2013年12月24日(火)
――シナリオを書いていく中でスランプにおちいることはないのでしょうか?
スランプって考えても何も出てこない状態だと思うんですが、そういう経験はないですね。考えるのはいつも苦しいんですが、1カ月ぐらいどうにもならなくなるということはなくて、だいたい1週間くらいでなんとかなるパターンが多いです。
基本的には僕は自分がおもしろいと思ったことを全部採用するスタンスなので、気分転換に映画を見たりアニメを見たり他のゲームをしたりして、おもしろいと思った要素を自分の中に蓄積していく。いずれリンクする部分が出てきた時に、雰囲気に合う要素を引き出して使うので、もし何も思いつかなくなるとしたら吸収するものがなくなった時期に来るんだろうと思っています。なので、ひたすらゲームをやったり小説を読んだりゲームを遊んだり映画を見たりしていますね。
――先ほど『メタルギアソリッド』とか『ディノクライシス2』にハマったというお話がありましたが、それよりも以前からゲームが好きだったんですか?
子どものころはゲームをやっていない人がいないぐらいのブームだったので、「皆が集まったらファミコン(ファミリーコンピュータ)やる!」みたいな感じで、あえて友だちと違うソフトを買って、持ち寄って遊び倒しました。小学校の中学年ぐらいからは遊びの中にゲームが組み込まれていましたね。
ただ、中学ぐらいになると「人とは違うことがしたい」っていう天邪鬼的な思考が始まってしまって、周りがスーパーファミコンを買う中で僕はメガドライブを買ったんです。……まあ、『ストリートファイターII』が出た時にスーパーファミコンを買っちゃったんですけど、それまではメガドライブでハードコアなゲームをやってました。高校に入ってからはゲームから離れてしまったんですが、プレイステーションが発売されてしばらく経った時にオシャレぶって買いましたね(笑)。
――メガドライブで印象的だったゲームは何がありますか?
たくさんありますね。僕より4~5歳年上の従兄の家に遊びに行った時に、彼がメガドライブを持っていたんです。従兄はユニコーンやジュン・スカイウォーカーという音楽を聴いていて、僕からすると格好いい大人に見えて、その影響で僕もメガドライブを買ったんですね。従兄が遊んでいた『ゴールデンアックス』とか『ストライダー飛竜』といった、サイバーパンク系アクションに特に惹かれました。ファミコンでは表現しきれなかった部分で、スーパーファミコンにもあまりサイバーパンク系の作品でメジャーなものがなかったので……。他には『ESWAT:サイバーポリス イースワット』とかですね。
――『ストリートファイターII』が欲しかったということですが、もともとゲームセンターで遊ばれていたんですか?
僕の学生時代って格闘ゲームやアクションゲームをゲームセンターで遊んでました。中学時代は自宅でメガドライブをやりながら、ゲームセンターでは『ストリートファイターII』とか『ワールドヒーローズ』をひたすらやる。中学~高校と私立の男子校だったため、家が遠いから学校の近くのゲームセンターで集まって遊ぶという時代でした。
――最近、気になっているゲームは?
今は『プロサッカークラブをつくろう!2013』をやっています。10年ぶりに『サカつく』をやったんですけど、大きく変わっていないと思いながらも夢中になってやっていますね(笑)。あと『パペッティア』には驚かされました。あの作品はかなり研究して舞台を作ってるとか、2Dだけど相当お金をかけて作っているというのがクリエイター視点で目に見えてわかるので、素直に感心しました。
――やってみると、見た目に反して歯ごたえのあるゲームですよね。
基本をおさえた2Dアクションなんですけど、意外と難しいんですよね。昔にあったファミコンゲームのような感覚でありつつ、中身は現代用に進化したゲームだと思います。
――ゲーム以外のエンターテイメント作品でハマったものは?
最近だとアニメ『フリクリ』のDVDを買って見ました。『ダンガンロンパ』のアニメをやることになった時にいろいろアニメを見てみようと思って買ったんですが、見たら「今の時代じゃ絶対に作られないアニメだな」と思いました。個人的に冒険しているものが好きなので、ずっと大事に取っておこうと思います。
他には海外ドラマの『HOMELAND』がおもしろいですね。昔、レオナルド・ディカプリオが主演した『ロミオ+ジュリエット』でヒロインを演じたクレア・デインズが30代半ばになって出演しているドラマなんですが、物悲しさを感じるというか……。『ロミオ+ジュリエット』のころはあんなにカワイイ美少女だったのに、今はこんな役になっちゃったんだなと。それも含めておもしろいです。『ロミオ+ジュリエット』を見た後に『HOMELAND』を見ると時の流れの無常さを感じますね。
――同窓会に行った時に、クラスメイトの女子にガッカリするみたいな感じでしょうかね。
僕は男子校だったんであんまりそういう気持ちはわかりませんけど、そういうものかもしれませんね(笑)。
――『ダンガンロンパ2』を発売した時にサイン会が行われましたが、あのサインはその時に考えられたんですか?
あれは、僕がゲーム屋でアルバイトをしている時に考えたものですね。お店で買い取りをしていたんですけど、買取証明書に店員がサインをする時に使っていたものをそのまま使いました。
――『ダンガンロンパ』を出して、小高さん自身や小高さんの周りで変わったことはありますか?
結構変わりましたね。期待というかプレッシャーを感じるようにもなりました。それは会社からもそうだし、ユーザーさんからもそうです。一時期はそういうのを気にしましたが、結局は自分がおもしろいと思うことを判断基準にしてやろうと思うようにしています。
――おもしろいことをやる……そこは以前からブレない感じでしょうか?
少しブレそうな時期もありましたけど、それでやっても個人的にあまり楽しくならないと感じたんです。社会人としてはよくないんですが、シナリオを書くことを仕事として考えていないというか……モノ作りのスタートが自分でお金を出して映画を作るという立場だったので、作りたいものを作るという気持ちが今でも一番強いです。自分が一番に楽しめなければ意味がない。
お金を稼ぐだけなら株に手を出そうかなという気もあります。それでもなぜこの仕事をしているかというと、自分が楽しむためというのが一番にあり、そこにユーザーさんがノってきてくれればうれしいなと思っているんです。
――クリエイターになろうと思っている人に小高さんがアドバイスをするとしたら、どういうことをやっておいた方がいいと思いますか?
1つだけアドバイスするとしたら、“自分が作りたいものが何かを理解しておく”ということだと思います。それは別にオリジナルでなくてもいい。例えば「俺は『エヴァンゲリオン』みたいなのが作りたい!」というような初期衝動として使える何かが必要だと思います。
▲10月に発売された『ダンガンロンパ1・2 Reload』。シリーズ2タイトルを高解像度で楽しめる他、追加要素も用意されている。 |
――ありがとうございます。PS Vita『ダンガンロンパ1・2 Reload』を遊んでいない方に、シナリオを書かれた立場からアピールをお願いします。
一番のポイントは『1』と『2』が入っていて、お得な値段ということです(笑)。僕がアドベンチャーゲームをやる場合は、別の大作ゲームと一緒に買ってその息抜きに遊ぶことが多いんです。『ダンガンロンパ1・2 Reload』は空いた時間にチマチマ進められると思うので、手元に置いておいて損はないと思います。ただ……チマチマ進めようとしていたけど、ハマってずっとやり続けてしまったと言っていただければうれしいですね。
――今後もシリーズとして展開もあるようですしね。
そうですね。ビッグウェーブに乗るなら今の内だぞ、と思います(笑)。
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