2015年3月11日(水)

『PSO2』幻界への挑戦の注目ポイントを酒井さんと木村さんへインタビュー! A.I.Sやマガツ戦についても語る

文:電撃オンライン

 セガが運営するオンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』を手掛ける開発者へのインタビューを掲載する。

 『ファンタシースターオンライン2』は、ネットワークゲームの楽しさや驚き、冒険を再び感じられるゲームとして開発された。PC版とPS Vita版がサービス中で、iOS/Android向けサービス『ファンタシースターオンライン2 es』も行われている。

『ファンタシースターオンライン2』
▲木村さん(左)と酒井さん(右)

 今回お話を伺ったのは、『PSO2』シリーズプロデューサーの酒井智史さんとシリーズディレクターの木村裕也さん。ファン感謝祭“アークスキャラバン広島スペシャル”の感想から始まり、会場で発表された“幻界への挑戦”やアークス広報隊などについて聞いているのでご覧いただきたい。なお、インタビュー中は敬称略。

■アークスキャラバンの感想と今後の動向

――まず最初に、先日行われたアークスキャラバン広島会場の感想を教えてください。

『ファンタシースターオンライン2』

木村:広島でのイベントは初めての開催ですが、多くの方はファンタシースター感謝祭の福岡会場に来ている方々と予想していました。ところが、ボクが会場で直接お話させていただいた方々の話では、8割以上の方がイベントに来るのは初めてだと答えていました。ですので、こういったイベントを広島で実施できて本当によかったなと思っています。

酒井:実は広島は『PSO2』のユーザーさんがとても多い地域で、都道府県別のユーザー数ではトップ10に入るんです。そういう意味で、すごくやりたかった場所です。イベントに初めて来られる方も多く、コミュニケーションも活発にやられてたみたいですし、生放送でも場を温めていただいてすごく雰囲気のいい会場でしたね。

――イベントは事前応募制でしたが、抽選は地元の人を優先的に当選させたりといった配慮はあったのですか?

酒井:そのように選別しています。9割近くの当選者が中国地方の方ですね。初めてお会いする方ばかりでとても新鮮でした。それから、応募には自己アピール欄があるのですが、それを全部チェックして当否を決めています。今後のキャラバンでも、抽選の場合はしっかりアピールしてくれた方は当選確率が上がると思っていただいてかまいません。

木村:コスプレをしていた方のなかには、福岡会場で見かけた方もいました。バルバリリーパとダークファルス・エルダーのコスプレをしている方ですね。熱心なユーザーさんは、フリー入場でもいらっしゃったようです。

『ファンタシースターオンライン2』

――次回は仙台ですが、どのような内容になりますか?

酒井:展示される内容などは広島と変わらない予定ですが、仙台は入場制限がないのでミニ感謝祭のようなイメージになると思います。イベント会場はフリー入場としていますが、来場者特典は事前登録していただいた方にのみ配布する形式です。

木村:広島の会場はいくつかの部屋に分かれていたのですが、仙台では物販以外はすべて1カ所に入ります。物販のスペースは調整している最中で、まだどうなるか決まってないんですけど。

酒井:スペースの都合が付くようなら、感謝祭で展示した等身大レイキャストも持っていくかもしれません。

――さらに次のキャラバンが四国で開催されることが発表されましたが、開催地のヒントだけでも教えてください。

酒井:うーん、近い時期に大きなお祭りがある場所です。

木村:お祭りは多いですよね。ゴールデンウィークは、こどもの日もありますからね(笑)。

――なるほど。四国も抽選になるのですか?

酒井:まだどうなるかわかりません。来場者特典の都合で事前応募制にはなりますが、多くの方に来てもらいたいとは思っています。

■3月11日配信“幻界への挑戦”の注目ポイントは?

――“幻界への挑戦”のコンセプトと注目ポイントを教えてください。

木村:EP3が始まって3回目の大型アップデートになります。1回目はEP3最初のアップデートで、新しい惑星が入ったり、新規ユーザーさんが入りやすいように新クラスを用意しました。2回目はマガツやアルティメットクエストといった要素で、以前からプレイされている方が満足できるような手ごたえのある難しいコンテンツを出すというのがコンセプトでした。難度エクストラハード(XH)やアルティメットクエストなど、時間をかけないとたどり着けない場所ですが、そこまでたどりついていない人でもプレイセンスのある方はいると思うんです。

 今回の“幻界への挑戦”は、そういった方とトップクラスのユーザーさんが一緒に遊べるように、プレイ時間の差に関係なく遊べるコンテンツとしてチャレンジクエストを実装したのが一番のポイントです。また、年末に配信されたマガツ戦の拡張ですが、こちらは防衛戦のように新規クエストを追加していくのではなく、既存のクエストを拡張していく形式ですね。A.I.Sはキャラクターのパラメータを参照しないので、チャレンジと同じようにベテランと新規のユーザーさんが一緒に戦えるものになります。

――A.I.Sを他のクエストに出すという構想は最初からあったのですか?

木村:A.I.Sは時間をかけて作ったシステムでして、採掘基地防衛戦の1回だけで終わらせるにはもったいない、どこかでまた使いたいとは考えていました。ダークファルスに代わる大型ボスを12月に出したいという構想はすでにあって、ギミックが多いものやお化け屋敷的なものなど、さまざまなアイデアがあったのですが、どれもみんなが一致団結して戦うようなワクワク感がなかったんです。それに、ハルコタンは巨人の惑星というコンセプトですから、やはり巨大な敵を出さないとね。そうやって作っていくうちに、「これA.I.Sで戦いたいよね」という話も出てきました。ただ、その時点では12月の配信に間に合わないというのがわかっていたので、段階を踏んで配信していく形にしています。

――A.I.Sに追加される3つの新能力について詳しく教えてください。

『ファンタシースターオンライン2』

木村:ウィークバスターは、レンジャースキルの“ウィークバレット”が撃てるというもので、装弾数は1発だけでリキャストがあります。オーバーブーストはカンタンに言えばハイジャンプですね。通常のジャンプでもゆっくり上昇していくのですが、マガツの身長が高いのでこれを使って一気に上までジャンプするイメージです。エリアヒールは、自分を含めた周囲のA.I.Sを回復する機能。3つとも、アクティブスキルのようにサブパレットから使用します。

――3種のマガツが登場しますが、それぞれの特徴を教えてください。

『ファンタシースターオンライン2』

木村:1体目は打撃タイプで射撃に弱い、2体目は逆に射撃タイプで打撃に弱い、最後はオールラウンドの金色のマガツです。打撃タイプと射撃タイプは、パンチや熱線攻撃など、これまでのマガツが使っていたものと同じですが、使う技に偏りがあります。3体目に関しては、専用の攻撃が1つ追加されています。必殺技的なものだと思っていただければいいでしょう。

――現在のマガツ戦では、各部位を順番に破壊していく手順で攻略されていますが、A.I.Sで戦う場合はどうなりますか? また、難易度としてはどれくらいに?

木村:部位破壊が有効であることに変わりはありません。今回のマガツはけっこうアクティブなので、A.I.Sでもしっかり攻撃を避けていかないとダメですね。制限時間内に何体のマガツを倒せるかで評価が変わり、報酬が変化します。3体倒せば途中経過に関わらずSです。制限時間が過ぎても失敗にはならず、そこまで倒した数で評価が出てクリアになります。0体なら評価Cですが、初見でも1体は倒せると思いますし、慣れればS評価を出すのは安定すると思います。ある種ボーナスゲーム的なものと思っていただいていいと思います。

 それからこれは訂正なんですけど、PSO2放送局で「A.I.Sの戦闘不能時はキャンプシップから再スタート」と言ってしまったのですが、仕様が変わって戦闘不能から5秒後に自動復帰する形になります。

――マガツ戦と言えば、仕様の変更が発表されましたが、仕様変更の狙いを教えてください。

木村:先ほども言いましたように、リニューアル自体はもともと決まっていました。ですが、現状で抱えている問題をそのまま引き継ぐわけにはいきません。最初の段階では報酬があまりよくなかったので上方修正したのですが、今度はユーザーさんが攻略法をつかんできてこちらの想定よりも早い間隔で周回プレイができるようになってしまいました。その都度対応はしましたが、付け焼刃でしかなかったのでリニューアルのタイミングで直そうという意図です。そういったことも含めて、本体戦はボーナスゲーム的な扱いにしました。

――たしかに、ものすごい早さで周回している人もいますね。

『ファンタシースターオンライン2』

木村:ある程度はこちらの想定を上回ってくるとは思っていましたが、1分を切るようなペースなんですよね。それが全員とは言わずとも、多くの人ができる方法なら許容できたのですが、スキルや装備を特化して12人固定で集めるといった一部の人しかできないとなると、ユーザー間で大きな差になってしまいます。がんばっているのだから当然と言えば当然なんですが、それができない多くのユーザーさんに不公平感が生まれてしまいます。

酒井:ボクらに不満を言うのは構わないのですが、それが原因でユーザーさん同士のいがみ合いになってしまうのは望んでいません。ランダム緊急から予告専用に変えるのも、同じように公平感からですね。

――ランダムで発生するのだから当然だとも思えますが……。

木村:マガツの報酬は「ランダムだから仕方ない」と許容できるラインを超えているんでしょうね。

酒井:実際問題、ボクらもやりたいんです。マガツはすごくいいクエストなので、もっとユーザーさんにプレイしてもらいたいんですけど、それ以上に多くの問題を含んでいたためにあまり多く出せない状況です。それを解決するためにもこういったやり方になりました。

木村:純粋に難度XHを楽しみたい人もいるのに、みんなSHへ行って人が集まらないという状況になったら本末転倒です。なので、XHへ行く人に見返りがあるように報酬についても見直しました。

――チャレンジクエストに話を戻しますが、共通シップを用意した理由は?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:もともと、初代『PSO』ではサーバが分かれておらず、全世界の誰もが同じ場所でプレイできました。これは当時のシステムだからできたことなんですけど、『PSO2』ではキャラクターデータがサーバ保存ですので、負荷の問題からサーバを分けざるを得ないんです。ただ、「それって『PSO』としてどうなの?」という意見が開発内にあって、酒井もなんとかしてほしいといい続けてきました。ボク自身、いつかみんながサーバの隔たりなく遊べるコンテンツを作りたいと思っていたのですが、そういった問題で難しかったんです。

 プログラマーとの打ち合わせで、どこが負荷になるのかを聞いてみたところ、一番大きなところで『PSO2』はアイテムを1つ拾ったらその場でリアルタイムでデータベースに書き込むからそれが負荷になると。データを保存しない方法を考えたとき、アイテムを持ち帰らないチャレンジクエストならなんとかなるかもという話になりました。本当はEP1の途中くらいで実装したかったんですが、結果的に今になってしまいました。ボクらにとっては満を持しての配信です。

――共通シップのブロックには何人くらい入れるのですか? また、他のシップの知り合いと連絡する手段はありますか?

木村:シップとブロックの関係は今までのシップと変わらないので、通常のブロックと同じ人数まで入れます。連絡手段は共通シップ専用のフレンド登録を用意しました。お互いが共通シップにいればログイン状態などがわかり、連絡を取ることもできます。

――一緒にプレイする人を集めやすくなる仕組みはありますか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:特にありません。チャレンジブロックではチャレンジクエストしか受けられないので、当然同じ目的の人が集まるでしょう。いろいろなシップから人が集まるので、まったく人がいないという状況もまずありません。クラスも全員チャレンジャーになるので、役割分担もないです。そういった環境ですので、自然とパーティーを組みやすい状況になると思います。

――出てくるスキルのなかには“ウィークバレット”のような強力なものもありますか?

木村:“トラップサーチ”など、これまであまり日の当たらなかったスキルが多いですね。通常のプレイとはちょっと違ったプレイ感を楽しんでほしいです。

――最初に12人で遊んだらどれくらいまで進めますか?

木村:ボクが初めてやったときは、慣れてる開発メンバーと一緒にプレイしたのですがミッション3くらいでしたね。繰り返しプレイをして仕掛けがわかってくると、どんどん先に進めるようになります。

――ランダム要素はまったくないのですか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:アイテムのドロップだけですね。拾ったものをうまく使いこなせるか、使える人に渡せるかなど、応用力とチャットを使った協力が重要になると思います。ただし、出るアイテムの種類はかなり絞っているので、完全に運まかせというわけでもありません。例えば、最初の森林では、次の火山で役立つバータ系が出やすいなどの傾向はあります。

――マップには分岐している場所もありますが、これは行ったほうがいいのでしょうか?

木村:さまざまな場所にコンテナやVRエネルギー、マイルが落ちています。大抵の場合、寄り道したほうが有利になるでしょう。

――生放送ではミッション4までしか見られませんでしたが、最後はどのフィールドになるのでしょうか?

木村:火山です。放送で見せたミッション4の森林もキツい場所でしたが、最後も凶悪な仕掛けがありますよ。

――獲得したチャレンジマイルはすべて手に入るのですか?

木村:クエスト中に落ちているマイル拾えば入手できますが、その時点では反映されません。最後までクリアするか、VRエネルギーがなくなってクエストが終了したときに獲得できる仕組みです。ですから、入口近くでマイルを拾って破棄というようなプレイはできません。

――生放送で公開されたチャレンジマイルの交換レートはそのまま実装されるのですか?

木村:はい。公開されているとおり、★13武器は18万マイルで交換できます。生放送でも言いましたが、うまい人なら1日で獲得できるんじゃないですかね。それから、クエスト開始時に見られるメッセージパックに基本的な獲得マイルの説明はあるのですが、それ以外にも増える要素がいくつかあります。どこで手に入るかは、実際にプレイして見つけてください。

『ファンタシースターオンライン2』
▲イデアルバネット(★13ガンスラッシュ)

――では、エクストリームクエストの魔石交換武器ほど時間はかからないと思っていいのでしょうか?

酒井:そうですね。そもそもプレイ回数に制限がないので、繰り返しプレイしていただければ手に入ります。

――今回は“Mission:始動”という1つ目のクエストですが、チャレンジクエストはどういったペースで配信されていくのでしょうか?

木村:作ってみてわかったのですが、かなり時間がかかりました。今回はクエストの設計もありましたが、調整でもかなり時間がかかったし、それくらい時間をかけないとおもしろいものは作れないと思うんです。他のクエストは新しいカテゴリを作ったらバンバン追加していきましたが、チャレンジは半年とか1年単位で1個という感じですね。ただ、チャレンジの仕組みを使って別の遊びもできるんじゃないかという話も出ていて、例えばボス1体とだけ戦う手軽な限定プレイ的なものなど、アイデアの幅も広がってきました。まずはこの配信でユーザーさんの反応を見て、今後どうするかを決めていきます。

――酒井さんから見て、チャレンジクエストのオススメポイントはどこですか?

『ファンタシースターオンライン2』

酒井:今までのプレイでは、ある程度キャラが育ってしまうと下のレベル帯のプレイヤーさんたちとはなかなか接点が持てなかった。チャレンジは、全レベル帯の人と同じ土俵で遊べるのが一番のよさですね。それから、ロビーに集合ポイントのような場所があるんですよ。システム的なものではないんですけど、サークル状の場所があって、そこで呼びかけて参加メンバーを募るようにしてもらえたらいいですね。

木村:放送局ではあまり見せられなかったのですが、ロビーは酒井が何度もチェックしていた部分です。

酒井:普段のロビーとはまったく違う作りになっているので、そういった細かいところも楽しんでいただけたらうれしいです。

――チャレンジロビーにショップエリアはないのでしょうか?

木村:ありません。先ほど言ったように、データベースへのアクセスを抑えてますから、獲得したチャレンジマイルは自分のシップに戻ってからアイテムと交換する形になります。

――フォトンカラー変更に対応した武器は、今後イデアル系以外にも増えるのでしょうか?

木村:具体的には決まっていません。ユーザーさんの反応しだいですけど、可能性はあります。『PSO2』のユーザーさんは見た目にこだわる人が多いので、この服だったら武器はこの色という風にコーディネイトしたいという希望に応えられるのではないかと思っています。

――では、ストーリークエストEP3第4章の見どころを教えてください。

『ファンタシースターオンライン2』

木村:EP2の終盤で色々なことがあり、多くのことが判明してきました。ですが、その脇でまったく話が展開されていなかった要素もあります。その1つがアフィンのお話で、それをフィーチャーしたクエストです。【若人】は、なぜ採掘基地防衛戦に攻めてきているのかという部分も判明します。それから、過去にないほどダークファルスがいっぱい出てきますね。

――採掘基地防衛戦は実装が一昨年の12月ですからずいぶん時間が経ちましたね。

木村:そうですね。オープニングムービーなど、断片的には防衛戦の情報を入れてきたのですが、本格的に語られるのはこれが初めてです。

酒井:EP1~EP2の頃は、実装しているものよりもストーリーがちょっと遅れて配信されていました。EP3からはストーリーがあってマガツが配信されるというように、実装とタイミングを合わせるようにしています。

木村:今回の4章は過去のコンテンツが話になってますが、5章6章あたりは実際に配信するコンテンツと密接に関係するような形になります。

酒井:ユーザーさんの設定に対するこだわりへの答えというか、こういうことだから戦うという理由が見えてくると思います。

木村:オンラインゲームでは、ストーリーにあまり興味がないユーザーさんも多いので、『PSO2』では配信するコンテンツとストーリーをあまり絡めないほうがいいのかなと考えていました。これまで、ストーリーと関係してくるのはダークファルスくらいだったのですが、やってみると意外とユーザーさんからの反応がよくて、そういった方向のほうが盛り上がるんだなと感じて、EP2の後半からは意識して合わせていくようにしています。

――ユーザーさんの反応って重要なんですね。さまざまな感想や要望が寄せられる中、正しいものを見出すのは大変ではないですか?

木村:ボクらが気付いていないことを言っていただいて、その意見にボクらが共感できたならそれはもうまぎれもない事実だと思うんです。

『ファンタシースターオンライン2』

酒井:好き勝手言ってもらっていいんですよ。こちらは実際のデータを持っているので、その意見とデータを突き合わせて何が最良かを探っていくんです。

木村:逆に声を上げない人の意見を吸い上げるほうが難しいですね。現状に満足されている方はなかなか声に出して言いませんから。

――黒に染まる領域、採掘基地防衛戦:絶望がXH対応となりますが、クエスト内容に調整は入っていますか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:こちらは、単純に敵のレベルアップとドロップの追加のみです。

――『テイルズ オブ ゼスティリア』とのコラボは意外でしたが、このコラボはどちらからの提案だったのでしょうか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:こちらからですね。プレイステーションアワード2013で特別賞をいただいたときに、ゲーム業界のいろいろな方とお話する機会がありました。うちの社員とのつながりで、『テイルズ オブ』シリーズの馬場プロデューサーともお話をする機会があり、そのあと飲みに行ったりしたんです。『テイルズ オブ』シリーズも各方面とコラボをしていたので、もしよかったらというお話をその場で軽くさせていただきました。そのあと、『テイルズ オブ』シリーズ20周年で『ゼスティリア』を出すと聞いて、ボクと酒井がバンダイナムコゲームスさんへうかがって正式に話を進めさせていただきました。

――バンダイナムコゲームスとのコラボはとても意外でした。

木村:バンダイナムコゲームスさんはご自身のIPをうまく使っている会社ですので、その大切なIPを出していただけるのかという不安はありましたね。そこは馬場プロデューサーのほうでうまく調整していただいたものと思っています。

――今後は他社さんのゲームとのコラボも考えているとのことですが、『PSO2』側だけでなく相互コラボもあるのでしょうか?

木村:以前、『ソウルサクリファイス』に『PSO2』のコスチュームを出すということをやりました。こちらとしてはもっとそういったコラボもやっていきたいので、「うちのIPをどんどん使ってください」とこの場で言わせてください。『PSO2』はいろいろなところとコラボしているので、うちはかなり寛容ですよ。

酒井:使う側の立場で考えると、『PSO2』はストーリーにこれっていう主人公的な人物がいないので使いづらいのかもしれませんね。

――コスチューム以外に、クエストやエネミーなどでのコラボも考えていますか?

木村:時期的なものやスケジュールの都合でうまくいかないんですが、可能性がないわけではないです。ロードマップでも少しだけ発表したクリエイターコラボというのがあって、そこでコスチューム以外にも何かやれるかと。エネミーに関してはクーガーNXやナイトギアを出していますが、社内でも調整にかなりの時間がかかりましたね。社外とやるならもっとタイへンになりそうですが、機会があればぜひやりたいです。

――コラボつながりでいくつか聞かせてください。セブンイレブンでのセガラッキーくじ&スタンプラリーが実施中ですが、反響はいかがですか?

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酒井:反響はいいですね。スタンプラリーは現時点(3月4日)で前年を上回るペースですし、ラッキーくじの消化率もかなり高いです。

木村:アイテムコードが足りなくなってるからと、セブンイレブンさんから催促のメールが来るくらいですよ。

酒井:キャラバンの広島会場でも、アークマやアークマミのぬいぐるみを持ってきてくれる人がけっこういました。本当にありがたいことです。

木村:すごくうれしい反面、あまり早く売れすぎると広告効果がなくなってしまうのは悩みものですね。

――タイムアタック大会が久々に関東で開催されますが、その理由は?

『ファンタシースターオンライン2』

酒井:本当はもっとやりたいんですよね。

木村:やりたいのですが、なかなか条件に合う店舗さんがないんです。毎回同じ場所というのもどうかなと思って先送りしていたら、今になってしまいました。

――大会当日は開発チームの方が誰かいらっしゃるのですか?

木村:オフィシャルとしてボクらが行くということはありませんが、プライベートで行くことは禁止していません。

酒井:ボクらが行くのが当たり前になってしまうと、こちらのスケジュールの都合などもあって余計に開催しづらくなりますからね。

■アークス広報隊の狙いとは

――アークス広報隊という企画がスタートしますが、一般公募による選出枠を設けた理由は?

『ファンタシースターオンライン2』

酒井:候補生の生放送ではユーザーさんと一緒にプレイするという企画をやっていましたから、盛り上げ方としてもっとユーザーさんに参加してもらいたいと言う気持ちです。広報隊にはタレントさんも入ってくる予定ですが、それだけじゃなくて一般の人たちとも一緒に盛り上げていきたい。

木村:タレントさんにいろいろやってもらって盛り上げるのも1つの手段ですが、一般から出てきてもらって、ユーザーさん自身が「俺らの代表」と思えるようになってもらいたいですね。

酒井:候補生には一人前になるまでやってもらいましたが、次もまた同じことをやるだけでは面白味に欠けますよね。初心者もいて、経験者もいて、例えばゲームプレイではなくダンスパフォーマンスで宣伝する人もいたり、さまざまなバリエーションで『PSO2』のおもしろさを伝えてほしいなあ。

――タレント枠ではどんな方が出る予定ですか?

木村:まだすべて決まっていないのですが、候補生のように一部は駆け出しの方になるイメージです。

酒井:お笑い芸人の方も入れたいという話は出ていますね。

――たかし(※“ファンタシースターオンライン2-ON STAGE-”に出演したオラキオさん)ですか?

酒井:たかしではないです(笑)。というか彼はオラキオさんですからね。『龍が如く』じゃないですが、セクシー女優さんがいてもいいのかな、なんて個人的には思っています。

木村:あくまでも酒井の希望であって、まだ決まってないですけどね(笑)。全部で5人くらいを予定していて、一般募集は1人だけの予定ですが、こちらで用意するタレント枠も決まっていないので、ユニークなPRができる人がいれば一般枠が増える可能性もあります。

酒井:応募はプロ・アマ問わずなので、「タレントだけど『PSO2』をプレイしています」という方もご応募よろしくお願いします。

――応募の反響はどうでしたか?

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酒井:すでに数十通の応募が来ていますし、問い合わせがすごく来てるんです。ボクらが書いた希望だけでは伝わってなくて、例えば「社会人が応募してもいいんですか?」とか。こちらとしてはOKですけど、務めている会社が副業を禁止していることもあるので、ご自身の会社と相談してください。また当然、これはお仕事してお願いするのですから報酬が出ます。

木村:「どうせこんなの最初から決まってるんだろ」という人もいますが、ガチで募集しています。

――生放送や打ち合わせでの拘束時間はどれくらいになりますか?

木村:候補生は毎週決まった曜日に実施していましたが、広報隊の放送スケジュールは決まった方と相談していく予定です。

酒井:最低限、候補生と同じく週1回2時間はやってほしいですね。

木村:打ち合わせは候補生でも3カ月に1回程度でしたね。顔合わせやイベントではこちらに来てもらうこともありますが、基本的にはメールでやりとりすると思います。

――どういう人に応募してほしいですか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:ユーザー目線だからわかること、ボクらでは伝えられない魅力を伝えてくれる人、そして『PSO2』を知らない人にもうまく説明できる人ですね。

酒井:ボクはスタープレイヤー的な存在かな。広報隊をやって有名になって、いずれ世界に羽ばたいてくれるとこちらとしてもうれしいですね。そのために『PSO2』を踏み台にしてもらってもかまいません。

木村:野心のある人はいいですね、そういう人、好きです。

――募集要項には『ファンタシースター』シリーズをプレイされている方と書いてありますが、これは現役のプレイヤーさんを希望してのことですか?

酒井:一応、書いてありますがそんなにこだわっていません。広報隊はお仕事なので、ある程度続けてもらうことが最低条件です。シリーズを全然知らない方が応募して受かったはいいものの、実際にやってみて「このゲーム、私に合わない」って投げ出されたら困っちゃいますから。

■夏までのロードマップと今後の展望

――夏までのロードマップが公開されましたが、このなかで注目してほしい要素はどれでしょう?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:まずは春のアップデートでの惑星リリーパのアルティメットクエスト、そのあとの『PSO15周年」の記念ボスですね。それから酒井が生放送で言っていましたが、毎年アニバーサリーに合わせて感謝祭をやっていたんですけど、今年はそうではない形にしようと考えています。そこで何か、ゲーム内コンテンツも絡められたらいいですね。

――惑星リリーパの新アルティメットクエストについては、先日の放送で動画が公開されました。かなりアグレッシブな機甲種が印象的でしたが、難易度としてはナベリウスと比べてどうなりますか?

木村:開発内でナベリウスはちょっと極端だったという意見もあって、そういったことも考えて調整しています。大型と小型のバランスやザコエネミーの配置などに手を入れてますが、全体的な難易度としてはナベリウスと同じくらいですね。

――映像の最後で「★13はアンガのものだけじゃない」とありましたが、これはザコたちからもドロップすると考えてよろしいのでしょうか?

木村:はい、そうです。ナベリウスでは★13はアンガ・ファンダージだけでしたが、今回はザコも含めて全エネミーからドロップします。緊急クエストXHのエリアドロップと同じですね。

――ドロップする★13は新しいものですか?

木村:アンガ・ファンダージはこれまでどおりアーレスシリーズですが、エリアドロップはアーレスでもイデアルでもない新しい武器です。アーレス系もドロップするので、ナベリウスより★13は狙いやすいと思います。それから……これ言ってもいいですかね?

酒井:ユーザーさんが喜ぶことだから言っていいよ。

木村:じゃあ言っちゃいますけど、リリーパでは輝石交換でも★13武器が手に入るようにします。輝石はクエストのクリア報酬として入手できるので、それをためていけば★13が手に入るような形式ですね。1本はドロップ、もう1本は輝石交換というように、バランスよくプレイしていただければと考えています。

――ナベリウスのテコ入れもありますか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:いずれテコ入れはするつもりですが、次のリリーパはナベリウスの反省を踏まえて制作しているので、まずはリリーパを配信してユーザーさんの反応を見させてください。同じ対応でよければ同じように、過不足があればまた考える必要があると思っています。

――アドバンスクエスト拡張との記載もありましたが、具体的な内容を語れる範囲で教えてください。

木村:現状のアドバンスクエストに出てくる敵は最大でもLv.70までで、難度XHが実装されてからはあまりうまみのない状態ですので、それをLv.80まで上げられるようにします。ただ、今のままではそこに到達するまでかなりの時間がかかってしまうので、カプセルを通常よりも多く払えば任意でアドバンスリスクを上げられる仕組みにしようと考えています。そういった拡張が中心ですので、今回はアドバンスクエストの追加自体はありません。

――エクストリームクエストの調整はありませんか?

木村:今はありません。あれこれいっぺんにやるとプレイする人がいろいろなクエストに分散してしまい、逆にみんなで遊びづらくなってしまいますからね。

――カジノにゲームを追加する際、どのような基準でゲームを選ぶのでしょうか?

木村:メセタンシューターは3WAVE遊ぶだけならそれほど時間はかからないし、スロットもラッPSEバーストまで狙うと時間はかかるんですけど、1プレイだけなら数秒。賭け事はそういうものだと思っているので、1回のプレイ時間が短いものを選んでいます。

――ブラックニャックはブラックジャックをアレンジした内容でしたが、例えば麻雀などもととなるゲームそのものを実装するということはないのでしょうか?

木村:クリエイターの意地みたいなものですね。せっかくだから見たことないものにしようと。ただし、そのままのゲームは絶対に作らないというわけではないです。まずはサクッと遊べて、こちらもサクッと出せるものでカジノの内容を充実させていきたいですね。

酒井:一応言っておきますが、うちには『セガNET麻雀 MJ』があるので麻雀を実装するつもりはないです(笑)。

――『PSO』15周年記念チームルームがすごいとおっしゃっておりましたが、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

『ファンタシースターオンライン2』

酒井:うーん、寄っていきたくなるところ(笑)。『PSO』をやっていた人なら、これだけでもすぐにここってわかっちゃいますね。

――ロビーシステム拡張の内容を教えてください。

木村:季節ロビーも3年目に入り、もうこの季節にはあれがくるってわかっているじゃないですか。そこにテコ入れする形で、何か手を入れたいです。

――15周年記念ボスはズバリ何ですか?

木村:ズバリ……言えません!!

酒井:『PSO』ですけど、無印(DC版『PSO』)のボスではないかもしれない。今言えるのはこれくらいです。

――酒井シリーズプロデューサー、木村シリーズディレクターが今後『PSO2』関連でやってみたいことはありますか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:宇宙関連の企業や団体とのコラボですね。宇宙やSFをテーマにしたオンラインゲームというのはあまり多くありません。そのなかで『PSO2』というタイトルをやっているので、せっかくですから宇宙にかかわるもの。例えば宇宙旅行とか……すごく漠然とした答えですけど。夢というか、みんなが夢見る世界が宇宙にはあると思うんです。

酒井:夢でいいのであれば、ボクは制服コラボというものがやりたい。これは木村に何回も言っているんですけど、毎回却下されてるんですよ。全国各地の高校、企業、警察、自衛隊など、実在するさまざまな制服をゲーム内で着られたら楽しいだろうなあ。

木村:似たようなデザインならいいんですけど、実物となるとなかなか難しいんですよ。とくにスカートがある制服だと、アクションでパンツが見えてしまうのでそれを許してもらえるかどうか。

酒井:そういった理由もあってできないのですが、憧れの職業的な需要はあると思うんですよ。また、本来はオンラインゲームと関係ないところとつながりを持つことで、もっと広がりができたらいいなと。以前、ゆるキャラとのコラボをしましたが、発想の根幹はそれと同じです。アニメファンやゲームファン以外の層に、もっと『PSO2』をアピールできるようにね。そういった意味では、セブン-イレブンさんとのコラボで制服が入れられたのはうれしかったですね。

――コラボと言えば『カラオケの鉄人』とのコラボでドリンクやフードが出ますが、そういったものはほかにやらないのですか?

『ファンタシースターオンライン2』

木村:さっき言った宇宙は難しいけれど、飲食関係ならできそうですね。

――ロードマップにない部分も含めての、先々の展開を教えてください。

木村:具体的なことはまだ言えません。15周年記念とは言っていますが、本当の15周年は12月ですのでその前だけでなく、それから先もしばらくやろうと計画しているところです。『電撃PlayStation』さんも20周年と言いつつ長く展開していたじゃないですか(笑)。

――そこを突っ込まれるとは思っていなかったです(笑)。電撃では20周年ということで20に絡めた企画をやりました。『PSO』は15周年ですから、きっと第15弾くらいまで企画があるんですよね?

木村:数字のことまで考えてなかったです。うーん、15個かあ……企画といっても大きいのから小さめのものまでいろいろありますからね。よし決めた、口車に乗って15個やりましょう!

酒井:15周年はユーザーさんの想像していなかったこと、想像を超えるような大きなこともやりたいですね。今はそのための仕込みで動いているような状態です。

木村:今年は、この3年間の運営の中でボクらが一番忙しい年になると思っていますよ。

――ということは、ゲーム外でもいろいろとやっていくのでしょうか?

木村:そうですね。アップデートはもちろんこれまでどおりやっていきますが、ゲーム外でもさまざまなものを企画しています。

――デラックスパッケージの発売が迫ってきましたが、あらためて内容と魅力を教えてください。

『ファンタシースターオンライン2』 『ファンタシースターオンライン2』

木村:『ファンタシースターポータブル2インフィニティ』のナギサとシズルの武器やコスチュームなどが特典として付いてくるというのは、以前に発表したとおりです。特典武器はクラフトして使ってもらってもいいですし、ジグのクライアントオーダーで武器迷彩に変えることもできます。過去のパッケージ版特典に付いてきたリトルウィング系と、永野護先生デザインの武器も迷彩化できるようにしました。

『ファンタシースターオンライン2』 『ファンタシースターオンライン2』

 今回の特典にはアークスバッヂ緑が付いてくるのですが、これを使って過去のパッケージ特典だった武器やマグも入手できます。それから、過去のパッケージ特典で交換できたコスチュームにそれぞれ新色を追加しました。こちらはアークスバッヂ緑とアークスバッヂ黄で交換できます。

 アークスバッヂ黄は、緑から交換する方法の他に、先着30,000名の早期購入特典でも手に入るので、とてもお得なパッケージになっています。プレミアムセット30日権など、便利なアイテムセットも付いているので、これを機に新しく始めようという人にもオススメです。

酒井:3月下旬からは新CMもはじまります。ちょっとおバカなノリなんですけど、『PSO2』ならではの楽しさを伝えられるCMになっているのでぜひチェックしてみてください。

――最後に、『PSO2』を愛するユーザーさんへメッセージをお願いします。

『ファンタシースターオンライン2』

木村:EP3のアップデートが始まってすでに半年以上が経過して、3周年が見えかけてきたというところです。年末から不具合が多発しておりまして、ユーザーさんにはご迷惑をおかけしていて申し訳ありません。付け焼刃的な対応になってしまい、後手後手になってしまいました。

 ここで一旦仕切り直しをして、アップデート頻度などはこれまでと変わらず、ゲームをこれまで以上に楽しんでいただけるようにします。これからも安心して遊んでいただける『PSO2』になるように体制を見直していますので、もう少しお時間をいただければと。そのうえで、『PSO2』を愛しているユーザーさんが、より愛していただけるような15周年にしていきたいです。

酒井:アークスキャラバンも始まりまして、15周年記念に向けてさまざまな企画が着々と進んでいます。ゲームだけでなく、PSO2放送局やアークス候補生、アークス広報隊、そして各種グッズなど全部を含めて『PSO2』だとボクらは考えて動いています。

 『PSO』15周年と『PSO2』3周年に向けて、ますます『ファンタシースター』シリーズ全体を盛り上げていけるようにがんばります。愛してくれるユーザーさんたちがいるからこそいろいろなことができるのですから、その方たちに楽しい思い、うれしい思いをしてもらえるようにしたい。そして、もっとゲームを楽しめることをやっていきたいと思います。周辺展開を含めて、これからも『ファンタシースター』シリーズにご期待ください!

データ

▼『ファンタシースターオンライン2 エピソード3 デラックスパッケージ』
■メーカー:セガ
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG
■発売日:2015年3月19日
■希望小売価格:4,980円+税
 
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