2014年6月12日(木)
『ドラゴンボール ゼノバース』はディンプスが開発を担当。平野プロデューサーに聞く、これまでの『ドラゴンボール』との違い【E3 2014】
次世代機対応の『ドラゴンボール』として、先日発表された『DRAGON BALL NEWPROJECT』。本日正式タイトル『ドラゴンボール ゼノバース』として発表された本作について、プロデューサーを務めるバンダイナムコゲームスの平野真之さんにお話を伺った。
![]() |
---|
正式タイトルの発表とともにトレーラー動画も公開された。対応機種としてPS4/PS3/Xbox 360の他に、Xbox Oneでの発売も発表されている(日本のXbox One版は未定)。
次世代機をベースとして制作されている最新作『ドラゴンボール ゼノバース』。本作について、そのコンセプトや開発状況などを聞いてみた。
■動画:海外版『ドラゴンボール ゼノバース』E3トレーラー
![]() |
---|
▲プロデューサーを務めるバンダイナムコゲームスの平野真之さん。 |
■これまでとは違う『ドラゴンボール』のゲームを作る
――本作のコンセプトについて教えてください。
E3用にトレーラーを発表させていただきましたが、現時点で明らかにしている情報だけで本作のコンセプトを語れているかというと、そんなことはありません。
今言えるコンセプトとしては、これまでの『ドラゴンボール』のゲームとは違うこと、そして今までにない『ドラゴンボール』体験を味わえるということになります。
これまでのイメージとしては、『ドラゴンボール』のキャラクターを使って遊ぶという方向性でしたが、今回は『ドラゴンボール』の世界そのものを遊べるようにすることを考えています。その根拠を示せるような情報はこれから出していきますので、期待して待っていただけるとうれしいです。
――“世界で遊ぶ”という考え方ですが、従来作品では原作のストーリーラインに沿った状況や世界感の中で遊ぶという考え方がありました。今回は、そういった考え方とはまた別のものになるのでしょうか。
その部分については、まだ詳しくは言えません。ただ、すでにお見せしている謎の街や謎のキャラクターといった情報は、本作の世界観に関する重要なファクターとなりますので、ご期待いただければと思います。
![]() |
---|
――『ゼノバース』という言葉や、タイトルに込めた意味について教えてください。これまでの『ドラゴンボール』作品とは毛色が違う気がしますが。
毛色はあえて変えていますね。この『ゼノバース』は、ゼノとユニバースという言葉をかけあわせたもので、ゼノは“未知”、“知らない”といった意味があり、ユニバースは“世界”や“領域”を示します。言ってみれば、“知らない世界”や“未知の領域”といったイメージになるかと思います。
――映像などを見ると新しい『ドラゴンボール』という印象を受けますね。
そうですね。本作の狙いとしても、これまでにない新しい『ドラゴンボール』の世界観をお届けしたいという気持ちがありましたから。そういう意味合いも込めて、タイトルをつけさせていただきました。
■対戦格闘を解っているディンプスが開発を担当
――本作は、これまでも多くの『ドラゴンボール』のゲームを手掛けたディンプスが開発をしているとお聞きしました。ディンプスを再び選んだ理由はどこにあったのでしょうか。
ディンプスさんは世界で一番売れた『ドラゴンボール』ゲームを作った会社ですし、『ドラゴンボール』を知り尽くしています。それにクオリティが高い対戦ゲームを作ることでも定評があります。
アーケードで人気が高い『ドラゴンボールヒーローズ』もディンプスさんの開発です。あの作品も『ドラゴンボール』というキャラクターをもとに、新しい遊び方や新しい設定にチャレンジしていると感じます。
過去の実績と、新しい部分への挑戦に対する実績、そして対戦ゲームの作り手としての実績。さまざまな部分から考えて、今回の企画にピッタリだと思ったんです。
――少しプレイシーンを見せていただきましたが、これまでの作品よりも対戦格闘的な見せ方や駆け引きが強くなっている印象を受けました。
ディンプスさんの作品は、ある意味で硬派な部分がありますからね。そういう意味では、今回のゲームと相性がいいのかなと思います。
![]() |
---|
――これまでの作品と比べて、あえて変えているという挑戦的な部分はありますか?
あまりに多すぎて、ひと言では言えないくらいですね(笑)。これまでの『ドラゴンボール』作品はそれぞれおもしろいところがあり、いろいろな形で『ドラゴンボール』を表現してきたと思います。ただ、シリーズが続くとどうしても同じ方向性になりがちなので、今回は別の価値と言いますか、ゲームだからこそできる別の見せ方をできればと考えています。
そういったことを考えた際、特にバトルについては何年も遊ばれ尽くしている要素です。ディンプスさんはPS2時代からたくさんの対戦格闘系のゲームを作ってきましたし、デモや演出で見せる方向性もやってきました。そんな中で、バトルやアクションを楽しむ中で自然にデモや演出のよさを盛り込むことができればと考えています。
――それは例えば、デモシーンのようなプレイということでしょうか。
そうですね。デモ的な気持ちよさや爽快感が、プレイの中に入ってくることを目指しています。
![]() |
![]() |
|
---|---|---|
▲本作はミドルウェアに“YEBIS2”を採用し、アニメ的な表現にも対応。また、物理演算エンジンにHAVOCも取り入れており、ステージ内の破壊表現にも対応している。 |
――『ドラゴンボール』は日本だけでなく、海外での人気も高い作品です。これまで多くのシリーズを手掛けてきて、特に海外での評価が高い作品はどのあたりだったのでしょうか。
難しいですね。歴史が長いので、時期によって評価や評判も変わっていきますけど、全般的には対戦格闘としてしっかり作られていて、ちゃんとゲームとして遊べるものが喜ばれる傾向がありますね。
――今回の『ドラゴンボール ゼノバース』でも、やはりその方向性を狙っていくのでしょうか。
ちゃんとプレイヤーの腕前が反映される、しっかりとしたゲーム性を作る部分には注力しています。
――PS4やXbox Oneといった新ハードによって、開発環境などは変わりましたか?
キャラクターゲームだからというわけでもありませんが、やはりグラフィックの部分はよくなったと思いますね。見せられる情報量や見せ方などを含めて、これまで以上にかっこよく表現できていると感じます。
――現時点で開発に苦労している部分はありますか?
PS4、PS3、Xbox One、Xbox360と、一気に4つのハードで開発をしているのは少し大変かもしれませんね。あとは先ほどもお話ししましたように、今回はとにかく新しいことに挑戦している部分が多いんです。世界観やゲームを通じたプレイの体験など、皆さんに驚きを感じてもらえるような要素を詰め込んでいますが、それをうまくゲームという形に落とし込んでいくのは大変です。ただ、大変だからこそ楽しい部分も大きいんですけどね。
――『ドラゴンボール』のゲームは本当に歴史が長いですし、だからこそ新しい挑戦は楽しみに感じます。自分としては、ファミコンの『ドラゴンボール 神龍(シェンロン)の謎』から遊んでいるシリーズですから(笑)。
自分はDSの『ドラゴンボールDS2 突撃!レッドリボン軍』の開発の際に『神龍の謎』を収録することになって、じっくりと遊んでみたんですが……なかなか難しかったですね(笑)。『神龍の謎』が発売された1986年から30年近く、ほぼほぼ欠かすことなくシリーズ作品が発売され続けているのは、本当にすごいことだと思います。
そういった意味では、たくさんの作品が発売されてきた中で違いを作る、新しいことに挑戦するのは本当に大変ですね。
――ちょっと余談になりますが、平野さんが『ドラゴンボール』の物語の中で最も好きなエピソードはなんですか?
悩みますけど、ちょうど自分が小学生だったころのナメック星編が一番わくわくしていましたね。事態が目まぐるしく変わるドラゴンボールの奪い合いは熱かったですし、絵的にはギニュー特選隊がたまらなく好きだったですね。かわいい感じだけれど実は強いという部分が好きなんですよ。
――自分としては、主人公である悟空がいない中で物語が進むところにドラマを感じました。強大なドドリアがいなくなったと思ったら、もっと強力なギニュー特選隊が現れるというのも熱かったです。
ナメック星での物語は、本当にドラマ性が高くておもしろいと思います。
――話を戻して、現時点での開発状況はいかがでしょうか。
うーん。難しい質問ですが、60%くらいだと思います。と言っても、ここからの伸びが一番難しいところなんですけど(苦笑)。これからバランス調整が本格化すると、さらに大変になりますから。まだまだ見せ方の部分なども調整していきますし。ただ、バトルシステムの根本はかなりできあがってきているので、もう少しお待ちいただければと思います。
――『ドラゴンボール』という幅広いファン層がいる中で、『ドラゴンボール』のゲームの中心層はどのあたりになるのでしょうか。
はっきりとは明言できませんが、子どものころにリアルタイムでマンガやアニメを楽しんでいた20~30代の方が多い印象ですね。とはいえ、最近は『ドラゴンボールヒーローズ』などで入ってくる小学生くらいの新しいファンも多いので、二世代三世代と続く作品になっている感じを受けます。
――そういった流れは、海外でも同じなのでしょうか。
一概には言えませんが、やはりリアルタイムで見ていた層が中心になることは多いと思います。ただ、アニメの放送時期や盛り上がりの時期は国によって全然違うので、年齢層はそれぞれといった印象ですね。
――最近のゲームではオンライン要素はほぼ必須のようになってきていますが、この作品でも新しいオンライン要素に挑戦したいと考えていますか?
まだ詳しい話はできませんが、そういった部分にも挑戦していきたいと思っています。ただ、オンライン専用ゲームというわけではないので、1人でちゃんと遊べるゲームとして仕上げることを大前提としています。
――登場キャラクター数の規模感についてはいかがでしょうか。
それはまだ言えません。ただ、すでにフリーザやセル、ブウなどの姿をお見せしているように、登場キャラクターをもったいぶって隠すタイプのゲームではありませんね。
![]() |
---|
▲人造人間編に登場するセル。その他、魔人ブウの姿も公開された。 |
――とはいえ、キャラクターの選定基準も難しそうですね。
ゲームによってはストーリー的に必要となる場合もありますし、ファンの人気を踏まえて選ぶこともありますね。
――最後に本作に期待するファンへメッセージをお願いします。
まだ初報ということで言えることも少なく、謎ばかりの状態ですが、今後はコンスタントに情報を出していきますので、続報にご期待ください。
(C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
(C)BANDAI NAMCO Games Inc.
データ