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2014年12月16日(火)

『セガ3D復刻アーカイブス』奥成プロデューサーにインタビュー。『スペースハリアー3D』を収録した理由とは!?

文:豊臣和孝

 セガから12月18日に発売される3DS用ソフト『セガ3D復刻アーカイブス』。本作を手掛けた奥成洋輔プロデューサーへのスペシャルインタビューをお届けする。

 本作は、『スペースハリアー』や『アウトラン』など、往年の名作を3DSの裸眼立体視機能に対応させた“セガ3D復刻プロジェクト”のタイトルを集めたもの。ニンテンドーeショップで配信中のソフトから『3D スペースハリアー』、『3D ファンタジーゾーン オパオパブラザーズ』、『3D アウトラン』、『3D ベア・ナックル 怒りの鉄拳』、『3D エコー・ザ・ドルフィン』、『3D ザ・スーパー忍II』をアソート。ただし収録に際して各タイトル名の“3D”表記は無くなっている。また、セガ・マークIII/マスターシステム版を3DS用に移植して3D裸眼立体視にも対応させた『スペースハリアー3D』と『アウトラン3D』が、オマケとして収録される。

『セガ3D復刻アーカイブス』 『セガ3D復刻アーカイブス』
▲『スペースハリアー』▲『ファンタジーゾーン オパオパブラザーズ』
『セガ3D復刻アーカイブス』 『セガ3D復刻アーカイブス』
▲『アウトラン』▲『ベア・ナックル 怒りの鉄拳』
『セガ3D復刻アーカイブス』 『セガ3D復刻アーカイブス』
▲『エコー・ザ・ドルフィン』▲『ザ・スーパー忍II』
『セガ3D復刻アーカイブス』 『セガ3D復刻アーカイブス』
▲『スペースハリアー3D』▲『アウトラン3D』

 奥成さんは、本作だけでなくベースとなった“セガ3D復刻プロジェクト”のシリーズプロデューサーを担当されてきた。今回のインタビューでは、パッケージソフトとして販売されることになった経緯や、作品ごとの改良点や注目点などについて語ってもらった。シリーズを欠かさず入手してきたという“セガ3D復刻プロジェクト”フリークだけではなく、知っているタイトルがあるから気になっているというライトな人まで楽しめる内容になっているので、ぜひ確認してほしい。

■より多くの人に遊んでもらうためにパッケージ版を展開

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲奥成洋輔プロデューサー

――“3D復刻プロジェクト”は、これまでダウンロードタイトルとして展開されてきました。パッケージ版として発売されることになりましたが、そこに至った経緯や理由を教えてください。

 『3D スペースハリアー』が出たのが2012年12月。“セガ3D復刻プロジェクト”はこの冬で2周年になります。ダウンロードソフトとして展開してきたゲームを、もっと広くたくさんの方に遊んでもらいたいというところが最初のコンセプトになります。

 今回収録しているタイトルは80~90年代に出たものなので、オリジナルで遊んでいた方々は30代以上。当時のゲームファンの方々が、今どれくらい熱心にゲーム情報を得ているのか、見えにくいじゃないですか? これまでにダウンロードタイトルをご購入いただいた方々は、電撃オンラインさんなどの媒体で記事を見て知っていただいて、オンライン上のニンテンドーeショップで購入されたお客様なんですが、ゲーム情報を普段から得ていない人もいますし、そもそもゲームソフトを店頭でしか買わない層もいるんじゃないかと。実はそういうお客さん、この世代に結構いらっしゃるんじゃないか、というのがひとつの理由です。

――ダウンロードタイトルは在庫のリスクがない一方で、そうした弱点があったと?

 やはり知名度の部分ですね。パッケージソフトのようにプロモーション展開して注目を集められればいいんですけど、ダウンロードタイトルはプロモーションそのものが難しいです。となると、その層にとって一番身近にあるのは店頭ではないかと。

――改めて認知も高まるところも狙いだったわけですね。

 僕自身、家族が「ちょっとゲームを遊んでみたい」と言った時に、店頭に連れていって「どれにする?」と買うことがあります。そんな時、ダウンロードタイトルはなかなか選択肢に入らないです。その点ダウンロードコードの書かれたカードについては、お店で知ってもらう非常に有効な手段だとは思うんですけど、ネットワーク接続という手順が生じます。

――確かに、全ユーザーがネットワークに接続しているわけではないんですからね。

 ダウンロードタイトルはいつでも欠品なく買えるという購入のしやすさなど、僕はすごくいいものだと思っているのですが、インターネット接続しないといけない部分も含めて、越えないといけないハードルがあります。

 あとは……ダウンロードタイトルは配信してしばらくすると、売っていることに気づいてもらえないようになってしまう。人気ベスト20にランクインしたり、販売された直後のゲームであれば見つかるチャンスはありますけれど、それ以外は難しい。その後は口コミでの指名買いみたいなところがありますね。たまたまニュースサイトで見たゲームを「これはおもしろそうだ!」と検索入力して選ぶじゃないですか。『セガ3D復刻プロジェクト』についても、これまでのお客さんはそういう方々だったと思うんです。なので「発売されているのに知られていないということがあるんじゃない?」というところから、パッケージ版のプロジェクトがスタートしました。

――なるほど。

 もちろんパッケージ版発売に結び付けられたのは、ダウンロード版が好評いただけたからこそです。実は一部のユーザーさんから「形あるもので欲しい」という声もありました。このゲームをやっている世代のお客様は、ゲームソフトはコレクションとして棚に並べたいという方もいる。20年後に「本体が壊れたらダウンロードタイトルはもう遊べないよ!」と思われる、保存を前提とされている方もいるみたいなんです。そこまではさすがに弊社でサポートはできませんが、カートリッジとして形になっていれば、遊ぶチャンスがあるんじゃないか。……もちろんそれは少数だとは思うんですが(笑)、結果そういった方々の声に応えられるということもありましたね。

――店頭に置くということで、パッケージイラストにもこだわられているのでしょうか? 

 6本の中で知名度が高いのが『スペースハリアー』と『ファンタジーゾーン』。この2タイトルのキャラクターがすぐ目につくパッケージを作りたかったんです。『アウトラン』も人気があるんですけど、ただの赤い車になっちゃうのでイラストで理解させるのはなかなか難しい(笑)。やはりハリアーとオパオパは知名度だけでなくキャラクター性も高いんですよね。あとどちらもファミコンとPCエンジンでも出ているタイトルなんですよ。アーケードファン、セガファン、ファミコンやPCエンジンのファンがよく知っているというところもあって、店頭で目について「あっ、懐かしい!」と感じてもらえるものにしました。

 今回“3D復刻”と表現していますが、意味的には復刻だけでなく“リメイク”だと思っているところもあります。バーチャルコンソールのようにまったく同じものだけではない点は伝えたかった。もし過去のイラストをそのまま使った場合、「ベタ移植かな」という印象が強くなって勘違いされかねないので、新しいものであることも伝えるためにイラストを一新しました。

――杉森建さんにお願いしたのはどういう経緯だったのですか?

 元々杉森さんは昔メガドライブの雑誌でアーケード連載記事のカットを描かれていたんですよ。ご自身もかなりのセガファンで。それで杉森さんにプライベートでお会いした時に「他社の仕事ってできるんですか?」と尋ねたところ、「都合がつけばできますよ」とお返事いただいていました。そして今回、店頭ですぐに目につくようなカッコいいイラストが欲しかったので、杉森さんに「今だ!」と思ってメールを送ったんです。その結果、ご快諾いただきました(笑)。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲パッケージイラストを手がけたのはゲームフリークの杉森建さん。ファンにはたまらないイラストだ。

――収録される6タイトルを均等に割り付けることもできたと思うのですが、キャッチーさではコチラのほうがいいですね。

 キャラクターとしてオリジナリティがある2タイトルですからね。イルカや車だとわかりにくいでしょうし(笑)。手にとっていただくと手前にロゴが並んでいるので当時を知る方であればすぐにおわかりいただけると思います。あと、裏には具体的な紹介を入れています。

――パッケージ裏では、アソビン教授は目立っていますね。

 取り扱い説明書を作ったデザイナーが「アソビン教授を入れたい」と。最近たまに見かけるようになりましたけど、マイナーなキャラクターですよね。これを作っていた時は“セガハード・ガールズ”のアニメに登場する話は全然知らなかったんですが、なぜか同時多発的に発覚しました(笑)。当時を知る人にとっては、思い出深いキャラクターなんですよね。

 ただ、実際このキャラクターが活躍していたのは85年からで、87年には引退しているんですよ。そのため、収録タイトルが出ているころにはアソビン教授は、もういないんですね。それでもデザイナーがこだわりで「どうしても入れたい!」というので、入れました。

――アソビン教授の正確な仕様など、資料が残っているのでしょうか?

 仕様はないですね! 誰が描いたかもよくわかってないんです。前任のゲームズ博士は『忍者プリンセス』とか『フリッキー』を描いた人が手がけているんですけど……アソビン教授はわからないですね。

 調べてみると本当に適当なんですよ。いつもフキダシがついているんですけど、その形も毎回違う(笑)。言い方もぶっきらぼうで。

――もし手掛けた方がこのインタビューをご覧になっていたら、ご連絡ください。話を戻しますと、収録タイトルは知名度を優先されたのでしょうか?

 収録タイトルを決める際のテーマは2つです。パッケージ版を出すことで、シリーズそのものを知ってもらいたかったのがまず1つ。次に、最初なのでいろいろなゲームを遊んでいただきたかったということです。13タイトル配信されていますので、そこからなるべく違うジャンルのゲームを入れていこうと。まず3Dシューティングが一番多かったのですが、その中で一番人気があって有名なのが『スペースハリアー』でした。

 2DシューティングはIとIIが出ている『ファンタジーゾーン』のIを選びました。他ジャンルを考えた時に『アウトラン』がドライブゲームで入りました。アクションもいろいろあったんですけど、一番オススメしたいゲームで選んだのが『ザ・スーパー忍II』。知名度ではやや劣るんですが、3D表現にかなり凝ったところがあるので、それを見てほしくて入れたタイトルです。そしてベルトアクションと細かくジャンルを分けて『ベア・ナックル』も決めました。この5本が決まった後、「残ったゲームで一番違って見えるゲームは何かな」と考えた際に、「アクションアドベンチャーとして『エコー・ザ・ドルフィン』を入れたらどうだろう」ということで6本が決まりました。

――6本というタイトル数は最初から決まっていたのでしょうか?

 最初に提案をくれたのが営業部なんですが、以前PS2でリリースした『セガエイジス』のように、「お客さんが購入しやすい価格で売りたい」という話があったので、最初に価格を決めて、3,980円でどういう構成にすればいいかを考えました。配信版も引き続き発売中ですし、過去に配信タイトルをたくさん購入された人が、全部入りで3,980円とかあまりに価格差のあるものだったら、あまりいい気分はしないですよね。価格は近づけたいと思っていたので、足すと4000円くらいになる6タイトルにしています。

――タイトルの選定には悩まれませんでしたか?

 惜しくも漏れたという意味では『アフターバーナーII』は迷いましたね。これについては、営業の際にお店の方からも「『アフターバーナーII』は入ってないんですね」と言われました。その時は「本作がたくさん売れたら第2弾に『アフターバーナーII』を収録したいのでたくさん売ってください」とお願いしました(笑)。

――パッケージ版が出ると聞いた時には「全部入りになるのかな?」と思いました。

 ダウンロード版はこれからも発売していきますからね! 13本全部入りという選択肢もあったかもしれないですけど、その場合は1万円くらいの価格になって、今とはかなりコンセプトの違う商品になっていたでしょうね(笑)。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲価格を最初に来て、6本をチョイス。後述のオマケを入れると計8本を楽しめる!

■思い出のエンディングを見せてあげたい! 変更された様子や各タイトルの特徴とは!?

――今回のインタビューはこれまでシリーズについてあまり知らなかったという新規層もターゲットにしています。そうした人たちに、それぞれのタイトルコンセプトなど概要説明をお願いします。

 シリーズ最初のコンセプトとして、普通のベタ移植では不可能なプラスアルファ、新鮮さを入れるというのがありました。各タイトルに、何かしら必ずプラス要素を入れようと。一番大きいものが裸眼立体視への対応ですが、それだけではなく2Dでやった時にも新しい要素を用意しようと、新モードなどを各タイトルに必ず入れています。あと“どこでも遊べる”というところにはこだわっていました。携帯ゲーム機で遊ぶ以上、落ち着いた場所だけではなく、移動中の車内など“どこでも遊べる”ものじゃないといけないので、できるだけ敷居を下げる対応をしています。

 具体的には、ステージセレクトをほとんどのゲームに実装しています。『スペースハリアー』や『ファンタジーゾーン』は、進んだところまでセレクト可能です。あとはいつでもセーブができます。アクションやシューティングで、ボス手前でセーブすれば何度でもリトライ可能。バーチャルコンソールではやらなかったんですけど、今回は最初からやると決めていました。PS2のころは再開するとそのセーブデータが消える仕様だったんですけど、そういうのはもう止めるようにしています。やはり環境にあわせてやりやすくするのが、理由としてありますね。

――内容を変えるのではなく、遊びやすくするカスタマイズを入れているわけですね。

 コントローラ自体も異なりますし、これらのゲームを当時やっていた人も、ゲームの腕が落ちているかもしれません。そういう人たちが「難しくてクリアできない!」というようにはしたくなかった。できるだけエンディングまで連れていって、最後まで当時の思い出を思い出させてあげたいという気持ちがあるじゃないですか。

――それはうれしい配慮ですね。

 また6本の中だと『エコー・ザ・ドルフィン』や『ザ・スーパー忍II』が顕著なんですけど、当時から難しくて全然進めなかったゲームへの対処です。これらは、とにかくハードルを下げたいと思いました。どこでもセーブできる時点でかなりハードルを下げているんですけど、それだけではなくゲームそのものをとっつきやすくしたかった。

 『ザ・スーパー忍II』はステージセレクトを最初から標準装備しています。オプションを追加すると、スタートボタンを押しただけでステージセレクトができるので、極端な話をすると最終面も選んでいきなり遊べます。後半ステージはかなりギミックが凝っていておもしろいんですが、3面あたりで終わっていたという人もいるだろうと。それを見ずに止めてしまった人たちには「4面や5面もすごいので見てください」という機能です。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲高難易度アクションで知られる『ザ・スーパー忍II』。本パッケージなら条件を詰めて自分なりに納得のいくプレイが追求できる。

――『エコー・ザ・ドルフィン』はどうでしょうか?

 『エコー・ザ・ドルフィン』は、体力と酸素ゲージを維持しながら進めていくゲームです。ゲーム自体は“この岩を壊すために、あそこにある巻貝をぶつけてください”というアクションパズル的な作品なんですが、ぶつけるのがすごく大変。巻貝に行ってぶつけるリトライを繰り返しているあいだに酸素がなくなっていくので、一旦パズルを休んでちょっと離れた呼吸スペースで息継ぎをしないといけない。これを怠ると酸欠で死んでしまううえに、パズルしているステージの中にも敵がチョロチョロしているので、体力を削られても死んでしまう。

 そこで3DSでは“スーパードルフィンモード”というのを追加して、これを選ぶともうそれら酸素と体力の要素が全部なくなるんです。純粋にアクションアドベンチャーとしてパズルとアクションを楽しんでもらうゲームに変えました。それでようやく今のゲームより少し難しい程度の難易度になっているかと。

――当時『エコー・ザ・ドルフィン』をやりこんでいた人たちから、「なんでヌルくしちゃうんだよ!」というような意見はありませんでしたか?

 もちろんもとの難易度でも遊べますが……他のゲームはともかくこのゲームだけはどうなんでしょうね? 他はともかく『エコー・ザ・ドルフィン』についての難易度は、下げられるだけ下げたいという意識がありましたね。実はこのゲーム、ストーリーが奇想天外で、最初の印象からどんどん変わっていくゲームなんで、多くの人に真のストーリーを楽しんでもらいたいんです。

 最初は南洋からスタートして、次に北極海とか氷の海に行きます。そのあたりまでは想像ができるのですが、それからタイムスリップして恐竜時代の海にワープするんですよ。普通はタイムスリップするところまでいけなくて、それ以降を知らない人は多いんです。さらにはワープして最後には宇宙でエイリアンと戦うんですけど、そこまで遊んだ人は少数で、「話には聞いたことがある」など、もはや伝説に近くなっている。そういうストーリー展開があるので、この作品はあえてステージセレクトは入れていません。一応もとからの裏技でのステージセレクトはそのままあるんですけど……できるだけ順番にストーリーを楽しんでもらえるといいなと思っています。ゲームの難易度を下げたうえで、中断セーブを繰り返して進めてください。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲アクションパズル要素も強い『エコー・ザ・ドルフィン』。名前は知られていても、最後までプレイした人は限られているのでは?

――その他のタイトルについても、教えていただけますか? まずは『スペースハリアー』と『ファンタジーゾーン』について。

 『スペースハリアー』は、セガにおいて一番有名なクラシックタイトルで、当時の世代に衝撃を与えた作品。メモリアル、完全版としての作品作りを目指しました。

 『ファンタジーゾーン』は、アーケードゲームを3DSの操作系でプレイするのは難しいところもありますので、何度もチャレンジすることを前提として作っています。このゲームの場合、ステージセレクトが入っていても、お金がないままの途中からの再開だと厳しいじゃないですか? ある程度お金を持った状態で再開させたいけど、そのお金はどうやって生み出すのかを考えて、「これまでプレイして得たお金を貯められる」ということになりました。何度もプレイしてお金をためておけば、すぐ武器が買えるわけです。お金を貯めるとどんどんオプションが追加されて、敵がドロップするお金の金額が上がったり、武器の使用時間が延びたり、とにかくプレイヤーが楽になる要素が増えていく。繰り返していくことでハードルがどんどん下がっていく形にしています。

――あまりないシステムですよね。

 ただ難易度を下げるだけだと、本当に好きな人にはプラス要素が少なくなってしまうので、一方でボスが乱入する要素を入れています。アーケード版には登場しない新たなボスが、とある条件を満たすと乱入してきて戦えます。そのボスは結構難易度が高いので、アーケードのファンも新鮮に遊んでいただけると思います。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲『ファンタジーゾーン』は繰り返しプレイすることでお金を貯められる。コツコツ頑張れば最後までいける……はず!

 『アウトラン』は、ドライブゲームなのでまずは全コース遊んでもらおうと。5つのゴールを目指すところを楽しんでいただきたいです。5つのゴールを目指すのに音楽が3曲でしたので、3DS版では5曲に増やしています。あと、ゴールに到達したことでそれぞれご褒美となる追加パーツを4つ用意しました。エンジンは最高速度が上がってゲームのスピード感が変わる、タイヤは路肩を走っても減速しないといったように、装備したらゲームの難易度が下がるんですね。

 またオプションで一番難易度を下げると、タイムが増えるうえに敵車が走っていない状態になります。1台でドライブできる状態なので、一番簡単なルートでゴールしてもらえば、まず1つのパーツが手に入って装着することで難易度が下がります。最終的に4つのパーツをつければどのコースも楽々走れるようになっています。

――そうなると、かなり楽に遊べそうですね。

 さらにパーツをつけることで車のカラーやデザインが変わっていくわけです。これがまた新鮮なんですけど、何度もやっていると、最初の赤い車で遊びたくなるんですよ。特に『アウトラン』に思い入れがある人なら、あの真っ赤な車に思い入れがあるじゃないですか? そのためには、パーツを全部外す必要があるわけです。

――ちょっとジレンマですね。

 そこが、ゲームとしてやりこんでほしい部分なんですよ。チューンナップカーで楽をするだけでもいいんですが、赤い車で走りたいという人はゲームをマスターしてくださいと。最終的には楽な車でコースを覚えて、初期の状態の赤い車で遊んでほしいという想いが込められています。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲『アウトラン』は曲とパワーアップ要素を追加。オプションによりレースゲームが苦手な人でも楽しめるだろう。

――『ベア・ナックル』はいかがですか?

 『ベア・ナックル』は、ベルトスクロール型のアクションなのでクリアまでのステージがたっぷりあります。携帯ゲームで軽く遊べるように“一撃必殺モード”を入れました。これはパンチ一発で敵が倒せてしまうという、昔のアクションゲームみたいな感じのモードです。ボスも一発で倒せちゃうんですけど(笑)、ゲーム自体は8面あるんで、ダイジェスト的に結構な時間楽しめます。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲『ベア・ナックル』は黎明期のアクションゲームを思わせる一撃必殺モードを用意。ボスも一発とは実に思い切った仕様だ。

――最後に『ザ・スーパー忍II』をお願いします。

 『ザ・スーパー忍II』はステージセレクトもありますが、もうひとつ“ダイレクト操作”というマニアックなものがあります。5つのボタンを全部使って操作をするものです。通常にはないガードボタンもあって、ガード中は攻撃に対して無敵になったりと、ゲームを通常とは違うスタイルで遊べるので新鮮に楽しめます。

■“とことんマニアック”を追求したおまけ……開発時には予期せぬ苦労が!

――次は気になるボーナス収録されるタイトルです。

 ボーナスタイトルの収録は、最初の予定になかったんです。ですが先ほどお話したように、パッケージであえて残しておきたいというお客様が一部にいらっしゃって、そのお客様が既にソフトを購入されているのであれば“二度買い”になってしまう。「収録ゲームのうち6本全部買ってる」とか「5本持ってる」という方々は、本来パッケージ版を買うことはないと思うのですが、もしパッケージ化に対して再度購入されるということになると、ちょっと申し訳ないのが本音です。そこで、ダウンロード版を持っている方々でも「パッケージ版も買ってよかったな」と思ってもらえる要素は何かと考えました。

 その一方で、シリーズをダウンロードで買い続けてきた人が、パッケージ版の購入を不可避になるような要素は入れたくなかったんです。例えばですけど「ダウンロードタイトルとして出てない『パワードリフト』が新作で入っていて、それはダウンロードでは出しません」とか。

――そうですね。うれしい気持ちもあるけど、さみしい気持ちもあると思います。

 そういった形で差別化はしたくなかったので、そのなかで真ん中くらいを狙っています。パッケージで持っていたい、あえて二度買いするような方は、多分僕くらいの古くからのゲームファンの世代だろう。そういう人だけが喜べるような、通常単品で売っても商売にできないようなマニアックなゲームとして選ばれたのが、この2本です。

 『スペースハリアー3D』と『アウトラン3D』は、どちらも家庭用オリジナルの続編で、オリジナルとは違うゲームですが、変な話一方でアーケード版という“ホンモノ”が入っているわけですよね。遊んでいただけばわかるんですけど、絶対にオリジナルであるアーケード版の方がおもしろいんですよ!(笑)

――アハハハハハ。

 それは間違いないんですが、この「8bitでがんばって再現しています」という点やアレンジ度合いなどを含め、当時のファンには愛しく思える存在です。そういったゲームが入っているならば、パッケージでもう一度買う人にも少しは喜んでもらえるかなと。

――確かに絶妙なところですね……。

 これらのソフトを知っている人は、当時5,000円くらいでマークIIIのソフトをおもちゃ屋さんで買っていた層です。なので、これらのおまけで1本分の価値を見出していただけるんじゃないかと。特に『アウトラン3D』はトラウマのようなゲームでして……。当時発売する予定があってカタログにも書いてあったのに、発売されなかったゲームなんですね。海外では出たんですけど、日本では予定がなくなっちゃったタイトルなんですよ。理由は、メガドライブが出て移行してしまい、セガ8bitのマークIII、マスターシステムのソフトは売れなくなって、やがて中止になってしまったんですね。そのため、海外からの輸入品を買った一部の人を除けば、誰も遊んでいないタイトルです。

 そんなタイトルを、26年ぶりに発売するわけです(笑)。「えっ、『3Dアウトラン』じゃなくて『アウトラン3D』!?」と反応してくれる人には、喜んでもらえるんじゃないかと。オマケはとことんマニアックに攻めました。

『セガ3D復刻アーカイブス』 『セガ3D復刻アーカイブス』
▲マニア歓喜の移植『スペースハリアー3D』と、日本国内ではお蔵入りとなった『アウトラン3D』。どちらもかなりコアなタイトルだ。

――リアルタイム世代以外にはピンとこない、“ぽか~ん”というハッキリした位置づけですね。

 88年当時の3Dゲームはこんなのだったというのがオマケに入っているのは、ちょっとおもしろいかなと思っています。ただ、1つポイントもあって、これらのゲームって単に移植しただけではなく、サポート機能も追加しているんです。『スペースハリアー3D』についてちょっと説明すると、ストーリーもアーケード版の前史ということになっているので、登場する敵もすべて違うんですが、道中が物すごく長くて、ボスまでなかなかたどり着かないんですね。

――今、そのようなゲームを作ったら怒られますよね。

 いや、当時でも怒ってましたよ、「いつまで経ったら終わるんだ!」って(笑)。いわゆるザコ戦が2周分くらいあって、ようやくボスみたいな……なんでこういう作りになっているのかは、よくわからないんですけど、当時は「長く遊ばせたい」という気持ちがあったのではないでしょうか。長いんで、クリアも難しいんですよ。コンティニューするとステージの開始地点に戻るし、さらに裏技でコマンド入力しないとできないコンティニューは、回数の制限まであった。このゲームを持っていた人でも当時クリアできたかどうかわからないので、今回“ヘルパーモード”をつけています。このモードをONにすると、ボタン1回でしかも無限コンティニューできるようになるので、当時の雪辱を晴らせます(笑)。

 『アウトラン3D』もヘルパーモードでタイムを増やせるため、大抵の人はクリアできると思います。正直に話すと、あまりここで時間をとらせずに他のゲームでたっぷり遊んでほしいという意図もあります(笑)。

――ただ、貴重なゲームを遊べるのはうれしいですね。

 本当ですね。任天堂さんが店頭で配布している冬のカタログにこのゲームの紹介もあって、わざわざ“3Dグラス”という当時の周辺機器の写真も載せていただいたのですが、昔は3Dグラスをかけて遊ばなきゃいけないゲームだったんです。当たり前ですが3Dグラスは別売りなので、プレイするのに高いハードルがあったタイトルです。しかも、もし今も大切に一式持っていても、液晶シャッターはブラウン管の走査線にあわせている技術なので、ブラウン管テレビでないと3Dに見えないんです。

――ガンシューティングのガンと同じですね。

 そうですね。そういう意味でも、今ではほとんどプレイすることが不可能なゲームなので、このようにして保存する価値があるのかなと感じています。

――ややマニア向けの質問になってしまいますが、そのように走査線を使ったタイトルの復刻は、そんなに簡単ではないですよね?

 ガンシューティングはすごく大変ですね……それでも『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』シリーズとか移植したんですけど(笑)。3Dゲームについては、当時の液晶シャッター方式だと3DSで対応できないので、丸ごと変えて今の3DSで見られるよう作り変えています。

 これまで他社から当時の3Dゲームがなぜ移植されないのか、いちユーザーとして疑問に思っていたんですよ。今回開発してみて「これは確かに採算が合わない! 無理だ!」と思いました(笑)。

――やや突っ込んだ質問が続きますが、スケジュール的にも大変だったのでは?

 マスターシステムの3Dゲームは、国内で5種類、海外を含めると8~9種類くらい出ているんですね。「オマケで全部入れちゃおうか」と最初は言っていたんですが、スケジュール的にこの2本でギリギリでした。実を言うと収録ゲーム8本のうち、最後に完成したのが、『アウトラン3D』でした(苦笑)。

 液晶シャッターのゲームは、1/60フレームで左右の絵が交互に表示されています。それに対して3DSは、違う絵が左右同時に表示されているわけです。これは全然違う方式なんですよ。左右にパカパカ表示していたのを、同時に表示させる必要がある。これが難しいんです。

――むしろ、3Dだったゲームを裸眼立体視に対応させるのは容易ではないと。

 もしセガが3Dゲームライブラリみたいなものを作っていたら、1個直せば全部直るんですけど、当時そんなことはしてなくて、全部プログラムが違うんですね。『アウトラン3D』にいたっては、タイトル画面とゲーム画面で表示プログラムが違う(笑)。おそらくタイトル画面を作ったプログラマーと、ゲームを動かしているプログラマーが別だったんでしょう。そうなるとプログラムごとに直すことになります。

 「オマケとしてやります!」と言ったのに後から「こんなに大変だとは思わなかった」と、スタッフ一同で頭を抱えるほど手間が掛かりました。でも「この2本はなんとかしよう!」といってギリギリ間に合いました。

『セガ3D復刻アーカイブス』 『セガ3D復刻アーカイブス』
▲3Dグラス(左)とマスターシステム(右)。マスターシステムは海外、特に欧州のゲームファンに長く愛されたハードでもある。

■奥成さんが一番思い出深い作品は……あの人気タイトル

――奥成さんが一番思い出深いタイトルは何ですか?

 やはり、2年前に3D復刻プロジェクトを立ち上げたときの1本目である『スペースハリアー』ですね。このシリーズをやろうというキッカケになったのが『スペースハリアー』なんですよ。もっと言うと、ニンテンドー3DSという新ハードが出るアナウンスを聞いて、裸眼立体視で3Dゲームを遊べることを知った瞬間に、バーチャルコンソールをずっと作っていた僕らからすると「3DSでこれまで作ってきた昔のゲームも立体にできたら絶対楽しいよね!」と最初に思ったわけですよ! 僕だけでなく、3DSのリリースを見たゲームファンの多くがそう思ったはずです。

 そういう話題になると、必ず出てくるのが『スペースハリアー』だったんですよね。当時は擬似3Dゲームでしたが、30代後半以上の人は3Dゲームといえばまず『スペースハリアー』を思い浮かべる世代なんですよ。「これが本当に3D表示だったらどんな画面になるんだろう?」というところは、僕も、スタッフも、ファンも、皆が思ったところ。それを実際に作って、最初に3D表示した時の感動が味わえたのが『スペースハリアー』です。

――確かにそういうユーザーも多そうですね。

 それもあって、今回パッケージ版にあたり『スペースハリアー』は作り直して立体感がアップしました。2年間シリーズを続けてきたこともあり、最初に作った『スペースハリアー』は後半の『アウトラン』などと比べると見劣りするのです。「今だったらこうできるのに!」という思いがあり、『スペースハリアー』をパッケージに入れることが決まった時にスタッフ内でも作り直したい気持ちが高まったので手を加えました。

――普通であればすでにある物に対して、作り直させてくれるのはあまりないという印象ですが……。

 ダウンロードで出ている時の『スペースハリアー』は、最初のゲームならではの試行錯誤があったため、クレジットやリセットボタンが2本目以降と違ってまして、改めて続けて遊ぶとビックリするんですよ。

 また、当時はショットボタンしかないのでボタンコンフィグは必要ないと思っていたのですが、ユーザーさんからは発売後に「ボタンの位置を変えたい」などのいろいろな意見をいただいたので、以降のシリーズでボタンコンフィグをつけました。でも『スペースハリアー』にはなかったので、パッケージ版を作るに際して用意しました。

 会社に無断でゲームを作るわけにはいきませんが、今回はパッケージ版を作るというプロジェクトが新たに立ち上がったので、作り直すチャンスができたのです。そういう意味でも、このパッケージを作れたのはよかったなと思います。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲真っ先に挙げられた『スペースハリアー』。セガを代表する名作のひとつだ。

――他に何か思い出深いタイトルや事柄はありますか?

 『ファンタジーゾーン』については、ちょっと作りこみすぎたと思うほど、長く繰り返し遊べる要素を入れられたのはとてもよかったと思っています。6本のなかで一番長く遊べるゲームは……アドベンチャー要素のある『エコー・ザ・ドルフィン』は別として、何度も繰り返し遊ぶ楽しさという意味では『ファンタジーゾーン』ではないでしょうか。最初にやった時は「なんて難しいんだ!」と思うんですが、繰り返し遊んでオプションが追加されて、プレイにも慣れていくとドンドン簡単になっていく。そういうところを楽しんでほしいですね。

 『アウトラン』は、しばらくの間移植がなかったゲームで、ようやく復刻できました。ちょっとマニアックな話なんですけど、オリジナルのアーケード版は描画速度が1/30フレームで、『スペースハリアー』の半分しかないんですね。『アウトラン』自体はいいゲームなんですけど、他のゲームと見比べた時に描画で見劣りするところがあるのも事実でした。その後セガサターンに『アウトラン』が移植された時、裏技で1/60フレーム描画モードがあって、そこで滑らかに動く『アウトラン』に当時感動したわけです。その時の印象があるので、1/60で動いていないと……「サターン版が一番いい!」といまだに言われるのも残念なので(笑)。サターンと3DS、得意不得意は異なるのですが、がんばって1/60フレームを入れました。

――前回とは別の生みの苦しみがあったわけですね。

 PS2の時代は“なるべく忠実にそのまま届ける”というコンセプトだったんですけど、今回は“一番快適な状態で提供する”というコンセプトです。『アウトラン』の描画は、滑らかなほうが美しいだろうと。でも、アーケードそのままで描画はカクカクしてるけど「こっちのほうがスピード感があるんだよ!」と思い入れをお持ちの人も絶対いらっしゃると思ったので、先ほどパーツの話をしましたが、5つ目のゴールにいくと“アーケードそのままモード”が手に入る仕組みにしています。それを遊ばれて「そうそう、俺が遊びたかったのはコレだ!」と言ってくださる人もいるかもしれないし、「なんじゃこりゃ! 退化してる!」という人もいるかもしれない(笑)。ただまぁ、ゴール5つ目なんでそれもアリかなって。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲久しぶりの移植となる『アウトラン』。ヌルヌルの1/60フレームだけでなくアーケードライクの1/30フレームもプレイを進めると楽しめる。

――新規で遊ばれるユーザーに「まずはコレから遊んでほしい」というタイトルを教えてください。

 繰り返しになってしまいますが、やはり『スペースハリアー』ですね。ボタン1個とコントロールするだけでシンプルに遊べますし、何も言われなくてもルールがわかる。敵が飛んできたら避けるし、当たったら「あっ、やられたな」っていうのも見えるじゃないですか。なおかつ3Dとしての効果もわかりやすいタイトルです。

――リアルタイムで遊んでいた世代は難なくプレイすると思うのですが、そうではない人たちに「こうするとうまく、楽しく遊べる」などのポイントはありますか?

 そこは、どうとるかにもよりますよね。『エコー・ザ・ドルフィン』や『ザ・スーパー忍II』はルールなど説明しないといけないことがあるのですが、それ以外は“なんとなくやっているだけで楽しい”と思います。ボタンを押していればゲームが進むので、普通に遊んでいただいていいんじゃないかなと。

 難しいタイトルに関しては、当時クリアできなかった人も楽しめるようにサポートする機能をできるだけ入れているので、難しく感じたらそれをどんどん使ってほしいですね。「俺は連射ボタンを使わない」という人もいるかもしれませんが、とにかく3D立体視だったり、追加要素だったりを楽しんでほしいんですよ。楽をしてもいいから、ひと通り見て、遊んでいただきたいですね。

――ハードルを下げる方向性と調整は、本当に徹底されているんですね。

 発想としてこのシリーズの前と後で転換があったのは事実です。例えば、追加要素についても高得点を出した場合など、ハードルを上げて出すようにすることもできましたし、そういう案もあったんですが、それは過去の時代の話かなと。……ただ、さじ加減は考えましたね。目をつぶっていても出ちゃうような隠し要素だったら、うれしさも半減します。がんばった結果として、何かができるというところは残したかったんです。

――『セガエイジス』のころは、忠実な再現を手がけられていたと思うのですが、今はそれが当たり前で、その上の部分で開発されているのを感じました。

 実は逆に戻っているところもあるんですよ。ファミコン時代のゲームって、追加要素が当たり前だったじゃないですか。アーケードの移植ゲームでアドベンチャーモードがあったり、武器が増えていたり、ボスが追加されていたり。アーケードで遊んだ後、家庭用でやった時の追加要素って結構よかったと思うんですね。あの時の“よかった”を今やりたいという考えはありますね。労力がかかるので何でもできるわけではないのですが(笑)。『アウトラン』のカスタマイズも昔のゲームっぽい部分ではあると思いますね。

 実際にベタな移植も言うほど簡単ではないのですが、それはもうバーチャルコンソールで100本以上開発してきましたし、とっておきのゲームは「そのまま出すだけじゃないだろう」という考えがあります。お客様が購入しただけで満足ではなく、やはり遊んでいただきたいというアプローチをずっと考えてきたのですが、今のところ一番しっくりきている答えが、新ボスやモードの追加でして、そういう意味での原点回帰なのかなと考えています。

――本作をプレイしたユーザーに「もっとセガの古いゲームのことを知りたい!」という人が出てくるかもしれません。そうした人たちに向けた施策、コンテンツなどは検討していますか?

 単体でどうというのは特にないですが、セガはそういったことに関してはインターネットなどで積極的に掘り返しているほうだと思っています。弊社の公式サイト内の“セガアーカイブス”にこれまでに配信されてきたダウンロードタイトルが並んでいるので、そこを丹念に見ていただけるといいなと思います。

――今後のシリーズ展開についてはいかがでしょう?

 なんともいえない部分はありますが、このパッケージ版がうまくいったら、今回未収録だったタイトルで次回作もやりたいという気持ちは、もちろんあります。配信タイトルについてもいったん終わりましたが、実は現在は『3D アフターバーナーII』などの海外版を作っていまして、開発チームも存続し、プロジェクト自体はひそかに進んでいます。

――海外版が発売されるんですね。

 1年前に『3D アフターバーナーII』を日本で出したんですが、海外ではまだ出てないんですよ。最初の8本は海外版も出ていますが、『サンダーブレード』を含めたその後の5タイトルはもともと海外での発売予定がなかったんです。それが一転して「やっぱり出しましょう」という話になりまして、来年その5本が海外で出ます。

 話をもとに戻しますと、今回のパッケージ版について発表だけでもたくさんの反響をいただいたので、この勢いが実際に発売後まで続くのであれば、ぜひ続きをやりたいと我々は考えています。ただ、こんなことを言っておきながら出なかったとしたら、そこは「力不足でした」ということで申し訳ありません。まあ、正直反響次第です(笑)。クラシックタイトルでは本当に久々のパッケージタイトルなので、実際店頭に置いてみないとわからないことばかりです。でもこのようなタイトルは瞬間的にドカンと売れるのではなく、店頭で気づいた人が買っていき1年経ったら「結構売れたね?」となれればと願っています。長くお店に置いてもらえる定番ソフトになってほしいですね。

――本日はお忙しいところをありがとうございました。

『セガ3D復刻アーカイブス』
▲今後の展開は反響次第という奥成プロデューサー。もっと続けてほしいというファンは、声を出して応援していこう!

 本作『セガ3D復刻アーカイブス』の発売を記念して、限定アイテムが当たるプレゼントキャンペーンが実施される。『セガ3D復刻アーカイブス』のパッケージ版、ダウンロード版を購入し、2014年12月18日~2015年1月31日に“SEGAゲームソフトインターネットアンケート”に答えた人に、抽選で豪華賞品がプレゼントされるキャンペーンだ。なお、賞品は2種類用意されているが、応募にあたり賞品の選択はできないので注意してほしい。

●賞品1:『トランスフォーマー メガドライブ メガトロン ゴールドVer.』5名

『セガ3D復刻アーカイブス』 『セガ3D復刻アーカイブス』

 タカラトミーアーツのホビーブランド“NEXTA”より発売中の『メガドライブ』と『トランスフォーマー』がコラボレーションした『メガドライブ メガトロン』のゴールドバージョンをこのキャンペーンためだけに制作。胸部のカセット差込口にセットできる付属のミニチュアカートリッジは、『セガ3D復刻アーカイブス』に収録されているメガドライブ版『ベア・ナックル』で、製品版とは異なる特別仕様となっている。

タカラトミーアーツ NEXTA『トランスフォーマー メガドライブ メガトロン』スペシャルサイト
トランスフォーマー公式サイト

●賞品2:『マーズ・シックスティーン『セガ3D復刻アーカイブス』オリジナルTシャツ』30名

『セガ3D復刻アーカイブス』

 現在“セガハードシリーズ”を展開中の、アニメ・漫画・ゲーム・音楽のデザインワークスTシャツブランド“マーズ・シックスティーン”による、『セガ3D復刻アーカイブス』をモチーフにしたオリジナルTシャツ。ゲームに収録されている各ゲームのロゴをあしらった、本プレゼント限定デザインだ。なお、TシャツのサイズはLサイズのみ。

“マーズ・シックスティーン”

(C)SEGA
Bare Knuckle: MUSIC (C)YUZO KOSHIRO
Ecco the Dolphin was originally created by Ed Annunziata.
イラスト:杉森建(株式会社ゲームフリーク)

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