『ガルパン』戦車を『World of Tanks』でも使いたい！ 大洗女子学園の戦車はゲームでどんな性能に!? 【めざせ！ 戦車道免許皆伝 第7回】

文：田中尚道

　「『ガールズ＆パンツァー』は好きだけど、『World of Tanks（ワールド オブ タンクス）』（以下、『WoT』）だと、どれがその戦車かわからない」とか、「せっかくだから、大洗女子学園戦車道チームと同じ戦車を使いたい！」などと考えている、そんな貴官のための戦車解説第2回。「別に史実なんて知らなくても問題ない」と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、知っていたほうが楽しめることもあります。前回の記事に引き続き、大洗女子学園チームの戦車解説をお届けしていきますが、サンダース大付属高校や聖グロリアーナ女学園、プラウダ高校の使用戦車もこれまた名車ばかりなので、そちらもいずれご紹介する予定です！

■第二次世界大戦を通して戦い続けたワークホース【Pz.Kpfw.IV】（Tier V）

　われらが西住みほ殿の率いる“あんこうチーム”が乗り込むのが、IV号戦車こと【Pz.Kpfw.IV】。第5回の記事で、戦車には歩兵支援と対戦車戦の2種類の用途があったという話を書きましたが、ドイツ軍においてはIII号戦車が対戦車車両、IV号戦車が歩兵支援車両でした。他の国の対戦車車両と同様に、III号戦車は小型で機動性が高く、装甲貫徹力の高い砲を積んでいましたが、すでに大戦初期のフランス侵攻段階でも、5.0cm砲では非力さが否めなくなっていました。

▲各所にハッチが設置されていて、あんこうチームの全員が顔をのぞかせることができるのも、IV号戦車のいいところですね！

　とはいえIII号戦車は、7.5cm砲を積むには車体が小さい。ということで、III号より大型のIV号戦車に大口径の長砲身砲を積んで、対戦車戦闘にも用いるようになったわけです。『ガールズ＆パンツァー』でもあんこうチームのIV号は、ガレージで発見された当初は短砲身の7.5cm砲を積んでおり、劇中で物干し竿代わりにされていた長砲身の7.5cm砲に換装しています。

▲比べてみれば一目瞭然の、砲身の長さの違い。長いほうが“7.5cm KwK40 L/43”で、短いほうが“7.5cm KwK 37 L/24”。なお、7.5cm KwK37 L/24は、砲弾の直径が7.5cmで、1937年に採用されたKwK（戦車砲）という意味。L/24は砲身の長さで、砲口径×24で180cmとなっています。

▲『ガールズ＆パンツァー』で、IV号戦車の長砲身砲が登場したシーン。過去、戦車砲を物干し竿に使った作品はおそらくないのでは？

　装甲の厚さはさておき、頑丈で信頼性の高かったIV号戦車は、細かく手を入れられながら終戦まで使用され続けます。そのバリエーションはドイツ軍屈指。旋回砲塔を持つ戦車だけでも、A型からスタートして、B/C/D/E/F/F2/G/H/Jまでの10種類。この他にも駆逐戦車や自走砲、対空戦車のベースとして活用されました。変わったところでは、60cmという大口径の臼砲を積んでいたカール自走砲の、砲弾供給車などにも転用されています。ちなみに、当時最大の艦砲だったのが、戦艦大和に積まれていた46cm砲ですから、60cmがいかにデカいか、おわかりかと思います。砲弾の重量だけで2tを超えており、普通の車両では搬送できなかったのです。

　歩兵支援車両から主力戦車に転用されたIV号ですが、大戦末期には連合国の新型戦車に苦戦します。ドイツも、ソ連のT-34に触発された新型戦車としてV号戦車（パンター）を開発しますが、生産性とコストの問題からIV号の生産も継続。ドイツ軍が戦った、すべての戦場に投入されました。なお、ドイツの降伏後もチェコスロバキアが所有していたIV号がシリアに売却され、中東戦争でイスラエル軍と戦っています。大戦末期ですら型落ちだったので、結果は惨憺（さんたん）たるものだったそうですが。

▲あんこうチームのIV号は、最終的にH型（風）になります。外見的な特徴は、シュルツェン（防盾）が増えたこと。むろん、実際のIV号H型はD型と比較して、装甲の強化はもちろん、エンジンや変速機なども交換された別物です。

●『WoT』での【Pz.Kpfw.IV】

　先にご説明した通り、戦場で長い間使い続けられただけあって、ゲームの中でも強化の幅が広く、使い勝手のよい戦車です。砲も5.0cmからスタートして、7.5cm砲短砲身、7.5cm砲長砲身、10.5cm砲短砲身と強化していくことが可能です。

　装甲も、前面の80mmはかなり優秀な部類ですが、背面は20mmしかなくて非常に不安です。ドイツ戦車の特徴として、あまり傾斜装甲を持たず、避弾経始に劣った部分があるので、同じ装甲厚の他国戦車に比べて、装甲が薄く感じることがあるかもしれません。機動性と火力は申し分ないので、攻撃をなるべく受けないように立ち回ってください。開発ツリーにおいて、IV号は【Pz.38（t）】からの進化になりますが、前段階の【Pz.38（t）nA】がとにかく弱いので、初めて乗ると感動すると思いますよ。

→アニメでも大活躍の【StuG III】と
苦し紛れに開発された【Type 3 Chi-Nu Kai】を解説！（2ページ目へ）

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