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2013年12月26日(木)

ゴシックホラー×歴史×SF大作『The Order: 1886』の概要を紹介――ビクトリア朝のロンドンを舞台に新たな人類史が描かれる

文:皐月誠

 SCEは、PS4用ソフト『The Order: 1886(オーダー1886)』の概要を公開した。

 本作は、もうひとつのビクトリア朝ロンドンを舞台としたアクションアドベンチャー。人類と“ハーフブリード”の争いが約1,000年にわたって続く世界、産業革命と科学発展で人類が優位に立ち始めた時代を舞台に、騎士団“オーダー”と敵対者たちの戦いが繰り広げられる。

『The Order: 1886』 『The Order: 1886』

■長期開発による画期的なゲームエンジンと独創的なシナリオ

 本作のコンセプトが立ち上がったのは、PS3発売以前の2005年。しかしプロジェクトが本格的に始動したのは、開発元のReady At Dawn Studiosが構想を実現しうるだけの内製エンジンを作り上げた2009年からだった。このエンジンは、映画的な視覚演出を実現する描画機能や、軟体処理の演算機能を実装していて、リアルなレンズフレアや自然に変形する金属などの表現に成功している。

 ゲームディレクターであるDana Jan氏は、「剛体は硬く弾力がありません。軟体には弾力や柔軟性があります。ですが、その違いを示されるまでは、人はその2つの違いに気づかないものなのです」と語る。CGムービーには、技術的限界からどうしても省略される描写があり、それが“現実的でない”という違和感を生む。しかしReady At Dawnが誇る新しいエンジンは、ゲームに新たなリアリティをもたらしてくれるだろう。

 脚本を執筆するのは、Ready at Dawnのスタジオディレクター・Ru Weerasuriya氏と、『John Adams』(ジョン・アダムス第2代アメリカ大統領の伝記をもとにしたTVドラマ)のKirk Ellis氏。史実・伝説・SFのミックスによる驚異的な世界が描かれる。

~ストーリー~

 すべては、7・8世紀ごろに始まったと言われる。

 人類の遺伝子に変異が生じたのだ。中でも変異の激しいグループは、人類とは別の種と呼べるほどの変容を見せる。

 ほとんどの人々には認識できるほどの変化が現れなかった一方、一部の人々は獣のような外見的特徴を示すようになった。これが“ハーフブリード(半人半獣)”である。やがて、人々はハーフブリードを伝説上の怪物の名で呼び習わすようになる。

 そして、この怪物たちとの対立と争いが、人類の歴史を狂わせたのである。人口でこそ比較にならないほど勝っていた人類だが、強靭さと圧倒的な回復力を誇るハーフブリードの前に、敗れ続けるしかなかった。

 数世紀の後、人類に起死回生のチャンスが訪れる。ハーフブリードとの戦いに生涯を捧げることを誓った勇気ある人々が騎士団を組織したのだ。その騎士団は“オーダー”と呼ばれた。

 以来、数世紀にわたる戦いで多くの騎士が命を散らす。だが“オーダー”が滅ぶことはなかった。ある騎士が斃れると、その名を継ぐ新たな騎士が現れ、代わって戦いに身を投じるのだ――。


 時は下り――。19世紀、ロンドン。

 依然として人類とハーフブリードとの争いが続くこの都市には、薄汚れたホワイトチャペル地区をはじめとして後世に名を残す多くの地区がある。ここが、長年にわたる争いの一大転換点となった。産業革命と科学の発展が人類に強大な力をもたらしたのだ。

 大型飛行船がロンドンの空を巡回し、あるいは巨大な係留塔に“停泊”して、市街地を監視する。電気を動力にした鉄道が市内をつなぐ。自らの技術により、人類は初めてハーフブリードに対して優位に立った。

 だが、ハーフブリードの脅威が減少し始めたころ、新たな脅威が騎士たちに襲いかかる。大英帝国への大規模な反乱だ。産業革命の影響に苦しみ、階級間の格差に憤る市民によるものだ。

 さらに、“オーダー”の騎士たちを悩ませるのは、これらふたつの“敵”だけではなかったのである。

■“オーダー”の騎士たち

●ガラハッド卿

『The Order: 1886』

 プレイヤーが操るのは、“オーダー”の騎士であるガラハッド卿。ガラハッド卿は“アーサー王伝説”に謳われる同名の人物と同様、敏腕かつ高潔な騎士とのこと。なお、他の一部人物もアーサー王伝説から名前が取られているようだ。

●パーシヴァル卿

『The Order: 1886』

「私は……調査し、観察した。そして驚くべき結論に至ったのだ」
「ガラハッド、これは、君にしか話せないことだ」

 最長老の現役騎士。歴戦の勇者であり、深い経験と知識からつねに正しい行為を選ぶ賢者でもある。ガラハッドからは“マロリー”と呼ばれ、深い信頼と友情で結ばれている。

●レディ・イグレイン

『The Order: 1886』

「当然じゃない。私は最高の騎士よ」
「フン。なかなかやるわね」

 最年少で“オーダー”の騎士となった俊英。自らの能力に絶対的な自信を持っている。ガラハッドからは“イザベル”と呼ばれ、友情以上の感情を抱きあっている。

●ラファイエット

『The Order: 1886』

「お嬢さん、ラファイエットがお手伝いしましょう」
「ムッシュー、私は胸を焦がす情熱のために戦っているのです!」

 世界をわたり歩いた経験と独特の人生哲学を持ち、“オーダー”のムードメーカーとなっているフランス貴族。機転が利き、戦闘に関する天賦の才を持つため、“オーダー”に勧誘されて騎士見習いとなった。

■時代考証の上でデザインされた独創的な武器

 人類と大英帝国を守護するという誓いを立てた“オーダー”の騎士には、特殊技能が伝授されるとともに、ハーフブリードに通じる専用の武器が支給される。これらの武器は他作品では見かけないような物が多いが、1886年当時の科学技術で実現可能なSFガジェットとしてデザインされているとのことだ。

●アークガン

『The Order: 1886』

 電撃を発射して敵を攻撃する武器。発射ボタンを押し続けると電荷が蓄積され、ボタンを離すと放電が行われる。重装備の敵へも効果的にダメージを与える。

●フラググレネード

『The Order: 1886』

 爆発によって金属片を撒き散らし敵を殺傷する、範囲攻撃用の柄付き手榴弾。壁や床へ差し込むことで、トラップとしても利用できる。

●サーマイトライフル

『The Order: 1886』

 アルミニウムと酸化鉄から作られた弾丸を発射する。弾丸の命中後、サブ射撃として備わる着火剤を撃ち込むことで、テルミット反応を生じさせて敵を焼き尽くす。

●コンボガン

『The Order: 1886』

 ライフル銃の銃身下に圧縮空気の発射装置を装着した武器。圧縮空気の衝撃波によって敵を吹き飛ばし、生き残った者をライフル銃で狙撃する。

■スクリーンショット

『The Order: 1886』 『The Order: 1886』
▲PS4向けタイトルであるということを差し引いても、非常に高精細なグラフィック。
『The Order: 1886』 『The Order: 1886』
▲サーマイトライフルの着火剤を撃ち込んだ瞬間のようだ。▲カバーアクションで、何者かが放った火砲を避けるガラハッド。
『The Order: 1886』 『The Order: 1886』 『The Order: 1886』
▲ランプが点いているところを見ると、誰かがここで暮らしていたようだ。住人はどこへ行ってしまったのか……?
『The Order: 1886』 『The Order: 1886』 『The Order: 1886』
▲暗闇を進む“オーダー”の一行。ところどころに死体が転がるのは、やはりハーフブリードの仕業か。

(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Created and developed by Ready At Dawn Studios LLC.

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