2014年11月6日(木)
杉原智則先生が執筆する電撃文庫『放課後のフェアリーテイル ぼくと自転車の魔法使い』の紹介記事をお届けします。
魔法の国マ・ウアー=コギト。ある日突然にぼくはその国へ迷い込んだ。そこはかつて、クラスメイトの神永くんが語って聞かせてくれた世界そのものだった。悪戯な妖精、巨大な人喰い蜘蛛、ネズミのようなニゼム族、それら全てをつくった、魔法をあやつる女王――。
しかし、世界は危機に瀕していた。魔女が黒い炎で世界を消去しているのだ。立ち向かうのは、憧れていた神永くんの姉にそっくりなコノハさん。彼女とともに、マ・ウアーを救うべくぼくは冒険を繰り広げる!
学校帰りに妖精の世界へ迷い込んだ中学1年生の少年が体験する、ちょっぴり不思議で切ない冒険ストーリー!! 幼いころ、妖精やモンスターが棲む異世界を空想したことはありませんか? 電撃文庫『放課後のフェアリーテイル』は、胸に秘めた懐かしい気持ちを思い出す、ジュブナイル風味のファンタジー小説です。
舞台は、駅前の繁華街を過ぎると公園や森が広がっている郊外の町。そこで暮らす主人公は、ある日、魔法の国マ・ウアー=コギトへ迷い込んでしまいます。マ・ウアーとは、女王とその配下の妖精、人喰い蜘蛛、巨人、竜などの魔法生物が暮らす異世界――。しかも、女王を失脚させようとする魔女が暗躍していて、双方が争っているという危険な国だったのです。主人公は自転車に乗って突然現れた美少女・コノハと協力して、魔法の国を守るために行動を起こすのですが……。
物語の鍵を握っているのは、主人公が小学校時代に親しくしていた同級生・神永君との思い出。主人公は神永君の発言を思い出し、さまざまな危機を乗り越えていきます。では、神永君とマ・ウアーの成り立ちにはどんな関係があるのか? 神永君の姉と謎の少女・コノハの顔が瓜2つなのはなぜか?
すべての謎が解き明かされ、その結末を受け止めた時――。誰もがきっと救われたような、優しい気持ちが胸に湧き上がるはずです。
主人公の危機に颯爽と現れ、助けてくれるヒロインの存在は実に頼もしいかぎり。しかも、それが年上のお姉さんで美人だったらなおさら、恋に落ちるのは時間の問題です。
本作のヒロイン・コノハも、そういうタイプの女の子。主人公が魔法の国マ・ウアー=コギトへ迷い込んだ時、妖精たちから魔女の手先だと勘違いされて処刑されそうになっていた彼を救ってくれたのが初顔合わせなんです。
魔法の国なのに、なぜか自転車に乗っているところが違和感ありまくりだし、彼女の武器はなんとA4サイズの紙! それを自在に操り、魔女が空間に開けた穴をふさぐ役割を担っているのだそう。いつも紺色のブレザーを着ているから、妖精たちの間では“紺色の修復士”と呼ばれているようです。紙を操る能力を持っているところは魔法の国の住人っぽいけど、自転車と紺のブレザーを所有しているところは現代人っぽい。そんなコノハの正体を推理しつつ、物語を読み進めるのも楽しいですよ!!
また、コノハは喫茶店で1人でコーヒーを飲んだことがない主人公のことを「ガキ」と言ったりする率直なタイプ。それがかっこよく映るクールな性格だから、彼女が笑顔を見せてくれた時は喜びも倍増。主人公とコノハが打ち解けていく様子も見逃せません。
(C)杉原智則/KADOKAWA CORPORATION 2014
イラスト:足立 巡
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