2014年6月7日(土)
テクモの歴史をここに集約! メタルユーキ氏や高橋名人の話題も飛び出す80~90年代ゲームセンター座談会をお届け
テクモ(テーカン)のアーケード作品のサウンドや、膨大な資料および動画を詰め込んだ音楽CD+動画DVD+データCDボックス『テクモ アーケード ゲーム クロニクル』が、スーパースィープより本日6月7日に発売した。価格は14,800円+税。
本商品には、1981~95年にリリースされた全28タイトル(国内未発売タイトル含む)の関連コンテンツが、音楽CD7枚、動画DVD2枚、データCD1枚の計10枚に収録されている。なおスィープレコードSHOPで購入すると、先着で『ボンジャック』のプレイ動画を収録した“EXTREME MOVIE DVD”が付属する。
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発売の情報を聞きつけ、多感な時期を迎える40代の元・男子高生と昭和の匂いを隠し切れないアラサー女子が編集部の会議室に集結。この記事では、懐かしのゲームセンター談議に花を咲かせた座談会の模様をお届けする。
■『テクモ アーケード ゲーム クロニクル』収録内容
【ディスク1】(ディスク1~7は音楽CD)
『プレアデス』/『スイマー』/『ガズラー』/『SENJYO』/『ボンジャック』/『スターフォース』/『グリダイアンファイト(国内版:オールアメリカンフットボール)』/『ピンボールアクション』/『テクモカップ』/『アウ ‐Au‐(未発売ゲーム)』/『ラブリーカード』
【ディスク2】
『アルゴスの戦士』/『ソロモンの鍵』/『ティードオフ』/『ジェミニウイング』
【ディスク3】
『テクモボウル』/『忍者龍剣伝』
【ディスク4】
『シルクワーム』/『ワイルドファング』/『BACK FIRE(国内未発売ゲーム)』
【ディスク5】
『テクモカップ´90』/『雷牙』
【ディスク6】
『スーパーピンボールアクション』/『ファイナルスターフォース』
【ディスク7】
『雷軋斗(国内未発売ゲーム)』/『エイトフォース』/『がんばれギンくん』/『CRうる星やつら2』
【ディスク8(動画DVD)】
“サウンドコンポーザー スペシャル座談会(158分)”
初期テクモのゲームミュージック・コンポーザー:坂本慎一/増子司/斎藤幹雄(メタルユーキ)/蓮舎通治(T.S.T)/鍛冶屋下町(新田竜一)/山岸継司(Angiru)/半井香織
ゲスト開発者:石渡利明/鶴田道孝
【ディスク9(動画DVD)】
“EXTREME MOVIES(137分)”
未発売ゲーム『アウ ‐Au‐』映像集/『スターフォース』スーパープレイ/『アルゴスの戦士』スーパープレイ
【ディスク10(データディスク)】
2,000ページに迫るアーケードゲーム資料をpdf形式で収録
【座談会の参加メンバー】
レトロゲーム大将:YK3
特に80年代のアーケードゲームにどっぷりはまって人生を踏み外しただけでなく、電子音が好き過ぎてテクノとエレクトロしか聴かないというしょっぱい大人に仕上がる。テクモよりテーカン時代のゲームを好み、『ボンジャック』『スターフォース』『ピンボールアクション』が青春の1ページ。
レトロゲーム少佐:Rusty
駅前に1軒しかないゲームセンターに初めて入ったのは、中学生になった1984年の出来事。小学生の間では不良のたまり場だという噂もあったので、入る時はドキドキだった。最近、四十肩をわずらっている。
レトロゲーム中尉:まさ
昨年、晴れて四十路に突入したオールドゲーマー初級。初めて遊んだアーケードゲームは、小学生のころ親に連れられて入った珈琲屋OBにあった テーブル筐体の『パックマン』。ゲーセンに通い込んでいたのは80年代後半から90年代後半なので、今回のサントラ収録タイトルとはちょっと 時期がズレているかも? ちなみに四十肩は38歳時に経験済み。
レトロゲーム三等兵:ミゲル
ゲーム音楽からタイトルを掘り起こしては、細々とレトロゲームを遊んでいる電撃オンラインのスタッフ。40代に囲まれて久々に“若い子”扱いを受け、座談会の中で安らぎを得る。
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▲左から、YK3、ミゲル、Rusty、まさ。 |
■1981~95年ってどんな時代?
ミゲル:収録作一覧を見て、気になったタイトルはありますか?
Rusty:『スターフォース』はファミコンにも移植されているから知っている人が多いかもしれないね。
YK3:パッケージの内側に『スターフォース』のマップの一部が使われているんだけれど、こういう小ネタがくすぐるよね。
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ミゲル:このボックスの生産本数も、『スターフォース』の稼働年号と合わせて1984本限定だそうです。
YK3:『スターフォース』といえば、マップのとある場所に100万点取れる隠しボーナスポイントがあったんだよ。当時は、その100万点を取れる人がゲーセンのヒーローだったなぁ。ステージ名が全部ギリシア文字の名前だったから、それで“イプシロン”やら“オミクロン”やらの言葉を覚えたりね。
Rusty:音を聞くと懐かしさがあふれる(笑)。アイテムを取るとちょっとだけ機体の移動速度が上昇するんだけれど、敵にやられて自機が1機減ると、スピードも元に戻ってしまうんだよね。その変化に感覚がついて行けず、よくゲームオーバーになったなぁ。
YK3:ファミコン版が出たころは、高橋名人が16連射で有名になった時代だよね。指でスイカを割ったり(笑)。
まさ:高橋名人VS毛利名人は映画にもなりましたね。
Rusty:さすがにこのころは、おじさんたちもまだ子供だったんだよ。
(一同、笑い)
ミゲル:昔って、どうやって攻略情報を仕入れていたんですか?
YK3:雑誌によく載っていたんだよ。電波新聞社の発行していた『マイコンBASICマガジン』が当時としてはよく情報が載っていて読んでいたね。
ミゲル:出版社は違えど、今もこうやってYK3さんがゲーム情報媒体に携わっているかと思うと……。なんだか聞いている私が感慨深くなります(笑)。
まささんはちょっと2人と世代が違いますが、記憶に残っているタイトルはありますか?
まさ:今、改めてリストを見ると『がんばれギンくん』だけ浮いている印象ですね。1995年というと『バーチャファイター2』が稼働している時代に、このビジュアルはパンチがありました。
ミゲル:編集部のmeganeさんも『がんばれギンくん』をよくプレイしていたと言っていました。このビジュアルはキャッチーですね。ミニゲームなら、ゲームが下手な私もプレイできるかもとコインを入れてしまうかも。
■昔のゲームセンターって、一体どんな場所だった?
ミゲル:皆さんがゲーセンに初めて行っていたのは、何歳ぐらいの時だったんですか?
Rusty:中学生……、『パックランド』や『魔界村』があったからそのころかなぁ。昔のゲーセンはなかなか怖くて入れないところだったから、小学生では難易度が高かったんだよ。そもそも、ゲーセンに行くのを禁止されていたからね。
YK3:そうだね。そもそも私の場合、『スペースインベーダー』の稼働が小学5年生の時だから(笑)。
まさ:僕もゲーセンに行けるようになったのは高校生の時ですね。『ファイナルファイト』など、ベルトスクロールアクションが全盛期の時代です。小学生はデパートの屋上、中学生になったらボーリング場のゲームコーナーという段階を踏んでね(笑)。
(一同、笑い)
Rusty:自分ではまったく先に進められないゲームも、超うまいお兄ちゃんとかがいて、そのプレイを皆で後ろから見てたりしたなぁ。
ミゲル:私も人のプレイを見ていることが多かったです。「なんでこの人、昼間なのにゲーセンにいるんだろう……?」という背広姿のお兄さんが、お金を積んで筐体に張り付いていたりして(笑)。
YK3:子供の時はお金がないから、必然的にプレイ回数が限られてしまってね。人のプレイを見て研究……というほどでもないけれど、感心しながら見ていたよ。
私の時代はゲーセンに駄菓子が売っていて、よく食べながらプレイしていたんだけれど、小さいカップ麺を筐体にこぼすヤツがいたんだよ! テーブル筐体のガラステーブル一面に汁がこびり付いていて、画面が見にくいなぁと思いながらプレイしたり。
Rusty:それでもプレイするんですか(笑)。
ミゲル:ゲーセンの店舗って、元は何のお店だったんですかね?
YK3:私が行っていたところは玩具屋かな。八百屋が、店の一角に作ったゲームコーナーを本業にしてしまった店もあったね。後は駄菓子屋の店先。
Rusty:うちの地元では、大きなスーパーにゲームコーナーはあったけれど、ゲーセンという“ゲーム筐体を置いている専門の店”は本当に1軒くらいしかなかったね。高校生くらいになって、やっと他にもでき始めたかなという印象だったけれど。
YK3:近所のゲーセンに一向に導入される気配がないタイトルは、お年玉を全額握りしめて、弟と一緒に埼玉から巣鴨まで遠征したよ。都内の猛者たちが集まってくるゲーセンとして有名だったから、あそこにいる人たちは皆うまかったなぁ……。
ミゲル:今では、レトロゲームを遊べるゲーセンがどんどんなくなってきてしまっていますね。
YK3:“東急プラザ 蒲田”の屋上プラザランドも閉園になってしまって……。都内某所のレトロゲームを遊べるお店には、たまに遊びに行くよ。昔はうまかったゲームも、今ではすっかり下手になってしまっていてね(苦笑)。
■資料集でみるアーケードの歴史
ミゲル:データCDに収録されているのはフライヤーですかね。個人的に、こういった広告デザインを見るのは勉強にもなるし好きです。
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YK3:ショーなどで配布されていた業者向けフライヤーだね。
ミゲル:『ガズラー』の“火ダネを消せ!!”って、すごいキャッチですね。どのタイトルも一言のキャッチが強い。
まさ:昔のゲームは基本的にシンプルですから、その1点をどう推すかにかかっていたんだと思います。
YK3:フライヤーを見て思うけれど、日本だけでなくて全世界的に展開したいという意識が伝わってくるテイストがあるよね。
ミゲル:劇画調のものが多くて、今見るとオシャレです。中野で同じデザインのポスターを売っていそう。
Rusty:実際のゲーム中に登場するキャラクターと似ても似つかないものが描かれていたりね(笑)。機体なんかは、細かいビジュアルを当時の技術だとゲーム中で表現しきれないからこそ、インストカードを見て想像力を掻き立てたてられたねぇ。
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ミゲル:『SENJYO』の「脅威の3D“感覚”」ってキャッチは何だろう……。
YK3:『SENJYO』は難しかったねぇ……。3Dではないんだけれど、遠くからミサイルや戦闘機が飛んでくる“疑似3D”の作品なんだよ。
Rusty:昔は結構、迫ってくるような疑似3Dを使ったタイトルがありましたよね。
まさ:当時は“ラスタースクロール”技術を用いたものが流行っていましたから。
ミゲル:ラスタースクロール?
YK3:ポリゴンが登場する以前によく使われていたんだけれど、1枚しか画面を持てない当時のゲームで、走査線ごとに画面を区切ってスクロールさせる技術のことだね。例えば、中央をゆっくり、両端を早くスクロールさせると、奥行が出て立体感を演出できるというわけ。
古い話だと、ベクタースキャンとラスタースキャンというものがあってね。ベクターは座標を指定して、その点をつないで絵を表現する方式、ラスターは走査線上にドットを打って絵を表現する方式。
ミゲル:???
■あんな筐体こんな筐体! 資料を見てよみがえる記憶と新しい発見
ミゲル:筐体デザイン好きとしては、フライヤーに載っている筐体写真を見ているだけで興奮しますが!
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まさ:トラックボールの筐体は懐かしいですね。よく手の皮膚を挟み込んでいる人を見ました(笑)。
YK3:わかるわかる。それに加えて、うちの実家の近くのゲーセンのトラックボール筐体は、画面よりも1段低いところにコントローラがあるタイプだったから、操作する時に段差に手をぶつけて負傷する人続出だったよ(笑)。
ミゲル:『ピンボールアクション』の筐体はどんなものだったんですか?
YK3:筐体の脇にボタンが付いていて、フリッパーをそのボタンでパタンパタン操作できるんだよ。“ゆらす”ボタンやボールの発射ボタンも別にあって。条件を満たすと、ポーカーやスロットのギミックがある別のステージにワープして、3つのステージを全部周るとすごいご褒美がもらえるんだよ。1日中遊んでいた記憶があるなぁ。
『スイマー』も、埼玉の田舎のゲームセンターだったから10~20円で遊べたのもあってやり込んだねぇ。流木に当たって死ぬの(笑)。
Rusty:よく覚えていますね。
YK3:だって、ものすごく遊んだもの(笑)。
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ミゲル:『ピンボールアクション』と『ジェミニウイング』の曲は、斎藤幹雄(メタルユーキ)さん作曲だそうです。
YK3:知らなかった……。『ワイルドファング』の曲は好きな人が多かったなぁ。
ミゲル:改めてブックレットを見ると、「このタイトルをこのコンポーザーが!?」という驚きがありますよね。私は生き神さまと崇めている増子司さんのお名前があってビックリしました。
SEコレクションも収録されているところがこのボックスの業の深さだと思うのですが、個人的にクレジット音が熱いんですよ……! クレジット音って、お金を入れないと聞けないじゃないですか。「よーし、これからプレイするぞー!」って気持ちがわいて、たまらんのですよねぇ……。
YK3:この時代のSEで使われているボイスって、きっと開発スタッフの声だよね。今でこそゲームに声優を起用してるけれど。
まさ:『忍者龍剣伝』のアーケード版だったら、タイトルコールにおそらく当時の社員の方のボイスが入っていますよ。
ミゲル:私は、『NINJA GAIDEN』シリーズの元がこの『忍者龍剣伝』だったと知らなかったのでビックリです。これがリュウ・ハヤブサの始まり……。スシ! ゲイシャ! スモウレスラー!! このコンセプトは今も引き継がれていますね。
まさ:『NINJA GAIDEN』シリーズや『DEAD OR ALIVE』シリーズのリュウ・ハヤブサにも首切り投げは継承されていますよ。
Rusty:そういえば、『ボンジャック』のファミコン移植版が『マイティボンジャック』でしたっけ?
まさ:そうですね。家庭用ゲームに参入してから、テクモはアーケードというよりも家庭用ゲームタイトルのメーカーのイメージがあります。ファミコン用ソフト『キャプテン翼』も大ヒットしましたし。
YK3:初代PSが発売されてからは、テクモといえば『モンスターファーム』だね。
まさ:とりあえずこのCDを『モンスターファーム』に入れて、何のモンスターが出てくるか見たいですね(笑)。
(一同、笑い)
■『テクモ アーケード ゲーム クロニクル』はココに注目してほしい!
ミゲル:最後に、このテクモボックスのオススメポイントを読者の皆さんにお願いします!
YK3:『マイティボンジャック』や『スターフォース』、『忍者龍剣伝』など、ファミコンでヒットしたタイトルのオリジナルとなるのがアーケード版です。そのオリジナルの音を聴いておいてほしいなぁ。
ミゲル:またファミコン版とは音も違いますからね。
YK3:そうだね。それに、順を追って曲目を聴いていけば、音から感じられる時代の移り変わりも感じられるはず。FM音源になった時の音質の変化にも注目してもらいたいね。
Rusty:音楽CDだけでなくて、収録されている動画や資料も膨大だから、それもすごい。
まさ:ここで買い逃したらもう出ないでしょうね……。今のテクモのイメージとはまったく違う、テクモの始まりやテクモの2世代前の姿を見られる資料としても、とてもいいのではないでしょうか。
Rusty:なんにせよ、テクモファンには『モンスターファーム』でこのCDを試してほしいですね(笑)。
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座談会の中でも話題に上った『スターフォース』のインストラクションカードを、コーエーテクモウェーブさんよりご提供いただきました。こちらの商品を、下記のフォームからご応募いただいた中から抽選で1名様にプレゼント! 本記事のご感想を添えて、どしどしご応募くださいね。なお、応募の締め切りは6月15日23:59となります。
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.(C)コーエーテクモウェーブ All rights reserved.
データ
- ▼『テクモ アーケード ゲーム クロニクル』
- ■メーカー:スーパースィープ
- ■発売日:2014年6月7日
- ■価格:14,800円(税抜)