2014年8月19日(火)
『ロマサガ』の魅力はクセの強さ? 伝説のRPGを振り返る【サガ25周年記念連載】
2014年12月で25周年を迎えるスクウェア(※現スクウェア・エニックス)の名作RPG『サガ』シリーズ。電撃オンラインでは、この記念すべき年を盛り上げるべく、シリーズ全作品を振り返っていく“サガ25周年記念連載”を展開中だ。
連載第5回となる今回は、1992年1月28日に発売されたスーパーファミコン用RPG『ロマンシング サ・ガ』の編集部座談会をお届けしよう。
【座談会参加者】
野村一真:学生時代に出会った『ロマンシング サ・ガ』にハマりすぎた挙句、人生を踏み外してゲームの世界に踏み込んだと豪語する電撃オンラインの編集長。もっとも好きな『サガ』は、もちろん『ロマンシング サ・ガ』。
Rusty:シブい声で周囲をテンプテーションする電撃オンラインの副編集長。『サガ』シリーズはひと通り遊んでおり、知識も深い。好きな『サガ』は、『ロマサガ』『ロマサガ3』『サガフロ』『ミンサガ』。
まさん:すべての『サガ』シリーズはもちろん、『ファイナルファンタジーII』から『ワイルドカード』まで、河津氏の作品をこよなく愛するライター。好きな『サガ』は全キャラクリアしたという『アンリミテッド:サガ』と『時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編]』。
【『ロマンシング サ・ガ』が発売された1992年はどんな年?】
<主な出来事>
・暴力団対策法、育児休業法施行
・PKO協力法成立
・バルセロナオリンピック
・毛利衛がスペースシャトル・エンデバーに搭乗
・きんさんぎんさんブーム(新語・流行語大賞の年間大賞を受賞)
<主なゲームソフト>
・『スーパーファンタジーゾーン』
・『星のカービィ』
・『弟切草』
・『ストリートファイターII』
・『スーパーマリオカート』
・『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』
・『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』
・『ファイナルファンタジーV』
・『ロックマン5 ブルースの罠!?』
<主なTVアニメ>
・『宇宙の騎士テッカマンブレード』
・『クレヨンしんちゃん』
・『伝説の勇者ダ・ガーン』
・『美少女戦士セーラームーン』
・『南国少年パプワくん』
・『ママは小学4年生』
・『幽☆遊☆白書』
【サガ最新作の情報も掲載中】
■やっと 次のざだんかいか ホーク!
うるせーぞ ブッチャー さっさと ざだんかいを はじめろ!
まさん:というわけで、ホークとブッチャーのやり取りを思い出しながら座談会を始めようと思います。皆さんは初めて『ロマンシング サ・ガ』を買った時、どう思いました? 自分は『魔界塔士 サ・ガ』や『サ・ガ2 秘宝伝説』のようなものを想像して買ったので、最初は「なんだこれ!?」と思ったのですが……。
▲ホーク。30歳。海賊船レディラック号の船長で、相棒はゲッコ族のゲラ=ハ。海賊ブッチャーの罠にはまり、海を追われてしまいます。 |
野村:人生を変えたゲームだね。『ロマンシング サ・ガ』があったからこそ、自分はこの業界に入って、電撃オンラインで編集長をしている。影響を受けたってレベルではなくて、岐路ですね。
Rusty:『ロマンシング サ・ガ』って、好きな人は本当に熱狂するくらい好きですよね。GBの『魔界塔士 サ・ガ』から考えると、一部のシステムしか踏襲していなくて全然別物だったのに。
まさん:『ロマサガ』がシリーズの入口で、それが影響して特に思い入れが強い人も多いと思いますよ。僕がよく覚えているのは、説明書を広げると巨大な地図になっているところですね。
Rusty:(説明書を広げながら)こんな感じだね。
▲昔のゲームは広げると巨大な1枚の紙になる説明書が多かった。『ロマンシング サ・ガ』の説明書は、裏面が世界の全体マップになっている。 |
まさん:そうそう、これこれ。これを開いてワクワクしながら遊ぶと、小学生だった自分には難しくてガクガクするという(笑)。最初にアルベルトで遊び始めて、1回クリアできずに詰んだからすごく思い出深いです。敵がグワーと群がってるのを見て「なんだこれ!」と思って、進めていったら「フラグをどこで立てるんだよ!」って迷いに迷いました……。皆さん的に一番印象深い主人公って誰ですか?
▲アルベルト。18歳。ローザリア王国イスマス領を治めるルドルフの子息。成人の儀を控えたある日、姉のディアナとともにモンスター退治に出かけたのですが……。 |
Rusty:一番多く遊んだグレイですね。本人が強くて、仲間も魔術師系のミリアム、戦士系のガラハドとバランスがよかったから、最後まで連れ回しました。
▲グレイ。24歳。灰色の髪と瞳を持つ冒険家。ガラハドとミリアムとともに、財宝が眠るリガウ島を目指します。 |
野村:なんだかんだ、すべての主人公でクリアしたなあ。1人につき100時間以上かけて、8人全員。特に最初に選んだジャミルは印象深くって。一緒についてくる相棒が、すっごくダメな子なんだよね。
Rusty:いましたね、使えない人。えーと……ダウド!
野村:そうそう、ダウド。あいつ、今思うと「こんなところで殺しちゃうの?」となるような場面で死んじゃうし。
ジャミルのホームタウンであるエスタミルも、強盗とか金をたかる子どもばっかりで、微妙につらくて印象深いところ。“何をしていいのかわからないゲーム”という感じは、最初に遊んだ時からずっとあったね。『ロマンシング サ・ガ』以前のRPGって、次の行動を示唆してくれるRPGばっかりだったじゃないですか。
▲ジャミル。20歳。クジャラートの首都、エスタミルを根城にしている若き盗賊。気心の知れたダウトと盗みを働いて生活しています。 |
Rusty:『ロマンシング サ・ガ』の場合はどこに行ってもいいからこそ、最初は本当にどこに行っていいのかわからない。
野村:初プレイの時はエスタミルの地下を何十時間もさ迷ってた。敵はどんどん強くなっていくのに、仲間は変なの(ダウド)しかいないし、このゲームどうなってるの、みたいな(笑)。
まさん:最初は、街の外に出ても地名が全然出てこないから、他の場所に移動できなくて困った記憶があります。仕方がないから、とりあえずそのへんでキャラクターを鍛えていると、戦闘回数に応じて敵が強くなっていって悲惨なことに……。
Rusty:ジャミルの場合は、下水道を通って街の反対側に行かないと話が進まないんですよ。基本的には、酒場で新しい仲間を見つけてとっかえひっかえ遊ばないと地名が出てこないという。ただ、バーバラだけは旅芸人だから最初からいろんなところに行けるんですよね。
▲バーバラ。26歳。マルディアスの東西を結ぶニューロードを中心に活動する、エルマンが率いる旅芸人一座の踊り子です。 |
野村:地図を手に入れるという流れを把握するまでは辛かった……。わかってくると一気にバーッと世界を回って、その後に「さて、ガラハドを殺すか」といった感じで、いろいろなことができて楽しいんだけどね。
Rusty:ゲーム中で気づきにくいことが多いんですよね。結局、盾の効果も数年後にネットで見るまで気付きませんでした。
まさん:武器を変えると必殺技を忘れることにも困りました。初代の『ロマンシング サ・ガ』は“ひらめき”がなかったので、新しい武器を手に入れたら、通常攻撃をしながら地道に熟練度を上げないといけない。
Rusty:ありましたね。あくまで通常攻撃をすることが必要なので、技を使っていると覚えないというワナ。
▲どこに行くのも自由でやれることが多いのは『ロマサガ』シリーズの特徴。武器をはずすと必殺技を忘れるなど、シリーズの初代ならではの仕様も多かった。 |
■おまえは デステニィストーンが ほしいのか?
クッ! だが わたさんぞ! そもそも ぜんぶ そろわないからな!
まさん:なんかこのゲームの話をしていると、ワナばっかりですね(笑)。スーパーファミコン版だとデステニィストーンが全部手に入らないところも、自分にとってはワナでした。シェラハを倒せるようになったのもワンダースワン以降ですし、戦闘もそれまでのGB版『サガ』シリーズに比べて難しい!
Rusty:全体攻撃が弱くて、使い勝手のいいものが少ないんですよね。敵を一掃できないから、戦闘も必然的に長くなっていた記憶があります。
ただ、まだライフポイントの概念がなかったから、イベント以外ではキャラクターが死なないところは安心できたかな。まあ、デスに捧げると永遠にいなくなっちゃうけど(苦笑)。
まさん:戦闘中にHPが0になると、バーンって後列のほうに吹っ飛んでいってベトって倒れるんですよね。あの勢いがある感じ、好きでしたね(笑)。
Rusty:『サガ』シリーズの続編だから、とりあえず買いだよね、という安心感もありましたが、ここから始まった謎のパラメータも多かった気が。
まさん:愛がアップ! 魅力がアップ! って言われても、いったい何がアップしているのかわかりません!!
野村:説明書には、愛には“回復系術法をかけた時の成功率と回復率が高くなります”、魅力には“回復系術法を受けた時の成功率と回復率が高くなります”と書いてあるけど、実際にはそんな効果はない。
まさん:だからこそ当時は、憶測が1人歩きして都市伝説みたいになっていた部分もありました。愛が高いとサルーインが弱くなるとか。あと、アルベルトを主人公にすると、最初のイベントで姉のディアナと別れた後は二度と再会できないじゃないですか。でも、周りには「オレは再会できた!」なんていう人がいて……必死に試していました。
Rusty:言われてみると、「デステニィストーンを全部集めた」とか「デステニィストーンの所持数に応じてサルーインが弱体化する」とか、都市伝説的なデマが横行していた思い出があるかも。
まさん:……『アンリミテッドサガ』でも、7人全員クリアすると真のイスカンダール編が始まるってウワサがありましたしね。あれにはだまされました(遠い目)。
さておき、『ロマサガ』と言えば音楽がすごいという印象がありますが、これって世代を超えた共通認識ですよね?
野村:それはもう、名曲ぞろいでしょ。ただ、あまりに四天王との戦闘の音楽がカッコよすぎて、高校受験の時に脳内に響きまくって試験に集中できなかった苦い思い出がある。
Rusty:ラスボスの戦闘曲も、当時のゲームとしては珍しく完全なループじゃなくて、イントロと本メロが分かれている部分が挑戦的でしたね。四天王戦もそうですけど、『サガ』シリーズといえば、やっぱり数字のついてる中ボスですよ。
まさん:四天王、七英雄、四魔貴族、エーデルリッター、七大脅威……。
Rusty:それ、ただの地形が混ざっていますが、どれも曲がカッコイイんですよね。それなのに、曲のタイトルはストレートな“バトル2”(笑)。
野村:四天王はバトル中に召喚できるけど、微妙に弱いんだよね。『FF』だったら召喚獣はスゴイのに、お前たちなんなんだよ、やる気あるの? みたいな。
まさん:(笑)。誰が一番弱かったかな~。フレイムタイラントか水竜か。最初に会うのはタイニーフェザーで……。あれ? あと1体が思い出せません。
Rusty:ええと、土を司るドラゴン的な感じだった気が……グウェイン?
まさん:それは『ロマンシング サ・ガ3』です。ええと……ああ、アディリスですね。
野村:やっぱり、しばらく遊んでいないと忘れていることが多いなあ。もう1回遊びたくなってきたけど、今だと、どのハードでやればいいんだろうね。
まさん:WiiかWii Uのバーチャルコンソールじゃないですか? Wii Uだと、部屋で寝っ転がりながらゲームパッドで遊べるので最高ですよ。
■しゅういのはんのう?
きいたことは あるぎゃ どんなものだったかは 知らん!
まさん:話を戻しますが、『ロマンシング サ・ガ』が発売された時の周囲や世間の反応って覚えてますか?
Rusty:『ロマサガ』の約1カ月前にGBの『時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編]』が発売されましたよね。そこに、違う『サガ』として出てきたからインパクトがありました。それに、すでにスーパーファミコンで『ファイナルファンタジーIV』が発売された後で、“スクウェアのRPG”というブランド力が圧倒的に高いという背景もありました。
まさん:自分としては『時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編]』は名作ですが、河津さんが直接携わっていないこともあり、他の『サガ』とは違うという声はありましたね。
野村:思い返してみると『ロマンシング サ・ガ』って、グラフィックは『FF』ほどはすごくなかった気がする。だけど、熟練度とフリーシナリオのシステムがスゴイと思ったんだよね。当時、フリーシナリオのゲームってPCでもない限り、ほとんどなかったし。
フリーシナリオと言っても、複数の分岐から最終的に1カ所に集約されていく流れなので、本当に自由かというとあいまいなところはあるけど、道中がとにかく自由。そういう作りのコンシューマゲームは、当時はまだまだ珍しかった。
Rusty:主人公を8人から選ばせるゲームだったところも驚きましたね。それぞれストーリーが違うところもウリだったはず。
まさん:まあ、違うのは基本的に最初と最後だけで、途中からほぼ一緒なんですけど、導入が違っていて感動しました。あそこまでこったシステムを積んだゲームって、当時のスーパーファミコンにはなかったですから。ちなみに自分は当時小学生でしたが、なんだかわけがわからないゲームという評判がありました。ちょっと子どもには難しすぎたかも……。
野村:最初からいきなり突き放してくるからね。ただ、それがたまらない。自分は、『ロマサガ』にハマりすぎて高校受験に軒並み落ちたからね。あの時、地元の青葉台(横浜)の坂道で、友人の健太郎が『ロマサガ』のソフトを持っているのを見なければ、彼に偶然会わなければ……。
Rusty:健太郎って誰ですか?(笑) システムのことを話すと、シンボルエンカウントで敵が見えているところが斬新でしたね。ただ、『ロマンシング サ・ガ』の場合は敵が多すぎて、1本道に敵が詰まっていたり、敵が多すぎて隠し通路が丸見えになっていたり、別の意味で斬新な感じにもなっていたけど(笑)。
野村:隠し通路がバレバレ(笑)。とにかくいろいろと斬新で、みんながスゴイって感じていたはず。あと“ロマンシング”っていうタイトルもすごかった。ロマンス+ingだからね。ロマンスが進行形。
まさん:ロゴはカッコいいし、小林智美さんの絵もすごくて、想像をかきたてるんですよね。小学生的には、優しくて強いシフが好きでした。
▲シフ。28歳。極寒の地・バルハラントにあるガトの村の女戦士。アルベルトとの出会いを気に、外の世界に旅立つことになります。 |
Rusty:あとは、どことなくテーブルトークRPGやゲームブック的なイメージもあったかな。最初に父親や母親の職業を決めるキャラクターメイキングとか、地図を広げて移動するところとか。いわゆるルーラみたいな移動魔法や飛空艇みたいな乗り物もなく、運賃を払って海路を船で移動するという不自由さも、なかなか独特の感触でした。
まさん:世界もとにかく広かったですよね。カクラム砂漠とかガレサステップとか、最初に入っちゃって本当に迷っちゃう。あと、ウラワザ的なものも多かった。滝登りとか、スターソード永久装備とか、ハヤブサキャンセルとか。
Rusty:まあ、ゲームボーイの『サガ』でラスボスの神をチェーンソーで一撃で倒せることしかりって感じで、そういうウラワザや自由度の高さも、『サガ』シリーズの特徴ということで。
■なかまから はずしたい人が いるんじゃないの?
いいにくければ 私がいってあげますよ おまえだラファエル!
Rusty:だいぶ思い出してきましたけど、戦闘も結構楽しかったですよ。続編に比べると、まだまだ武器や技は少なかったですけど。
まさん:“邪気”とか“闇”とか、敵だけが使える特殊な術法も覚えたかったです。闇の剣を出して叩けるダークソードとか、気絶している敵を自在に操るアニメートとか、厨二の心を持った小学生だったので、ビンビンきましたね。
Rusty:オブシダンソードを取りに行く時に、一時期だけ仲間になる赤魔法使いは使えるんですよね。でも、最後までは連れていけない。
主人公だけでなく、ゲラ=ハとかミリアムとか、サブキャラクターも魅力的なゲームだったなあ。
野村:最後まで連れていけないキャラも多かった。シルベンとブラウは強制イベントでいなくなっちゃうし、エルマンともすぐに別れるし。
まさん:でも、ラファエルは最後まで連れていけますよ。というか、はずせなくなっちゃったんですが!
野村:イフリートを倒したのに仲間から抜けてくれない。『ロマサガ3』の詩人もそうだけど、一度仲間にすると通常の手段でははずせなくなるキャラクターがいるのは、バランス的にどうかと。まあ、その不自由さも含めて『ロマサガ』らしさかもしれないけど。
Rusty:逆にグレイで遊んだ時はガラハドとミリアムを絶対に最終パーティに入れたいとか、仲間は好みで選んじゃいますよね。クローディアには弓を持たせるなど、武器選びも含めて、いろいろとこだわりながら遊んだゲームです。
▲クローディア。22歳。バファル地方の迷いの森で、魔女のオウルに育てられた女性。狼のシルベンとクマのブラウとともに暮らしています。 |
野村:そういう遊び方もある一方で、最後の技が一番優秀な系統の武器だけを使うという効率重視で遊ぶのも楽しいところ。
まさん:そういえば『ロマンシング サ・ガ』って、それ以降は出てこないコマンドとか技が多かったですね。“前に出る”と“うしろへさがる”で1ターン消費して陣形を変えるとか。
Rusty:“みなしね矢”とかは続編でも出ましたけど、初代にしかない技の中にはネーミングセンスが熱いものが多いんですよね。“ぜんめつ斬”や“たたきつぶす”みたいにストレートなものから、“夢想弓”や“ふゆのあらし”みたいなカッコイイ名前までバリエーションが多かった。
▲わかりやすくクスッとくるような技名から、今でもカッコよく感じられる技までネーミングも多彩。『ロマンシング サ・ガ』ならではの技名も多かった。 |
まさん:地名も滅茶苦茶かっこいいんですよ。騎士団領だけ漢字で特別感があるのに、ドイツ風の領土名でオイゲンシュタットとかしびれませんでした? コンスタンツなんて、人名がそのまま地名として出てくるんですよ!?
Rusty:人命のネーミングも純ファンタジーって感じでかっこよかったですね。テオドールとかナイトハルトとか。
まさん:ナイトハルトは『ロマンシング サガ‐ミンストレルソング‐』の記憶が完全に上書きされちゃっていますが。デッデッデデデデ。イクゾー!
Rusty:アクアマリンを渡すと仲間になるんですよね。
野村:名前が理由ではないけど、バルハラントが印象に残ってるんだよね。普通は寒い場所を北に配置するイメージがあるけど、このゲームは南が寒くて北が砂漠。地図をよく見ると、バルハラントの南にはさらに陸地がつながっているところも想像をかきたてられる。あえて世界の全貌は明かさないという演出がうまいなあと。
まさん:アイシャの馬やバーバラの馬車みたいに、最初だけ乗れる乗り物も多かったですね。船で移動するための船賃を稼ぐことが地味に大変でした。
▲アイシャ。16歳。ガレサステップに住む遊牧民・タラール族の少女。カヤキス(黒い悪魔)と呼ばれるローザリアの皇太子ナイトハルトとの出会いにより、彼女の物語が動き始めます。 |
Rusty:通貨も独特でしたよね。金貨の上限値が9,999でそれ以上だと、宝石(ジュエル)に変えるという。最初は換金の仕方がわからないんですよ。店にアイテムを売って、金貨が9,999を超えるとジュエルになる。アイスソードを買うために資金をためている時に、初めて気付きました。
野村:まあ、どうせお金をためても売ってくれないので、素直に「殺してでもうばいとる」を選ぶけどね。
まさん:「てめえがつよすぎるんだよ、大女め」とか、選択肢の言葉が悪くて衝撃的でしたね。ワンダースワン版の時点でいろいろとマイルドに修正されていましたが、個人的にはキャラクターの口が悪ければ悪いほど、『サガ』って感じがしちゃいます。
▲ぶっきらぼうなセリフ回しや、随所に光るネーミングセンスもロマンシング! 物語にあまりからまないキャラクターも多かったが、のちにPS2で発売された『ロマンシング サガ‐ミンストレルソング‐』でサブキャラクターのイベントが大幅に追加された。 |
▲こちらはワンダースワン版がベースとなる携帯アプリの画面写真。スーパーファミコン版と違い、選択肢が少しマイルドになっている。 |
■やー いいゲームだったよ
野村:設定は存在するのに、本編で明かされない話がいっぱいあるところも『ロマンシング サ・ガ』の特徴というか、魅力なんじゃないかな。
Rusty:『ロマンシング サガ‐ミンストレルソング‐』で補完されたものもありましたね。影も形もなかったキャプテンシルバーが、少女の姿で海賊シルバーとして仲間になるとか。
まさん:そもそも、10個あると思っていたデステニィストーンのうち、1個は存在していないっていうのが衝撃的すぎますよ。伝説の宝石なのに!
Rusty:設定上は、デステニィストーンを集めるとサルーインが弱くなるはずですが、実際には集めても意味がありませんからね。逆に『ミンサガ』では、ディステニィストーンを全部集めると真サルーインになって強くなりましたが。
まさん:こうして話してみると、攻略本を読んでもよくわからないことだらけとか、粗削りな感じもするのに、すごく魅力的なゲームでしたよね。
野村:結局、『ロマサガ』の魅力ってなんだろう? 音楽は万人にオススメできるけど、かなりクセが強いゲームだから、遊ぶ人を選ぶ側面が強いと思う。
Rusty:シリーズ自体がそうなんですが、ゲームとしては万人向けというよりもマニア向けなイメージがあるんですよね。特に初代の『ロマンシング サ・ガ』は難しかった。
まさん:確かに僕自身も最初に選んだ主人公ではクリアできず、途中で詰んで投げましたからね。逆に続編の『ロマンシング サ・ガ2』を遊んだ時は、遊びやすくて驚きました。
野村:シリーズの伝統としてラスボスも強いからね。ラスボスを倒せずにエンディングを見られなかった人も多いはず。そんなゲームが115万本以上出荷されて、きちんと評価されたのはおもしろいことなんじゃないかな。
Rusty:最近の感覚だと不親切なゲームと言われるかもしれませんが、遊んでいる人によって主人公が違っていたり、遊ぶ人ごとにいろいろな発見があったりして、不親切な部分も含めて魅力だったんですよね。
野村:まあ、ぬるかったら『サガ』じゃないって部分もあるかもね。逆にシステムや仕様を把握して遊ぶと、実はそこまで難易度が高くないとも思うし。
まさん:ダンジョンを一瞬で脱出できる術法やアイテムが存在しないぶん、ダンジョンの奥まで行って戻れなさそうだと感じた時のプレッシャーがハンパなかったです。どこでもセーブができる反面、ここでセーブして大丈夫なのかな……とビクビクしながら奥まで行くのも楽しかったですね。なんと言いますか、先に進めなくなって詰んでも、最初からまた遊んで新しい発見があるのが楽しかった気がします。
Rusty:河津さんが何か新作を作っているらしいので、それが『ロマンシング サ・ガ4』だといいですね。今の時代の風潮を考えると、親切で遊びやすいものになる気がするけど、初代『ロマサガ』のようなぶっきらぼうな魅力もあるゲームになっているとうれしいかな。
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