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2014年3月18日(火)

【GDC 2014】『コール オブ デューティ ゴースト』のなめらかなグラフィックはこうして生まれた。最新技術セッションをレポート

文:ぺろ

 アクティビジョンから発売されたPS4のローンチタイトル『Call of Duty: Ghosts』(※日本ではスクウェア・エニックスから発売)は、秒間60フレームのゲームプレイを維持しながら、画質や描画効率を高めることに成功したタイトルだ。

 GDC 2014の初日に、アクティビジョンのテクニカルディレクター・Wade Brainerd氏による講演“Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial”が行われた。この講演では、Wade氏がInfinity Wardとともに開発を手掛けた『Call of Duty: Ghosts』を例にとり、Tessellation(※ポリゴンモデルを滑らかにする処理)の技術論を述べた。

“Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial”
▲アクティビジョンのテクニカルディレクター・Wade Brainerd氏。

 Tessellationの基本は、対象となるオブジェクトを細かく頂点(vertex)と面(face)と辺(edge)に分割することだ。その分割が粗ければ角ばった図形となり、細かければ細かいほどなめらかな図形になるのは想像しやすいだろう。

“Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial”
“Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial”

 3Dオブジェクトの場合、視点を変えると当然オブジェクトの見え方は変わり、ある一面から図形を見たときに描写されるモデルと、視点を変えたときに描写されるモデルはつながってなければならない。では、その描写はどのようにしてなされているのか?

 コンピュータの処理で、現在の視点でなめらかに見える面(regular face)から隠れている面(irregular faces)に切り替わる点(transition point)を算出し、そのポイントより先にある“見えない面”を、見えている面と点のデータから演算で補う。これにより、視点を変えても常になめらかなモデリングが実現可能になっている。講演では、そのコンピュータ上でのフローについて詳しく語られた。

“Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial”
▲細かく分割された3Dモデリング。上記の処理により、どの面からみてもなめらかな描画を実現している。
“Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial”

 もちろん、すべての場合においてTessellationが適用されるわけではなく、オブジェクトとの距離がある一定以内になると、Tessellationが適用され、モデルがなめらかに表示されるという。例えば、フィールドは遠目からは一様に見えても、足元を見ればデコボコや隆起がしっかりと再現されている。このあたりは、実際のゲームでも簡単に体験できる。

“Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial” “Advanced Visual Effects with Direct3D Tutotial”

 セッションは最後に来場者とのQ&Aで締めくくられた。シリーズを重ねるごとに進化していくグラフィック。最終的にどこまでリアルに近づけるのか、今後の技術にも期待したい。

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