2015年2月3日(火)
ゲーム産業の中国語圏における一大拠点と言える台湾。台北國際電玩展(台北ゲームショウ:TpGS)から市場の雰囲気を感じられるのはもちろんですが、実際のストアはどうなっているのかについても、やっぱり気になるところです。『シンデレラガールズ』のインタビュー企画という重い記事の編集を抱えて海外に飛んだせいで一日の半分は白目を剥いているような状態でしたが、現地のゲームショップにも足を運んでみました。タスクを溜め込むと死ぬ目に合いますから皆さんも気をつけてくださいね! 時期的には卒論とか修論とかね!
向かったのは、台北駅に隣接した地下街ショッピングモール。ここにはゲームショップやホビーショップが集中しており、ちょっとしたオタク街となっています。詳細はわかりませんが、以前に何かしらの大規模な誘致があったそうです。帰国してから得た情報では、奥にメイド喫茶もあるようです。
▲アーケードゲームコーナーには音ゲーやプライズマシンがならび、日本の同形式店舗と大きな差はありません。 |
▲大規模なガシャポンコーナー。基本的にすべて日本製の商品です。 | ▲アニメやゲーム系のフィギュアショップ&ブックストアが数多く存在しています。 |
▲大盛況なこちらはTCGショップ。 | ▲サバゲー系のショップは、整然とした陳列ぶりが目を引きます。 |
▲中国語はよくわかりませんが、『艦これ』人気が高いということは伝わってきます。 | ▲欧米系のゲームも人気な模様。 |
▲PC/モバイル用デジタル&リアルカードゲーム『ガンダムデュエルカンパニー』の宣伝ブースが設営中でした。 |
▲ユービーアイソフトが店頭体験会を開催していました。TpGSには出展していないユービーアイですが、台湾市場へのアプローチは積極的なようです。 |
▲レトロゲームショップ。目の付けどころがシャープな人はお気づきでしょうが、右上にはシャープ製のSFC内蔵TVが写っています。 | ▲『SAO -ホロウ・フラグメント-』と『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』は中文版がありますが、『アイドルマスターOFA』の中文版はないはず……中身は日本語版でしょうか。 |
さてゲームショップを覗いてみれば、目につくソフトはほとんどが日本語版です。中国語に対応したソフトは市場全体から見ればごく一部なため、輸入された日本語版や北米版がデファクトスタンダードとなっているようでした。そんな中、リージョンロックのある任天堂ハード用ソフトは取り扱いが小さくなってしまっています。
例えば台湾版の3DSでは、台湾用に正規販売されているゲームしかプレイできません。しかし、正規販売されているソフトはかなり少ない模様。市場で目にする3DSソフトは、8割が日本語版、2割が英語版、その他として台湾版の『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』があるくらいです。このような状況だと、ヘビーな任天堂ファンは各リージョンごとの3DSを買うのでしょうか……?
台湾の市場において、リージョンロックで遊べるゲームが限られる任天堂ハードは、“価格に対する遊びがい”の割高感が強いかもしれません。経済が発展途上にある台湾では、価格的な問題が大きく横たわります。
ハード購入のハードルを下げる方向性では、欧米や韓国などで発売された『Nintendo 2DS』が台湾市場に適しているかとも思いますが、任天堂は2014年5月に現地子会社・任天堂溥天股分有限公司を解散しており、「あまり台湾市場には積極的でないのかな?」という印象も受けます。同子会社の業務は香港の任天堂(香港)有限公司にそのまま引き継がれているため、台湾から完全撤退したというわけではありませんが、現地の任天堂ファンにとっては悩みどころでしょう。
一方、Xbox 360はそれほどリージョンロックが厳しくない(北・南米/アジア/EU他の3区分)ですが、それもあまり振るわない様子。関係者筋から聞いたところでは、「ソフト供給にDVD-ROMを採用したため、海賊版ソフトが比較的作られやすく、PS3のリードを許してしまった」とのことです。前述の通り台湾の経済事情は発展途上であるため、安価な海賊版は好まれてしまう模様です。しかし、それは“ゲームの需要”があることとイコール。何かしらメーカーとユーザーがWin-Winになる解決策が見つかればいいのですが……。
▲とは言いつつもXboxは専門店が展開されていて、にぎわいを見せていました。 |
この市場ではPlayStationが優勢といった印象を受けます。実際、台北GSにおけるコンシューマゲームの出展はSCEもバンダイナムコゲームスもほぼPlayStationタイトル(バンダイナムコゲームスのブースには一部Xbox Oneタイトルがあるものの、いずれもマルチプラットフォーム展開)です。ちなみに、バンダイナムコゲームスは今回が台北ゲームショウ初出展。同社もアジア市場を重要視していることが感じられます。
今回のTpGSでは、さまざまなタイトルの中文化が発表されましたが、それはSCETのサポートがあってのこと。それは実質的に、マルチプラットフォームタイトルでも他ハードでは中文版が出ないということを意味します。SCET以外のローカライズスタジオを使用して中文版を出す……ということもなくはないですが、対費用効果やクオリティ的な優勢を得られるかと考えると、実現は難しいでしょう。
SCEの中文ローカライズ強化については、中国でPS4の発売が予定されている(1月11日に発売の予定だったが、直前の8日に延期を発表。新たな発売日は未定)ことも関連していると考えられます。SCEは台湾を前線基地として中文ソフトのラインナップを充実させ、巨大な中国市場へ挑もうとしているのではないでしょうか? 台湾という一国を見ただけで結論付けるのは性急ですが、ことがトントン拍子に進めば、アジア圏はPlayStationが席巻するかもしれません。
個人的には台北のゲームショップに対し、電撃オンライン上では書きにくいアジアンダイナマイトなゲームや玩具を少し期待していたのですが、それらは秋葉原の裏通りを巡ったほうが入手できるといった実状でした。聞いたところでは、ITの発展で成功した国としてダーティな品の摘発には力を入れている模様です。
ゲームと関係ないところでは、ガンプラ専門店でガンプラ公式改造パーツの『MSパイプ01』が普通に売っていたことが印象的でした。ヨドバシに行ってもアソビットに行ってもAmazonを覗いても売ってない&入荷後即完売なキットが売っているなんて! とりあえず店頭に出ていた3つを買わせていただきました! しかも日本定価より安くないですか? よっぽど円/台湾ドルレートがいい時に輸入したんですか? とりあえず本当にありがとう台湾!!
ゲームショップに視点を戻すと、PlayStationの優位を感じるポイントがここに1つ。それは、至るところで目につく藍ちゃんのビジュアルです。藍ちゃんとは、“SCETでアルバイトをしているPlayStationファン”という設定の、宣伝担当的なポジションにある女の子。SCETの公式Facebookへ頻繁に登場して最新情報を届けてくれています(※参照:SCEJA織田博之氏&SCET江口達雄氏インタビュー)。
棚を、壁を、パンフレットを彩るのは、VOFANさんの描いた藍ちゃん。彼女はあくまで宣伝担当であり、PlayStationを代表する位置づけのキャラクターではない……とのことですが、実情は「SCETの“顔”と言っても過言じゃないだろう」と言いたくなるほど大プッシュされていました。
▲TpGS会場に置かれていた全身ポップ。これを写真に撮ってFacebookにアップすると、缶バッジをもらえました。 |
▲モバイルにインストールした『PlayStation App』のユーザ情報画面でPlayStation Plus加入者であることを示すと、上記とは別デザインの缶バッジとクリアファイルをもらえました。 |
▲TpGS会場内では、SCE物販コーナーの看板にも藍ちゃんの姿が。 | ▲こちらは無料配布の漫画冊子。 |
“ゲームハードに根ざした美少女キャラクター”と言えば、今日においてまず思い浮かぶのが、セガの『セガ・ハード・ガールズ』。TVアニメ化やゲーム作品とのコラボなど多岐にわたって展開していますが、現状では“顔”と言うほどではなく、あくまで“いちコンテンツ”といった印象を受けます。
▲セガサターン(筆者私物)と、ついでにせがた三四郎(これも筆者私物)。 |
マイクロソフトについては日本の窓辺ファミリーや台湾(こちらも台湾!)の藍沢ファミリーが有名ですが、Xboxブランドについてはそういった動きが見られません。しかし、サルガッソーチックな筆者の自宅を掘ったら出てきた“Xbox 360 スーパーカタログ 2011”にはXboxテイストな美少女が描かれていました。堅いイメージのあるマイクロソフトですが、個人的には“そういった方面を許容するポテンシャルも秘めている”と見ています。
▲Windows8.1の限定版パッケージ(またもや筆者私物)とメッセサンオー(当時)で配布されていたプロモーション冊子(続いて筆者私物)。 |
ちなみに“ゲームハードに根ざした美少女キャラクター”を掘り下げれば、PC-FXのロルフィーというキャラクターがいました。現在では、“BIGLOBEコミック”における成人向けコンテンツ紹介コーナーのバナーに使われているキャラクターが彼女ではないか……と一部で囁かれています。ビッグローブは『リンダキューブ』の著作権をはじめ、NECホームエレクトロニクスが持っていたゲーム関係の権利を継承していますが、その中にロルフィーも含まれていたのでしょうか?
▲ロルフィーに関するアイテムはありませんでしたが、こんな物ならありました(やっぱり筆者私物)。 |
……と、ノリで台湾市場の話からかなり外れてしまいましたが、現地レポートは以上となります。日本人的には“物価安・良治安・温暖気候な楽しみやすい国”の台湾ですが、現地ゲーマーのことを考えると、台湾でも存分にゲームが遊べるようさらなる経済成長と中文ローカライズが進展してくれれば……とも思います。日本のゲームが好まれる土地でもありますので、同国や中国語圏の市場成長は日本のゲーム市場にとって好影響をおよぼすかもしれません。
そんな小難しい話が続きましたが、最後に“台北國際電玩展”を彩ったコンパニオンさんの写真を集めましたので、凝った目をほぐしてください!
▲会場・台北世界貿易中心の隣にある台北101は、小雨模様で上部が霞がかってラストダンジョンっぽい雰囲気に。余談ながら、行きが大変だったことは冒頭で述べましたが、帰りは帰りで飛行機に乗り遅れて一晩野宿したのでまた大変でした。 |