいますが、私自身は日本のゲームに影響を受けて育ってきたので、今度は自分がゲームを作る側になって日本のファンの方に楽しんでもらうことをとても光栄に思っています。私たちは、ファンの意見を取り入れて『アサシン クリード4』を作ってきました。例えば、日本のゲームの『ファイナルファンタジー』からの影響も受けていて、ジャックドー号をアップグレードしていく仕組みは、その影響を反映している部分です。そういったところを、日本のファンの皆さんが感じ取って楽しんでくれると幸いです。
――水中の表現が特に素晴らしいですが、チームでの開発にあたり困難だった部分、苦労した部分はどこでしょうか?
海や水の美しい効果や、人物が動いた時に水がどのように動くかといった相互的な効果を、いかに現実に近づけるかという点です。『アサシン クリードIII』の時から、海戦に関する部分の開発を始めたのですが、今作では波の大きさの表現にレベルを設けました。
例えば、レベル1であればまったく波が立っていないとても静かで穏やかな状態を指し、レベル12であれば嵐のようなひどく荒れた状態を指します。段階によって効果に違いがあります。なにも波が立っていない穏やかな海は0~1のレベル、白波が立つ程度であれば4程度、白波の厚さが増せばさらにレベルが上がる、そんな具合です。風の強さ、嵐が吹いたりしたらレベルが上がります。その表現をいかにリアリスティックにプレイヤーが体験できるようにするかという点に注力しました。『アサシン クリード4』では、いかにカリブ海を美しく描き出すかという点に力を入れましたね。
次世代機での開発なので、視覚的な効果の詳細を再現できるまで、気を配りました。また、海戦部分を担当したシンガポールのチームのモチベーションを上げるために、実際に海でのアクティビティを楽しんでもらいました。シンガポールは周囲を海に囲まれている環境だったので、皆には船に乗ったりダイビングをしたりして海の上、下ではどういった体験ができるかを共有してもらいました。
――物理演算など、PS3とPS4とで違う部分があれば教えてください。
PS3でも、PS4でも、開発にあたり物理演算部分での違いはありません。PS4で向上している点は、視覚的効果です。今回、6つのハードでリリースされるよう準備を進めてきた中で、特に2つの次世代機の開発は大変な部分もありました。どのハードでもプレイヤーが同じようにゲームを体験できるよう配慮しました。ただし、ハードウェア毎の特徴を最大限生かせるようにしました。PS4ならではの特徴として、シェアボタンを使うことでプレイヤー同士がつながり、交流を持つことができます。
――マルチプレイに関して、前作『アサシン クリードIII』より進化した部分を教えてください。
今回は新しく、ゲームラボというものがあって、そこでプレイヤーはカスタマイズが楽しめるようになっています。シングルプレイモードでは、歴史上で実在したものを調査したことをベースに組んでいますが、マルチプレイモードで操作できるキャラクターについては、より想像を膨らませた創造性の高いものになっています。
――日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
日本のファンの皆さんにはカリブ海の海賊のリアルな雰囲気を体験して、楽しんでもらえたらと思います。
――今回、ここに注目してほしいという部分を教えてください。
今回、特に向上させようとした部分は、ゲームラボです。また、ウルフパックではさらに遊び幅を持たせ、プレイアブルキャラクターのアビリティの調整にも気を配りました。開発には初期段階からかかわり、チームのモチベーションアップを図り、どのようなアートデザインを採用するのかなど、方向性や展開を管理してきました。
――今回のツアーの試遊で、宝箱を開けられないように守るミッションがあり、とても楽しい要素の1つだと感じました。うまくプレイするためのヒントがあれば教えてください。
敵をなるべく早く殺すというよりも、時間をかけていい殺し方をするべきです。グッドキルを重ねていくことで、シークエンスを上げていくことが効果的です。また、敵に見つからないように早く隠れるべきです。ささやき声が聞こえたら、すばやく隠れることが重要です。ウルフパックでは時間内にスコアを満たさないといけないので、宝箱を守ることに時間をかけきれないのも事実です。時間内にグッドキルを行ってレベルを上げるのも重要ですし、宝箱を守るのも重要。プレイヤーのバランス感覚が大切になってくる場面です。
――日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
日本でもマルチプレモードを楽しんでくれていることを知って、大変うれしいです。今回はプレイヤーの皆さんからの意見を反映させて作り込んだので、ぜひとも楽しんでもらいたいです。
――シナリオ制作の流れを教えてください。
このプロジェクトの一番初めからかかわっており、さまざまな調査も行いました。ディレクターと共同してストーリーを考えてきました、キャラクターをどのように組み立てるかというリストを作ったり、ロケーションをどこにするかをリサーチしました。
約5カ月間でストーリーの大筋ができたのでシンガポールに行って、そちらのチームと一緒にゲーム全体のストーリーを組み始めました。ストーリーのアウトラインができたら、ミッションディレクターと検討し、どのようなミッションを与えていくかということを考えました。だいたいそれで1年かけ、2012年秋にはおおよそのかたちができました。そのあとは、どのようなキャスティングをしていくか、ということを考えました。
スクリプト全体が固まったところでイギリスへ行き、キャスティングをしました。ウェールズやイングランドでは、実際の海賊がどういうキャラクター性を持っているのかを調査しました。その後、モントリオールスタジオに行って他の3人のライターと全体のストーリーを調整しました。
――本作の物語を書くうえで重要視したことはなんですか?
まず最初に、物語の背景として“家族のつながり”を描きたいという思いがあり、ファミリーツリー(家系樹)を意識しました。『アサシン クリードIII』の主人公・コナーの母はアメリカ原住民、父はイギリス人のヘイザム、そして祖父にあたる本作のエドワードは、ウェールズ出身の労働者階級の貧しい船乗りです。そういった家系を軸に大きなストーリーを作り出すため、奴隷制度の要素を含め、スペインの統治が迫る当時の情勢を再現しました。
――登場人物たちの性格付けはどのように行ったのですか?
5カ月間の調査の間で、当時の海賊に関する書籍などを読みました。どのようなキャラクター性にするかというところでは、できるだけいろいろなタイプの人物を取り入れるようにしました。例えば、ある者はとても悪どかったり、危険人物であったり、ミステリアスな部分を持つ人物性であったり。最終的には、ストーリーを成り立たせるうえで必要最小限、パーフェクトな人数に絞り、それぞれの個性が発揮できるようにしました。
――現代パートでの主人公を取り巻く環境について教えてください。
前作までの主人公はいなくなったので、今回は、プレイヤーがもっと近しい感覚で体験できるようになるように、アムニスを使って歴史調査員としてもっと直接的にゲームにかかわれるようにしました。
――では、私たちプレイヤーはアサシン教団とテンプル騎士団との対立の渦に巻き込まれることもあるんですか?
そうです、プレイヤーは両方の価値観の真ん中に立たされることになります。双方の思想、考え方だったり声だったりをダイレクトに聞くことになるでしょう。まさに、真っ只中に立たされることになりますよ。
――日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
日本の皆さん、作品に興味を持ってくれて本当にありがとうございます。私自身、『ダークソウル』、『ICO』や『ワンダと巨象』といった日本のゲームが大好きです。特に尊敬するクリエイターとして上田文人さんが大好きです(笑)。早く彼の最新作が遊びたいです。みなさん、ありがとうございました!
――Schellingさんが担当された部分を教えてください。
プロデューサーなので、ゲーム全体に責任を持っています。クリエイティブディレクターと密接に連携をとって進めています。プロデューサーとして、予算やコンテンツ全体の責任者をしています。15人からなるコアチームを形成し、ゲーム全体像を作り上げました。そして、全体像をパリの本社に提案しました。
モントリオールが拠点となるスタッフのチームを形成して、世界中に点在する6つのスタジオと連携をとっていきました。例えば、モントリオールとシンガポールとでは12時間の時差があります。進捗状況も同時進行とはいきませんし、さまざまな部分で異なります。そういったギャップを埋めるため、すべての拠点を回り、スタッフ全員が同じビジョンをもって制作に臨めるよう、また、きちんと工数が見通せているのか進捗をチェックしました。プロジェクト全体を管理するプロデューサーというのは、オーケストラでいうところの指揮者のような役割でした。
――プロジェクトをまとめ上げるのに困難だったことはなんですか?
コミュニケーションです。モントリオールで決まったことが各スタジオに伝達されるのですが、そこを円滑に動かす必要がありました。各スタジオは国が違うので、考え方の違い、言語の違いなどがあったので、そこをまとめていくことがチャレンジの1つでした。そこに対して、モントリオール側では技術や開発に関して各チームに決定権を与えて行くことをしていきました。
――PS4での開発はいかがでしたか?
『アサシンクリードIII』の時から、すでに『アサシン クリード4』を踏まえて予算を組んであり、次世代機での開発ということも見据えて2年以上前から用意をしていました。また、PS4、Xbox Oneを含む6つのハードでリリースをするにあたり、リサーチも行ってきました。ライティングなど、1カ月研究を行い、どのような効果が出るのかテストをして、だめだったらその方法は行わないようにするなど、小さな部分で実験を繰り返していき、予算を管理してきました。
――日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
日本人のローカライズ部門責任者がモントリオールにいます。前作まではイタリア人がローカライズ部門の責任担当をしていましたが、今作では日本人の担当者がこれまで以上に翻訳部分などを素晴らしく仕上げていますので、ぜひ楽しみにしていてください。
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