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2014年4月5日(土)

超豪華プレゼントあり! 『ゴールデンタイム Vivid Memories』開発陣独占インタビュー。今だから話せるボツ案など制作裏話が満載!

文:スズタク

 角川ゲームスから3月27日に発売されたPS Vita用ソフト『ゴールデンタイム Vivid Memories』。その制作キーマンたちにいろいろとお話をうかがった。

『ゴールデンタイム Vivid Memories』

 『ゴールデンタイム』は、竹宮ゆゆこ先生が執筆する(イラスト:駒都えーじ先生)電撃文庫の人気タイトル。“完璧なシナリオ”を考えるお嬢様・加賀香子と、記憶喪失の青年・多田万里のキャンパスライフを中心に描いた青春ラブコメディだ。

 アニメ化に続いてゲーム化まで果たした『ゴールデンタイム』シリーズ。今回は、PS Vita用ソフト『ゴールデンタイム Vivid Memories』について、5人の制作スタッフが語る本作の魅力や開発秘話などをお届けする。すでにゲームをプレイしている人はもちろん、『ゴールデンタイム』ファンにとっても見逃せない内容となっているので、ぜひチェックしてほしい。なお、記事の最後にはメインキャスト9名による豪華サイン色紙のプレゼントコーナーも!

『ゴールデンタイム Vivid Memories』
▲左からプランナーの大和田智史氏、ディレクターの家弓晋輔氏、プロデューサーの金山健太氏、シナリオライターのヤスカワショウゴ氏と喜多雅氏。

■こだわったのは竹宮ゆゆこ作品独特のテイストとリアルなキャンパスライフ

※以下、敬称略

『ゴールデンタイム Vivid Memories』

――まずは、ゲーム発売を迎えたご感想からお聞かせください。

金山:とにかく感無量です。無事発売できたのは、関係者の皆さんの尽力のおかげです。

家弓:開発チームとしても、間に合って本当によかったなと感じています。妥協することなく要素を詰め込んでいるので、きっとユーザーさんが楽しめるクオリティになっていると思います。

大和田:やりきりましたね。これでしばらくは身の安全を確保できます。

ヤスカワ:身の安全が危ぶまれるような状況だったんですか!?

大和田:最後の追い込み時期は結構きつかったですね(苦笑)。年明けから2月の頭までの間で、家に帰ったのは確か4回程度だったかと……。

ヤスカワ:それはお疲れ様でした……(笑)。シナリオライターとしては、昨年の10月あたりが一番の山場だったと思います。あの膨大なテキストファイル(約23,000ワード)が1つのゲームとして完成されて、それを早々に見ることができるので本当に嬉しいです。

喜多:シナリオというのはゲームを構成する1つのパーツでしかないので、そこに絵や音声、音楽が乗ることでどのような仕上がりになっているのか、とても楽しみです。

――『ゴールデンタイム Vivid Memories』の企画立ち上げはいつごろだったのでしょうか?

金山:2012年の終わりか、2013年の頭ぐらいだったかと思います。アニメ化に合わせてゲーム化も、という形でした。ヤスカワさん、喜多さんとは、以前にPSPソフトの『涼宮ハルヒの約束』や『とらドラ・ポータブル!』でも大変お世話になっていて、竹宮先生の作品ということもあり、ぜひともお願いしたいと思っていました。

家弓:実際に制作が動き出したのは昨年の3月あたりだったかと。開発期間は1年を切っていますね。

『ゴールデンタイム Vivid Memories』

――やはり、原作小説やアニメを参考にしながらの制作だったのでしょうか?

ヤスカワ:そうですね。ゲームのお話がきてから、原作小説を読み進めていきました。

喜多:シナリオ執筆中も原作は完結していなくて、最新刊は6巻でしたね。

金山:そういった状況でしたので、ゲーム制作にあたって、竹宮先生にはいろいろと質問をさせて頂きました。

喜多:7巻以降の展開などもうかがわせていただきましたね。まだ決定していない点が多々ありましたので、イメージを膨らませるのが大変でした。

金山:原作者の先生にもしっかりと協力してもらっている点が、本作の長所です。おかげさまで、原作ファンが安心して楽しめる内容に仕上げることができたと思います。

ヤスカワ:竹宮先生には、シナリオの最終段階でも監修していただいてます。細かいセリフ回しのところまで時間をかけて見ていただいて、そのおかげでさらに面白さがアップしたと思います。

――小説の『ゴールデンタイム』を読んでみて、どのような印象を受けましたか?

金山:1つだけ挙げるとすると、やはり“記憶喪失”なのかなと思います。一般的に創作モノの中では、記憶喪失が治ることで「良かったね!」みたいに明るい展開になることが多いじゃないですか? でも『ゴールデンタイム』では、記憶が戻ることで逆に失うものがある。当人にも周囲の人間にも。とても切ない物語という印象です。

ヤスカワ:人生における選択って、何かを選んで幸せになったらそれで「めでたしめでたし」ではなく、選ばなかったことへの責任をきちんと果たし続けなきゃいけないんだ、と。僕自身はこの物語からそんなことを感じました。高校生の恋愛ものではなかなか行き着けないテーマに切り込んだ、意欲的な作品だったと思います。

家弓:主人公が大学生で、若干年齢層が高めになっているところもポイントですよね。

――『ゴールデンタイム Vivid Memories』のコンセプトはなんでしょう?

家弓:今も少し触れましたが、“大学生”でしょうか。高校生にとってはいつかくるかもしれない未来の姿を、そしてすでに大学生の人にとってはリアルなキャンパスライフをきちんと描こうと決めていました。

金山:大学生ならではという点は、最初から最後まで付き詰めましたね。履修登録などは、その思いから生まれたシステムです。

――シナリオ構成はどのように考えていったのでしょうか?

ヤスカワ:個人的見解ですが、大学生活といえばサークルとバイトの存在が大きいと考えました。そこで、サークル関係から繋がるAルート、バイト側のBルートという2軸のシナリオを作り、その他のルートを肉付けしていきましたね。

喜多:Cルートは原作の展開を踏まえて、そのうえで最終的な決着をつける、というところを目指して構成しました。……というか、そのつもりだったんですけど、結果的にずいぶんと換骨奪胎してしまっています。でも、竹宮先生のOKはいただいていますので(笑)。

金山:AルートとBルートはわりと前哨戦に近いですからね(笑)。それをクリアしてからが、本作の本番と言えます。

喜多:原作であまり触れられていなかった人物を幸せにしたい、という考えもありました。ぜひ、おまけルート(※Cルートのその先に開放されるルート)も含めて最後まで楽しんでもらいたいです。

『ゴールデンタイム Vivid Memories』

――シナリオを描く際に気をつけた部分はどこですか?

ヤスカワ:竹宮先生が描くシリアスとギャグの絶妙な混ぜ具合の再現ですね。シナリオのテイストを可能な限り近づけるよう、努力しました。

金山:心臓をえぐられるような人間関係と、腹筋を痙攣(けいれん)させるような笑いのワンツーパンチは、竹宮先生の持ち味でいらっしゃいますからね。

――シナリオをマルチエンドにすることも最初から決まっていたのですか?

金山:そうですね。1つの結末を作るのが原作・アニメだとしたら、ゲームの方ではあり得そうな結末を多数見せたいと考えました。また、原作・アニメでなかなか出番のなかったキャラにもスポットを当てたい、などとアレコレ考えていたら、最終的に約20種類になっていました。

ヤスカワ:さおちゃん&しーちゃんのコンビだけでも、エンディングは結構ありますよね。

家弓:オチ担当と思いきや、中には幸せそうな展開もありますから注目です。

大和田:物語全体で見た時のボリュームはかなりあります。先ほど触れられた通り、AルートとBルートをクリアすると、さらに隠されたCルートも解放されますので。もちろんそれで終わりではなく、余韻を感じさせる仕掛けを盛り込んでいます。

家弓:1度クリアしても、イベントCG一覧などを見ればまだまだ内容があるのがわかりますよ。イベントCGについても、特殊な条件を満たさないと見られないものがあったりして、やり込みがいがあると思います。

ヤスカワ:ああ、履修登録に関するアレですね(笑)。すでに遊んでいる人は、ぜひ履修登録で攻略に関係ない科目も選んでみてください!

■衣装バリエーションは圧倒的! 香子は同じ服を2度着ない!?

――軽くプレイさせていただきましたが、キャラの私服が豊富で見た目が華やかですね。

金山:そこは本作で非常にこだわったポイントなんです。舞台が大学なので、登場人物も全員私服なんですよ。そして、お金持ちのお嬢様が毎日同じ服を着るなんてことは当然ありえないわけでして……。

家弓:この場を借りて言わせていただくと、香子は1つのシナリオルートにおいて1回も同じ服を着ません! 毎回私服姿が変わります。

『ゴールデンタイム Vivid Memories』

――それはすごいですね! となると、香子だけでもかなりの数になったのでは……。

大和田:香子だけで30種類以上の私服がありますね。香子が一番多いのですが、その他のキャラも衣装バリエーションは結構な数があります。制作中はキャラの衣装にアルファベットを振って分類していたのですが、香子は数が多すぎてアルファベットが足りなくなりました(笑)。

家弓:各衣装に対してポーズ差分がそれぞれあるので、トータルで見るとものすごい量になります。

ヤスカワ:私服姿ってアニメの設定準拠なんですか?

家弓:アニメの設定通りのものもありますが、アニメ制作サイドに確認しながら描き下ろした、ゲームオリジナルの衣装もたくさんありますね。

『ゴールデンタイム Vivid Memories』 『ゴールデンタイム Vivid Memories』
▲登場キャラの多彩な私服姿は圧巻! ゲーム中には豊富な私服バリエーションだけでなく、SDキャラも用意されている。

■GTイベントに意外な仕掛けが――達成するとご褒美もあり!?

――ゲームシステムは“ツーショット会話”と“GTイベント”が大きな要素となるようですね。

金山:ツーショット会話は“Realize2D”という独自技術で2Dキャラをヌルヌルと動かしています。ご覧になって感じられたかと思いますが、アニメ絵がとてもよく再現されているかと思います。キャラの表情も豊かに変化して、デートしている感が出ますね。

家弓:香子のツーショット会話だけは、内部的にイージーとハードの2種類があります。これは付き合いが浅い時と仲良くなった時の2つなのですが、ハードモードだと一度怒らせたら大変ですよ(笑)。もう手がつけられません。

大和田:ツーショット会話では、難しさの調整とリアルな会話を追及するために“必死でフォローシステム”が搭載されています。「今の言葉、やっぱりナシ!」とか「そういうつもりで言ったんじゃないよ!」などといった、まさしく万里の必死なフォローですね。ただし、無理に場を取り繕うとすると、かえって相手に悪い印象を与えてしまうこともあるので、フォローする時は実際のコミュニケーションと同じく、一種の賭けが必要です!

――GTイベントは飲み会を楽しむという、大学生ならではのシステムですね。

金山:原作でもコンパの場面がありますので、ゲームでも似たような形でワイワイした感じを再現したいと思いました。未成年のキャラの飲み物は、ちゃんとお茶やジュースになっています(笑)。

喜多:GTイベントでは、会話の中からキーワードを入手していくのですが、キーワードとなる付箋を全部同じ色でそろえると、ちょっとしたおまけ要素があったりなかったりします。

『ゴールデンタイム Vivid Memories』

金山:喜多さんがアイデアを出したアレですね。おもしろかったので採用しましたが、喜多さんの作業が増える結果に(笑)。

喜多:思いついてしまったので口にしたのですが、後から「これ、苦労するの自分だ!」と気付きました(苦笑)。

――開発途中でボツになった案などはありますか?

ヤスカワ:ごく最初の段階で“無人島にみんなで行く”っていうアイデアもありましたけど、すぐ立ち消えましたね。あと、プレイヤーを霊魂万里にする案もありました。

家弓:ありましたね! 霊魂になって、万里に念じかけて動かしていくというシステムで。

金山:“霊魂ポイントをためると万里に対して●●できる”みたいな内容でしたね(笑)。

一同:そうそう(笑)。

『ゴールデンタイム Vivid Memories』

家弓:むしろ、制作当初は霊魂万里を軸にする方向で進めていました。でも、そうなるとシナリオがどうしてもリンダに傾いてしまうということでボツに……(笑)。

ヤスカワ:“大学生らしい恋愛”を感じてもらうためには、やはり王道のほうが良いのではないかというところに最終的には落ちついて、現在の仕様になっていきました。

金山:また、これはボツ案ということではありませんが、ミニゲームもいろいろな案をキャトルコール(※『ゴールデンタイム Vivid Memories』の開発会社)さんに出していただきました。ただ、ミニゲームだけど本気で作ろうということで、最終的に採用された案は当初想定よりもボリュームや満足度が高いものになりました。

家弓:そうですね。企画立ち上げ当初に私が想定していたボリューム感を大幅にオーバーしています(笑)。ただ、企画ミーティングなどを行うたびに金山さんの“本気度”は伝わってきましたし、当然ながらボリュームがあって面白いほうがユーザーさんも喜ぶだろうということで開発側も覚悟を決めて臨みました。ゲーム本編の制作と並行して開発を進めたので大変でしたが、結果的にそれぞれちゃんとしっかり仕上がったので、チャレンジした甲斐があったかと思います。ぜひ遊んで頂きたいです。

大和田:本作には全部で3種類のミニゲームを収録しています。まず、“VJスラッシュ”は二次元くんの脳内嫁である”VJ”を操作して全26ミッションを戦うアクションゲームです。香子やリンダ、千波たちがボスとして登場するなど、ゲームならではのキャラ組み合わせも楽しめます。

 2つ目の“Sadou Defender”は、万里、二次元くん、やなっさんの3人を目がけて押し寄せる茶道部員たちを撃退していく居酒屋ディフェンスゲームです。全100ミッションの超ボリュームに加えて、3キャラの能力やスキルを鍛える育成要素があるので、やりこみ度満点です!

 3つ目の“着せ替えバブル”は、ヒロインのイラスト上に置かれた“バブル”を消してイラストをセクシーに変化させていくドキドキパズルゲームです。こちらには『とらドラ!』のヒロインたちもコラボ登場しますし、J.C.STAFF描き下ろしのセクシーなイラストは全男子必見のクオリティです!

――お気に入りのキャラと、ゲーム中の印象的なシーンを教えてもらえますか?

金山:僕は二次元くんがお気に入りです。本作でも大活躍しています。印象的なシーンについては、香子のエアクッキングがとにかく可愛いので必見です!

家弓:やなっさんこと柳澤ですね。ゲーム中には柳澤エンドもいくつかありまして、その1つが彼の輝かしい未来を想像させるいい内容になっています。

大和田:何をしてくるか分からないハチャメチャキャラのさおちゃん&しーちゃんがいいですね! ゲーム中では、NANA先輩のツーショット会話が印象的です。意外な反応が見られてギャップ萌えを感じます(笑)。

ヤスカワ:アニメで香子パパのインパクトに魅了されました! 原作でも面白いキャラだなとは思っていたのですが、ゲームでは登場させられなかったので、そこだけは悔やまれます(笑)。ゲーム内の印象的なシーンについては、香子のノーマルエンドでしょうか。いかにもリアルにありそうな男女関係の始まりと終わりといった感じで、個人的に気に入っています。

喜多:執筆中に一番付き合いの長かった霊魂万里でしょうか。印象的なシーンは、Cルートのリンダとのツーショット会話です。本編の作業が終了した解放感の中で書いたので、とても筆がノりました。

――では最後に、制作陣を代表して金山さんからファンに向けてメッセージをお願いします!

金山:竹宮先生をはじめ、関係スタッフ皆さんのご協力もあって、ファンなら買って損はない完成度になったと断言できます。各キャラクターによるイベントCGのコメンタリー機能なども隠されていますので、ぜひ隅々まで遊んでください。よろしくお願いします!

『ゴールデンタイム Vivid Memories』
▲スペシャルファンブックとフィギュアが同梱される初回限定版にも注目。どちらも香子のお色気全開で、目のやり場に困っちゃいそう?

(C)竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス/おまけん
(C)KADOKAWA CORPORATION 2014
※画面は開発中のもの。

データ

▼『ゴールデンタイム Vivid Memories』ダウンロード版
■メーカー:角川ゲームス
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ADV
■配信日:2014年3月27日
■希望小売価格:5476円(税抜)

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