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2013年12月24日(火)

【ほぼ毎日特集 ♯69】『ダンガンロンパ』シナリオを描く小高和剛さんに接近! シナリオライターになった理由やソフト発売当時について語る(kbj)

文:kbj

■開発スタッフの足かせになりかねなかった『1』の存在

――そもそも小高さんはシナリオを作る時は、パーツから描かれるのですか? 全体のおおまかな流れから描かれるのでしょうか?

“ほぼ毎日特集”

 まず最初にキャラクターであったり、トリックであったり、会話だったり、パーツをとにかく集めていきます。それをプロットの時に並び変えて、そこにドンドン肉付けをしていくという手法です。

 とにかく、トリックや展開で、自分がグッとくるものを箇条書きにしていき、それをどう配置していくかは後から考えていく。流れを作っていくともれてしまうアイデアもあるのですが、『ダンガンロンパ』の場合はなるべくもらさないようにしています。

――書いていく中でキャラクターが動き出して、想定していなかった方向にいくことは?

“ほぼ毎日特集”

 ほとんどないですね。プロットの時に流れを詳しく書いているため、第一稿はほとんどプロットをなぞっている状態。逆に説明セリフばかりで、キャラが生きていないことが多いんです。ただ、僕の場合はそういうものだと思っていて、そこから二稿、三稿と重ねていくなかで、もうちょっと視点を変えて、キャラに入りこんで書いていき、それぞれのキャラを立たせていきます。一稿を書いている時は作業的にものすごくつまらないので、「これはダメだな」とテンション低い状態でやっているので、「おもしろくなった!」と感じるまで直していきます。

――他の人には、一稿の時から見てもらうのですか?

 ある程度固まって、よくなってからです。ただ、『1』の時は設定や内容を書いたペラいちのストーリーアイデアをまず見せました。それでよかったらプロットを書くのですが、プロットの時点ではワード60~70枚くらいの分量になっています。それを見せて通ったら、そこから各章のシナリオにとりかかるという感じですね。

――ワードで60~70枚というのは、プロットとしては多いのでしょうか? それとも少ない?

 プロットとしては多いと思います。チェックする人が大変なので、あまり書かないと思うので。この時はトリックを抜いた状態で、トリックは別の紙に書いています。ストーリーが開発に入ってくるゲームなので、最初にできてくるのがプロット。その作品の指針になるものなので、プロットの段階でおもしろくなっていないと見せたくないんです。

――確かにプロットがイマイチだと、皆が乗らなそうですね。

 そうなんですよ。だから、皆が見てテンションがあがるような段階になってから、提出します。

――『1』の時にプロットを出して、開発スタッフ内で評判がよかったキャラやトリックを教えてください。

 プロットの段階では全体的におもしろいという評価でした。実際にシナリオを出して、おもしろいと評価してもらったのは2章だと思いますね。1章は状況説明がどうしても多くなってしまう。2章は日常パートが長いので、こんな状況だけど変な会話をすることもわかりますし、新しいキャラも出てくる。そういう意味では、作品の雰囲気をつかめたからだと思います。

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――サイコなだけではないと。

 1章はどうしても怖めになってしまうんですよね。そういう意味で、雰囲気を完全にわかったのは2章くらいかなと。

――『2』を開発されるにあたって社内のストッパーがなくなったというお話を以前されていたのですが、作りやすくなったところと作りにくくなったところはありますか?

 作りやすくなったのは、スタッフのみんなが『ダンガンロンパ』を最初からわかっていたというところですね。『1』の時は、マップ班にしろ、キャラクター班にしろ、どういうものになるのかわからない状態で手探りで他のスタッフとやっていたので、それを固めていくのが難しかったです。けれども、『2』の場合は「『ダンガンロンパ』ってこれぐらいはやっていいでしょう」とか「ここはやりすぎでしょう」とか、皆が作品を理解したうえで言ってくれたので、そこは作りやすかったです。

 作りにくかったところは……『1』の存在です。それこそ開発初期はキャラクターデザインでも、「『1』には山田とか大神とか見た目のトンデモないのがいたので、あれを越すやつを出さなきゃいけない」みたいな部分で四苦八苦していたんですが、最終的には「あれはあれで越えられないし、『2』は『2』でよければいいんじゃないか?」と思えるようになってから、スッキリ進められるようになりました。『1』が評判よかったので、そこに引きずられたりした部分は作りづらい部分でしたね。

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▲超高校級の同人作家・山田一二三。▲超高校級の格闘家・大神さくら。

――『ダンガンロンパ1・2 Reload』の時に店舗特典で、普段絡んでないキャラクターが絡んでたり、共通点のあるキャラが描かれていたりするのはおもしろいなと思いました。

 あの辺は小松崎にお任せですね。

――小松崎さんは相当な数を描かれてますよね。TVアニメのパッケージイラストも描いていますし……。『1』の時の店舗特典の描き下ろしはほぼなかったような印象なんですが。

 確かに多いですね。『1』の店舗用の特典で描き下ろしたのは1個か2個くらいだと思います。

――以前にお聞きした時に、グッズを集められているということでしたが、今も継続されているのですか?

 いや、もう全然追えなくなっちゃいましたね。先日、秋葉原でTVアニメ『ダンガンロンパ THE ANIMATION』のグッズを一万円くらい購入しました(笑)。

小高さんがシナリオを手がけるようになるまでを語る

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(C)青山剛昌/小学館 週刊少年サンデー連載中
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データ

▼『ダンガンロンパ1・2 Reload』(ダウンロード版)
■メーカー:スパイク・チュンソフト
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:AVG
■配信日:2013年10月10日
■価格:4,700円(税込)

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