2014年9月13日(土)
志村一矢先生が執筆する、電撃文庫『モブ恋』の紹介記事をお届けします。
俺の周囲には、ギャルゲ時空が存在する。幼馴染の同級生、才色兼備の委員長、美人で巨乳(しかも超能力者)の先輩など、魅力的な女子たちが、一人の男子を中心にそれぞれのストーリーを展開している。が、残念なことに、このギャルゲ時空の中心点・発生源は俺ではない。それは俺の親友、渡会秋兎で、俺は「主人公の男友達」ポジション。
そしてここに、秋兎に想いを寄せる、実に地味な少女がいることを俺は知り……。
これは、モブキャラな俺たちが下剋上を目指す、恋愛戦略ドラマなのだ。
モブキャラ系の地味なクラスメイト・森崎由布子の恋は絶対叶わない。このままではずっと……。「いや、俺がお前をヒロインに昇格させてやる!」と意気込んだ主人公・南代春馬の恋愛戦略ストーリー♪
まず、びっくりなのが、由布子の片思いしている相手・渡会秋兎を取り巻く美少女の多さ!! かわいいロリ系幼なじみがいて、才色兼備な委員長、巨乳の先輩、美形ハーフのクラス担任も彼のことが好き。さらに過去には異世界からやってきたお姫様と同居したことも、幽霊少女や宇宙人少女に好かれたこともあるという、まさに“キング・オブ・キャルゲーの主人公”と呼ぶべきモテ男なのです!! ライバルだらけの秋兎にジミ子がどんなアプローチをとっていくのかが、本作の気になるところですが……。
非日常的な設定なのでギャグ要素が強いのかと思いきや、高校生のせつなくてピュアな恋愛ドラマがリアルに描かれていて胸を打ちます。さすがはラブストーリーの名手と呼ばれた志村一矢氏です。勝ち目のない恋愛に挑む姿から、想いを伝える大切さに気づかされる本作。読んだ後、恋人や大切な人に「告白しなきゃ!」という衝動に駆られるので、秘密を守りたい人は要注意ですよ!
内気でそばかすがあり、決してズバ抜けた美少女ではないけれど、和み系の笑顔が魅力的な女子高生……。そんなジミ子・森崎由布子が、モブキャラからヒロインに昇格しようと、春馬のアドバイスを受けて奮闘する姿はどんな美少女よりもかわいらしく見えます♪
その過程で春馬と心を通わせ、誰かを好きになる痛みを乗り越え、前向きに輝いていく。これは応援するにふさわしい女の子だと思いませんか? 普通の子が誰かの特別な子になるために勇気を振り絞る姿、胸きゅん必至です♪
余談ですが、本作は秋兎に片思い中の美少女がハーレムを作っている状態なので、男子キャラクターは秋兎&春馬しか登場しません。しかも、この2人は小学校からの親友同士。親しすぎて、BLっぽい雰囲気を出す時があるのはご愛嬌♪
(C)志村一矢/KADOKAWA CORPORATION 2014
イラスト:ぎん太
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