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2014年4月10日(木)

『俺たちに翼はない』をアフィリア・サーガのユカフィンさんが語る! 『おれつば』をプレイした誰もが羽田鷹志なのかもしれない――

文:ごえモン

 MAGES.のゲーム&音楽ブランド5pb.から、4月10日に発売されたPS3/PS Vita用ADV『俺たちに翼はない』について、学院型ガールズボーカルユニット“アフィリア・サーガ”のメンバーであるユカフィン・ドールさんにインタビューを行いました。

『俺たちに翼はない』
▲インタビューにご協力いただいたユカフィン・ドールさん。『俺たちに翼はない』世界の学園“私立美空学園”の制服姿がまぶしいです!

 お話をうかがったユカフィンさんは、5pb.から発売された『暁の護衛 トリニティ』や『車輪の国、向日葵の少女』が好きだという美少女ゲームファンです。そんなユカフィンさんが『おれつば』をプレイされたと耳にし、早速感想を聞きに行ってまいりました!

 美少女ゲームユーザーの女性から見て、『おれつば』はどのような作品だったのか? 下ネタが異様に多い会話劇を見てひかなかったのか? ADVファンのみならず、美少女ゲームをプレイしない女性もぜひチェックしてみてください。

『俺たちに翼はない』 『俺たちに翼はない』
▲名作として有名な『おれつば』は女性から見てどうたったのか? ユカフィンさんが鋭い視点で評価しています。

――ユカフィンさんは『暁の護衛』や『車輪の国』のユーザーとしてファンから知られていますが、なぜ、次のタイトルとして『俺たちに翼はない』をプレイすることを選んだのか、その理由を教えていただけますか?

『俺たちに翼はない』

 私はもともと、ゲームでは『メタルギア ソリッド』や『バイオハザード』などの戦うジャンルが一番好きだったんですけど、『暁の護衛』という作品をプレイして、いわゆる“美少女ゲーム”と呼ばれる作品の魅力に気づきました。まさか、美少女ゲームにこんなにも映画みたいなストーリー性があるとは知らなくて、驚いたんです。

 その後、『車輪の国、向日葵の少女』について各メディアさんにインタビューをしてもらったのですが、そこで電撃オンラインのごえモンさんに「何かオススメの美少女ゲームはありませんか?」って聞きました。その時に出てきたのが『俺たちに翼はない』だったんです。

 すぐに絵を見せてもらったのですが、ヒロインが着ていた制服がすごくかわいくて! もともとアフィリアに入ったきっかけも衣装のかわいさだったので、森田さん(MAGES.のCS版『おれつば』広報担当)に「絶対に着たい!」って言いました(笑)。

 そんな『おれつば』がめでたくMAGES.から発売されるということになり、「これはもうやるしかない!」って思いました。なので、このゲームをやるきっかけになったのは、衣装と電撃オンラインさんかな(笑)。

――布教活動がうまくいきました(笑)。実際にプレイしてみていかがでした?

 ネットでのレビューや感想には“人を選ぶ作品”って書いてあったんですけど、私は全然そんな印象は受けなくて。たくさん萌えたし、とにかくシナリオが楽しくて笑えて、第三者として柳木原(※1)で生活しているみんなの日常風景を観測しているのが、すごく心地よかったです。『おれつば』って、みんなから名作って言われているじゃないですか。プレイしてその意味がわかりましたよ。

※1:柳木原……『俺たちに翼はない』の舞台となる大都市。『おれつば』では、柳木原という1つの街で生活する複数の主人公の群像劇を描いている。

――確かにシナリオが非常によくて笑える作品ですけど、下ネタがめちゃくちゃ多いじゃないですか。女性にオススメするにあたって、その部分が不安だったんですが……大丈夫でした?

 下ネタは多かったですね。ちょっとビックリしたところもありましたけど、そんなにいやらしくなくて、全然下品だとは思いませんでした。マスター(※2)の話はつねに下ネタなんですけど、アレキサンダーでの掛け合いも笑えたし、紳士的な一面もあって憎めない変態って素晴らしいなと(笑)。

※2:マスター……軽部狩男。2人目の主人公である千歳鷲介のルートで登場する喫茶店“アレキサンダー”の支店長。

『俺たちに翼はない』
▲軽部狩男

――『車輪の国』の時には主人公よりもヒロインに感情移入されていましたが、『おれつば』ではいかがでした?

 今までプレイしてきた作品は主人公が1人だったので、主人公のことを自分だと思ってプレイしていたからヒロインのことが好きだったんです。今回は第三者目線でプレイしていたので、主人公も好きになりました。

――3人の主人公の中で誰が一番好きですか?

 やっぱり、一番好きなのは千歳鷲介です! 鷲介は女性人気が高いと思います。明るくて人付き合いが上手で、全部笑いとばしてくれそうで、冗談も言い合えるし、とにかく鷲介のルートが一番ほっこりしました。「この場所に行きたい!」って思いましたし、鷲介にトキメキました。

 鷲介編の最初で、アイドルのフリッキー5(※3)のファンって鷲介が言っていたのですが、私も同性の女性アイドルが大好きなので、親近感がわいて鷲介と話してみたいってすごく思いました。私はフリッキー5のことはあまり知らないですけどね(笑)。ごえモンさんは誰が好きなんですか?

※3:フリッキー5……鷲介が子どものころに活躍していた男性アイドルグループ。鷲介の部屋の壁にはフリッキー5のポスターが貼られている。

『俺たちに翼はない』
▲フリッキー5

――3人目の主人公の成田隼人です。男としてあこがれますよ。

 確かに強くて一匹狼みたいで、男の人は好きそうですよね。隼人の最初の印象は、「なんか口が悪いし、こいつ不良だな」って思ったんですけど、ぶれないし、意外と硬派なのかなと思って惹かれる部分もありました。でも、一緒にいたら危なそうで、そこがネックなんです(笑)。そこ以外はすごくいいし、3人の中で一番日本男児って感じでカッコいいんですけど、現実的に考えると、危なそうなところがちょっと……。

――そんな気はしていました。最初の主人公の羽田鷹志の印象はどうですか?

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▲羽田鷹志

 最初に見た時に「うわっ、中二病だ」って思いました(笑)。でも、一番日本人らしいというか、思春期の奥ゆかしさというか、好きな子を目の前にしてうまく会話できないところとかを見ると、「ちゃんと言ってよ」ってもどかしさもあるんですけど、応援したくなります。私の場合は、恋をするというよりかは、「かわいいな」って思いますね。残務処理(※4)も、私もそういうことをするので「なんかわかる!」って共感できました。

 私の場合は、“定食を食べる”とかあそこまで細かくはないんですけど、目標をケータイに書き込むことがあるので、「わかるよ、頑張れ!」って応援する立場で見ていました。

※4:残務処理……羽田鷹志が携帯電話のメモ帳に書いている、自分が世界からいなくなる前に達成したい目標。“上杉家で『信長の野心』をクリアする”や“学食でチキンソテー&エビフライ定食を食べる”などがある。

――鷹志は恋愛対象としては見られない感じですかね?

 かわいいとは思うんですけど……やっぱり順位をつけるなら鷲介が一番かな。

――主人公ではなく、ストーリーとしてはどのルートが好きですか?

 一番リアルで青春を感じられる鷲介ルートが好きです。鷲介もヒロインの玉泉日和子も「どこかにいそうだな」って思うぐらいリアリティがあるありふれた日常という雰囲気で、アレキサンダーにも通いたいしマスターにも会いたいし、他の2つと同じ柳木原が舞台なんですけど、すごく幸せな気持ちになれるルートでした。

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▲千歳鷲介は喫茶店“アレキサンダー”での日常が色濃く描かれています。もっとも恋愛色が強く、笑えるシナリオです。

 意外と隼人のルートも好きで、登場人物がラップ調にセリフを言うじゃないですか。そこがおもしろかったです。3つのルートが全部別の物語みたいになっていて、隼人編は「柳木原の夜はこうなんだ。こんなアウトローな世界もあるんだ」って新鮮で、不良グループの抗争とかは怖いですけど、第三者だからこそ見ていて楽しかったです。

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▲成田隼人編に登場するLR2001くんはほとんどすべてのセリフをラップ調で話します。美少女ゲームでこんなキャラはなかなかいないですね(笑)。

――隼人編で物語の仕掛けがわかりますが、それを見ていかがですか? そういう物語って予想していました?

 真相を知った時は「うわぁ」ってビックリしたというよりは、納得しました。だからこその3人のストーリーだったんだってそれぞれの関係性が見えて、その秘密を知ってからは「あの時、どんな気持ちで接していたんだろう?」って、みんなのことを考えるようになりました。

――すべて知っちゃうと切なくなりますよね。

 私たち第三者から見ても切ないので、本人たちはどんな気持ちなんだろうって思います。あんなに楽しい日常だったのに……。悲しいとかじゃなくて、切ない物語ですね。

――好みのヒロインはいました?

『俺たちに翼はない』

 渡来明日香ちゃんです! まず見た目がプリンセスだし、明日香ちゃんは“高嶺の花”という設定で登場するんですけど、こういう美少女ゲームのヒロインってそのまま“高嶺の花”って感じじゃないですか。でも、明日香ちゃんは話すと親しみやすくて、鷹志をリードしてくれて、でも暗いところもあって。辛口になったり急に乙女になったりいろいろな顔があって、引き込まれる魅力的なキャラクターだと思いました。ごえモンさんは誰が好きですか?

――僕も明日香です。

 一緒だ! 萌えだけのヒロインじゃないって珍しいし、明日香ちゃんも私の鷹志への気持ちと一緒だったと思うんです。最初はほっとけないなって思って助けてあげようと仮面恋人になったけど、だんだん好きになっちゃうみたいな。うん、わかる気がする。

 明日香も鷹志に助けてほしいって思いがあって、この2人の距離感というか、だんだんと心が近づいていく様子とか、もどかしさとか見ていてキュンキュンしました。

――あとパル姐さんが好きです。

 なんで!? 全然タイプが違うじゃないですか(笑)。

――パル姐さんカッコいいじゃないですか……攻略したい。他のキャラで好きなのは?

 他は、ヒロインだと日和子ちゃんで、サブキャラだったら紀奈子ちゃん。

『俺たちに翼はない』 『俺たちに翼はない』 『俺たちに翼はない』
▲春日春恵(パル姐さん)▲玉泉日和子▲望月紀奈子

――それはなぜ?

 鷲介編を始めた時に、一番最初に出てきたじゃないですか? だから、「やった! この娘と恋に落ちるんだ♪」ってうれしかったんです。かわいくて無邪気だし、誰にでも同じ態度だし……別に英里子ちゃんと比べているわけじゃないんですが(笑)、何度大学に落ちても諦めない努力家なのかなって思うし。

――あんまり勉強していない疑惑がありますけどね(笑)。

 それすらも楽しんでいる前向きなところがすごく好きです。サブは誰が好きですか?

――……パル姐さん。

 他にいないんですか?(笑)

――パル姐さん以外だと、針生くんですね。ちょうど針生くんの話が出てきたので、主人公以外の男キャラの話をしましょうか。サブの男キャラだと誰が好きですか? 針生くんはどうですか?

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▲針生蔵人

 針生くんは……いいです。やっぱり私はマスター! もう軽部狩男って名前がやばいじゃないですか!

――狩男の話は最初にしましたし、針生くんの話をしましょうよ!

 針生くんは別にいいです。タイトルが『俺たちに翼はない』だから、主人公たちの名前が空港に関係した苗字になっているって気づいた後に、マスターの軽部狩男っていうフルネームが出てきて、「えっ!?」ってなりました(笑)。「軽く羽ばたけるって意味があるのかな?」って思ったけど、プレイしていくとそういう意味はなさそうで。

『俺たちに翼はない』
▲軽部狩男の「移植前提でポルノが作れるかッ!」は伝説の名言です(笑)。

――おー! よく羽田、千歳、成田の空港名に気づきましたね。ちなみに針生くんはギャルゲーにハマるんですけど……。

 針生くんはもういいです。サブキャラだと翔とか森里くんもいいなって思いましたけど、やっぱりマスターがいるからこそ、毎日が楽しいんですよね!

――針生くんいいキャラなのになぁ……。キャラの話はここまでにして、ユカフィンさんが思う『俺たちに翼はない』の魅力ってどんなところだと思いますか?

 3つのルートの内容がどれも全然違って別の作品みたいに楽しめて、でも、みんな同じ柳木原の街で生きていて、それぞれいろいろな思いがあったり、恋をしたり。みんなの日常をのぞいているとすごく楽しいです。

 今までやったゲームは非現実的だったり、すごく悲しかったり辛かったり重かったりしたんですど、『おれつば』はリアリティがあって、どこかに「柳木原の街があるかもしれない」と感じます。読んでいてちょっとびっくりするところもあるんですけど、それすらもリアリティにあふれていて。物語を読んでいると本当に心地よくて、柳木原の街のみんなのことがどんどん好きになります。秘密を知ってからも「だからこうだったんだ!」って。でも「確かにみんなは柳木原の街にいるんだ」って思ったら、私も頑張ろうって前向きな気分にさせてくれるゲームでした。

 毎日柳木原の街に遊びに行きたいですね。ただ、最初は柳木原フレイムバーズ(※5)の3人には会いたくないって思っていたんですね(笑)。でもゲームを続けてみると、嫌な人がいなくて。このゲームを作った人は本当にすごいって思いました。いろんなジャンルのキャラを出してきて、ヒップホップとかの用語とかも勉強になるし、キュンとする淡い青春からアウトローな青春からいろいろ楽しめて、「こんな青春もあるんだな」って思いながら読んでいました。『おれつば』のシナリオは若い人が共感すると思います。

※5:柳木原フレイムバーズ……夜の柳木原で私設自警団を自称する不良グループ。通称YFB。成田隼人ルートでは、YFBともう1つのグループ“R-ウィング”の抗争が描かれる。

『俺たちに翼はない』 『俺たちに翼はない』

――行ってみたいですよね、柳木原。

 一緒に行きましょっか? ……ヤバイ、鷹志くんみたいになっちゃった(笑)。ある意味私たちも鷹志くんなんだって思いますよね。ゲームで毎日柳木原に行っていましたから。

――素晴らしいコメントですね。次のレビューで使います!

 “(C)ユカフィン”って書いておいてください(笑)。あと、音楽と衣装もすごくいいですよね。

――キャラデザの西又葵さんと言えば服のデザインですよ。

 ほんとすごいですよ。アレキサンダーのメイド服とか絶対に作ってほしい! 森田さん、一着お願いできませんか?

――今も私立美空学園の制服を着ていますよね。

 これはNavelさんからお借りしました。超カワイイですよね! こんな制服の学校があったら、どんなに難しい試験でも頑張って勉強して絶対受かります!!(笑)

――美空学園なので、たぶん試験は相当難しいですよ(笑)。それでは、今後のユカフィンさんの活動について教えてください。

『俺たちに翼はない』

 私たちアフィリア・サーガのデビュー5周年を記念するツアー“ヴィーナスと蒼き七つの海”が先日の台湾公演から始まりました。次から日本でのツアーになるんですけど、4月12日の名古屋を皮切りに、最後は5月17日のTokyo Dome City Hallでライブをやります。そのツアーにぜひ来ていただきたいです!

――もう5周年なんですね! 3月22日の台湾でのライブはいかがでしたか?

 初めての海外公演だったので「お客さん来るのかな?」って不安だったんですが、すごくたくさんのファンの方が来てくれてうれしかったです。皆さんMCの時には日本語で話しかけてくれるんです。一番驚いたのが、アンコールの時に「シュードーフ! シュードーフ!」っていうコールをしてくれて、「台湾ではアンコールのことをシュードーフって言うんですね」と聞いたら「違う、君たちがラジオでシュー豆腐の話をしていたからだ」って。台湾ではもともとアイドル文化が熱いので、情報を仕入れて臨機応変にすぐにやってくれるんですね。本当に歓迎してくれて感動しました。

――日本と同じ感覚ですね。私も毎年Live5pb.でライブを拝見しているのですが、アフィリア・サーガのステージは見ていて楽しいですね。

 アイドルはちょっと……みたいな方ももしかしたらいるかもしれないですけど、2.5次元だって自分たちでは思っています。アイドルとアニメの間みたいな感じで、きっとアイドルとはちょっと違うと思いますので、見てくれてアフィリアの世界を知ってくれたら、絶対好きになってくれると思います。ぜひ、1度ライブを見てほしいです。

――踊りがすごくよくて印象に残ります。CDを聴くのもいいですけど、ライブで見たいですよね。

 よく言っていただけるのですが、振りつけはラッキィ池田さんに担当していただいています。ラッキィ池田さんは振りのインパクトを大事にする人で、1曲の中に必ず1つは印象に残る動きが入っているんです。フォーメーションもすごくて、一個の芸術作品みたいな感じです。歌を知らなくても楽しめると思います。

――今後の踊りにも期待しています! それでは最後に『おれつば』を未プレイの人に向けたメッセージをお願いします。

 名作と言われる『おれつば』をプレイした感想は、「『おれつば』サイコー!」です。オールクリアまでに60時間かかるってすごく長いと思うんですけど、全然しんどくなくて心地よくプレイできます。柳木原の街で生活しているキャラたちが全員ステキで、プレイしていると「頑張ろう」とかハッピーな思いとかがもらえるので、ぜひプレイしてほしいです!


 ユカフィンさんのサイン入り『おれつば』クリアファイルを3名にプレゼントします。希望する人は応募フォームに必要事項を記入のうえ、『俺たちに翼はない』特集へのご意見・ご感想なども添えて応募してください。応募の締め切りは4月24日23:59。

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『俺たちに翼はない』

→『おれつば』羽田鷹志編レビュー&林田美咲ルートの感想はこちら!

→『おれつば』千歳鷲介編レビューはこちら!

→『おれつば』王雀孫さんインタビューはこちら!

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