2014年4月1日(火)
【レビュー&攻略】『Plague Inc.-伝染病株式会社-』不謹慎だけどおもしろい! 伝染病を蔓延させる悪魔的SLG(電撃おすすめアプリ 第131回)
“パンデミック”や“バイオハザード”といった用語を聞くだけでも、なんとなく恐ろしくなる伝染病や生物学的危害の拡大。冬にインフルエンザが流行するとニュースで大々的に取り上げられますが、これも身近なパンデミックの1つですね。『Plague Inc.-伝染病株式会社-』のプレイヤーは神か悪魔かテロリストか? 伝染病の進化・退化をコントロールして、伝染病の世界的な拡散と人類の滅亡を目指す背徳感たっぷりの異色SLGをレビューします。
■『Plague Inc.-伝染病株式会社-』とは?
『Plague Inc.-伝染病株式会社-』は、インフルエンザよりもはるかに致死性の高いオリジナルの伝染病を作り出して、人類を滅亡させることが目的という一風変わったゲーム。
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■伝染病の流行を見守るSLG
ゲームは“ノーマル”と“スピードラン”、“シナリオ”の3つのモードがあります。ノーマルは時間制限がない通常のモード、スピードランはノーマルとは反対にいかに早く滅亡させられるかが勝負になります。シナリオは、部分的に進化した実在する病原体を使ったり、実際とは大きく異なる気候や社会状況でゲームを進めたりできるモードです。今回は、ノーマルモードを中心にゲームの流れを紹介していきます。
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▲シナリオモードには、黒死病などの実際に存在する病原体を使った内容もあります。 |
モードを選んだら、次は使用する伝染病の選択です。選べる伝染病はバクテリア、ウイルス、真菌などの7種類。その他、課金することで使えるようになる特殊伝染病があります。これには、脳に潜む生物や、ゾンビ化するウイルスの他、有利にゲームが進められるチート系の伝染病なども用意されています。
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▲特殊伝染病はシリアスなゲームの雰囲気が壊れかねない、キワモノの伝染病がそろっています。 |
次は難易度を選んで伝染病の名前をつけます。難易度はイージー、ノーマル、ハードとありますが、最初のうちは無理せずイージーを選びましょう。『Plague』は、刻々と変化する状況を読み、タイミングを見計らって、伝染病の適切な能力を進化(または退化)させることが非常に重要なゲームです。
実際私もそうでしたが、最初のうちは試行錯誤することが多くなるはずです。いきなり高い難易度で始めると試行錯誤の結果がわかりにくくなるため、最初は条件のゆるいイージーで進化・退化の影響を見ながら進めた方が、理解が早まります。イージーといってもそれなりに難しいですから、やり応えはあると思いますよ。伝染病の名前は自分の好きなものをつければOKです。
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▲自分がつけた伝染病の名前は、ゲームの進行に合わせて要所で使われます。私は人類に勝利する“Victory”のVをつけてV-Virusとしました。 |
最後に伝染病の遺伝コードを変更してゲームを開始します。遺伝コードとは、遺伝子を操作して伝染病に特殊な性質を持たせるカスタマイズのことです。特定の難易度でのゲームクリアや課金することで、遺伝子に埋め込むコードが手に入ります。
遺伝子操作を行うと、後述する“DNAバブル”を破裂させた時に獲得できるDNAの量を増やせたり、退化させるとボーナスDNAが得られたりと、さまざまな効果を発揮します。最初はコードを何も持っていない状態で始まるので、しばらくは操作せずにそのまま進めてかまいません。
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▲環境、進化、変異など、5つのカテゴリに分かれたコードを操作することができます。 |
ゲームが始まると、画面に世界地図が表示されます。ここから最初に伝染病が始まる国をタップして選びます。国を選ぶ時に重要なポイントは次の3つです。
(1)の“気候”は、現実の世界と同様の設定がされていて、赤道付近が暑く、そこから北と南にいくほど寒くなります。国の気候は、伝染病の耐性にも影響を与えますから、寒い地域を選んだら寒さに強くするなど、伝染病の進化の方針にもかかわってきます。
(2)の“国の発展度”は、先進国か発展途上国かということです。これも現実の状況がゲームに反映されています。発展度は伝染病の伝染速度に影響を与える要素。先進国には伝染病に対応できる知識や技術があるため、伝染病が拡散しにくくなるわけです。
しかし、都市部ではノミやネズミを媒介にして伝染しやすくなるなどの弱点もあります。発展途上国は医療技術の低さに加え、家畜の感染、熱い地域では昆虫からの感染など、伝染病が蔓延しやすくなっています。
(3)の“空港や港”は、乗り物や人の移動などを通じて他国へ伝染病が広がる場所。より広い範囲に伝染病を拡散させるのに欠かせない重要な拠点となります。 この3つの条件のうち、(3)を優先すると、選べる国がだいぶ絞り込まれてしまうため、最初は(2)を重視して始めてみましょう。開始する国に空港や港がなくても、後でそれらがある国に感染を広げていけばいいわけです。
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▲感染者が空港や港から他国に移動すると飛行機や船が赤くなり、その空路と航路が赤い点線で表示されます。 |
■ワンポイント攻略! 伝染病を進化&退化させて感染者を増やそう
伝染病の感染者の増加とともに、画面左下に表示された“DNA”の数値が増えていきます。この数値は、伝染病の進化を行うために必要なポイントです。ポイントを消費して進化できる内容には、下の3つのカテゴリがあります。
・伝染
伝染するための新しい方法を獲得する進化。鳥や昆虫などの生き物、空気や水などの自然を使った伝染ができるようになります。
・症状
感染した人に現れる症状を変更する(または悪化させる)進化。咳や嘔吐などの症状で伝染させたり、致死性の高い症状に変えたりして命を奪うことができます。
・能力
伝染病が生き残りやすくなるための進化。厳しい環境や薬物への耐性を獲得することで、あらゆる地域へ伝染させることができるようになります。
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▲ランダムで現れる“オレンジDNAバブル”や、初めて他の国に感染者が現れた場合に出現する“レッド感染バブル”をタップしてもDNAポイントを獲得できます。 |
伝染病の進化の行き着く先は「薬剤に耐性があり、あらゆる環境で生き延びることができて、人を死に至らしめる」ことです。しかし、最初のうちは致死性の高い性質は持たせない方がいいでしょう。
このゲームの敵は、人間が開発する伝染病の特効薬です。特効薬の開発は人間が伝染病の脅威を感じると始まり、開発度が100%になると世界中に普及。その結果、伝染病が必ず死滅してゲームオーバーになります。
したがって、最初に取る戦略は、人間に大きな害を与えない性質を持ったまま感染者を増やすことです。つまり、人間に気づかれないように感染者を増やし、十分に数が増えたところで性質を変化させればいいのです。
ただし、時々突然変異が起きて、人間に害を与える性質に進化してしまうこともあります。序盤は感染者を増やすことを優先したいので、序盤に突然変異が起こった場合は、伝染病の能力を退化させて人間への影響を少なくしましょう。終盤に起こった場合はそのままでも大丈夫です。
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▲退化させるとDNAポイントが少し回復します。進化だけでなく退化で伝染病の状態をコントロールすることも重要です。 |
人間が伝染病に脅威を感じると、空港を閉鎖したり、飛行機の空調を強化したりで伝染を防ごうとします。脅威度がさらに高まると、薬を開発する国が現れたり、国同士で薬の共同研究を始めたりします。
開発を遅らせるには、伝染病の薬剤耐性を高める他に、遺伝子を改造して解析しにくくすることが必要です。また、共同研究が始まった場合は、研究者が飛行機で他国へと移動していくので、移動先に現れた“ブルーCUREバブル”をタップで破裂させて妨害し、開発スピードを遅らせましょう。
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▲研究者がリサーチのために他国を訪れた時と帰国した時に現れるブルーCUREバブル。破裂させないと薬の開発速度が上がってしまいます。 |
伝染病がほとんどの国に蔓延したら、遺伝子を操作して感染者が重い病気を発症するように進化させていきます。このころには、特効薬の開発も本格化し始めているはず。開発が完了する前に感染者を死亡者に変えつつ、人類の滅亡を狙います。
ここで気をつけなければいけないのは、感染者が増え続けている時に、死亡者の増加速度が感染者の増加速度を上回らないようにすることです。そうしないと、全人類に感染する前に感染者だけを殺してしまうことになりかねません。このゲームは宿主になる全人類を感染させることが第一目標で、全滅させるのはその後なのです。
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▲ゲームの終盤になると日に日に死亡者の数が増えていきます。現実には起きてほしくない恐ろしい状況です。 |
■背徳感は消えないもののSLGとしては十分に楽しめる良作
それでも、人類に気づかれないように感染者を増やし、薬の開発を妨害しながら効果的な進化や退化で死亡者を増やしていく過程は、SLGとしては十分楽しめる内容でした。なかなか感染者が増えない国の理由をあれこれ予想して伝染病を進化させ、その結果うまくいった時はやはりうれしいものです。興味を持った方はぜひ挑戦してみてください。
●勇者ローン’s profile
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フリーランスの編集者兼ライター。ゲームは新旧、機種を問わずほとんどのジャンルをこなす。無課金でゲームを進めること自体を攻略として楽しめるタイプ。
Ndemic Creations (C) 2014
データ
- ▼『Plague Inc.-伝染病株式会社-』
- ■メーカー:Ndemic Creations
- ■対応端末:iOS/Android
- ■ジャンル:SLG
- ■配信日:配信中
- ■価格:iOS 100円(税込)(ゲーム内課金)/Android 無料(ゲーム内課金)