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2015年2月3日(火)

ダンジョンRPG好きがガチで絶望した『ロストヒーローズ2』をレビュー! ヒーローラッシュは諸刃の剣!?

文:オヌゥ

 バンダイナムコゲームスから2月5日に発売される3DS用ヒーローRPG『ロストヒーローズ2』。発売が迫る本作を、ダンジョンRPG好きのライター・オヌゥがプレイしたので、ゲームの魅力や注目のシステムをお伝えしていきます。

『ロストヒーローズ2』

 『ロストヒーローズ2』は、『ウルトラマン』『仮面ライダー』『ガンダム』シリーズの人気キャラが集結するヒーローRPG。それとともに、名作ダンジョンRPGをいくつも手がけたランカースによる本格ダンジョンRPGでもあります。

 先ほど“ダンジョンRPG好き”と言っておきながら、実は前作の『ロストヒーローズ』をプレイしてないんですよね……僕。実は、ある疑問を抱いていたからなんです。ダンジョンRPGって、難易度が高くてやりごたえのある硬派なイメージがあるじゃないですか? 『ロストヒーローズ』は、ヒーローRPGとしてクローズアップされていたので、あのランカースが作っているとはいえ、子ども向けのゲームで「そこまでシビアなゲームバランスになっていないのでは?」という疑問です。

『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』

 ということで、「『ロストヒーローズ2』はダンジョンRPGとしてしっかり楽しいのか?」ということも、焦点の1つとして交えつつ、レビューしていきたいと思います。

■オープニングでヒーローが処刑!? ガチで絶望するストーリー展開

 ゲームを始めると、何か嫌な気配を感じとったウルトラマン、仮面ライダー1号、νガンダムが原因を究明するために集まってきます。途中で何度か戦闘がありますが、ヒーローたちが圧倒的に強く、まったく敵を寄せつけません(笑)。

『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
▲ヒーローたちのレベルは70! 通常攻撃しかできませんが、ほとんどの敵を一撃で蹴散らしていきます。

 俺TUEEEE(ツエー)気分を満喫していると目的地に到着。そこには暗黒面に堕ちた悪のウルトラマンことカイザーべリアルが、悪の時代を築くために何やら画策していました。

『ロストヒーローズ2』

 向こうは饒舌(じょうぜつ)に語っていますが、こっちの3人はレベル70ですよ。戦闘になれば、圧倒的な強さでボッコボコにしちゃうから!

『ロストヒーローズ2』

 圧倒的な強さで……強さで……。

『ロストヒーローズ2』

 戦闘にならずに倒されました……。カイザーべリアルの目的は、前作で世界を救ったウルトラマン、仮面ライダー1号、νガンダムを処刑し、人類に絶望を与えることで達成されるらしいのです。他のヒーローたちが駆けつけますが、カイザーべリアルの強大な力を前になすすべもなく、ついに処刑が決行され、オープニングデモへ……。こんなにシュールなヒーローRPGは初めてです。子ども向けとか思っていてごめんなさい。

『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
▲絶望再来のキャッチコピーのもと、世界を救ったヒーローが処刑されるというショッキングなオープニングです。

 オープニングの後は、絶望に満ちた世界でゲーム本編がスタート。この世界では、ヒーローが力を失っているという設定のようですね。開始直後のイベントで、ザコ敵に大苦戦しています。とはいえ、そこはヒーローもののお約束といいますか、実際に戦闘が始まったら強いに違いない。そう思っていたんですが、本当にクッソ弱いです(笑)。

『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
▲チュートリアルのザコ敵の一撃で、HPの1/5程度が平気で削られます。戦闘が終わるころには瀕死状態に……。

 さらに、戦闘が終わったあとも要救助者がこの先にいるとかで、瀕死のまま向かわされます。しばらく進むと、やられかけのNPC兵士を助けるため、恐竜戦車と戦う展開に。戦闘前にウルトラマンゼロが仲間として加入し、戦力が増強されるので、いくら弱くてもさすがに負けないと思っていたんですが……ギリギリの戦いで、気を抜くとやはりやられます。

『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
『ロストヒーローズ2』
▲チュートリアルでさえ、ちゃんと戦わないとゲームオーバーになる! これは恐ろしいですね。

 負けても戦闘の直前から再開できるので事なきを得ましたが、こんなのは序の口。序盤から状態異常にしてくる敵が多いですし、ボスとの連戦もあります。かなりキツめの難易度なので、簡単な気持ちでお子様にプレゼントしようと考えている親御さんは注意が必要ですよ(笑)。誰だよ、ヒーローものはヌルそうなんて言ったヤツ!

『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
▲行動不能になるスタン、毎ターン最大HPの1/10が減っていく感染、ヒーローゲージがたまらなくなるネガティブなど、危険な状態異常を使ってくる敵が序盤から多数登場。早めに処置しないと致命打になることも。

 ただ、どの敵もしっかり考えてプレイすれば切り抜けられる絶妙なバランスに仕上がっているので、ダンジョンRPG好きなゲーマーにとっては確実に良ゲー認定だと思います。

 また、特定の目的地はマップに光点で記されたり、回復などを行える拠点にダンジョンのどこからでも一瞬で戻れたりと、ストレスを感じさせない工夫が随所に施されているので、歯ごたえのあるゲームに初めて挑む人が選ぶゲームとしても向いていると思います。

『ロストヒーローズ2』
▲マップ上の光点で目的地の大まかな位置を把握可能。とはいえ、手に届きそうな光点が、迂回しないと行けない場所のこともあるため、参考程度にしておくのがいいかと。

■難敵を倒すために必要な要素が盛りだくさん!

 そもそも、ダンジョンRPGの楽しさってなんでしょう。難易度が高いのは当たり前として、僕的には、それでもしっかり考えれば難敵を倒せる仕様かどうかだと思うんですよ。

 例えば、射撃属性が弱点の敵ならば、強力な射撃属性のスキルを持つキャラでパーティを組もうとか、スタンの状態異常がやっかいだからスタン無効の装備をしようとか、そういうところです。レベルを上げれば倒せるというのは芸がないですからね。

 その点『ロストヒーローズ2』は、難敵は考えないと倒せない難易度になっています。しかも考えないといけない要素が非常に多いのです。特に下で紹介する3つの要素は、ボスに負けるたびに悩まされる、いい意味でマゾいシステムになっていて、個人的にドストライクでした! というわけでよかった3つの要素をそれぞれ記載していきます。

【1】パーティ編成

 全15人のヒーローから4人を好きに選んでパーティを編成します。プレイ前は「キャラごとにそこまで性能差がないのでは?」と思っていたんですが、実際に遊んでみるとその差は歴然でした。

 例えば、仮面ライダーウィザードと仮面ライダーBLACKを例にとってみましょう。仮面ライダーウィザードは、属性攻撃のバリエーションに富んだアタッカーで、どんな敵とも渡り合える柔軟さがあります。

 一方、仮面ライダーBLACKは、属性攻撃のバリエーションは少ないですが、自分やパーティ全体の攻撃力や防御力を上げるなど、補助で活躍する支援キャラなんです。

 このようにキャラごとに性能がまったく違うので、パーティ構成はかなりの悩みどころ。ヒーローRPGという側面も持つゲームなので、思い入れのあるキャラで組むのも選択肢の1つですしね。

『ロストヒーローズ2』
『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
▲パラメータの高さやスキルの使いやすさに加えて、特定キャラ2人をパーティに入れることで発動可能となる強力なクロスオーバースキルを考慮するかどうかも編成のポイントです。

【2】スキルカスタマイズ

 『ロストヒーローズ2』では、枝分かれしたツリーのようなスキルの修得システムを導入しています。敵を倒すとたまるAPを割り振ることでスキルを修得でき、修得する順番はプレイヤーが好きに決めることが可能。スキルには攻撃用や補助用などさまざまな種類があり、また、キャラごとに修得できるものがまったく違うので、どのスキルを優先的に覚えるかは、プレイヤーによって個性が出そうです。

『ロストヒーローズ2』
▲特定のスキルのレベルを上げることで新たなスキルを修得できるようになります。なかには、メインクエストの進行やサブクエストのクリアで修得できるスキルも!

【3】チップの収集とフォースのセット

 このゲームに登場する敵は、それぞれ固有のチップを持っていて、倒した際に低確率で落とします。これらのチップを集めて拠点で報告すると、その種類に応じてフォースという装備能力になります。フォースは各キャラ最大6つまでセット可能ですが、一度入手したチップは再入手できない仕様のため、同一のフォースを複数のキャラにセットすることはできません。

 フォースは、常時クリティカル率アップ、ヒール(HP回復)のスキルを使用可能など、効果が多種多様。手持ちのフォースを誰にセットして、どう工夫して使うかは難敵を攻略するうえで大きく影響する要素であり、ゲーマー的としての腕の見せ所になっています。

『ロストヒーローズ2』
『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
▲敵を倒してチップを集めると、さまざまなフォースをゲット。フォースを集めれば集めただけ、どんな状況にも対応できるセッティングが可能になります。

 また、ゲームが進行すると、入るたびに構造が変わるランダム・キューブへ自由に行けるようになります。ここにしか出現しない敵が多数いるので、レアなチップを手に入れたい人は潜り続けてみるのもアリですよ。

『ロストヒーローズ2』
『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』
▲仮面ライダーネガ電王など、ここにしか出現しない敵が多数います。チップの収集はダイレクトにキャラクターの強化手段につながるので、ストーリー本編そっちのけでランダム・キューブに潜り続けてしまうことも!?

■ギャンブル性の高い新戦闘システム“ヒーローラッシュ”に大興奮!

 最後に『ロストヒーローズ2』で追加された新戦闘システムについてお話ししたいと思います。その名もヒーローラッシュ!

 ターンの経過などで増加するラッシュゲージが一定値に達すると、任意のタイミングでヒーローラッシュが発動可能に。ヒーローラッシュ中は、ヒーローたちの全能力が大幅にアップし、大ダメージを与えるチャンスになります。

『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』

 ただし、ヒーローラッシュが終了した次のターンは、敵の全能力が大幅にアップするエネミーラッシュが必ず発動。チャンスから一転、大ピンチに陥ります。このエネミーラッシュをしのぎ切ると、ヒーローのブレイブスキルが確率で発動することがあります。ブレイブスキルの効果はヒーローごとに異なりますが、HPを大幅回復したり、倒れた仲間の蘇生や能力値が大きく上昇するなど、役立つ効果ばかりです。

『ロストヒーローズ2』
『ロストヒーローズ2』 『ロストヒーローズ2』

 遊んでいて感じたのは、エネミーラッシュが本当に脅威であることです。全滅の危機に瀕することも多々あるので、それを避けたいのであればヒーローラッシュを使わずに勝つのがベストです。

 そんなことは百も承知なんですけど……使っちゃうんですよ、これが(笑)。前述したように『ロストヒーローズ2』はやりごたえがあり、HP回復アイテムや戦闘不能回復アイテムを10個ずつ持っていったのに全部使い切っちゃったり、敵のHPが半分も減ってないのにSPが空になったりと、じり貧な場面がざらにあります。

 そんな時に、ワラにすがる思いでヒーローラッシュ! ヒーローラッシュ自体の恩恵もでかいのですが、それ以上にブレイブスキルがすごい。SPが40も回復したら、強力な攻撃を3回くらい出せちゃいますからね。エネミーラッシュを全員防御で耐えてでも賭ける価値があるんです。

 博打技だとわかっていても使いたくなる(使わざるを得なくなる)ヒーローラッシュ。ぜひ皆さんも味わってみてください。というか、あれですよ、ヒーローラッシュで倒しきっちゃえば問題はないんですからね!

 このように、『ロストヒーローズ2』は“ヒーローものとは思えないほどシュールなストーリー”、“豊富なキャラ育成要素”、“攻略方法をマジ顔で考えるほど歯ごたえのあるバトル”が絡みあった本格骨太ダンジョンRPGです。キャラクターを操作するRPG好きだけでなく、やり込みがいのあるゲームを待っていたというダンジョンRPG好きなプレイヤーにも、本当にオススメだと思います。そして絶望をはねのけてください!

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※画面は開発中のもの。

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