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2013年11月12日(火)

【聖闘士への道】あまりの人気に驚いた!? 『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』開発者インタビューで開発の裏側を熱弁

文:kbj

■技ではないが“とあるシーン”を必殺技に!

――アクションゲームにするうえで、苦戦したキャラは誰ですか?

カプリコーン:黄金聖闘士(ゴールドセイント)は何度かスポットが当たるのですが、ポセイドン編以降のキャラは、1回しか出てこないキャラばかりで、戦いがほとんど描かれないキャラも多い。例えば、ポセイドンはほとんどが座っているだけでしたし、アテナも聖衣は着たのですが、戦っている描写はほとんどない。そういうキャラが多いため、アクションや必殺技には苦労しました。

――確かにアクションゲームにするうえで、ベースとなる動きがないのは大変そうですね。

カプリコーン:あと、キャラ全体に言えるのですが、動きはあってもすべてのモーションがわかるわけではないんです。性格や断片的な動きから補ってモーションを作っているので、苦労しています。

――印象的だった技は?

『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』

 原作のこの動きはゲーム中に取り入れようと、いろいろな検討をしていったんです。青銅聖闘士をシオンがまとめて吹き飛ばす、「うろたえるな小僧ども!!」という名シーンがあるんですが、それは必殺技にしています。

――敵コンピュータに食らった時、笑ってしまいました。

カプリコーン:「シオンといえばこのシーンなので、ぜひ入れたい!」と開発内でも話して、何とか入れました。そもそも技ではないですからね。

――印象的かつ象徴的なワンシーンですしね。特に力をいれたビッグバンアタックのデモは誰ですか?

『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』

カプリコーン:神聖衣(ゴッドクロス)の星矢ですね。あれはかなり気合いが入っています。星矢はいろいろな聖衣違いがあるのですが、神聖衣になったからには、他との違いをつけたいと思いました。ただ、そもそも星矢にはペガサス流星拳、ペガサス彗星拳、ペガサスローリングクラッシュの3つしか技がないんですね。

――あとは射手座(サジタリウス)の矢くらいですね。

カプリコーン:そうですね。まったくない技を作り出してしまうのは違和感があったので、彗星拳をベースに、原作のいろいろなシーンを参考にした技に仕上げさせていただきました。

――かなり小宇宙を感じられる技ですよね。他に気にいっているものは?

ジュネ:アテナのビッグバンアタック“アテナの杖”です。カッコよさがあるうえに、当てやすいのもいいですね。

カプリコーン:僕はシオンのクリスタルウォールが好き。敵が襲いかかってきた時に、バッと体をひるがえしつつ出す感じとかがいいです。

――三戸プロデューサーは、名前を借りているにもかかわらず、山羊座(カプリコーン)のシュラをそこまで贔屓(ひいき)にしているわけでも、思い入れがあるわけでもないんですね。

(一同笑)

『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』

カプリコーン:ええっと……アイオロスを倒そうとしたり、教皇の悪事を知りつつ仕えていたり、シュラってちょっと悪いヤツじゃないですか? 幼心に「ちょっと悪いヤツだな」っていう印象があって、放送当時好きにはなりきれませんでした。大人になってから見ると、紫龍とのやり取りとか以前とは違った見え方になって、印象は違うんですけどね。

――確かに怖い印象でしたね。話をもとに戻します。今回、格闘ゲームでよくあるコマンド入力ではなく、ボタンを押していくコマンドにしたのはなぜですか?

カプリコーン:ファンの層が広いため、格闘ゲームで採用されているコマンド入力を必要とすると、遊べない人もいるだろうと思ったためです。あと、キャラクターが多いので、コマンドを覚えきれない。そこでシンプルにしようと心がけました。

――必殺技で小宇宙ゲージを1枠消費するため、ためる展開が多くなりますがこちらはあえてでしょうか?

『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』

カプリコーン:小宇宙(コスモ)は、ためて高めるものなので! 『聖闘士星矢』はバトル中に小宇宙をためるシーンが多いので、それを入れたかったというのと、相手のスキを作った際にその時にためるという戦略にもなる。今回はそういうバトルを目指したバランスにしています。

――空中コンボがかなり爽快だと感じました。ただ、原作ではあまり空中で戦っている印象がないのですが、それはゲーム的な気持ちよさのために入れた要素?

カプリコーン:空中でのバトルは原作にあまりないのですが、そこは本作ならではのポイントとして用意しました。3Dタイプのアクションゲームはこれまでにもあったのですが、あまり空中バトルを採用しているものがなかったので採用しました。

――ビッグバンアタックはやや特徴的な仕様になっています。ガード不能にしたり、無敵判定を付けたりしてもよかったのでは?

カプリコーン:そこはさまざまなシステムとの兼ね合いで、現在の仕様になりました。ご指摘される通り、若干当てにくくはなってしまっているというのは思います。

――開発全体を振り返って印象的だったエピソードは?

カプリコーン:キャラクターのグラフィック表現に苦労したことですかね。今作は『聖闘士星矢戦記』と違い、キャラクターをアニメ的に表現しようとしました。しかし聖衣のキラキラと輝く質感は残したいと思い、キャラクター自身とその聖衣のグラフィックテイストのバランス調整に時間を費やしました。ただお陰で納得いく表現になったと思っています。

ジュネ:全体的にいろいろな驚きがありました。「あの『聖闘士星矢』にかかわることができるなんて!」と思っていましたし、「声優さんの生アフレコを聞けるなんて!」とか「人生の中でこんなに小宇宙(コスモ) って言う日がくるなんて!」とか。アシスタントプロデューサーとして、ニコニコ生放送に出演して宣伝したこともとても印象的です。魅せプレイできた夜は熟睡でした。

――開発を担当されたディンプスさんとのやりとりの中で、印象的だったエピソードは?

カプリコーン:今作は日本・欧州・南米地域でほぼ同時期の発売ということで、ディンプスさんはかなり開発で苦労していました。終盤はかなりヘロヘロな状態だったんですが、私たちが制作したPVやCM、ポスターなんかを見せると「小宇宙が高まりました!」と言って、再度奮起し、過酷な開発作業に挑んでいく姿が印象的でしたね。

ジュネ:ディンプスさんは大阪の会社なので、打ち合わせが毎回コントみたいでおもしろかったです。私も関西出身なので打ち合わせ中はボケたりツッコんだり、ネタ見せの時間みたいでしたね。バトルでの一部の仕様を決めるときもギャーギャー言いながら決めました。

――開発中に苦労したところは?

『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』

カプリコーン:前のインタビューでも言ったのですが、必殺技ですね。たとえ必殺技があっても、ゲームとして採用する際に原理が説明しにくい、何が起きているのかわからないのが多いんです。あとは、同じ技でも時によって出し方や効果が違う。ペガサス彗星拳では、彗星のように体ごと突っ込んでいる時もある。「それを同じ技にしていいのか?」という悩みは今回もありました。

――今回もニヤリとするトロフィーばかりですね。特にこだわったもの、気にいっているものはどれですか?

カプリコーン:ファンの方がおもしろいと感じていただけるようなネタを仕込んでいこうというのが、最初から構想としてありました。例えば、蠍座のミロを使用し1回のバトルでスカーレッドニードルを15発撃ち込むと“くらえ! 真紅の衝撃!”というトロフィーを獲得できます。まさに原作のスカーレッドニードルの設定どおりで、ファンの方はニヤリとされるのではと思います。

海外で人気のエピソードとは!? 詳細は3ページ目で!

(C)車田正美/集英社・東映アニメーション (C)2013 NBGI

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