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2013年12月19日(木)

【ほぼ毎日特集 ♯68】新キャラ陳宮の攻撃は、さながら南京玉すだれ? 鈴木プロデューサーが語る『真・三國無双7 猛将伝』の開発裏話(kbj)

文:kbj

■苦労のすえに生み出された新たな武器系統

――11月末に発売された『真・三國無双7 猛将伝』では、新たなプレイアブル武将として陳宮や呂玲綺、于禁、朱然、法正の5人が加わりました。こちらの選定理由について教えていただけますか?

 これは、『真・三國無双』シリーズに出してほしい武将の投票企画で、上位に来たキャラクターを中心に選んでいます。ただし、厳密に上から5人ではなくて、呂玲綺のように今回の投票企画で上位に入っていなくても、以前から登場要望の多かった武将もいます。

“ほぼ毎日特集”

――陳宮は1位だったのに驚きました。確かに、董卓と曹操と呂布というところで絡みが多い武将ではあるんですが、序盤に退場してしまうので……。

 今まで追加武将になっていなかったのにはそういう事情があるんですが、『真・三國無双7』からifの要素を入れたので、ストーリーを膨らませる手法ができるようになったので、物語を膨らませられやすい武将という理由で陳宮を選んだというのもあります。

――于禁も今までのシリーズに出ていない武将。この武将も難しい一面があると個人的に思っていて……。

 于禁は関羽に負けて捕まって命乞いしたというエピソードがありますね。そして最期は憤死という……。

“ほぼ毎日特集”

――そういうところがあり、今まで触れてこなかったのかなという印象だったんですが、ユーザーさん的には魏の五将軍を揃えてほしいっていう人が多かったんですね。

 そうですね。『真・三國無双7』で楽進を出したことで5人のうち4人まで登場した。「後1人、于禁が出てないじゃん!」という声がとても多かったです。

 于禁自体は最期の印象がすごく強いので悪い印象を持たれがちなんですが、五将軍と呼ばれているくらいなので、武将としては優秀な人物。最期の描き方をどうするかというところで気を付けました。

“ほぼ毎日特集”

――架空武将にもかかわらず、呂玲綺はなぜ人気が高いのでしょうか?

 なぜでしょうね。呂玲綺は、PS2で発売した『三國志戦記2』で出した架空武将なんですが、それ以降、ユーザーさんの中でずっと人気なんですよね。

――登場する新武器系統は、これまでとは手触り感がかなり異なると感じたのですが、アクションを色々と変えていこうという気持ちが強くあったのですか?

 ちょっと以前の話になるんですが、『真・三國無双5』でアクションを一度切り直したんですね。一定の評価をもらっていたので方向性のひとつとしてはよかったと思うんですけど、ちょっとアクションゲームのうまい人に向けた仕様になったという印象がありました。

 『真・三國無双6』では、もう一度ライトなユーザー層に戻そうという目的に加えて、新たな切り口として武器装備の変更に取り組みました。以前から、武器を変えたいという要望はありましたし、チーム内でも意見として出ていたので、そこをまず検討したんですね。武器の装備切り替えの仕様は、社内で何回も作り直したんですけど、最初は右と左に武器を自由に持たせてそれぞれの武器でアクションを組み合わられるという、アクションRPG的な仕様だったんです。

――自分の好きなアクションを作っていくということですね。

“ほぼ毎日特集”

 そういうのも作ったんですけど、やっぱりしっくりこなくてですね……。結局今の形に落ち着きました。すると、武器の切り替えが仕様として確立した段階で、武器の作り方を今までと変えることができたんです。2種類持てることにより1つの武器で立ち回りのバランスを完結させる必要性が薄くなり、操作系自体も含めてかなり特徴的な性能の武器があってもいいという考えが生まれたんです。

――確かに2種類持っていけるのであれば、バランスをそこまで気にする必要はなくなりますね。

 はい。そこを発展させてきたのが今の形です。なので、アクションについての見直しは、『真・三國無双6』の企画段階から始まっていたと言えます。

――陳宮の武器の説明を見た時に、兵法簡で戦うというのがイメージできなかったんですが、まさか兵がどんどん繰り出されるとは思いませんでした。

 そうですね。通常の攻撃以外は兵が出てきます。

――そこがすごくおもしろいと感じました。武器を切り替える時に馬が来て……簡を取って武器を切り替えるというのもすごく“らしい”。このような武器種のアイデアは、モーション担当の方やプランナーの方が出されたんですか?

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 武器のネタは、アクション担当がチームの中に何人かいるんですけど、その人たちがいくつか案を出してきて、私やディレクターと一緒に揉んでいきます。これはダメ、これはおもしろそうと取捨選択して、いくつかピックアップしたものを仕様に落とし込むんですけど、実際に動く段階でまた見て「これだとおもしろくないかな」と検討して、何回も再考しつつ作っていきます。

 兵法簡は、陳宮というキャラクターを出すことが確定した段階で、彼に似合う武器を考えようっていうところから決まったんですよ。ただその武器でどうやって攻撃するんだという話になって、最初は竹簡を南京玉すだれのよう変形させつつ、戦うだけだったんですね。「水でも出しましょうか」って冗談も出てましたけど。

――そんなアイデアもあったんですね。

 それだとおもしろくないって思っていたのと、ちょうど『無双OROCHI2 Ultimate』で新キャラの玉藻前(たまものまえ)が巻物を持っていたんです。あちらは文字を巻物から出して攻撃するタイプだったんですけど、武器が似ているし今のままじゃおもしろみに欠けると思い、もっと考えるように指示しました。「軍師だし兵士とか呼んでみたら?」と言っていたら、あの仕様を出してきて……最初は本当に召喚するだけだったんです。

 一度プログラムを組ませて遊んでみたんですけど、何かまだおもしろくないうえにインパクトがなかった。さらにそもそも性能として弱かったので、「味方の兵士と一緒に攻撃させよう」ということになり、フィードバックを繰り返して今の形に落ち着きました。

――最初からスポッとハマったというよりは、段階を踏んで進化していったという感じだったんですね。

 そうですね。他の武器でもあることですが、兵法簡は特にそうでした。

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――呂玲綺の武器は『真・三國無双5』の呂布の十字戟をモチーフにしていると思うのですが、親子というところで引き継いでいるんでしょうか?

 武器の形状はそうですが、動きは8割方違いますね。飛びそうな形状なのでチャージ攻撃で飛ばすことができますが、左スティックを弾くことで軌道が変化するという特殊仕様が入っています。

 最初は左スティックを弾くのではなく、自由に軌道を変えられる仕様だったんですよ。ただ、アクションしながらそんな操作はとっさに出せないということで、現在の形に収まりました。

――于禁の武器・三尖刀は、チャージした時の色で攻撃が変化しますね。

 チャージ1を出すと3種類の属性のうちの1つが武器に付きます。その属性に対応したチャージ攻撃を3回出すことにより特殊な属性を武器に付けることができ、攻撃力や攻撃速度がアップします。さらにチャージ1は斬属性の強力な攻撃に変化します。ちなみに、属性は無双乱舞に影響しないのですが、3種類の乱舞それぞれに異なる属性が設定されています。

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――朱然の火焔弓は、敵に印をつけて攻撃する。今までになかったと思うんですが、これはどういったデザインなんでしょうか?

 ロックオンマークをつけておいて攻撃するイメージです。あれもアクション担当の発案ですね。昔そういうシューティングゲームがあったんですが、担当はそのゲームを知らず、単純におもしろくするためにどうしたらいいかと考えた結果のようです。

――攻撃しながら移動できることや、視点が切り替わる仕様にも驚きました。

 朱然の得意武器として設定されていることもあり、なるべくアクティブな動きにしたいと考えました。また、シリーズにはすでに弓系の武器がいくつも存在するので、それらと差別化しようという意図もあります。担当は移動攻撃の操作感にこだわって調整していたので、よい仕上がりになっていると思います。

――法正が得意する武器種・連結布。布を頭にかぶせたり投げたりと、これも変わっているなという印象です。

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 なんとなく手品っぽいですが、最初からそういう仕様でした。チャージ1で布を設置し、チャージ5で敵を設置した布にワープさせてどんどん集めていくと、すごいコンボを稼げます。チャージ2では集まった敵を自分の目の前にワープさせてかち上げられたり、いろんなアクションを楽しめます。

――『真・三國無双7』や『真・三國無双7 猛将伝』で新しく追加された武器系統で個人的に気に入られているものってありますか?

 やっぱり兵法簡ですかね。担当者と一緒にトライ&エラーを積み重ねてでき上がったこともあり、思い入れが強いです。味方の状況を見ながら戦うという、これまでにない立ち回りも特徴的でおもしろいと思いました。

『真・三國無双7 猛将伝』で人気が出そうな武将は!?

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データ

▼『真・三國無双7 猛将伝』ダウンロード版
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年11月28日
■価格:4,500円(税込)
▼『真・三國無双7 with 猛将伝』ダウンロード版
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年11月28日
■価格:6,600円(税込)
▼『真・三國無双7 with 猛将伝』ダウンロード版
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年11月28日
■価格:6,300円(税込)
▼『真・三國無双7 with 猛将伝』ダウンロード版
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応機種:PS4
■ジャンル:ACT
■発売日:2014年2月22日
■希望小売価格:7,100円(税込)
※2014年2月22日~3月31日はアップグレードサービスに対応。
▼『無双OROCHI2 Ultimate』ダウンロード版
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年9月26日
■価格:5,800円(税込)
▼『無双OROCHI2 Ultimate』ダウンロード版
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年9月26日
■価格:5,400円(税込)

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