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2013年12月10日(火)

スクウェア・エニックス×日本ファルコム×スパイク・チュンソフト、クリエイター特別鼎談――日本のRPGの過去・現在・未来は?【後編】

文:まさん

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■ゲーム業界を目指す未来のクリエイターへ

――将来ゲーム開発の道に進みたいと考えている人たちに向けて、現役のクリエイターとしてアドバイスをお願いします。

近藤:どんな人でも必ず武器があると思います。でも、その武器に気づいていない人や、違う方向を向いているという人は、多いのではないでしょうか。実は、社内を見ていてもそういった人は多いのですが、その中で頭角を現すのは、自分は何が得意なのかを知っていて、同時に何が苦手かを知っている人間です。「ならば、自分はこうしよう」ということを考え続けられる人間です。そういう人は、自分の苦手な分野を代わりに考えてもらうなど、人に意見を聞くこともできるようになります。

 コンシューマのゲームは数人で作るものではなく、チームで作るものです。より作品を高めようと思うのなら、まずは自分たちが持っている武器を確認して、その武器で戦うしかありません。その武器を最大限に発揮させるジャンルは何か、制作の進行の方法はこの方法でいいのか、と常に考えられる人間が向いている……と言いますか、私の周りで実際に力をつけてきている人の印象ですね。具体的にそれがどうやったら身につくのかと言えば、個々の努力や物の見方になってしまいますが、制作にそうしたところを意識してもらえると助かります。

浅野:ものづくりを志す方の中で、大半の人は天才ではないと思います。天才じゃない人は、あらゆるコンテンツ、エンターテインメントに興味を持って吸収し、その作品の何がおもしろいのかを自分なりに考え、アウトプットする訓練をするといいでしょう。

 自分は新卒の入社面接もしているのですが、「あなたのオススメのコンテンツは何ですか? それのどこがおもしろいのですか?」ということしか聞きません。つまり、インプットしてきたものを、ちゃんとアウトプットできるかどうかですね。ものづくりを志す方は、自分が好きなものがどうおもしろいのか、それを理解する練習をしておくといいと思います。

齊藤:僕は、こういう人とだったら一緒に働きやすいなと思える人が欲しいですね。一緒に働きやすい人とは、「ここは、こいつになら任せられる」という得意な分野を持っている人です。どんなものでもいいので、こいつにしか任せたくないというものを自分の中から見つけ出してほしい。

 例えば、絵を描いている人なら「美少女は描けないけど、脂っこい親父を書かせたら俺がナンバーワンだ!」というように、何かしら極まった者を持っている人は、そこを極めるために努力をしたうえでその境地に至っていると思うんです。そういった得意な分野が1つでもあって、それを自覚している人は、その他の部分でも意外と冴えた部分や光る部分があるものなんですよ。逆に、器用貧乏でもいいんです。器用貧乏なら器用貧乏で、器用貧乏のエキスパートになってほしい。「この人が風邪で休んだら会社がヤバイことになるな」と思える、頼れる存在と一緒に働きたいと思っています。

RPGクリエイター特別鼎談

――最後に、ユーザーの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

齊藤:スパイク・チュンソフトの合併一発目のタイトルである『コンセプション』は、『ダンガンロンパ』と一緒にシリーズとして続けていくうちに、スパイク・チュンソフトらしいタイトルになったのではないでしょうか。これからも、続編や新規に関係なく、うちでしか出せないタイトルをどんどん出していきますので引き続きご注目ください。きっと「また、こんなことやりおった!」という驚きを提供できるんじゃないかなと思っています。

浅野:今回、コンシューマの在り方が変わっている、という話をさせていただきましたが、同様にゲームメディアの在り方も変わっているんだろうなと感じています。この企画のような独特の切り口であったり。他にも電撃オンラインさんには『ブレイブリーデフォルト』のドラマCDの収録に9時間ベタづきで立ち会っていただきました。きっと、今はそういうものが求められている時代だと思いますし、そうした記事を読まれている方は、最先端のゲーム情報キャッチャーなのではないでしょうか。『フォーザ・シークウェル』の記事に注目しつつ、ゲームを追いかけていただけるとありがたいですね。

近藤:『軌跡』シリーズは、おかげさまで来年10周年を迎えます。電撃オンラインさんや電撃PlayStationさんの読者の皆様からも、『閃の軌跡』に対する期待をたくさんいただき、本当にありがたいなという気持ちでいっぱいです。今、『閃の軌跡』を遊んでいたいだている皆さんは、エンディングを見て「ええっ!」と思われているころではないでしょうか。その続きは、来年10周年の間に出したいと思っていますので、楽しみにお待ちいただけるとうれしいです。

→“日本のRPGの過去・現在・未来”クリエイター特別鼎談・前編はこちら

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MAIN CHARACTER DESIGN : Akihiko Yoshida.
(C)2013 Nihon Falcom Corporation. All rights reserved.
(C)Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.

データ

▼『ブレイブリーセカンド』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■発売日:未定
■希望小売価格:未定
▼『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』前作所持者向け優待DL版
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■配信日:2013年12月5日
■価格:2,900円(税込)

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