2014年11月15日(土)
KADOKAWA アスキー・メディアワークスブランドカンパニーは、第21回電撃大賞の受賞作品として3部門計23作品を発表した。
1993年より電撃ゲーム3大賞として開催されてきた本プロジェクトも、今回で21回。小説部門では5055作品(長編3524作品、短編1531作品)、イラスト部門では753作品、今回より新たに追加されたコミック部門では423作品の応募が集まった。
ここでは受賞作品の発表とともに11月14日に都内某所にて開催された、第21回電撃大賞贈呈式の模様をお届けする。なお、贈呈式には選考委員として参加した作家の時雨沢恵一氏や高畑京一郎氏、イラストレーターの天野喜孝氏、いとうのいぢ氏らが出席した。
贈呈式にあたって、KADOKAWA アスキー・メディアワークス ブランドカンパニー(BC)長の塚田正晃より挨拶が述べられた。
塚田BC長は、今年10月に行われたDWANGOとの経営統合による影響について、「今一番勢いがあって、日本中の若者に興奮を巻き起こしているニコニコ動画のスタッフと、長い間エンターテイメントの小説を作り続けた電撃文庫のスタッフが一緒に飲むという機会を与えられたものだと思っています」とコメント。そこから会社の思惑を越えた、いろいろなおもしろい話が進んでいくことだろうと述べた。
また、6000通を越える応募作品について「非常に魂のこもった作品ばかりが集まったので、こちらも魂を込めて受賞作品を選ばせていただきました」と述べ、「いい作品を書いた皆さんは自信を持って、胸を張って受賞していただいて、これからもいい作品を作っていってください」と締めた。
賞 |
作品名・課題作品名 |
ペンネーム |
年齢 |
金賞 |
『さよならオルタ』 |
仲谷鳰 |
26歳 |
金賞 |
『裏世界コミュニケーション』 |
春場ねぎ |
22歳 |
銀賞 |
『ちゅうふれ。』 |
きあま紀一 |
29歳 |
銀賞 |
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 |
安岳 |
20歳 |
選考委員奨励賞 |
『あなたの恋文代行します。』 |
坂本小夜 |
26歳 |
選考委員奨励賞 |
『約束の遠』 |
星粉屑のおと |
26歳 |
選考委員奨励賞 |
『探偵・日暮旅人の探し物』 |
ゆうき莉子 |
36歳 |
選考委員奨励賞 |
『初恋は過去形、失恋は進行形』 |
空屋巡 |
33歳 |
選考委員を務めたアニメーション脚本家の大河内一楼氏は、まず「さまざまな作品が集まって刺激的だった」とコメント。ただ、オリジナルコミック、コミカライズ、オリジナル作品のコミック原作という3つの部門に分かれていたうち、コミック原作については「原作というよりも小説になってしまっていた作品が多かった」と述べ、「もう一段階考えてほしかった」とコメントした。
今回の受賞者については「次が見たいと強く思った人ばかり」として、「なるべく早く、なるべくたくさんの作品を書いてください。応援しています」とエールを送った。
▲【金賞】さよならオルタ | ▲【金賞】裏世界コミュニケーション |
▲【銀賞】ちゅうふれ。 | ▲【銀賞】俺の妹がこんなに可愛いわけがない |
▲【奨励賞】あなたの恋文代行します。 | ▲【奨励賞】約束の遠 |
▲【奨励賞】探偵・日暮旅人の探し物 |
賞 |
ペンネーム |
年齢 |
金賞 |
加藤いつわ |
23歳 |
金賞 |
岡谷 |
29歳 |
銀賞 |
Minoru |
26歳 |
銀賞 |
ユウナラ |
29歳 |
銀賞 |
nanna |
20歳 |
選考委員奨励賞 |
シロジ |
25歳 |
選考委員奨励賞 |
英和 |
30歳 |
選考委員を務めたいとうのいぢ氏からは「最終選考に残った作品を見ると、前回と比べて水準は上がっているものの、欲を言うならば斬新さや驚きが全体的にもう少し欲しかった」という総評が語られた。
また、受賞者に対して同じ舞台で頑張っていくイラストレーターの仲間として「皆様、どうぞよろしくお願いいたします」との言葉が贈られた。
▲【金賞】作者:加藤いつわ | ▲【金賞】作者:岡谷 |
▲【銀賞】作者:Minoru | ▲【銀賞】作者:ユウナラ |
▲【銀賞】作者:nanna | ▲【奨励賞】作者:シロジ |
▲【奨励賞】作者:英和 |
賞 |
作品 |
ペンネーム |
年齢 |
大賞 |
『陸なき惑星のパラスアテナ ~ニ少女漂流記~』 |
鳩島すた |
38歳 |
大賞 |
『φの方石』 |
新田周右 |
24歳 |
金賞 |
『運命に愛されてごめんなさい。』 |
うわまくるま |
26歳 |
銀賞 |
『レトリカ・クロニクル ~狼少女と嘘つき話術士~』 |
日向夏 |
28歳 |
銀賞 |
『マンガの神様』 |
蘇之一行 |
27歳 |
銀賞 |
『イデオローグ』 |
六郷橋港 |
25歳 |
メディアワークス文庫賞 |
『ちょっと今から仕事やめてくる』 |
北川恵海 |
32歳 |
電撃文庫MAGAZINE賞 |
『バリアクラッカー』 |
囲恭之介 |
36歳 |
電撃小説大賞 選考委員の総評として、作家の高畑京一郎氏が登壇。高畑氏は選考に際して、各作品のジャンルなどを表にした分布図を毎年作っているのだが、今年は非常にバラバラでどう収集をつけるか迷ったという話を披露した。結果として銀賞になった作品でも、選考委員の中では大賞に推した人もいるというわけで、あくまでもこの賞は目安にしかすぎない、とコメントした。あくまでも現時点での評価だという。
また、この受賞した作品は締め切りが半年前のものであることから、現在では力量が変わっている人もいるはずとコメント。続いて「この次に何を書くか、さらにその次に何を書くかでどんどんと評価が変わっていくので、この日をスタートラインと思って、楽しい作品をどんどん書いてください」と語った。
最後にアスキー・メディアワークスBC 電撃コミック総編集長 江口聡より挨拶が行われた。
江口総編集長は、電撃コミックスの事業目標として“新人や新たな才能の発掘”、“コミック初のオリジナルコンテンツの創造と拡大”、“ビジネスの最大限化”の3つを挙げ、これらを「当たり前」としながら「重要なこと」と述べた。
電撃コミック大賞はその中でも新たな才能の発掘を目的としたもので、受賞された方々にはこれからの活躍を期待しているとコメントした。その上で江口総編集長は「この受賞をスタートとして、この先に楽しいことや辛いこと、うれしいことなどがたくさんあり、長い道のりが待っています。そこには電撃の編集者が必ず一緒にいますし、一緒に伝えていきたいと思う」と語った。