2013年12月26日（木）

『ブレイブリーデフォルト FtS』魔王“白鳩”と“蝶尾”には続編『ブレイブリーセカンド』の伏線が！デザイナーの増田氏と浅野Pにインタビュー

　スクウェア・エニックスから12月5日に発売された3DS用RPG『ブレイブリーデフォルトフォーザ・シークウェル』。その新たな強敵のデザインを担当されたのは、原宿・ Kawaiiカルチャーの第一人者であり、アーティスト・きゃりーぱみゅぱみゅさんのミュージックビデオやライブの美術などで知られる増田セバスチャン氏だ。

　これまで配信されていた強敵とは違い、増田セバスチャン氏がデザインを手掛けたのは、“第一天魔王；白鳩（しろはと）”と“第四天魔王；蝶尾（ちょうび）”という名の魔王。続編『ブレイブリーセカンド』には“魔王バスター”を自称する新ヒロイン“マグノリア・アーチ”が登場することから、この2体と続編との関連性が気になるところだ。


▲第一天魔王・白鳩（推奨レベル99）。配信期間は12月24～31日。		▲第四天魔王：蝶尾（推奨レベル99）。配信期間は1月2～1月6日。

　そこで、魔王2体のデザインを担当された増田氏と、『ブレイブリー』シリーズのプロデューサー・浅野智也氏のお2人に、気になる点をいろいろと質問してみた。増田氏が魔王のデザインを担当されることとなった経緯やデザインの意図、『ブレイブリーセカンド』との関連性なども伺っているので、続編について気になっている人もぜひチェックしてほしい。（※インタビュー中は敬称略）

●増田セバスチャン氏（Sebastian Masuda）　プロフィール

　1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年に表現の一環として、“Sensational Kawaii”がコンセプトのショップ“6％DOKIDOKI”を原宿にオープン。2009年より原宿・Kawaii文化を発信するワールドツアー“Harajuku“Kawai”Experience”をスタート。原宿、 Kawaiiカルチャーの第一人者として、執筆・講演多数。

　アートディレクター・アーティストとして、きゃりーぱみゅぱみゅのPVやワンマンライブの美術、日本テレビ『PON！』美術セット、六本木ヒルズ“天空のクリスマス 2013”クリスマスツリーなどを製作。原宿、Kawaiiカルチャーをコンテクストとした表現活動を行っている。

＜代表作品＞
・写真作品『Colorful Rebellion』
・原宿のファッションビル“CUTE CUBE”オブジェ製作『Colorful Rebellion “OCTOPUS”』
・六本木ヒルズ“天空のクリスマス 2013”クリスマスツリー『Melty go-round” TREE』製作
・日本テレビ『PON！』美術セット
・きゃりーぱみゅぱみゅ『PONPONPON』『つけまつける』『ファッションモンスター』PV美術
・ミュージカル『ウィズ～オズの魔法使い～』美術監修


▲増田氏の代表作品例。画像左がオープン19年目を迎える原宿のkawaii文化を代表するショップ“6％DOKIDOKI”。画像右がきゃりーぱみゅぱみゅさんの楽曲『PONPONPON』のミュージックビデオで確認できる美術だ。

■2体の魔王は“異質なもの”を目指して、真終章をクリアしてから制作へ

――増田さんが『ブレイブリーデフォルトフォーザ・シークウェル』のモンスターデザインを手掛けられるとはまったく想像がつかなかったのですが、どういった経緯で、今回担当されることになったのでしょうか？


▲増田セバスチャン氏（画像左）と浅野智也プロデューサー（画像右）。

浅野：自分のほうからお願いしました。『フォーザ・シークウェル』では、無料で定期的にモンスターを配信していくサービスがあります。そのうち、大体は『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』に登場したボスなんですが、数体は『ブレイブリーセカンド』のモンスターを配信したいと考えていました。そのモンスターは、今までのゲームの世界観からすると“異質なもの”で、特別なものにしたいという考えがあったので、増田さんに相談させていただきました。

増田：今までゲームのモンスターデザインをやったことがなかったのですが、僕は『ドラゴンクエスト』世代で、当時そういったRPGが大好きでした。だから最初にお話しをいただいた時は「え？　やっていいんですか？」とすごくうれしかったですね。

　当時ハマった『DQ』や『FF』を出しているスクエニさんのRPGで、まさか自分がモンスターデザインを担当できるとは思わなかったです。それが決まった後に『ブレイブリーデフォルト』をいただいて、やり込んで、そこからデザインを進めていきました。

――クリアはされたんですか？

増田：真終章までクリアしました。シナリオがおもしろい、というのがまず最初の感想でしたね。お話しにグイグイ引き込まれていく感じがありますし、キャラクターの設定もすごくよくて。『DQIV』以降、まったくゲームをプレイしていなかったのですが、その当時の感覚でプレイできたのが好印象でした。

――久しぶりにRPGをプレイされたということで、難易度としてはいかがでした？

増田：ちょこちょこと教えていただきながらプレイして、なんとかクリアできた感じです。戦闘システムが一番おもしろかったですね。

――浅野さんからすると、狙い通りという感じですね。

浅野：『ブレイブリーデフォルト』は“昔はゲームをやっていたけど、最近やらなくなってしまった”という方を意識して制作しました。そういう方によく遊んでいただけているので、楽しんでもらえてよかったです。

――ゲームを昔プレイされたというお話しですが、『FF』と『DQ』以外では何をプレイされていたのでしょう？

増田：RPGにハマったきっかけは『消えたプリンセス』という作品です。知っていますか？

――RPGだったかと言われると？ですが（笑）、知ってはいます。

増田：結構コアなものだったと思いますが、『消えたプリンセス』をきっかけにコアなRPGもやろうと考えた時期もありました。だんだんと時間が取れなくなって、できなくなってしまったのですが……。やっぱり『DQI』『DQII』『DQIII』『DQIV』辺りにドハマりしましたね。

――『ブレイブリーデフォルト』で、その当時のお気持ちは思い出されましたか？

増田：そうですね。仕事そっちのけでずっとプレイしていましたからね。海外に移動するための飛行機の中でもプレイしていました。最初はゲームのさわりだけプレイして、デザインの参考になればいいかと考えていたのですが、プレイしてみたら「これはクリアするまでデザインなんてできない！」と。生半可な気持ちではできないですし、やり込みたかったので、締切をちょっと遅らせてもらいました（笑）。

――制作途中のデザインを見せていただいたのですが、イラストだけではなく模型も作られていますよね？　デザインをされる際には、毎回こういった模型を作られるのですか？

増田：いえ、今回は異例でした。ゲームをやり込んだ後に、ゲームが好きなスタッフとアイディア出しをしていたんですが、全然しっくりこなかったんです。やっぱりゲームデザイナーはレベルがすごく高いので、どう太刀打ちしていくのかを考えていましたね。

　浅野さんからは、“異質なもの”というお題をいただきました。いろいろと考えていたのですが、自分はモノづくりの人間なので「実際に作ってしまったほうが早いや。作ってから考えよう」と考えたんです。“蝶尾”はすごく悩んで、2日くらい徹夜して「これ以上はできない！」とバタっと倒れながら、初稿をメールに添付して、ポチっと送信ボタンを押したような感じでした（笑）。

【蝶尾メイキング】


▲蝶尾の模型。非常に細かいところまで作り込まれていることがわかる。

【白鳩メイキング】


▲白鳩の模型。画像を見ればわかる通り、この模型は人と比べてもかなりサイズが大きい。

――それが送られてきた時、浅野さんはどういう感想を持たれました？

浅野：まさかそんなに悩まれた作品だとは感じませんでした。“蝶尾”は“異質なもの”というお題に加えて、“夏休み”というお題もありました。どんなものが完成するのか楽しみにしていたところ、届いた初稿がそのまま完成稿となりました。文句のつけようがなく、驚きましたね。ちなみに、“白鳩”は“結婚式”をお題に作っていただきました。

増田：蝶尾を作るのは大変でしたが、浅野さんにすごく喜んでもらえたので、その後は無限にアイディアが出る感じでしたね。