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2013年12月16日(月)

【ほぼ毎日特集 ♯66】『シェフィ-Shephy-』カワイイひつじを1,000匹まで増やす1人用アナログカードゲームを制作者とプレイ!(梅津爆発)

文:梅津爆発

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■『シェフィ』誕生の秘密をポーンさんと魚蹴さんにインタビュー!

爆発:どんなキッカケでこのゲームが生まれたのでしょうか?

ポーン:『ヴォーパルス』というカードゲームに“ベヒモス”というカードがあって「スゲーカワイイ!」と感動したんです。それで“ベヒモス”のゲームがやりたいと思って、つまりどういうことなのかと自分の欲望を見つめ直してみたら「動物がカワイイ」のがいいと。さらに「カワイイ動物とは何か」を考えたらひつじに辿り着いたんです。

 僕が思う動物の可愛さってモフモフした毛や丸っこい姿だったので。それでひつじをどうするかと考えて「増やしたい」なと。1、2、3じゃなくて10、100、1,000と大量に増えたらおもしろいだろうと思ったんです。それで最初にひつじカードを作り、それだけではゲームにするのが難しかったので、試行錯誤しながらイベントカードを作っていきました。

爆発:そうして作られたゲームがサイトで公開されていた『The race of thousand sheep』ですね。それが今回『シェフィ』に生まれ変わった経緯を教えてください。

ポーン:あるアナログゲームの会で魚蹴さんと初めてご一緒になって、「普段はフリーゲームを作ることが多いのですが、最近はこういうゲームを作りました」と『The race of thousand sheep』をお見せしたら、「これ一緒に作りたいです!」とおっしゃってくださって。それで商品化することになって魚蹴さんとやり取りしつつ、ゲームデザインやイラストを洗練させていって『シェフィ』になりました。

魚蹴:元々ポーンさんの作られた『雪道』というゲームが好きで、本人にお会いできるということでワクワクしてゲーム会へ行ったんです。そこで最近作られたゲームについて伺ったら、カードを見せてくれまして。そのひつじがすごくかわいかったので、ゲームの細かいルールも知らない状態でしたが「やりましょう」とポロッと後先考えずに言ってしまいました(笑)。

ポーン:今思えば、個人個人の思惑を超えた縁みたいなものがあった気がします。結局魚蹴さんはその場ではゲームをやらなかったような。

魚蹴:やりませんでしたね。代わりに初プレイの『ディプロマシー』でポーンさんにボコボコにされました(笑)。それが2012年のことですね。

爆発:『シェフィ』はソリティア(1人用)ゲームですが、これには理由があるのでしょうか?

ポーン:僕はゲームに没頭するのが大好きなんです。プレイしているゲームのことをいつまでも考えて、自分の中に没頭していきたい。でも、人が考えているのは待ちたくないんです。ワガママですが、不自然な感情ではないですよね。

 そうなると、ソリティアが適しているなと。ソリティアなら勝敗も気にしなくていいですし。だから今後またアナログゲームを作ることになったら、次もソリティアになる可能性が高いです。

爆発:よりおもしろくなる『シェフィ』の遊び方はありますか?

ポーン:ソリティアなので、自分の自由に遊んでもらうのが一番ですね。物足りなければ手札を減らすなどルールを変えてしまえばいいですし。気が向いたときや時間が空いたときに遊んでもらえればと思います。

魚蹴:意外と“1人用アナログゲーム”の存在自体を知らない人がいましたので、まずは遊んでもらいたいですね。そしておもしろいルールを思いついたらぜひ教えてください。

ポーン:確かに知りたいですね。

魚蹴:想像力を刺激するイラストなので、占い的な使い方とも相性がよさそうです。

爆発:説明書の裏に書かれたストーリーからも色々と想像したくなりますよね。

ポーン:少し話は反れますが、今まで遊んだフリーゲームの中で『小次郎』という作品にビックリしたんです。COMが相手をしてくれる一見普通の囲碁ゲームなのですが、ヘルプファイルを読んだらそこにストーリーが書いてあったんですよ。

 主人公と小次郎が女の子を取り合っていて、小次郎が「ではこうしよう。この盤面をサトミさんの心として、より多くの部分を占めた方が勝ちだ」と言って囲碁に酷似したゲームをやるみたいな。それを読んで「囲碁にストーリー付けたか!」と感激したんですよ。だから『シェフィ』でも説明書にストーリーを書かせてもらいました。

爆発:ゲームをプレイするだけでは『小次郎』のストーリーはわからなかったのでしょうか?

ポーン:わからなかったですね。キャラの絵や文章はなかったので。

爆発:今、フリーゲームのお話が出ましたが、ポーンさんは非常にたくさんのフリーゲームを制作されていますよね。どういう理由から制作を続けているのでしょう?

ポーン:自分が欲しい物や、やりたい事を自ら作って楽しんでいる面が大きいですね。さまざまなゲームやアニメなどの影響で欲しい物ややりたい事って時期によって変化するので、いろいろな作品ができました。フリーゲームをメインで作ってはいますが、自分を縛りたくないのでなるべくいろいろなことに挑戦したいという思いがあります。

魚蹴:私は最近になって初めてポーンさんの『くもりクエスト』を遊んだのですが、かなりツボでした。

ポーン:一応、アレはTRPGと言い張っているんですが(笑)。

魚蹴:女の子がすごくテキトーなマスタリング(進行役)をしてくれるんですよ。

爆発:それはどんな理由で作られたのですか?

ポーン:記憶があやふやですけど、最初はTRPGとは考えてなくて女の子と話すことだけを考えていたんです。それで自分の願望から、ゲームの話をするのが一番嬉しいかなと思ってあのようになりました。

爆発:そういえば『灼熱姫』『たゆみ。』『少女と囚人のジレンマ』など、女の子が語り出すゲームが多いですね。

ポーン:カワイイ女の子が立っているだけで嬉しくなっちゃうので、きっとみんなも嬉しかろうとは思ってますね。だから何かワンアイデアと女の子を足すとうまくいくことが多くて。それはある意味、ありがちなことかなと思っています。

爆発:女の子はフックになりますからね。最近はデジタルのフリーゲームは作られていませんが、また気が向かれたら制作されるんですか? またアナログゲームについてはいかがでしょうか。

ポーン:デジタルゲームも実現したいアイデアはいくつかあります。アナログゲームはデジタルと比べてシンプルにせざるを得ないので、元々シンプルなものが好きな自分にとっては創作しやすくて魅力的な媒体だと思いました。

魚蹴:また一緒に制作させていただけたら嬉しいですね。ポーンさんファンの1人としては、まずは『シェフィ』を形にできて光栄でした。

ポーン:僕も形にできたのがとてもありがたかったです。デジタルではなく、実際の物品として。商業作品を出すのもこれが初めてでしたし。

爆発:今後もデジタル・アナログに限らず、さまざまな作品を発表し続けてください。楽しみにしています! 最後に読者へメッセージをお願いします。

魚蹴:今、アナログゲーム人口がどんどん増えていますが、なかなか複数人で集まって遊ぶ機会がない人には、1人で黙々と遊べる『シェフィ』は最適だと思いますのでぜひ(笑)。また、最初にポーンさんの描かれたひつじを見たとき「これはゲーマーじゃない人にも受けるのでは?」と思い、実際に普段はゲームをしない人にも興味を持っていただけました。ですのでゲームに慣れていない方にも、気軽に遊んでいただきたいですね。ひつじがカワイイですよ! クリスマスプレゼントにも最適です!!

ポーン:僕はプレイヤーとしてはとてもワガママで、それだけに厳しく洗練してシンプルにしたので、期待してもらいたいなと思います。あとは「好きなように遊ぶ」のが一番大事だと思うので、「自分が感じたこと」を大事にしてもらいたいですね。


 今回はステッパーズ・ストップのポーンさんと冒険企画局が制作した『シェフィ』のリプレイをお送りしました。カワイイ見た目とシビアな難易度のギャップがおもしろいソリティアゲームですので、イラストに惹かれた方はぜひ一度遊んでみてください。アナログゲームショップの他、Amazonでも購入可能です!

 またインタビュー中にタイトルが出たポーンさんのフリーゲームはステッパーズ・ストップのサイトなどからダウンロード可能です。こちらもぜひプレイしてみてください。ポーンさんの独特な世界観にハマってしまうかもしれませんよ?

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