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2013年12月14日(土)

新作にかけた爆アツな想い! 『ガイストクラッシャー』小林裕幸エグゼクティブプロデューサーらがデザインやストーリーの開発経緯を熱弁

文:たて りょうた

 カプコンから12月5日に発売された3DS用ACT『ガイストクラッシャー』。本作を手がけた開発スタッフのインタビューを掲載する。

『ガイストクラッシャー』

 本作は、ガイストクラッシャーと呼ばれる戦士になり、人類を脅かす金属生命体ガイストを撃破していくカスタム武装アクションゲーム。ガイストギアには、戦闘時の“武装”、武器や防具への“変形”、倒したガイストを新たなガイストギアにする“収集”という3要素が込められている。また、ゲームだけでなく、玩具やTVアニメなどさまざまなメディアで展開している。

 今回、開発者インタビューとして、本作の攻略隊長であるバナ隊長、ガイストのデザイン監修を担当した末次治樹さん、キャラクターデザインを担当した石原雄二さん、本作のエグゼクティブプロデューサー・小林裕幸さんにお話しをお伺いした。カプコンにとって、約5年ぶりとなるキッズ向けプロジェクトがなぜ発足したのかや、紆余曲折あった開発中のエピソードなど、『ガイストクラッシャー』についてお聞きしたので、早速お伝えしていこう。なおインタビュー中は敬称略。

『ガイストクラッシャー』
▲左から小林エグゼクティブプロデューサー、石原さん、末次さん、バナ隊長。

■カプコン久々のキッズ向けタイトルは“大迷宮”を抜けるところからスタートした

――まず最初に、皆さんが『ガイストクラッシャー』で何を担当されたのかと、これまでに手掛けられた代表作を教えて下さい。

『ガイストクラッシャー』

バナ隊長:私は攻略隊長のバナ隊長であり、『ガイストクラッシャー』の宣伝はもちろんだが、ゲーム作りのいろんなことにかかわっているぞ!

(一同笑)

――キャラ付けが手さぐりではないですか?

バナ隊長:なんだ、キャラ付けって! バナ隊長として『ガイストクラッシャー』の話作りをメインに担当しています。プロジェクト発足当初は私と石原さんだけだったため、話を考えて、絵を書いて……企画を2人で練り上げて作り上げてきました。『ガイストクラッシャー』が形になってからは、TVアニメやおもちゃの展開を考え、メディアミックス全体を見ています。

――子どもたちに人気だとお聞きしました。

バナ隊長:もう大人気さ!

小林:サイン攻めですよ(笑)。子どもたちの列ができますから。

――近寄ってきて蹴ってくる子どもとかいませんか?

バナ隊長:パンチですよ。固くないところを狙ってパンチ!

――ワハハハハ。賢いですね。

『ガイストクラッシャー』

末次:“ガイスト”のデザインを監修した末次です。『ガイストクラッシャー』に登場する“ガイスト”のデザインを監修しています。92年にカプコン入社ですので、かなり長くいますね。最初は、カプコンタイトルのパッケージなどイラスト制作を主にやっていまして、『サイバーボッツ』などの、ロボットもののイラストが多いですね。最近では『モンハン(モンスターハンター)』の武器デザインなんかもやっています。

 『ロックマンX5』あたりからキャラクターデザインの仕事が増えまして、ゲームボーイアドバンスで出た『ゼルダの伝説 4つの剣』や『ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし』では、ドットを打ったり設定を作ったり、イラストよりもゲームの中でのデザインに関わっていました。代表作として上げさせてもらうと、色々とチャレンジさせていただいたWii『宝島Z バルバロスの秘宝』を上げたいと思います。

『ガイストクラッシャー』
▲Wii『宝島Z バルバロスの秘宝』は2007年10月にリリースされた。プレイヤーのひらめきとWiiリモコンを駆使して、謎を解き明かしていくアドベンチャーゲームだ。

――『宝島Z』は隠れた名作だと思います。

末次:『宝島Z』では、ヒロインのローズのデザインや、動物やアイテム、背景のデザイン監修、モデルチェックなど本当に色々とやらせてもらいました。……あれが一番ですね。僕の中では。

小林:だいぶ間が開きますけどね(笑)。

バナ隊長:末次さんには今回、ゲームに登場する“ガイスト”のすべてのバランスを見て、すべてのデザインの統一をとるというお仕事をお願いしています。

末次:今回の作品では100種類以上の“ガイスト”が登場して、それぞれ、3つの形態とアンダーアーマーを持っているんです。そのすべてのデザインのバランスを見ました。と言いつつ実は、全部が全部僕が見たわけではなく、バナ隊長も監修には参加してもらってます(笑)。どっちが何を見たかは言いませんけど(笑)。

『ガイストクラッシャー』

石原:『ガイストクラッシャー』でキャラクターデザインを担当した石原です。カプコンではずっとキャラクターデザインばかりをやってきました。最初に参加した作品は『ミッキーのマジカルアドベンチャー』で、ゲーム専用のキャラクターを担当し色々と鍛えられました。その後、『バイオハザード』でクリーチャーのデザインや、モデルやムービー制作に携わりました。その後、『ロックマンDASH 鋼の冒険心』に参加し、そこからはずっと『ロックマン』シリーズでキャラクターデザインを担当してます。

小林:『ガイストクラッシャー』ではエグゼクティブプロデューサーを務めている小林です。今回、カプコンで少年向けのゲームを作ろうと言い始めた言いだしっぺなので、プロジェクトの全体を統括するのが担当ですね。代表作としては、『バイオハザード』シリーズや『デビルメイクライ』シリーズ、『戦国BASARA』シリーズ、『ドラゴンズドグマ』などです。

――そもそも『ガイストクラッシャー』は、子ども向けのゲームを作ろうというところから、企画が走り出したのですか? あるタイトルのアイデアがあり、それが子ども向けになっていったのですか?

『ガイストクラッシャー』

小林:「少年向けのゲームを作ろう」というところがスタートになっています。デザインの2人は『ロックマン』をやっていたのでプロジェクトに入ってもらったんです。カプコンは『ロックマン』以外で少年向け作品がなかなかないんです。10代、20代の方には『モンスターハンター』シリーズや『バイオハザード』シリーズ、『戦国BASARA』シリーズなどがあるんですが、やはり10代になる前の小さなころからカプコンのゲームを遊んでほしいなという思いからスタートしました。

 プロジェクト発足後、色々な企画案があったんですけどその中から武装アクションゲームがおもしろいということになり、『ガイストクラッシャー』という名前で走り始めました。ボツになった企画もあるんですけど……言えないです(笑)。

バナ隊長:累々たる屍たちが(笑)。

――『ガイストクラッシャー』でいこうとなるまで、何本くらいの企画案がボツになったんですか?

小林:僕のところまで上がってきた企画は数個で、その中から決めたんですけど、チーム内では相当の数がボツになったと思います。

バナ隊長:一番苦汁をなめているのは石原さんだと思いますね。

石原:書いても書いてもボツっていう…

(一同笑)

『ガイストクラッシャー』

バナ隊長:10は行かない……ですよね?

石原:いやぁ……とにかく、最初は大変でしたね。ボツになることはよくあるんですけど、ここまで続けてボツを食らった企画というのはなかったです。

バナ隊長:横で見ていてビックリしました。「こんなにも企画が通らないのか?」って(笑)。完全に迷宮に入っていて、「もうわからない!」って。

――その迷宮を“クラッシュ”するきっかけはなんだったんですか?

バナ隊長:僕個人の感覚なんですけど、当時はまだキッズチームと呼ばれていたチーム(現『ガイストクラッシャー』チーム)に入って、企画を出していたんですけど……その時にチームが出した企画に対して、正直「これはダメだな」と思ったんですよ(笑)。全員が迷宮に入っちゃっていて、チームの本領をまったく発揮できてなかったんですよ。

 当時まだ僕はそんなに迷宮に入ってなかったので、「これはこういう理由でダメだろうな」と思いながらその企画を小林さんに持っていったんです。そうしたら、僕が思った理由と同じ理由で小林さんからボツをくらったんですね。それで「感覚的に近い」と思ったので、そこからいくつか企画を作って出した結果、その中のひとつが『ガイストクラッシャー』になりました。

小林:石原さんに聞きたいんですけど、『ガイストクラッシャー』の企画が、チーム内でできた時の手ごたえってどうだったんですか?

『ガイストクラッシャー』

石原:『ロックマン』でこういう鎧を着ているようなキャラクターはやっていたんですが、『ガイストクラッシャー』に決まったらキャラクターデザインが大変だなと……。

小林:ワハハハハハ。

バナ隊長:正直だな(笑)。

小林:大変なものに決まっちゃうんですよ。大体こういうパターンだと(笑)。

石原:まあ、決まるのは魅力があるからなんで……もうしょうがないと覚悟しました(笑)。

小林:末次さんはどうでした? できてきた時は。

『ガイストクラッシャー』

末次:僕は、『ガイストクラッシャー』が決まってからチームに加わったので、迷宮には入ってないんですけど……『ロックマン』でも僕は『X』の方ですから違うラインで、石原さんと一緒に仕事をしたことがなかったので、実は昔から石原さんと組んでみたいなって思いがあったんですよ。『ロックマンDASH』の敵のデザインを見た時に、「うわ! カッコええな!」って思ってて。“ガイスト”のデザインでは、ある程度決まっていたものがあって、そのデザインを見た時に「これはいける」って思いましたね。

――大迷宮に迷い込みながらも生みだされた、久しぶりのキッズタイトルなわけですね。

小林:『流星のロックマン』シリーズ以来なんで、5年ぶりくらいになりますね。

――今回の『ガイストクラッシャー』で遊んでもらいたい子どもたちの年齢層はどのくらいを考えているのでしょうか? また、その層を取り込むために心がけられたことってありますか?

バナ隊長:ズバリ10歳です!

小林:すごいピンポイントで言ったね(笑)。

バナ隊長:小学校中学年という言い方をしているんですけど、なぜ10歳かという明確な理由があるんです。10歳といったら、3年間続けたとしてもまだ小学生なんですね。もともと、『ガイストクラッシャー』シリーズとして3年間やりたいという構想があったので、小学校4年生をターゲットとしてスタートしようということにしたんです。ターゲットを10歳と決めてから、また深い迷宮に入ったんですけどね。

(一同笑)

バナ隊長:深い深い迷宮に入って、分析調査とかいろいろやったんですけど、最終的にたどり着いたのは“自分たちが自信を持って、これぞ王道だというものを提供しよう”ということだったんです。奇をてらうような新しいものを放り込むより、チームのメンバーが経験して来たことをもとに、「これは子どもたちに与えても健全に喜んでもらえるはず」だというものを打ち出していこうと。なので、純粋に作品に深みと王道感をどう与えていくかというところに、ずっとこだわってやってきました。

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