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2014年2月14日(金)

『ガルパン』で威風堂々たる姿を見せた黒森峰女学園のドイツ戦車を『World of Tanks』でチェック!【めざせ! 戦車道免許皆伝 第19回】

文:田中尚道

 アニメ『ガールズ&パンツァー』で、戦車道全国高校生大会の常勝高にして、主人公・西住みほ殿の越えるべき壁として登場する名門・黒森峰女学園。彼女の姉である西住まほ殿の率いるかの高校は、劇中におけるラスボスとも言うべき存在で、第二次世界大戦の末期に登場した強力なドイツ戦車で編成されています。

 ドイツの戦車は、アメリカやソビエトとは違って大量生産による数のパワーではなく、個々の戦車の性能を重視した結果、専門分野に特化したユニークかつ強力な戦車群となっています。試合に参加できる車両の数が制限されている戦車道全国大会では、戦車の大量投入で各車両の戦闘力を希釈することはできず、乗員の練度や戦車の性能を勘案すれば、まさに最強の名にふさわしい陣容となり得るのです。

 ちなみに、各専門分野に特化した結果でしょうか? 黒森峰の運用車両は、寄せ集めの戦車で構成された大洗女子学園に匹敵するほど、さまざまなバリエーションに富んでいます。そこで、今回と次回の全2回で、その特徴的な戦車たちを紹介していこうと思います。ちなみに、『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』(以下、『WoT』)では戦車の強さによってTier分けされているので、史実通りの無双っぷりがゲーム内でかすんで見えるのが本当に残念です!

『World of Tanks』

■バリエーションの数はドイツ随一【Pz.Kpfw. III】(Tier IV)

 第二次世界大戦の開戦をにらんで開発されたドイツの主力戦車、それがIII号戦車こと【Pz.Kpfw. III】です。『ガールズ&パンツァー』では、強力無比の砲を持つ【Maus】の前に大洗女子学園の戦車をおびき出すという、オトリの役割を与えられていました。

『World of Tanks』

 戦車開発の黎明期、電撃戦の生みの親であるハインツ・グデーリアンが考案した戦車機甲戦術を体現するため、【Pz.Kpfw. III】にはさまざまな革新的機構が盛り込まれました。ざっと例を挙げると、高速走行のためのトーションバー式サスペンション、3人乗り大型砲塔、送受信可能な無線機、拡張性を視野に入れた大型ターレットリングなどです。これまでも何度か説明してきましたが、小型快速の巡行戦車と、重厚な装甲を持つ歩兵戦車、その2種類を用途に合わせて配備することが当時の陸軍の常識でした。

 ドイツ機甲師団の父であるグデーリアンは、当時は快速部隊総監のポジションにあり、快速戦車にその機動力と火力で敵陣を突破し、司令部などの戦略的に重要なポイントを急襲するという目的を持たせました。そのため、装甲・火力ともに、そこそこのものが用意されていたのですが、逆に言うと器用貧乏なイメージが付きまとうのも事実です。

 【Pz.Kpfw. III】は、当時の中戦車の性能としても、戦車戦の革新の意味から言っても、とても優秀な戦車なのですが、いかんせん開戦時に必要な数の生産が間に合わず、やっとのことで生産が軌道にのって主力戦車としての活躍が期待された頃には、北アフリカでは【Matilda】と対峙して厚い装甲に砲弾を弾かれ、独ソ戦では【T-34】や【KV-1】にまったく歯が立たないという残酷な現実が待っていました。

『World of Tanks』

 拡張性を考慮したターレットリングも、3.7cmから5.0cmに砲を換装できるというレベルでしかなく、そもそも5.0cm砲でも敵の重装甲戦車の装甲を撃ち抜くことはできなかったのです。さらに、5.0cm砲の開発も遅れたために、なんとなく“やられメカ感”が漂う結果と相成りました。結局、車体を流用しつつ砲塔を廃したIII号突撃砲【Stug III】で、火力的にはなんとか敵を撃退できるレベルに到達したのです。

 とはいえ、細かく手を加えた【Pz.Kpfw. III】の開発バリエーションは、A/B/C/D/E/F/G/H/J/L/M/Nと12種類にもおよび、N型では短砲身ながら7.5cm砲を搭載するに至りました。その他にも、指揮戦車や対空戦車、火炎放射戦車、観測戦車などの派生型も生まれています。【Maus】の後ろをちょろちょろしていた黒森峰女学園の【Pz.Kpfw. III】はJ型。これは【Pz.Kpfw. III】の中でも最多生産数を誇るタイプで、60口径5.0cm長砲身砲を装備。車体の正面装甲も50mmと厚くなっています。

『World of Tanks』
▲なぜ【Pz.Kpfw. III】が【Maus】の周りをウロチョロしているのかといえば、砲弾を装填するための時間稼ぎや、敵の観測を行う車両が必要だからです。『ガールズ&パンツァー』でも、車長が双眼鏡をのぞいて偵察を行っていました。

●『WoT』での【Pz.Kpfw. III】

 【Pz.Kpfw. III】はドイツの開発ツリーにおけるにおける最初の中戦車で、正面装甲も70mmとそこそこの厚さ。軽快な走行性能も優秀と呼んで差支えない範囲ですが、クセの強い戦車が集まっているために“谷間”と呼ばれているTier IV戦車の宿命として、目立って強くはありません。とはいえバランスはいいので、他国の戦車に比べればまだマシとも言えるのですが……。

『World of Tanks』
▲対ソ戦では【T-34】に歯が立たなかった【Pz.Kpfw. III】ですが、実際のところ、『WoT』でもコテンパンにされます。

 難点はなんと言っても、威力の弱い5.0cm砲。相手の装甲はそこそこ抜けるものの、いくら当てても有効打になりにくく、積極的に弱点を狙っていかないと敵をなかなか倒せません。同Tierの中戦車と比較した場合、装甲はそこそこ厚いのですが、撃ち合いになった時には負けることも多いので注意が必要です。硬い【Matilda】や、砲の威力がそれなりの【M3 Lee】と違って、バランスの良さがかえって上位Tierとの戦闘でネガティブな要素になりやすく、他の強い戦車との連携に活路を見出さないと、何もできないまま撃破されてしまいます。とにかく、Tier Vの戦車との性能差はかなりあると思って慎重に戦ってください。

『World of Tanks』
▲2.0cmから7.5cmまでと砲のバリエーションが多く、いろいろなシーンで活躍できる気がします。ですが、遭遇戦ではどんな敵と当たるかわからないので、いまいち絞り切れないのが難点です(※画像は英語版のもの)。
『World of Tanks』 『World of Tanks』
▲同じTier IVで登場する他国の中戦車。アメリカは【M3Lee】で、イギリスが【Matilda】となっており、かなり分が悪い気がします(※画像は英語版のもの)。

→ソビエトの【T-34】を倒す切り札として開発された
【Panther】の実力!(2ページ目へ)

(C) Wargaming.net

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データ

▼『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』
■メーカー:ウォーゲーミングジャパン
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年9月5日
■価格:無料(アイテム課金)

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