2014年11月8日(土)
乙女心がわからない男と言われ続けて39年……。それを知る絶好のチャンスだとばかりに、俺はリアル乙女ゲーム“恋するAGF”にそっとエントリーをした。
“恋するAGF”は、イベント“アニメイトガールズフェスティバル2014(11月8~9日開催)”の会場を舞台にした乙女向けの恋愛体験ゲーム。オリジナルストーリーのゲームブックを読み進めつつ、気になる男性との恋愛が楽しめるというものだ。シナリオの分岐や異なるエンディングも用意されており、本格的な恋愛アドベンチャーゲームになっている。
▲ゲームブックは会場内にて550円(税込)で販売。クリア後も追加料金100円(税込)を支払えば、別ルート&エンディングを楽しめる。 |
もちろん、これは乙女のための恋愛体験ゲームだが、男が遊んではいけないルールはない。そこで俺は、ゲーム内の主人公(女性)に自分を当てはめ、“恋するAGF”を体験してみることにした。
ここからゲームブックをもとにした、自分なりの体験レポートをお届けする。“恋するAGF”の主人公は、とあるドラマCDを求め、友だちと2人で胸を躍らせながらAGF会場に来たという設定だ。要所に出てくるセリフからも、興奮している様子が見てとれる。
ドラマCDがあるRed AREAに行くと、友だちがアグレッシブに人ごみの中へ。俺もうかうかしていられないと、ブースにつながる通路を曲がった時、突然
反対側から歩いていた人とぶつかってしまった。しかし、なぜか痛みも衝撃もない。ぶつかった相手(秋人)がやさしく支えてくれたようだ。見上げた先にいる彼は「よそ見をしていると危ない」と言い、とっさに俺は「す、すみません……!」と謝る。その冷たい視線から、ちょっと近寄りがたい印象を受けた。
▲とってもクールなメガネ男子。アニメや漫画にあまり興味なさそう……。そんな彼がなぜAGF会場にいるのだろうか。 |
二次元を追う身としてリアルの男性の免疫がないため、早々に立ち去ろうとしたのだが、秋人に「ちょっと待て」と呼び止められる。どうやら彼は『空のセプテット』の限定グッズを探しているようだ。少しでもお詫びをしようと俺は会場MAPを広げたが、「大丈夫だ。気にしないでくれ」と彼は立ち去ってしまう。冷たい感じはしたものの、真剣にグッズを探すさまから秋人のことが妙に気になっていた。
気を取り直して売り場に向かうと、今度は突然後ろから肩をポンと叩かれ、
▲ん? |
振り返ったそこには、かわいらしいハーフの男の子が立っていた。ジルという名前のその子は、人気キャラクターの等身大パネルと一緒に写真を撮ってほしいとせがんでくる。快諾するとジルは「わーい、やったー!」とはしゃぎ、キラキラとした笑顔でパネルの横に並んだ。
▲天真爛漫で甘えん坊な日本人とフランス人とのハーフの男の子。日本のアニメが大好きで、AGFのためにはるばるフランスから初めて日本に遊びに来たらしい。“フクロウ仮面”の大ファン! |
撮った写真を見せると「メルシー♪」とお礼を言い、その後もAGFに来た目的などで会話が弾む。「キミのようなカワイイ子に出会えるなんて幸運」というひと言に舞い上がりそうになったが、お国柄だと自分に言い聞かせて踏みとどまった。そして俺は目的のドラマCDのことをふと思い出し、会話を切り上げようとする。ずっと明るい彼だったが、立ち去る姿はほんの少し寂しそうだった。
急いで歩き始めると、再び背中に衝撃が走った。
あせって振り向くと、そこには人気アニメ『FUKUROU MOON』に出てくる正義のヒーローキャラ・フクロウ仮面のコスプレイヤーが立っていた。「助けてホ」「追われているホ」……しゃべり方までアニメとそっくりだが、それよりも何やら困っている様子だ。
▲謎多きカリスマコスプレイヤー。名前はコスネームらしく、本名は不明。“フクロウ仮面”のコスプレで大人気。俺様系のS。変態発言が多い。 |
奥から「福太郎~~~~~!!」と絶叫しながら向かってくる女の子集団。状況に納得した俺は福太郎を壁に隠し、なんとかその場をやり過ごすことに成功する。
かくまったお礼を告げる福太郎は、「キミが困った時、フクロウ仮面はいつでもそばにいるホ! アディオス!」とアニメ同様にキザなセリフを残し、颯爽と走り去っていった。
本来の目的に向かった俺は、ドラマCDが売り切れていないことを確認してホッとひと息。列に並んでいると、秋人の探していた『空のセプテット』の限定グッズが目に飛び込む。別方向に向かった秋人を少し心配になりながらため息を吐いていると、等身大パネルで記念撮影をしている女の子たちを見かけ、ジルの姿が頭をよぎった。せっかく声をかけてくれたのに、ないがしろにしたことを少し後悔。そして、会計が近づきバッグの中をのぞくと、福太郎のものとおぼしきブローチが。きっと今ごろ探しているに違いない。
無事に目的のドラマCDを手に入れてうれしい反面、いろいろと気になることが多いのも事実だ。もう一度あの人に会わないと……。ここから先は自分の行動で異なる展開を迎える。
ゲームブックを14ページまで読み進めたところで、物語は“誰のもとに向かうか?”という分岐点に差しかかった。3人の中で、自分はミステリアスな福太郎をチョイス。彼との恋愛がどう発展していくかをまったく想像できなかったのが、その理由だ。
ルートを選択すると会場内の特定の地点でページが足され、物語が紡がれていく。そうして読み進めていると、福太郎の意外な一面や本性が徐々に明らかになっていった。最初のうちは「~ホ」としゃべっていたのに、途中から誇らしげな口調・態度に一変し、かと思えば突然寂しそうな態度をとることも。読んでいくうちに福太郎の魅力にどんどん引きずり込まれていく自分がいた。「なるほど、これがギャップ萌えか!」……なんとなくだが、乙女心というものを理解できた……かも。
とはいえ、さすがにこの歳(と風貌)で妻子持ちとあっては、これから恋愛というわけにはいかない。“恋するAGF”で得た経験は、今後家族サービスという形で生かしたいと思う。
■“アニメイトガールズフェスティバル2014”開催概要
【開催日】2014年11月8日、9日
【時間】9:00~16:00(15:30最終入場)
【場所】
[メイン会場]池袋サンシャインシティ
[サテライト会場]池袋サンシャインシティ 噴水広場
(C)yura (C)AGF2014