2015年3月6日(金)
現在開催中のゲーム開発者向けイベント“Game Developers Conference 2015”にて、ソニー・コンピュータエンタテインメントがアップデートを発表したPS4向けVRヘッドマウントディスプレイの『Project Morpheus』。
有機ELディスプレイの採用や、従来の2倍となる毎秒120フレームでの表示など、ハード的な新しいトピックがモリモリだが、実際、コンテンツで遊ぶとどんな体験ができるのだろうか。プレス向けの試遊会に参加してきたので、そのインプレッションをまとめていこう。
▲新型Project Morpheus。 |
▲GDC会場内に設けられていたSCEアメリカのブース。今回、Morpheusは一般向けのデモはしていなかった。 |
まず装着感だが、顔の前面にHMDを押し付けてバンドで固定するOculus RiftのDK2などとは異なり、前頭部から後頭部にかけて斜めにリングをかぶって締め付けるので、顔の圧迫感が非常に少ない。押し付けタイプのHMDは、コンテンツによっては数分で汗でレンズが曇ってしまったり、暑さで不快感を感じてしまうこともあるが、Morpheusは長時間の装用に向いている。
HMD部の右下にはボタンが用意されており、押すことで前後にHMD部を移動できるので、メガネを付けてる人も装着しやすい。さらに大きく前に動かせばリアルの世界が視界に入ってくるので、HMDを外さずに飲み物やコントローラーを取ることが可能だ。かなり実用レベルまで、装着感を突き詰めているのが伝わってきた。
▲今回4つのデモを体験したが、一番印象的だったのは、SCEのロンドンスタジオが開発した『The London Heist』(ロンドンの強盗)。モーションコントローラの『PlayStation Move』を利用して、銃撃戦を楽しめるアクションになる。 |
▲イスに座ったままMorpheusをかぶってデモを始めると、まずプレイヤーの目の前にいかついおじさんが現れて、何やらまくしたててくる。正直、英語が苦手な筆者は言ってることを聞き取れなかったが、ガスバーナーを出して脅してきたときにはかなりの恐怖を感じた。 |
▲最後に電話がかかってきて出て、こちらにスマートフォンを差し出す。ここで実際にプレイヤーが立って手を差し出し、PS Moveのトリガーを引くことでバーチャル空間でスマートフォンを受け取れる。 |
▲シーンが切り替わると、プレイヤーは洋館のテーブルの前に立っており、自分の両手となる皮手袋が出現する。テーブルの引き出しに近づけて、PS Moveのトリガーを引きながら手前に引くと、引き出しが開けられる。伝わりにくいのだが、この自分のやったアクションがバーチャル空間で反映される感覚がめちゃくちゃ面白い。 |
▲左上の引き出しにはカギが入っており、右上のカギ付きの引き出しを開けると……、宝石を発見!! 思わず手に取ると、アラートが鳴って敵がやってくる。慌てて引き出しをひっかきまわして武器を探すと、銃を発見! |
▲テーブルに隠れながら相手の銃撃をやり過ごし、照準を合わせて打ちまくって全員撃破すればデモ終了。リアル世界で何度もスクワットする羽目になるので、終わった後には太ももがちょっと張っていた。繰り返しになるが、単に見てるだけでなく、左右のPS Moveとそのトリガーを使うことでバーチャル空間にいる感覚を実感できるのがスゴい。 |
▲日本スタジオがつくった『Magic Controller』と『Bedroom Robots』では、ロボットとの触れ合いを楽しめる。技術的な話をすると『Magic Controller』はネイティブで毎秒120フレームで作られており、頭を振ったときのヌルヌル感が強く感じられた。 |
▲ともに操作は、DUALSHOCK4を利用する。バーチャル空間にも3DCGで描かれたDUALSHOCK4が存在しており、リアル空間で方向や位置を変えると、それに合わせてほぼ遅延なくバーチャル空間のコントローラも連動して動く。 |
▲DUALSHOCK4の位置は、背面にある2つのLEDをPSカメラで認識して計算しており、LEDが見えなくなったときには内蔵センサーで傾きなどを予測している。 |
▲スタート画面の左側に『Magic Controller』、右側に『Bedroom Robots』のアイコンがあって、目で見て選択する。 |
▲目の前に何もないテーブルが出現。コントローラの□ボタンを押すように促されるので、押すとタッチパッド部分がテレビに変わってロボットの番組が始まる。普段見ているコントローラが視覚的にハックされた感覚が新鮮だ。 |
▲別のボタンを押すとタッチパッドが開いてロボットが出現! さらにテーブルにコントローラを近づけると……。 |
▲噴水のように大量のロボットが吹き出して、テーブルの上に並ぶ。×ボタンを押すと、あたりが暗くなってDUALSHOCK4の背面にライトが点灯。その光をロボットに当てると嫌がるのがかわいい。○ボタンでは音楽が流れて、全員が踊ってくれる。『サマーレッスン』とはまた違った、キャラクターとのコミュニケーションを実感できるのが面白い。 |
▲『Bedroom Robots』は、テーブルの上にある2階立てのミニチュアハウスを眺めるだけのコンテンツ。ミニチュアハウスのそこかしこにロボットがいて、テレビを見たり、ゲームに興じたり、ジムでトレーニングしたり、Morpheusを被っていたりと、いろいろなことを楽しんでいる。 |
▲こちらが近づくとロボットが気づいてアクションが変わるのも面白い。例えば、右を見るとロボットがフリスビーを投げてきて視界の前を横切ったり、中央左では空中に浮いてるロボットにカメラで撮影されたりといった具合だ。ちょうど精緻なアクアリウムや虫を飼っている水槽をのぞくような、観察する楽しさを実感できた。ゲームでいえば『シムシティ』の街を見る感じだろうか。 |
▲最後の4本目は、カーゴに入って深海に降りていく『The Deep』。Morpheusの最初期から存在していたデモで、その内容がブラッシュアップされていた。 |
▲前回は暗い深海の世界だったが、今回は新たに採用した有機ELの美しさを見せるためか、最初は色鮮やかなサンゴ礁から始まる。ウミガメが泳いできたり……。 |
▲マンタが迫ってきたりと大迫力。『The Deep』は立って体験するのだが、歩いて生物に近づくとその分だけきちんと拡大表示してくれる。 |
▲カーゴはどんどん下に沈んでいく。途中、暗くなって、光るクラゲが足元からふわっと現れる。 |
▲リアルで体験しているほうは、上を向いたり、下を向いたりと大忙し。ある程度降下すると、暗くなってきてだいぶ不穏な空気が漂ってきて、突然画面が揺れる。何かと思って上を向くと、岩が落ちてきてる! 思わず体を動かして避けてしまう。 |
▲で、出た~!! 最後はやっぱりサメに襲われてしまう。カーゴの周囲をぐるぐる回って、酸素ボンベや鉄柵に噛み付いてくる瞬間は、本当に恐ろしいの一言だ。 |
というわけで4本を体験したわけだが、いずれもリアル空間の行動に連動して、バーチャル空間の反応が変わるという、インタラクティブ性の高いものだった。単に見るだけではない、ゲームとしてのVRコンテンツの可能性をビンビン感じさせる仕上がりだっただけに、Morpheusが製品としてリリースされたときのソフトもかなり面白いものが期待できそうだ。国内での展示は未定だが、ぜひ機会があったら何がなんでも体験してほしい。