2014年4月25日(金)
スクウェア・エニックスが4月24日に発売した3DS用ソフト『シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール』の開発者インタビューをお届けします。後半には『サガ』とのコラボや『シアトリズム』のシリーズ化に関する発言もあるのでお楽しみに!
さてさて、今回お話を伺ったのは、前作に引き続き本作でも開発を担当したプロデューサーの間一朗さんとディレクターの鈴井匡伸さん。前作のインタビューの時も熱い思いを語ってくれましたが、今回のインタビューでも開発秘話や細かい仕様の裏話などをたっぷりお聞きできました!
▲リズムアクションでありながらRPG的な要素も楽しめる『シアトリズム ファイナルファンタジー』の続編『カーテンコール』。キャラクター数は60人以上、収録曲数は221曲と、大幅にボリュームアップ! |
個人的に前作『シアトリズム ファイナルファンタジー』は数百時間遊び続けた大傑作のゲームです。当然ながら最新作『カーテンコール』は購入決定済みで、ダウンロード版で末永く遊ぶつもりですが、そんな自分が聞いてもワクワクするような熱い情報だらけでした。前作を遊んだ人はもちろん、前作が気になっていたけど買いそびれた人にこそ読んでほしい、数々の改良点をまとめたインタビューとなっています!
間 一朗:スクウェア・エニックスに所属する本作のプロデューサー。映像作品『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』、PSP用『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』、『ファイナルファンタジー ブリゲイド』などの開発に携わる。
鈴井 匡伸:インディーズゼロの代表取締役で、本作のディレクター。GBA用『千年家族』、DS用『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』、Wii U用『ファミコンリミックス』など多数のゲーム開発に携わる。
▲左はプロデューサーの間一朗さん。右はディレクターの鈴井匡伸さん。 |
――前作『シアトリズム ファイナルファンタジー』の発売が2012年2月16日だったことを考えると、約2年間のスパンがあったわけですが、いつごろから本作の開発が始まったのでしょうか?
鈴井:2年と聞くと長いように思えますが、実はほぼずっと『シアトリズム ファイナルファンタジー』に携わっていたんですよ。3DS版の発売後は追加コンテンツを作りつつ、海外版のローカライズに携わりつつ、iOS版を開発していました。
iOS版を配信したのが2012年の12月で、その追加コンテンツなども落ち着き始めたところから今回の『カーテンコール』の開発に入ったので……ずっと『シアトリズムFF』を作り続けていたようなものですね(笑)。
間:そもそも『シアトリズム ファイナルファンタジー』自体が『FF』シリーズ25周年記念の一環として制作したタイトルだったのです。
それに今でこそ皆さんに受け入れていただいていますが、当時は『FF』シリーズでリズムアクションを作るということ自体がチャレンジでもあったので、シリーズ化や続編の構想もありませんでした。
ソフト発売後に応援をいただいて続編を作り始めたケースとしては、かなり早いペースで続編をリリースできたのかなと思っています。
▲iOS版を含めて、2年間ほぼずっと『シアトリズム ファイナルファンタジー』の開発に携わっていたとのこと。 |
――『カーテンコール』というタイトル名はスムーズに決まりましたか?
鈴井:初期にはストレートに『シアトリズム ファイナルファンタジー2』という案もありましたし、開発コードでは外国語で“2”を表す名前をつけていました。
間:『シアトリズム』自体もそうなのですが、今回の『カーテンコール』も野村哲也が名付け親です。
――そこにはどのような意味やコンセプトが込められているのでしょうか。
間:『カーテンコール』という言葉通り、“今回で最後”、“終わりの終わり”をコンセプトとしています。
――ええっ!? もう『シアトリズム』シリーズは終わっちゃうんですか!?
間:少なくとも『シアトリズム ファイナルファンタジー』というシリーズは本作で最後となります。
▲『FF』をテーマとしてアイデアを詰め込んだ『シアトリズム』は、『カーテンコール』が決定版となる。 |
我々の考え方として、『シアトリズム』は単なるリズムアクションではなくて、テーマとするゲームの雰囲気やネタを盛り込んで、そのシリーズ作を振り返ったり懐かしく思い出すキッカケとしてもらえるようなものを目指しています。
そう考えた時、『ファイナルファンタジー』シリーズについては、今回の『カーテンコール』で『シアトリズム』としてやるべきことをすべて詰め込んで決定版にすることになったんです。
鈴井:前作『シアトリズム ファイナルファンタジー』を作った時にもベストを尽くしたつもりですが、発売後の皆さんの反響を受け、自分たちで作品を遊び直すことで、いろいろと調整したい部分はありましたので。
そういう意味では、iOS版を作っている時を含めてアイデアを熟成させるだけの時間をいただけた形となるので、結果的にはよいスパンでの続編開発になったと思います。
――ちょっと意地悪な言い方になってしまうのですが、『カーテンコール』が発表された時に、前作をベースに追加コンテンツだった曲をまとめただけの廉価版じゃないかと感じました。のちにさまざまな新要素が発表されて、廉価版ではなく新作だと思い直しましたが、システムやグラフィックを流用できることを考えると、作業的にはかなりスムーズだったのでは?
鈴井:うーん(苦笑)。そう見える部分もあるかもしれませんが、実は前作から流用している部分はほとんどなくて、大部分を作り直したり仕様レベルで調整したりしているんですよ。
▲前作と同じように見えても、実は内部データ的には大部分を調整したとのこと。その理由とは? |
――えっ? たしかに前作よりもギミックは増えているように感じますけど、何が理由だったんですか?
鈴井:インターネット対戦って、ものすごく手間がかかるんですよ。技術的な問題や検証の手間暇もかかりますし、将来的に海外でのワールドワイドな通信対戦を考えるとインフラやゲーム内の仕様についても考慮をしないといけません。
それに加えて、前作『シアトリズム ファイナルファンタジー』で実現した60フレーム(1秒間に描画される枚数のこと。フレーム数が多いほど、なめらかに見える)での立体視については、絶対に『カーテンコール』でも実現したいと思ったんです。
――たしかに以前のインタビューでも、普通のゲームでは立体視演出をする場面では30フレームに落とすところを60フレームを死守したと熱く語っていましたね。
▲最初の課題は通信対戦で、そのためにプログラムを組み直したとのこと。 |
間:その時にも似たようなことを言った覚えがあるんですけど、鈴井くんは自分でハードルを上げていっちゃうんですよね。
あえて大変な修羅の道を選ぶといいますか。もちろん、だからこそできあがったもののクオリティが高くなるので、お願いしている側としてはまったく文句はないんですけど(笑)。
鈴井:だって、その道の先に求められているものがあることが多いじゃないですか。
そんなわけで、インターネット対戦中でも立体視での60フレームを実現するために考えたことが、プログラムを組みなおして描画の仕組みを変えることだったんです。
――なるほど。本当に根本の部分から作り直していたんですね。
▲試行錯誤の甲斐あって、通信対戦でも立体視の60フレームを実現! |
間:あれはちょうど、昨年9月の東京ゲームショウ2013の開催中のことでした。鈴井くんからインターネットでの通信対戦を実現できることが確定したと聞いて、それをステージで発表したんですけど……それが昨日のことのように思い出されますね(笑)。
――あの時は対戦に負けた約束で、間さんが髪をピンク(=ライトニングヘアー)にしたり、半分刈り上げたほうの髪の毛に『新生FFXIV』の“XIV”の文字を入れたりしてましたね(笑)。
――前作には『FF』ファンの思い出を刺激するネタが詰まっていましたが、今回はいかがですか?
間:コレカの裏の解説文の他、今作にもガッツリと “ファイナルファンタジーあるある”的なネタをご用意しています。
――前作もそうでしたが、背景のデザインもこってましたからね。以前のインタビューでも、日替わりで背景の滝が流れたり止まったりと、試行錯誤をしていたという話がありましたし。
鈴井:そう言われると思って、背景データ担当に本作の背景の見どころに関するコメントをもらっておきました(笑)。
●マトーヤの洞窟(FFI)
往年のファンにはおなじみの“ほうき”のオブジェクトが登場します。
●星降る峡谷(FFVII)
さりげなくですが、レッドXIIIの父であるセトがいます。探してみてください。
●Selbina(FFXI)
背景にゴブリンのオブジェクトを配置するなど、『FFXI』プレイヤーの思い出を刺激するネタを盛り込みました。
●ヒストリアクロス(FFXIII-2)
存在感や見栄えにこだわりました。他の背景と比べてかなりイレギュラーな仕上がりとなっています。
――既存の背景についても、大小さまざまな変更がかけられているんですね。
鈴井:原作をうまく再現している背景も多いので、プレイする際には背景の小ネタも意識してもらえるとうれしいですね。
『FFVI』の“ティナのテーマ”の背景は今回は雪山になり、ファンにおなじみの吹雪のエフェクトも追加して、原作の雰囲気を再現しています。
間:背景に仕込んだギミックや効果音の使い方、キャラごとのアビリティなどを含めて、徹底的に“このゲームが『FF』たるものになるには、どうすればいいのか”を突き詰めて作っていきました。
細かい選出や仕掛けにこだわってこその、『シアトリズム』だと考えています。
▲背景のオブジェクトにも数々の小ネタが。ふとした拍子に気付いて、思わずニヤリとしてしまうことも! |
鈴井:今回はインターネット対戦もあるので、序盤に開発スタッフを増やして、最初に重い部分を終わらせようというスケジューリングだったんですけど、結果的には序盤に大量に投入したスタッフがそのまま最後まで作り続けていました(笑)。
インターネット対戦の終わりが見えてきたと思ったら、次の山としてクエストメドレーの作り込みが始まりましたからね。
間:1つの要素を作り込み終わると、今度は別の部分をブラッシュアップするという流れの繰り返しでした。
――クエストメドレーは冒険感があって、1人プレイでのやり込みが楽しそうです。
▲マップを移動しながらフィールドやバトルの曲をプレイしていくクエストメドレー。 |
鈴井:フィールドとダンジョン、それぞれの場面にあわせた楽曲をプレイしながら冒険を進めていけるので、疑似的にゲームを追体験しているような流れで遊べると思います。
クエストメドレーを遊ぶことで、新たな曲との出会いもあると思いますので、ぜひ何度もプレイしてほしいですね。
間:クエストメドレーの地図はすれちがい通信で配信できます。アイテムを使うことでクエストのマスの曲を変えることもできるので、たとえば「全曲を『FFIII』でそろえた地図を作りました!」みたいな楽しみ方もできます。
――ちなみに収録曲数は221曲とのことですが、この数字に何か意味はあるのでしょうか?
鈴井:ええと、それは主に間さんのせいだと思います(笑)。開発を進めていくうちに新しい曲が発表されたり、スタッフ内でこの曲も必要だと意見があったりして、徐々に徐々に増えていきました。それでも最終的には220曲というきれいな数だったんですが……。
間:ごめんなさい。自分が数え間違いを……(笑)。生放送で『新生FFXIV』からの収録曲は9曲だと発表しまして、僕自身もそう思っていたんですけど、実はそれは調整中の追加コンテンツの候補楽曲を含めた数だったんですよ。
公式の場で発表してしまった手前、鈴井くんにお願いして9曲を本編に収録することを決定しました。その結果、1曲分あふれて全221曲となりました。
▲ナンバリングタイトルはもちろん、外伝的な作品からの収録曲も増えているとのこと。 |
――たしかに今回のトレーラーを見ていると、前作よりも収録曲数が圧倒的に多いことが実感できて楽しみです!
間:200曲以上を用意しているとはいえ、やはり長く遊んでもらいたいので、たくさんの曲を楽しんでいただけるよう、さまざまな工夫をこらしました。
例えば今回は、曲の検索や管理をすごくやりやすくしています。お気に入り登録などもできますし、ゲームを起動した後にショートカット的にお気に入り曲へ直接進める仕組みなんかも用意しています。
鈴井:“バトル1”なんて同じ曲名がたくさんありますし、自分が遊びたい曲に素早くアクセスできるように、検索周りのシステムは充実させています。
▲膨大な曲の中から遊びたい曲を探せるように検索機能を充実させたという。 |
ちなみに曲が多すぎて困るという人のために、曲をランダムで選ぶ“ランダムチョイス”というボタンの他、“本日のオススメ!”も設定しています。その曲を遊ぶと、普通よりもリズポを獲得しやすくなるので、悩んだ時は特にオススメです(笑)。
この“本日のオススメ!”は現実のカレンダーと連動しているので、同じ日に全プレイヤーに同じ曲がオススメされることになります。スコア自慢や曲の思い出など、SNSで知り合いと語り合うのもおもしろいと思いますよ。
――『体験版1』を遊んだところ、同じ“シーモアバトル(『FFX』)”でも前作とは長さや演奏部分が異なっていました。他の曲でも、こういった調整を行ったのでしょうか。
鈴井:大小いろいろ変更が加えられています。大きな部分では、前作でEMS(イベントミュージックステージ)だった曲は人気の曲が多く、違うMSでも遊べたら……ということで、基本的にFMS(フィールドミュージックステージ)かBMS(バトルミュージックステージ)に変更しています。
これは前作との差別化の意味もあるのですが、EMSは懐かしのシーンをムービーで楽しむ意味合いもあるので、今回のEMSは『FFXIV』を除くナンバリングタイトル以外の外伝系の曲やムービーを中心に構成しました。
間:リズムアクションというジャンル上、1曲をあまり長くしすぎても厳しいので時間的な制約はあるのですが、その中でも遊んでくださる方の納得がいく部分をクローズアップする調整はじっくりと行っています。
▲前作の収録曲を調整しているケースも多いようだ。 |
鈴井:その結果、譜面を細かく調整した曲も多いです。“妖星乱舞(『FFVI』)”もトリガーの位置を見直して、プレイした際の密度感をアップしました。
――『カーテンコール』には追加コンテンツを含む前作の収録曲がすべて収録されているのでしょうか。
間:先ほどの話のようにEMSから別の形となり譜面が変わった曲もありますし、一部の曲は再録していません。そのため、厳密には完全収録ではありませんが、実際にプレイする感覚としては前作の曲はほぼすべて入っていると感じていただけるレベルだと思います。
▲公式サイトでは収録曲のリストを公開中。試聴ができる他、前作と比べて長さが変わったかどうかなどもチェックできる。 |
――221曲もあると、自分のお気に入りの曲がいつ遊べるようになるのか少し心配になります。前作はゲームをプレイするともらえるリズポを溜めることで曲がアンロックする形が主流でしたが、今回はどうですか?
鈴井:リズポで解放される曲もありますが、大部分の曲は数時間ほど遊べばオープンされるぐらいのバランスです。
やっぱり遊んでくださる方には自分の好きな曲を遊んでいただきたいと思いましたので。特に今回は曲数が曲数ですし(笑)。
間:具体的には、ゲーム開始時にパーティメンバーとして4人のキャラクターを選ぶんですけど、そのキャラクターに対応した作品の曲が最初からオープンしている形です。こうして自分のお気に入りの作品の曲を遊ぶうちに、別作品の曲がどーんとまとめてオープンしていく流れですね。
▲最初に選んだキャラクターによって、最初から遊べる曲が決まる。 |
鈴井:ちなみに今回は、3種類の難易度の譜面も最初からオープンしています。前回は“基本”をクリアすると“熟練”がオープン、“熟練”をクリアすると“究極”がオープンと、ステップを踏んでいく流れでしたが、今回の曲数を考えると、そのステップを必要としない方が多いだろうという判断です。
――曲数もそうですが、今回はキャラクター数も多いので、全キャラクターを仲間にするのは大変そうな気が……。
間:ご安心ください。それについては新しい仕組みを用意しました。今回はキャラクターの人数が多いので、ストレスのないような方式に変更を行いました。
鈴井:基本的な増やし方は前作と同じで、“クリスタルの欠片”を集めると、その色に応じたキャラクターが仲間になる流れです。ただ、今回は1つの色に複数のキャラクターが対応しており、そこから1人を選ぶ形です。お目当てのキャラクターを仲間にしやすいですし、クリスタルの色の種類が減ったことで、コンプリートもしやすくなったと思います。
▲前作同様、キャラクターを育成したりアビリティをカスタマイズしたりするRPG的な楽しさは健在。 |
間:今回、キャラクターを増やした理由の1つが“同じ作品で4人パーティを組めるようにしたい”という狙いが現場にあったからです。たしかにその通りと考えまして、それを極力叶えられる形でキャラクター数を調整していきました。
鈴井:いろいろと調整した結果、『FFIV』から『FFXIII』までは同作品内で4人パーティを組めるようになっています。
――コレカでキャラを強化する“コレカクリスタリウム”が追加されましたが、キャラクターの育て方は前作と比べて変わりましたか?
鈴井:基本的には前作と同じように曲をプレイすると経験値が入ってレベルアップする仕組みです。“コレカクリスタリウム”での強化は、レベルアップとは別でステータスに上乗せされていくので、やろうと思えば全ステータスが最大値のキャラクターを育成することが可能です。
これに加えて今回は、キャラクターのレベルを99まで上げると初期化を行うこともできます。初期化をするとアビリティの装備条件であるCPの限界値が増えます。また、“コレカクリスタリウム”での強化分は引き継がれるので、思い入れが深いキャラクターをとことん育成したい人にはオススメです。
▲強化に使ったコレカはなくなるが、カードバインダーには登録される。いつでもカード内容を見られるので、安心して強化に使おう。 |
間:もちろん、最強キャラクターを作らないとクリアできないわけではありません。ただ、今回は221曲もあるので、いろいろな部分で長く遊べる要素を用意して、リズムアクションとして遊ぶだけのゲームにならないようにしました。
イメージとしては、リズムアクションとして楽しく遊び続けてもらいつつ、それと同時にキャラクターの育成も長く続けられるようなバランスにしたかったんです。
――キャラクターのアビリティも調整をしていますか?
鈴井:なんだかんだ、今回は200種類以上のアビリティを用意しています。キャラクター数が増えると、それに応じた固有のアビリティも追加したくなりますし、どうしても増えていっちゃいましたね(笑)。
パラメータの種類も、前作が4種類だったのに対して、今回は6種類に増やしています。
――細かいけれども、実はブラッシュアップしているシステムやインターフェースがあれば教えてください。
鈴井:前作では購入した追加コンテンツの曲は曲選択画面でイントロが流れなかったんですけど、今回は流れるようにしています。メロディは覚えているけど曲名はあやふやという方はけっこういるので、前作から対応したかった部分でしたが、その当時は技術的な課題で実現できず……。今回は対応できてよかったです。
インターフェース部分も細かに変えています。トリガーの形についても、より直感的にわかるようにトリガーのデザインを変えています。
それから実はプレイ後のリザルト画面もほぼ全部作り直して、情報を見やすくしています。例えばキャラクターのレベルアップ演出なんかも一覧表示に近い形にしたことで、よりスムーズに遊べるようになっています。
▲リザルト画面も細かく調整。よりテンポよく遊べるように調整されている。 |
間:リザルトをスキップできるタイミングなども改良されているので、前作よりも確実にテンポよく遊べますね。
鈴井:遊んだ方からの要望をフィードバックした部分の代表格は、リズポの単位を1ケタ増やして99,999から999,999にしたことです。
前回はRPG的な考え方から“カンストできることがゲームの楽しさに通じる”と判断して、それなりたタイミングでカンストできるバランスにしていたんですが、実際に遊んだ皆さんからは“数字がカンストするとゲームが終わったように感じてしまう”、“リズポが途中で止まってしまうのがさびしい”、“もっと延々とゲームを遊んでいたかった”という声が多かったんです。
間:1ケタと聞くと少なく感じるかもしれませんけど、単純計算で10倍になるわけですから、そうそう簡単にカンストできないと思いますよ。
――それに応じて、リズポでもらえるご褒美も増えているのでしょうか?
鈴井:かなり増えています。増やしすぎたかもしれません(苦笑)。
というのも前作のようなプロフィカのイラストなどに加えて、本作ではタッチ成功音のカスタマイズも用意しているからです。ご褒美の種類が増えたので、リズポを溜める楽しさも増えたと思います。
▲タッチ成功音を変更できるようになった。普段と違う雰囲気でプレイ可能だ。 |
間:“ケアルでの回復音”とか“ドアを開けた時の音”とか、懐かしの音をたくさん用意しています。ちなみに個人的な要望でレジスター音というか、アイテムの購入音を入れたんですけど、実際に遊んでみたら“カシャカシャーン! カシャカシャーン!”と、かなり新しかったです(笑)。
鈴井:リズポのご褒美のタッチ成功音は抽選制にしているので、遊んでいる人によって入手できる順番が異なります。ユニークなタッチ成功音を早めに入手できると、友だちに自慢できるかもしれませんね。
――ちなみにカンストするとご褒美はありますか?
鈴井:何もないというのもさびしいので、ちょっとしたものは用意しています。ただ、プレイ時間的にカンストをする前提としてバランスを考えたわけではないので、あくまでおまけ的なものです。
間:ご褒美を目当てに無理にカンストを目指すわけではなく、たくさんの曲を毎日ちょっとずつ遊んでいたら結果的にカンストしてご褒美をもらえた、というくらいのスタンスで遊んでもらえるとうれしいですね。
▲リズポを溜めると、プロフィカ用のイラストなど、さまざまなご褒美をもらえる。 |
――操作方法について、タッチ操作だけでなくボタン操作ができるようになった部分も大きな変化だと思いますが、これもリクエストに応えた形でしょうか。
間:リクエストの声も多くいただきましたが、そもそも我々としても一作目の制作時から検討していた部分でした。やっぱり、通勤や通学中に電車の中で遊ぶ時には、ボタンでも操作できたほうがよいですよね。
鈴井:寝そべって遊ぶ時もボタン操作のほうが便利ですしね(笑)。間口を広げるためにも遊び方を固定しないためにも、ボタン操作を導入する意味は大きいと思ったので、開発の早い段階で実装を行いました。
リズムアクションパートだけでなく、メニュー全般で、タッチでもボタンでも、どちらでも自由に操作できるように設計しました。
――リザルト画面では、タッチ操作かボタン操作かハイブリット(タッチとボタンの混合プレイ)かと、プレイヤーのプレイスタイルまで表示されるのでビックリしました。
▲“ワンハンドスタイル”はLボタンとアナログパッドだけでプレイした際のスタイル。ちょっと操作が難しくなるので、ハンデを付けて対戦する時にもオススメとのこと。 |
鈴井:その3種類に加えてもう1つ、Lボタンとアナログパッドだけでプレイする“ワンハンドスタイル”があります。これはちょっとした通信対戦の際のハンデ的な意味も含めて作ったものです。
リズムアクションってどうしてもプレイヤー同士の腕前の差が如実に出ますし、越えられない壁もあると思います。そういった時に“ワンハンドスタイル”を用意することで、得意な人と苦手な人が共存できる対戦の楽しみ方があるかもしれないと思ったんです。
間:それともう1つ、スーパープレイ的な意味もあります。リザルト画面を見た時に、「えっ!? こんなに高いスコアをどうやって“ワンハンドスタイル”で出したの!?」なんて驚く瞬間があってもおもしろいですからね。
――すれちがい通信などで交換できるプロフィカについてはいかがですか?
鈴井:前作は裏表の2ページ構成でしたが、今回は裏面だけで5ページもあります。それだけ詳細な記録を他のプレイヤーと交換できるようになっています。
▲すれちがい通信などで交換できるプロフィカには、曲のプレイ回数やキャラクターごとの使用回数など、さまざまなデータが記録される。 |
鈴井:今回はインターネットでの通信対戦を終えた後に自動的にプロフィカを交換できる仕様になっています。すれちがい通信だけだと、どうしても遊ぶ時期や地域によって交換しにくいことがあると思いますけど、インターネット通信にも対応したことで、よりたくさんの方と交流を深められるようになっています。
間:対戦といっても、ガチでのランキング争い的なものではなく、楽しく一緒に遊ぶことを前提として考えています。対戦を終えると勝者が2枚、敗者が1枚と、どちらもコレカをもらえるので、負けたとしても希少なコレカを入手できる可能性があります。
▲対戦後は、3枚のコレカを勝者から順番に1枚ずつ入手していく。運がいいと、負けても強力なカードをもらえることも! |
――通信対戦を行う際、開放されていない追加コンテンツの曲を使っても遊べるのでしょうか?
鈴井:曲については、双方の本体にデータがないものは遊べません。逆に双方にデータがあれば、通信対戦でも問題なく遊べます。
――その他、注目してほしい仕様変更部分はありますか?
鈴井:新要素の1つであるクリティカルヒットトリガー(タッチに成功すると通常よりも大ダメージを与えられたり、移動距離がのびたりする)なんですが、実はこれの表示場所はランダムです。そのため、同じ曲を何度もプレイしてもうまくアクセントになると思います。
▲クリティカルヒットトリガーは激しく光っているので一目でわかる。このトリガーで入力を成功するとクリティカルヒットが発生! |
間:クリティカルヒットトリガーはリズムアクションとしてのスコアには影響しませんが、BMSで敵を倒せるかどうか、FMSで質がよい宝箱を入手できるかどうかなどにかかわってきます。
ボスクラスの敵とのギリギリの戦いの中でちょうどクリティカルヒットトリガーが流れてきて、その一撃でうまく撃破できた時は熱いですよ!
鈴井:ちなみに今回、そういった感動をシェアできるようにリザルトなどのメニュー画面にスクリーンショット機能も搭載しています。すごい記録が出た時やレアな敵を倒した時など、画面写真を撮影して、知り合いに自慢する時に使ってください。
あとは、すごく細かいところとして、上下にスライド操作をした際のトリガー音を調整しています。上にスライドすると少し高く、下にスライドする少し低い音になります。これはもう、長くプレイしていくとちょっと聞き分けられるようになるレベルの小ネタですけどね(笑)。
間:細かい調整点をあげるとキリがありませんが、前作でいうところの“すっぴんルート(アビリティなどをセットせずにプレイすると、フィーチャーゾーンといった特殊なルートが出現せず、純粋なリズムアクションとしてプレイできるようになること)”はオミットさせていただきました。ただ、獲得できるリズポが増える“すっぴん”ボーナスは残してあります。
――『シアトリズム エディション』3DSLLのデザインなどについて、裏話がありましたら教えてください。
鈴井:メインビジュアルをシルエット風に落とし込むことが、想像以上に難しかったですね。
間:モンスターオクトパスさんにお願いしたメインビジュアルが素晴らしかったので、そういう意味ではとてもスムーズに進んだと思います。
全員集合のイメージでご相談したんですけど、まさか正面を向いて手をつないでいるとは! これがもうかわいくて、上がりを拝見した時は、スタッフ一同大はしゃぎでした。
いかにもカーテンコールという絵ですし、だから限定版などをやるとしたら、このメインビジュアルだろうと最初から決めていました。
▲キャラクターたちが手をつないで歌う姿が印象的な『シアトリズム エディション』3DSLL。付属のSDカードに『カーテンコール』のダウンロード版が保存されている。 |
鈴井:僕はもう予約しました!
間:お店によってはまだ手に入るようですので、デザインが気になった方はぜひよろしくお願いします。
――ソフト発売後の追加コンテンツの展開はどのようになるのでしょうか。
間:今回の開発スケジュール的に実現が難しかった曲を中心に展開していく予定です。特に外伝系の作品の曲は、『カーテンコール』を遊んでくださる方の要望を聞きながら積極的に検討してきたいと思っています。
――『サガ』シリーズとのコラボを行うことになった経緯について教えてください。
間:『サガ』シリーズが好きなスタッフがいまして、それこそ『シアトリズム サ・ガ』みたいなものをやれたらいいねと冗談めいて話すこともあったんですけど、出発点はそういう気持ちからです。とりあえず、やれるとこまでやってみようと。
やれるかどうかはわかりませんでしたが、河津や伊藤賢治さんに話をしたところ、ちょうど『サガ』が25周年ということもあって、スルスルと話が通っていき、スムーズにコラボが決まった感じです。
――『シアトリズム ロマンシング サ・ガ』……実現したら喜ぶ人も多いと思います!
間:まだ『シアトリズム』は『ファイナルファンタジー』シリーズとしてしか展開していないタイトルですから、いきなり別シリーズを扱うことに関しては、慎重な判断が必要です。
ただ、何もしないとそれこそ可能性自体が生まれないので、今回は追加コンテンツとして扱った形です。ここでの皆様の反応によっては、追加コンテンツでの配信曲数が増える可能性もありますし、それこそ別シリーズの新作として『シアトリズム』を発表できる日が来るかもしれません。
鈴井:個人的にはぜひやりたいです。RPGには名曲ぞろいのものが多いですからね。
ですが、我々が考える『シアトリズム』は単なるリズムアクションではなくて、その作品の世界観や雰囲気をしっかりと再現したものです。だから仮に『ロマサガ』をモチーフにした『シアトリズム』を作るとなると、『FF』でいうアビリティは『ロマサガ』ではどんな要素に置き換えるべきなのか、『ロマサガ』で作るなら“閃き”のシステムをどんな形で再現するべきなのかなど、考えるべき部分がたくさんあります。パーティ人数だって違いますしね。
単に『シアトリズム ファイナルファンタジー』の曲とグラフィックを置き換えただけで他の作品の『シアトリズム』と名乗っても、それは今まで遊んでくださった方が満足しないような気がします。
▲現在発表されている『ロマサガ』とのコラボ曲はBMSで遊べる『ロマンシング サ・ガ3』の“四魔貴族バトル1”と、FMSで遊べる『ロマンシング サ・ガ』の“下水道”の2曲。 |
――たしかにそうかもしれません。ちなみにインタビューの最初に、『シアトリズム ファイナルファンタジー』は本作で最後となるとのことでしたが、『FF』以外のゲームをテーマとした『シアトリズム』が展開する可能性はあるのでしょうか。
鈴井:『シアトリズム』という枠組みには可能性を感じますので、もっといろいろとチャレンジしていきたいですね。
間:応援してくださっている皆様の声もたくさん届いていますので、それに応えられるように頑張ります。
▲次はどんなタイトルの『シアトリズム』が遊べるのか? そのためにも『カーテンコール』を遊んで、開発スタッフへの応援&希望作品のコメントをスクウェア・エニックスに送ろう! |
――電撃の編集部にも『シアトリズム』ファンが多いので、シリーズ化を目指す言葉が聞けてうれしいです! 最後に本作に期待するファンへのメッセージをお願いします。
鈴井:今作のテーマの1つとして、前作を買おうか迷っているうちに購入するタイミングを逃してしまったという人に今回こそ手に取ってもらいたいという気持ちがありました。タッチ操作オンリーだから自分はちょっと、という声に対してボタン操作を導入したり、もっと曲数が欲しいという声に応えて曲数を増やしたりしています。ナンバリングタイトル以外の曲が遊びたいという声も多かったので、そこにも対応しました。
それから、『FF』の音楽は大好きだけど、リズムアクションが得意じゃないから手を出しにくいという声も聞きますが、『シアトリズム』はRPG的な成長要素も強い作品です。キャラクターを育てて便利なアビリティをセットすれば、アクションが苦手でもクリアできる作りになっています。1人用としてじっくり遊べるクエストメドレーも用意していますので、RPGが好きな人にもじっくり遊んでもらえるとうれしいです。
▲通信を介した他プレイヤーとのコミュニケーション要素も存在。要素がたっぷり詰まった作品なので、リズムアクションが苦手な人でも楽しめるはず! |
間:『シアトリズム ファイナルファンタジー』はリズムアクションであり、ちゃんと『ファイナルファンタジー』として作り上げた作品です。コアな『FF』ファンの方はもちろん、最近はゲームを離れている元『FF』ファンの方にも、懐かしみながら楽しんでもらえると思います。
リズムアクション好き、RPG好き、『FF』好きと、どんな人にも楽しんでもらえるように作りましたので、ぜひ一度手に取ってもらえればと思います。
▲『体験版1』では、“シーモアバトル(『FFX』)”、“クリムゾンブリッツ(『LRFFXIII』)”、“静穏の森(『FFXIV』)”の3曲がプレイ可能。 |
▲『体験版2』の収録曲は“エドガー、マッシュのテーマ(『FFVI』)”と“闘う者達(Piano Version)(『FFVIIAC』)”。この体験版を遊ぶと、製品版で選べる初期メンバーの種類が増える。 |
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