2014年5月9日(金)
ごく一部のおひさしぶりな方を除いて、皆さんはじめまして。バオウ中里と申します。込み入った挨拶は抜きに、自分語りは最後に回して、早速レビューしていきましょうか。
対戦格闘ゲーム、いわゆる格ゲー。皆さんは普段プレイされていますか? 実のところ、オレが対人戦をするほど格ゲーをやり込んだのって、「’90年代前半が最後じゃないか?」ってくらい昔なんすよ。しかも、ハマっていた当時から対戦はクソ弱くて、アオりプレイをくらっては台パンして帰るというみっともない弱プレイヤーでして。その辺は20世紀の時代性と若気の至りってことで見逃してくだせえ。最近はたまにニコ生放送で格ゲー大会を視聴したり、プレイ動画を観たりするくらい。もはやオレにとってアーケードの格ゲーは“観るもの”だね。
そんなオレがレビュー&攻略をするのが、バンダイナムコゲームスから配信されたiOS『ソウルキャリバー Unbreakable Soul(以下、SOUL-US)』。さまざまな武器の使い手が戦う3D格ゲーの人気シリーズ『ソウルキャリバー』のシリーズ最新作だ。
前振りの文章がそれで大丈夫かよ、というツッコミがあるかと思うけど、もちろんやるからには大丈夫な理由があるわけで。その辺りを中心に、このゲームのシステムや魅力を解き明かしていこう。
※記事中のゲーム画面などは開発中のため、正式リリース版では変更される可能性があります。
歴代『ソウルキャリバー』シリーズの登場キャラクターが勢ぞろいする格闘アクション。プレイヤーはカサンドラとエッジマスターに導かれ、あまたのステージを闘い抜きながら、ソウルエッジの欠片を巡る物語に身を投じる。
本作最大のポイントは、画面下部に提示されるカードをタップすることで技を繰り出せる操作システム。まさに“指一本で戦える”システムに変化したことで、「キャラクターは好きだけど、ヘタだから対戦するのはちょっと……」という人でも戦える、間口の広い格闘アクションを実現したのだ。
シリーズを彩ったキャラクターは150種類以上のアバターとして登場し、200種類以上の武器と組み合わせて、自分だけの格ゲーキャラにカスタマイズすることが可能。戦闘で獲得したアイテムなどを用いてアバターと武器を強化し、さらなる強敵に立ち向かえ!
▲ビジュアルもハイクオリティな3Dを実現。オレはiPhone4Sでプレイしたけど、ここまで“格ゲーしている”のなら画面の大きいiPadで遊んでみたいね。 |
▲スタンダードクエストはいわゆるストーリーモードに相当する。シリーズの人気キャラクター・カサンドラとともにソウルエッジの欠片を求めて各地を旅し、現れる敵と戦うのだ。 |
改めて『SOUL-US』の操作を説明しよう。画面下に“コマンド”と呼ばれるカードが5枚並べられていて、このうち1枚をタップするとスタックエリアに送られる。そして、残りのコマンドは左にスライドして空きを埋め、右端に新たなカードが補充されるのだ。スタックエリアにはコマンドを最大3枚まで配置でき、送った順番通りに技を出すという仕組みだ。
カードがスタックエリアに送られていない間、プレイヤーキャラは自動で敵の攻撃を防御し、間合いを調節するよう動いてくれる。プレイヤーはカードを出すタイミングに集中できるというわけだ。武器やフレンドのスキルなどコマンド以外の要素もあるが、いずれもタップで使用するので「指1本で戦える」という看板に偽りは一切ないのだ。
また、基本コマンドはHスラッシュ(赤・横斬り)、Vスラッシュ(黄・縦斬り)、キック(緑)の3種類があり、同一種類のコマンドが3枚並ぶと、合体して威力の高い“アドバンスドコマンド”へと進化。異なる種類のアドバンスドコマンドを並べるとさらに強力な“チャージコマンド”へと進化するのだ。技を繰り出しつつ、より強力なコマンドへの進化を狙っていくのが、格ゲーの超必殺技ゲージのためっぽいね。
あ、ひょっとして、ここまで読んで「本当にちゃんと格ゲーっぽく戦えるの?」って不安を持っちゃった? それがね、できるのよ! 蹴りで浮かせて連続攻撃とか、ダウンさせた相手に追撃とか、敵の大技をスカして反撃とか。格ゲーでよくあるシチュエーションをちゃんと実践できるってすごくない!? タップのタイミングに集中できる分、格ゲーをやっていた時代よりも成功率が高いかもしれない。意図したアクションをイメージ通りに行える。しかもシンプルな操作で。当たり前なようで難しい仕様を実現している点には素直に拍手を送りたいね。
▲画面下部のコマンドをタップすると使用したタイプに応じた攻撃をする。赤が横斬り、黄が縦斬り、そして緑がキックで、それぞれに長所と短所がある。 |
▲同じコマンドが3つ並ぶと1枚のアドバンスドコマンドへと変化! これを攻撃に組み入れてもいいが、チャージコマンドへと進化させるのもアリ。強力な必殺技を放つタイミングが勝負の分かれ道か!? |
▲これだけのアクションをタップのみで行えるのは視覚的に満足感が高い。ステージ外に落とすリングアウト勝利も用意されているので、リング端での攻防も熱いぞ! |
前述した通り、プレイヤーキャラとなるアバターは150種類も存在。これにより、作品のナンバリングによるキャラ性能の違いすら再現できる。「オレ、このキャラは『II』のバージョンが好きなんだよね」みたいなこだわりが追求できる辺り、バンナムさんはわかっていらっしゃると率直に思う。武器も同様に細分化されている。
アバターと武器はガシャで入手でき、アバターは“アバタースフィア”、武器は“ウェポンメダル”という交換用アイテムを集めて回せる“FREEガシャ”の対象。有料アイテムの“Gem”を使用する“パックガシャ”も用意されている。また、プレイヤーが最初に選んだキャラのアバターは、アバターが設定されていない“ブランクカード”+“エナジーストーン”と引き換えに、ランダムで別のアバターに変更できる。
ヘルプを読まず、チュートリアルもさくっと進めてしまうと見落としがちなのは、プレイヤーキャラが3人1チームでデッキを構成していることだ。3人を先鋒、中堅、大将という感じに配置し、先鋒なら1~3ラウンド、中堅なら4~6ラウンドというように担当ラウンドが決まっている。これを忘れていると、4ラウンド制のステージに初挑戦した時、「あれ? 突然キャラ変わったんだけど?」と面食らうことになるので要注意。また、アバターや武器は他のカードと合成でき、R以上の同一カードであれば “共鳴”という合成も行える。この辺りは一般的なゲームアプリと同じ感覚で触れるはずだ。
▲完全な同一カードでなければ、同名のアバターや武器を複数セットできる。キャラへの愛を反映させるもよし、あくまで性能重視でこだわるのもいい。ちなみに先行プレイ時の実装キャラは17人だった。 |
▲FREEガシャも当選確率が明示されていて、リストでは1%の確率でSRを入手するチャンスがあった。やり込めば無課金でもSRが手に入りそうな設定にモチベーションも高まる。 |
▲初期のデッキでは2番手以降のアバターが最低のNランクと心もとない。ガシャやカードクリエイトで高性能なアバターや武器を入手したら積極的に入れ替えよう。獲得EXPは3人全員に振り分けられるので、成長途上のアバターは3番手に配置してクリア時のEXPだけ獲得して育てるのもアリだ。 |
『ソウルキャリバー』シリーズのキャラクターはそれぞれ専用武器を使用し、その設定は『SOUL-US』でもきちんと生かされている。しかし、考えてみよう。「強い装備を手に入れたのに、別キャラ武器だから使えないじゃん」ってなったらもどかしいよね。そういった悩みを解決させてくれる(かもしれない)のが“流派開放”だ。
“流派”とは簡単に言ってしまえば“武器を扱える技能”。どのアバターも初期は自分の流派しか使えないが、“流派開放”で別のキャラの流派を開放すれば、開放したキャラの武器も装備できるというわけだ。開放される流派はランダムなので思い通りにはなるとは限らないが、武器が無駄になる可能性は軽減されるし、なによりアバターと武器の組み合わせの妙に底がない!
無骨な男性キャラが女性キャラの武器をなんとなく色っぽく振るったり、逆に可憐な女性キャラが巨大な斧を力強くブン回したりと、まずモーションそのものを鑑賞するのが見ていて楽しい。もちろん別キャラの武器を装備させてみたら意外に似合っていた、なんてケースもあるだろう。それこそアバターと武器の数だけ可能性が生まれるわけで、“単純に他キャラの武器を使える”というだけにとどまらない魅力が感じられるのだ。
▲流派開放には“戦士たちの記憶”というアイテムを消費する。御剣で流派開放をしたらアイヴィーの流派が開放された。どの流派が開放されるかは“解放済みの流派も含めてランダム”なので、開放が進むほど新たな開放が難しくなる。 |
▲アイヴィーの武器を操る御剣の図。片足を上げる勝利モーションがウケル! |
『SOUL-US』はタップだけで操作ができ、それでいて格ゲーらしいアクションや読み合いが可能と、幅広いユーザーに向けてゲーム構造をシフトしたことがハッキリ伺えた作品だった。アバターや武器の育成、他のキャラクターの武器を扱えるシステムは、ファンの楽しみだけでなく、キャラや世界観に惹かれつつも始めるキッカケを持てなかった人への後押しとして、十分なインパクトがあると思う。好きなキャラのアバターを集めたらそれをトコトンカスタマイズしてみる。そんなまったり感のあるプレイスタイルで臨んでほしいな。
バトルでカギを握るのは、もっとも強力な攻撃であるチャージコマンドだ。なんとチャージコマンドは威力が高いだけでなく攻撃中は無敵! あまりに間合いが離れすぎていない限り、ほぼ確実に命中させられるのだ。当然バトルではこれを狙っていくのがセオリーとなる。
そのためには、同一コマンドを3枚以上重ねてアドバンスドコマンドをいかに素早く組み立てるかが重要だ。まずは並べられた5枚のコマンドを見て、すでに完成済み、もしくは2枚あるものを左端に寄せよう。コマンドは右端から補充されるので、こうすれば残り3~4枠。アドバンスドコマンドが1セット完成した後も2~3枠をコマンドの選択に利用できるからだ。
▲Vスラッシュのコマンドをそろえるなら、一番左のキックを真っ先に消費しよう。そして2枚のVスラッシュの間にあるコマンドをも邪魔なので消費。これで次にVスラッシュが来ればアドバンスドコマンドが完成する。また、こうしておけば右側の3枠で別のコマンドがそろう可能性も。 |
▲アドバンスドコマンドが1セット完成したら、残りの4枠で別のコマンドをそろえる体制に。ここまできたらひたすら1/3を引き当てる覚悟でコマンドを消費し、技を出し続けよう。もちろん相手の攻撃を見極めた上で。 |
●バオウ中里’s profile
電撃各誌を渡り歩いて、気づけばオンラインに流れ着いたかもしれない老兵ライターです。最近ね、NAS買ったんですよ、NAS。仕事の画像データを管理しつつ、趣味の動画や音楽にネット経由でアクセスできたらいいかもって。で、箱買って、ハードディスク詰めて、電源入れて初期設定して……飽きた。いやあ、データの移行が超面倒くさくてさー。ゲームを買っただけで満足して積んでいた時代からまるで成長していない。
(C)BANDAI NAMCO Games Inc.
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