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2013年12月21日(土)

PS Vita『魔法少女まどか☆マギカ』富澤祐介P&開発陣にインタビュー! オススメのプレイ方法、それは……“浮気厳禁”!?

文:さくたろう

 バンダイナムコゲームスから12月19日に発売されるPS Vita用ソフト『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram』。本作の開発に携わったバンダイナムコゲームスの富澤祐介プロデューサーや林直弘制作プロデューサー、アートディンクのスタッフにインタビューを行った。

『魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram』
▲左から林直弘制作プロデューサー、富澤祐介プロデューサー、山本茜さん、小谷友紀さん、宇留間玲さん

 アニメ『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 始まりの物語/永遠の物語』をモチーフに、5人でワルプルギスの夜に挑むオリジナルストーリーが展開するアクションゲーム『魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram』。本作の開発経緯やスタッフの『魔法少女まどか☆マギカ(以下、まどか☆マギカ)』への思いなど、気になるお話しを伺ったので、ファンはぜひ読んでもらいたい。

■本作における5人の役割は?

・富澤祐介プロデューサー……バンダイナムコゲームスのプロデューサー。本作の企画の立ち上げやプロモーションなどを担当。

・林直弘制作プロデューサー……バンダイナムコスタジオの制作プロデューサー。本作では、富澤プロデューサーとアートディンクの架け橋的な役割を務めた。

・山本茜さん……アートディンク所属。今回は制作側の窓口としてバンダイナムコゲームスとの調整などを行った

・小谷友紀さん……スタジオアートディンク所属。序盤は企画に携わり、中盤からはプログラマーとして制作に携わっていた。

・宇留間玲さん……アートディンク所属。開発側のディレクターを務めた。

■“柔らかいもの”をキーワードに進んだ開発

――PSP用ソフト『魔法少女まどか☆マギカ ポータブル』はアドベンチャー部分とダンジョンRPGが一体になった作品でしたが、本作は3Dアクションゲームになっています。このジャンルで出そうと決めた理由をお聞かせください。

『魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram』

富澤さん『魔法少女まどか☆マギカ ポータブル』を発売し、遊ばれたユーザーからのアンケートを見ていたら、アドベンチャーゲームをまた遊びたいという声もあったのですが、それよりも3Dのアクションゲームで魔法少女たちを操作したいという意見が非常に多かったんです。

 ですから次に『まどか☆マギカ』のゲームを作るとしたら、アクションゲームにチャレンジしたいなという気持ちがありました。ただ、どんなアクションにするかという部分は、決めかねていたんです。そんな時に劇場版アニメの話が出てきて、この機会にアクションゲームを作りたいという思いが強くなりました。

 そんな時、アートディンクさんから『まどか☆マギカ』のアクションゲームを作りませんかという提案がありまして、それが本作の開発が始まったきっかけでした。

山本さん提案させていただいたのは結構前ですよね。『魔法少女まどか☆マギカ ポータブル』が出てすぐくらい(※2011年3月ごろ)のタイミングだったと思います。

――2年以上前から企画はあったということですね。

富澤さん企画自体はかなり時間をかけて考え、形にしていきました。

――バンダイナムコゲームスとアートディンクのアクションゲームというと、ユーザーにとっては『ガンダムバトル』シリーズの印象が強いと思います。あちらはメカで本作はキャラクターによるアクションゲームですよね。実際に手がけてみて、その部分はいかがでしたか?

『魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram』

小谷さんアートディンクとしても、メカやロボもののゲームを開発していくのが定番にはなっています。しかし、『まどか☆マギカ』のようにカワイイ女の子のキャラクターを動かしたい、と思っているスタッフも結構多いんですね。そんなこともあって、“柔らかいもの”にチャレンジしようということになり、当時話題になっていた『まどか☆マギカ』のゲームをバンダイナムコゲームスさんに提案させていただきました。

山本さんアートディンクのスタッフに、そもそも熱烈な『まどか☆マギカ』ファンが多いんですよね(笑)。

富澤さん制作中は“柔らかいもの”がキーワードになっていました。制作現場で何度もこの言葉が飛び交っていました(笑)。

山本さん私たちが普通にキャラクターを動かすと、なぜかどことなく男っぽい、メカっぽいものになってしまうんです(笑)。そこをもっと女の子っぽくというやりとりが何度もありました。

――キャラクターの動きではありませんけど、戦闘中にキュゥべえが「敵の増援が来たよ」とかのセリフがそれっぽい感じではありますよね。

富澤さんそのセリフを最初見た時に、世界観的には修正したほうがいいんじゃないかと思ったんですけど、これはこれでおもしろいと思い、採用させていただきました(笑)。今回アートディンクさんとゲームを作るにあたり、やはり『ガンダムバトル』シリーズでのアクションの実績があるところですから、そこに期待したところではありましたし、カスタマイズ要素にも期待していました。

 『まどか☆マギカ』を題材にしたアクションゲームを制作する際のネックだったのが、キャラクターが5人しかいないというところだったんです。そこをカスタマイズや成長という形で、上手にまとめあげていただくことはできないだろうかと、アートディンクさんにお願いしました。最終的には、アートディンクさんらしいアクションゲームになったのではないかと思います。

――各キャラクターごとの特徴的なアクションは、どうやって作っていったのでしょうか?

山本さんもともと『魔法少女まどか☆マギカ ポータブル』で攻撃のバリエーションはあったんですね。そこから大きく外れないように気を配りつつ、原作のシーンを思い出させるようなアクションを作っていきました。

――作っていて一番苦労したのはどのキャラクターですか?

山本さんなんと言ってもまどかですね。

小谷さんまどかは、原作で実際に戦っているシーンがほとんどないんですよ。弓で戦うことはわかるけど、それ以外のところでストップしてしまって……。どうやって他の攻撃を追加していこうかという点に頭を悩ませました。

<動画:まどかの戦闘ムービー>

――話は変わって、本作はプロローグモードを除いてオリジナルの展開になりますが、シナリオはどのように決めていったのでしょうか?

富澤さん最初は今よりもアクション要素が強く、シナリオは今ほどなかったんですよ。でも「もっとシナリオ部分を増やしたい」と開発途中に提案し、増やしていきました。『まどか☆マギカ』自体が“ループもの”の要素を持つ作品なので、オリジナルのシナリオを作るうえでは、そこが可能性を広げるカギになりました。

 『まどか☆マギカ』のシリーズ構成や脚本をすべて手掛けられた虚淵玄先生にも相談しながら、オリジナルのシナリオ、そして“5人でワルプルギスの夜を倒そう”というゲーム独自の展開を盛り込んでいきました。

『魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram』

山本さん『魔法少女まどか☆マギカ ポータブル』では、TVアニメ準拠のシナリオを丁寧に落とし込んでいったので、本作のシナリオを作る際には「どうやって本作のシナリオを見せていこうか?」と、何度も話し合いました。

富澤さん『魔法少女まどか☆マギカ ポータブル』は、ある意味やり過ぎたかなとも思っています(笑)。前作では、シナリオをたくさん書いていただいて、その中にはバッドエンドや、さらに重いバッドエンドもたくさんありました。

 ただ、私の中に“頑張ってプレイした結果がバッドエンドというのはどうなのかな?”という思いがあったんです。『まどか☆マギカ』の作品の色として、バッドエンドを用意するべきなのはわかりますし、そこを評価してくれるユーザーも一定数いるとは思います。

 ですが、ゲームとして見た時に、せっかくクリアした結果がバットエンドだと、ガッカリしてしまうユーザーもいるのでは、と考えたんです。そういうユーザーの頑張りに報いようと、“理想的な未来”を最終目的にして、制作していきました。

『魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram』

林さんどうせゲームをプレイするなら、楽しいほうがいいと思うんですよ。『まどか☆マギカ』の世界観、作品の色から外れることなく、その中からプレイヤーが見たかった未来をどうやって描いていくか? その答えとして、5人で協力して戦っていくという“あったかもしれない世界”をゲームで表現していくことになりました。

――今回はキャラクター同士の絡みがかなり多いですよね。まどかが杏子に特訓してもらうシーンなど、原作では描かれなかった組み合わせのシーンもあります。

富澤さん皆さんが好きなキャラクター同士の組み合わせというのはいろいろありますよね。原作からの流れで想像しやすい組み合わせもありますが、原作であまり絡みのなかった2人が親密になっていくと、どうなっていくのだろうと気になる部分もあると思います。

 ゲームとして、自分がキャラクター同士の絆を深めさせていくという要素があるわけですし、ちゃんと絆が深まっていけば、皆さんが当然見たいと思うものがゲーム内で見られると思います。シナリオに関しては、アートディンクさんとバンダイナムコゲームスとで何度もやりとりしながら決めていきました。

林さんちょうど2013年のお正月前後の時でした。「ここでシナリオが終わらないと、正月が迎えられない!」と、富澤が嘆いていたのを思い出しました(笑)。

富澤さん苦労しましたよ(笑)。今回はゲームの構造的にシナリオが複雑に入り込んでいたので、シナリオを早めに完成させなければいけなかったんです。とは言っても、後でシナリオを変更して、そこからゲームの構造を修正したりといったことが何度もあったわけです。アートディンクさんには、本当に苦労をさせてしまったと思います。

山本さん最初はもう少しシンプルな構造になる予定だったんですが、結構複雑になっちゃいましたよね(笑)。

富澤さんメインシナリオはありつつ、ある程度ループでシナリオが変化したり、キャラクター同士の絆値で会話も変化したりと、複数回遊べるような仕組みにしているんですよね。そこに『まどか☆マギカ』らしい結末をどうやって見せていくのか、というところにはかなりこだわっています。

 ただ単に5人が仲よくしている未来があるだけだと、原作が持っているハードな部分が損なわれてしまいますからね。プレイする際には、どのような流れで“ワルプルギスの夜”との戦いに入っていくのか注目していただきたいです。5人であの戦いに挑むことに、どのような意味と葛藤があるのか? そういうところもオリジナルシナリオとして表現したいという思いがあり、アートディンクさんと協力して形にしていきました。

→開発陣がオススメする1周目のプレイ方法。そのキーワードは……“浮気厳禁”!?
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