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2015年3月20日(金)

男らしい『龍が如くグミ』の原点はカワイらしいぷよ!? 開発者インタビューで悲願達成の経緯が明らかに

文:kbj

 セガから発売されているアクションアドベンチャー『龍が如く』シリーズを題材にした、『龍が如くグミ』が3月2日よりサークルKサンクスやドン・キホーテなどの全国の取り扱い店舗にて販売されている。今回は、商品開発担当者へのインタビューを掲載する。

『龍が如くグミ』

 『龍が如く』は、累計出荷本数650万本を突破したセガの人気シリーズ。3月12日にリリースされたPS4/PS3用ソフト『龍が如く0 誓いの場所』に先駆けて、グミ商品『龍が如くグミ』が登場。日本の裏社会をテーマとした『龍が如く』をイメージし、刺激的な味わいでハードな食感が楽しめるキューブタイプのグミとなっているのが特徴だ。

 お話を伺ったのは、ライオン菓子・開発部の大村公一さんと山田真梨子さん。これまで担当された菓子から始まり、今回のコラボ商品である『龍が如くグミ』開発の経緯や苦労話など、さまざまなことをお聞きしている。『龍が如く』ファンだけでなく、グミやキャンディーが好きな人もチェックしてほしい。なお、インタビュー中は敬称略。

『龍が如くグミ』
▲山田さん(左)と大村さん(右)。
『龍が如くグミ』 『龍が如くグミ』 『龍が如くグミ』
▲同社には、販売されている多数の商品が陳列されており、思わず目を奪われてしまった。

■80年愛される定番のキャンディーや新商品までライオン菓子のラインナップとは!?

――個人的な話になるのですが、自分の家はあまり飴を買ってもらわなかったんですね。ただ、御社の『ライオンバターボール』や『ライオネスコーヒーキャンディー』は買ってもらえていたんです。特に『コーヒーキャンディー』は結構な割合で常備されていて、それがすごく印象的でした。

『龍が如くグミ』

大村:ありがとうございます。『バターボール』に至っては昭和10年に発売され、80年愛されてきました。こちらは看板商品として展開させていただいています。

――1935年からということなので、『龍が如く0』よりもちょっとだけ早いですね(笑)。『コーヒーキャンディー』も長く販売されていますね。

大村:そうです。当時はコーヒーが結構貴重だったことがあり、手軽にコーヒーを楽しんでいただきたいという想いで登場したキャンディーですね。本格的な味を楽しめるという点で、当時なかった商品になっています。

――長年展開されていると、味を変えられたり、デザインをリファインされたりということもあるのでしょうか?

大村:デザインに関しては、基本的に継承しているのですが、ちょっとずつ変えています。例えば発売当時は袋の上部にある“フック穴”はなかったのですが、陳列される場所や店舗などを考慮して、入れるようになりました。商品をよくしていくという点で改良していっているのですが、基本的にはやはり味でお客様に買っていただいているので、その点はなるべく変えず……おいしくはしているんですけど、大きな部分は変えずに商品のよさを生かしつつ展開していっています。

――商品が長く売れるに従って、購入者の年齢層は上がっていくのでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:そうですね、例えば『コーヒーキャンディー』だと、50代以上の方が一番多いです。ちょっと余談になりますが、以前に年配の方がわざわざ弊社に来ていただいて「まとめて購入できないか」と直接相談してくださったことがあるくらいです。私も小さい時に食べていたため、昔食べたという印象がかなり強くあり、親子で世代を越えて食べていただいている印象ですね。

――『そのまんま』シリーズや『きえちゃうキャンディー』シリーズも最近の御社の商品だったことに驚きました。

大村:素材菓子は、発売して6年程になります。発売当時、このように皮を使った菓子はあまりなくて、自然なおいしさを楽しめることが評判を呼びました。皮は、マーマレードや一部の料理にしか使われずに、捨てられてしまうと思うのですが、素材を再利用しつつ味としてもおいしく仕上がっているので、そこも受け入れられているのかと思います。

――新商品はどれくらいのサイクルで作られているんでしょうか?

大村:シーズンごとに作っておりまして、春夏秋冬で主にまとめて作っているという状況です。新商品とリニューアル商品を含めますと、年に40商品くらいでしょうか。その発売された中から、定番になるものがあればリニューアルされることもあります。

■食べることが好きでライオン菓子に入社!

――入社されてから、これまでにどのような商品に携わられてきたのか教えていただけますか?

『龍が如くグミ』

大村:私はまず、袋キャンディーをやらせていただきました。その後はセガ様とのタイアップ商品である『ぷよぷよグミ』シリーズを主に担当させていただきました。他には、弊社が製造販売を行なっているキャンディーやグミ、素材菓子も一度担当を持たせていただきましたね。

――いろいろと幅広くやられているんですね。

大村:弊社の開発部は人数がそこまで多くないため、いい意味で多岐に渡った商品開発に携われるのです。大手メーカー様だとたぶん一部分だけだと思うのですが、弊社は商品の始まりから最後まで全部担当する。私はその中でパッケージを中心に担当させていただいております。

――今までに作られた中で「これはおもしろかった」と印象に残っているものはありますか?

大村:個人的には今回の『龍が如くグミ』はすごく思い入れを持たせて担当させていただています。セガ様とのタイアップは自分を中心にやらせていただいているのですが、タイアップ商品のおもしろさ、ゲームの世界から食品に変える楽しさなど、新たに開発展開できるのはすごくやりがいがありますね。

――山田さんはいかがでしょうか?

『龍が如くグミ』

山田:私は、商品の中身、実際に口にするものを作っています。具体的には、試作をし、形状や風味を検討しながら配合を決めています。そして原料の管理や工場との調整を行い、品質、工程の適正を確認して生産に向けた準備を進めています。

 弊社はフルーツ系のキャンディーの場合、ハードキャンディーが多いのですが、中心にジャムが入れてあるものや、粉が入っているもの、あとは二層にしたりマーブル状にしたりとか、そういった商品の開発にかかわりました。

――キャンディー系が多いのでしょうか?

『龍が如くグミ』

山田:ハードキャンディー、ソフトキャンディーやグミが多いです。素材菓子もあります。グミであれば、食感に特徴のある『ナタデココグミ』や『ゼスプリキウイグミ』というブランドの美味しさにこだわったグミも展開しています。

――その中で印象深かったものや自信があるものはなんでしょうか?

山田:果汁ペースト入りのというフルーツの果汁感を味わえる商品があるのですが、その商品に力を入れました。ペーストのなめらかな食感維持の改良や、センターの注入量の調整等を繰り返し行いながら、ペーストをトロ~っとしたペーストに入れることで移動を防ぎつつ、賞味期限を保たせるようにいろいろ改良しました。

――基本的な質問になるのですが、業者から「こういういい素材があるから使ってみませんか?」という話が降りてくるものなのですか? それともご自身がいろいろ調査されて「ここの果物を使わせてください」と交渉されるのですか?

山田:話題性のある原料や希少な原料を自分で見つけて交渉もします。他にも、展示会に行っていろいろと情報をお聞きすることもあります。キャンディーを作る時は果汁を入れることが多いですが、どうやって商品に適した原料にするのかというところから、イチから相談させていただきました。

――いろいろなところにも足を運ばれるのでしょうか?

山田:そうですね。原料に関してだと実際に作れている農家さんに行ったことがあります。あとは工場に生産工程を確認しに行くこともありますし、出張することもありますね。農家さん等に「こういうキャンディーができました」とお送りすると、果物を贈ってきてくださることもあり、フルーツを食べてさらにその素材のよさをお菓子で楽しく何か表現できるようにをもっと味を再現しようと勉強させてもらっています。

――もともとお2人とも、食が好きでこの業界に入られたのでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:そうですね、私はグミが大好きで、就職活動をしている時も食べながら絶対に食品メーカーに行くと思っていました。希望のところに入れたと思いました。食べることが好きなのですが、特にグミが大好きでしたね。

山田:私も食べることが好きで、学生の頃から食品に興味がありました。大学時代に管理栄養士の資格を取り、ご飯も好きですが、お菓子がとにかく大好き。電車に降りるたびに駅でグミを買っていたほどです(笑)。テスト勉強中はチョコレート2箱くらい買って食べるくらいお菓子が大好きで……お菓子業界に興味を持ちました。

■人気の商品の開発には苦労が絶えない!? 『龍が如くグミ』の原点に迫る

――今回『龍が如くグミ』が商品化されることになった経緯を教えていただけますか?

大村:先ほど話題に出ました『ぷよぷよグミ』シリーズを担当させていただいた時から、「いつか『龍が如く』でコラボをやりたい」と心の中で思っていたんですね。もともとゲームの『龍が如く』をプレイしていたので、特に思い入れがあったのが理由です。

 ただ……正直にお話させていただくと、『龍が如く』がキャンディーや製菓とコラボするようなイメージは抱けませんでした。主人公のキャラとグミはマッチングしないと思ったんですが、新作が出ることは伺っていましたし、いいタイミングだと思い、一度お話をさせていただいたのがキッカケでしたね。

――『ぷよぷよグミ』があったからこそ、今回の企画が生まれたということですが、そもそも『ぷよぷよグミ』が誕生することになったキッカケは何だったんでしょうか?

大村:まず、私が入社する前に「“ぷよ”はグミを連想できるんじゃないか」という話が社内で上がっていました。それからセガ様とお話させていただいてやることをお互いに決めたようなんですが、ちょうど東日本大震災が起こってしまいました。弊社の工場が福島県にあり、震災の影響を受けて難しい状況が続いていたんですが、セガ様から熱心にお声がけいただいて、それから「やりましょう!」となったのが第1弾のコラボでしたね。

 第1弾から好評だったためにシリーズ化させていただき、現在では7弾まで来ています。

『龍が如くグミ』 『龍が如くグミ』
▲『ぷよぷよグミ』▲『ぷよぷよグミ(第2弾)』

――第3弾のクールパウダーは、御社の新たな施策として入れられたのでしょうか?

『龍が如くグミ』 『龍が如くグミ』

大村:第1弾、第2弾ときて「何か新しいことをしたいな」という気持ちと、夏らしい企画をやりたいということからできました。上司と打ち合わせをしながら、もっとおもしろさを出したいなと思ってこの方向性になりました。グミに直接かけてしまうと、ぷよの目が消えてしまうことがあったので、パウダーは別に分けたほうがいいと思いました。

 ちょうど私がセガ様を担当させていただいたのがこの商品からだったのですが、何もわからない状態だったため、この時にいろいろと勉強させていただきましたね。別に袋をつける際の注意点もその1つです。ただ、一番勉強になったのは、楽しさを追い求めて商品を開発できたところです。パウダーをグミにふりかけて混ぜて食べるのは、ひと工夫あるお菓子で子どもが好きだということで取り組みさせていただきました。

――そのまま食べてもおいしいし、ちょっと味を変えたくなったらパウダーを振りかけて食べてもいいと。

大村:そうですね。グミ自体に冷たくなる成分を入れていまして、そこにパウダーをかけるとさらに冷たくなるという商品にしました。

――“テトリミノ”の形はぷよとは異なる形ですが、『ぷよぷよテトリスグミ』の時に苦労があれば教えてください。

『龍が如くグミ』

大村:これは本当に大変でした。ぷよ、テトリミノ、カーバンクルも含めるとグミの種類が13種類あるんですね。そんなに種類を作られた会社はないと思うんですけど(笑)……新しい試みだったことに加えて、ちょうどゲームが発売されるということで、全部揃えたいと思いました。お客様も「入っていない形があったら嫌だ」と思うじゃないですか?

 そのため、何が何でも実現させようと思ったんですが……生産ラインには相当無理なお願いをしました。普通に怒られたような印象がありますね。さまざまなところに迷惑をかけつつ、なんとか完成までこぎつけました。

――その甲斐あってか、実際に組んでみたくなる形だと感じました。

大村:買っていただいたお客様もTwitterやFacebookなどで写真をわざわざ上げてくださいました。すごい方ですと、動画を作られた人がいるくらいに反響をいただいたので、やりきってよかったなと個人的には感無量でした。

山田:試作品を先輩と一緒にゲームのように並べてみて、遊び心がグミにも反映されているのかを確認しました。……食べ物で遊ぶことは本来であればよくないことですが(笑)、おいしく食べつつ楽しく遊ぶのであればいいかと。

――第5弾の『ぷよぷよトロピカルグミ』はどのようにして生まれたのでしょう?

『龍が如くグミ』

大村:こちらの商品は「夏限定で何かやってみたい」という考えと、「今までの『ぷよぷよグミ』とは違った味だけで展開できるのでは?」という2つの考えから生まれました。この『ぷよぷよトロピカルグミ』には、普通のグミではあまりないような味だけをラインナップしたかったというコンセプトがあります。夏限定を強調した味わいを追求しました。

――『ぷよぷよテトリスグミ』や『ぷよぷよトロピカルグミ』あたりからカーバンクルを入れる施策をやられていますが、反響はいかがでしたか?

大村:すごかったです。ちょうどこの前後にキャンペーンを行い、ハガキをいただいていたのですが、「カーバンクルが入っていてうれしい」という多数の意見を見られました。第6弾の『ぷよぷよれんさグミ』なんですけど、去年までキャンペーンをやらせていただきました。キャラクターのクッションが当たるキャンペーンだったのですが、半分以上が「カーバンクルのクッションが欲しい」という応募でした。セガ様からも以前にうかがっていたことですが、人気キャラクターをグミで登場させたこととキャンペーンがリンクしてために反響が凄かったですね。ゲームをやられているユーザー様だけでなく、多くの方に買っていただいたようで、すごい反響でした。

――コラボキャンペーンの応募は普段のもの比べて多いのですか?

大村:弊社のキャンペーン自体、細々とやっているものが多かったんですけど、『ぷよぷよグミ』に関しては何千、何万と来るくらいご応募いただいています。本当にありがとうございます。

――個人的に聞きたかったのですが、第6弾の『ぷよぷよれんさグミ』はすごく大変……言葉を選ばずに言うと「作るのは嫌じゃないのかな?」と思ったのですが、こちらは大変ではなかったのでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:すごく大変でした!

(一同笑)

大村:『ぷよぷよテトリスグミ』と同じくらい怒られました。「なんでこんなことを企画したんだ!」って。2色のグミを作るのは、本当に難しいんですよ。色移りしてしまったり、味がぼやけてしまう可能性があったり……グミを作る方や生産の方には本当に苦労していただきました。

――先ほどと同じことをおっしゃられていますよ(笑)。

大村:あと、すべてのぷよの組み合わせを忠実に再現すると、50パターンくらいの組み合わせが存在したんですよ。

――50パターン(笑)。さっきは13種類で怒られたのに……。

大村:はい(苦笑)。全部作るとなると……当然怒られてしまうので、厳選して作らせていただきました。

――ちなみに、このアイデアは御社とセガさんのどちらからあがったのでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:弊社から「やらせていただけませんか?」と相談させていただきました。ゲームだと、本当は2つのぷよはつながっていないんですよ。若干、離れているんですよね。

――確かに色が違うとくっつきませんね。

大村:そこを含めて、「これはどうですか?」と提案させていただきました。何とか快諾を得てやらせていただいた経緯があります。苦労はしましたが、反響は結構ありました。「1つで2つの味が楽しめる」とか「一緒に食べて別の味になるのがおもしろい」などの意見をいただきました。逆にちぎっていただいて1個ずつ食べていただいても問題ありません。その点のおもしろさを受け入れていただけました。

――3月9日より販売されている第7弾『ぷよぷよグミ(4連)』では、販売形態をガラッと変えられて小分けにされたのには、何か理由があるのでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:第6弾まで展開させていただきましたが、お菓子業界でも新しいものが求められる傾向にあります。個人としても「これまでとは違った形態、新しい展開ができないかな」と感じていました。現状のマーケットを見渡すと、今あるものの形態を変えた柱商品を結構やられていて、まずこれが思いつきました。

 スーパーマーケットを中心に展開されているため、“ぷよぷよ”というキャラクターで強みもあり、アピールしやすい。弊社としてもこの形態で取り組んだことがなかったので、「新しい試みとしていいんじゃないか」というところで今回やらせていただきました。

――ラインナップを見させていただき気になっていたのですが、グレープフルーツがレモンに変わったり、マスカットがメロンに変わったりとり、ちょっとずつフレーバーが変わっているのですが、こちらに理由はあるのでしょうか?

大村:やはり同じ味を続けてしまうと飽きられてしまうということがあるため、ちょっとずつ変化させています。他には食べられる方に喜んでいただけるうえに、楽しい世界観も出せるのではないかという狙いもあります。

――キャンペーンの反響がすごかったという話でしたが、この『ぷよぷよグミ』シリーズは御社にとってもコラボした甲斐があった、すごくいいものだったのでしょうか?

大村:本当にやってよかった商品です。セガ様から素晴らしいコンテンツをお借りできてよかったとしみじみ感じました。特に『ぷよぷよグミ』第1弾発売当初に至っては、6種アソートのグミはあまりなかったんですね。『ぷよぷよ』という有名なブランドを使った商品のコンセプトや、ぷよのグミがすごくわかりやすくお客様にすごく伝わりまして、毎回すごい反響をいただいてきました。

 また第3弾から二人三脚で一緒に仕事を進行し、ご意見やご指導いただいた上司のおかげで、シリーズ7弾までやってこられたんだと思います。

■最近の傾向やマーケットが『龍が如く』とのコラボを後押し!

――それを受けての『龍が如くグミ』ということですけれども……正直、最初に『龍が如くグミ』をお聞きした時、グミと『龍が如く』がミスマッチであるという印象を受けました。開発に至ったのは大村さんの熱意があったからでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:そうですね。個人的に『龍が如く』は、友人の勧めで始めたのがきっかけで好きになりました。セガ様とお仕事させていただく中で、何かチャンスはないかと思っていました。そんな折、ゲームが発売されるタイミングをお聞きしたので「いい機会だ!」というところで、セガ様にお話させていただきました。そこから企画内容や販売時期などを検討させていただきました。ただ、実は社内でも当初は「今回は組み合わせがよくないのでは?」と心配する声がありました。

――御社であればグミ以外にもキャンディーという選択肢があったと思うのですが、最初からグミだったのでしょうか?

大村:最初にもお話させていただきましたが、いち個人としてはグミがすごく好きなので「絶対にグミでやりたい!」と思っていたことに加えて、営業から聞いた意見で「最近は男性向けのグミ商品が多く出ている」ということがありました。『龍が如く』というゲームやキャラクター性を考えると「女性ユーザーはあまりいないのかな?」と個人的に思っていました。

 キャンディーは子どもがいるお母さんや家族的な市場で売れる形態なので、ターゲットとのマッチングという点でグミだと考えました。そこが一番大きかったですね。

――実は『龍が如く』シリーズは女性ユーザーが増えているタイトルの1つですね。割合的には男性のほうが多いとのことですが、女性のほうが熱狂的ファンが多いんです。

大村:そのようですね。後々うかがって自分の想像とは異なっていたため、「あれ?」と思ってしまいました。

山田:自分はゲームのことは詳しく知らなかったのですが、見た時に「あっ、カッコイイなぁ」と素直に思いました(笑)。そのため、自分は「いいんじゃない?」と思っていました。男性向けとわかりやすいし、カッコいい。作品のイメージが伝わってくる雰囲気があって、主人公が男気あふれている。……何だかすみません、見た目で判断してしまって。

 ただ、そんなこともあってグミにいいと思いましたね。ゲームを知らなかった人も「なんだろう?」ってちょっと思ってくれるような、商品としての目新しさ、おもしろさもあります。

――社内で心配する声もあったということでしたが、どういう形で乗り越えた、うまくまとめていったのでしょうか?

大村:そうですね……今まで弊社が販売してきたグミは小さめのものが多かったんですけど、市場として大袋化……内容量が多めの商品が増えています。その中で弊社としての新しい試みとして大容量として出していきたいと思ったのです。

――どれくらい違うのでしょうか?

大村:これまでのが30gで、『龍が如くグミ』は70gと倍以上入っています。大容量グミという展開は、営業としてもやりやすいうえに、同じ時期にゲームが発売されるためにセガ様との相乗効果もすごく高い点などを説明し、上司に納得してもらいました。

――新たな試みとしてカフェインとアルギニンを入れているとお聞きしているのですが、こちらはどうして入れられたんでしょうか?

『龍が如くグミ』

山田:元気が出る成分としてわかりやすいためです。カフェインは眠気覚ましとして認知されていますし、アルギニンについては栄養ドリンクに入っているものも増えています。

――ちなみにアルギニンとはどういう成分になるでしょう?

山田:天然に存在するアミノ酸の一種です。成長ホルモンの分泌を促進させる作用があるといわれ、回復力を高めたり、健康を強化したりするため、エナジードリンクに配合されていますね。

――『龍が如く』とイメージがマッチする印象ですね。

山田:そうなんです! エネルギーや活力というイメージがありますね。最近ですと、エナジー系や男性向けのキャンディ、グミにちょっとずつ増えてきています。

――『ぷよぷよグミ』の流れを汲んでいるということですが、“魂のジンジャーエール”、“伝説のグレープソーダ”、“幻のコーラ味”……味のチョイスに加えて、ネーミングの付け方にもこだわりを感じたんですけども……。

『龍が如くグミ』

大村:アハハハ(笑)。おもしろくしたいという点に加えて、男性はフルーツ味よりは飲料系のグミを好まれて買われる傾向が強いという2つの理由からです。「飲料系で固めたほうが男性は食べやすいのかな?」と考えました。ネーミングについては自分が『龍が如く』とイメージがあうようなものにしたのですが……ちょっとふざけすぎたかなと思いました(笑)。当初は悩んだのですが、どうせやるならば中途半端ではなくて振り切ったほうがいいと思いました。おもしろい方向にかたよらせたかったんですよね。

山田:味を決める時は、『龍が如く』のイメージ色も参考にしました。 男気あふれる感じをお菓子の色でも表現したいと思いました。

――セガさんからこのネーミングについてツッコミはありませんでしたか?

大村:まったくありませんでした。逆に横山昌義プロデューサーが「これで本当にいいの?」と聞かれたと伺っています。グミのイメージとかなり違ったネーミングだったので戸惑われたそうです。

――ジンジャーエールのグミはあまり見たことがなかったのですが、よくあるのでしょうか?

大村:あまりないですね。あと、味を作るのが結構大変でした。

大村:営業には30代の方が多いので、ちょうどゲームを遊んでいる方もいたんです。あと商談する際もバイヤーさんに男性が多いので、『龍が如く』という名前は、テレビやポスターで見たことがあるために受けがよかったですね。

――『ぷよぷよ』や『龍が如く』といったゲームのコラボは、今までのコラボとは反響が違いますか?

『龍が如くグミ』

大村:そうですね、もうできあがっているものとのコラボで、やはり受けがいいです。ゲームなので実際に遊ばれている人もいることに加えて、ゲームとのコラボについて「すごくおもしろい」と言ってくださる方が多いですね。

――今回にかかわらず、コラボ商品を作っている際に苦労されているところはありますか?

山田:味の再現性ですね。弊社はゼスプリキウイさんなどフルーツとコラボしています。フルーツのおいしさ、風味を再現するのは大変です。『ゼスプリキウイグミ』の時はゴールドキウイとグリーンキウイを入れていたので、味の差をどうやって出すか、試行錯誤しました。

――キャッチコピーやパッケージでの苦労は?

大村:セガ様の目線とうちの目線を比較すると、私たちは悪い意味で凝り固まってしまっている部分があると思います。「この色使いは見やすい」とか「このレイアウトはありがちだ」とか。『ぷよぷよグミ』の時、客観的な目線でご意見をいただきました。どちらの意見ならばよりいいものにできるのかを判断するのは難しかったですね。

 ただ、『ぷよぷよグミ』はセガ様からもご意見もいただいて参考にしています。緑ぷよを大きくしたことと、“ぷよ”のサイズ感をそれぞれ変えて、飛び出しているような動きがある雰囲気を出しています。

――普段の商品ですと、味が前に出てくるのがパッケージの印象ですが、そこは御社として「ここは打ち出したい」など主張はありませんでしたか?

大村:グミはパッケージを見て味がわかるので、何の味かはすぐ目につかないといけないと個人的に思っていました。ただ、優先順位としてはまずは『ぷよぷよ』商品であることをわかるようにして、その次にどういった味なのかをわかるようにしたかったという感じでしたね。

■プレイしているからこそ出てきたのはシリーズとのコラボ!

――『龍が如く』のコラボで苦労があれば、教えていただけませんか?

大村:『龍が如く』に関しては……一番は“グミの形”ですかね。最終的にキューブになったのですが、本当はできればもうちょっといろいろな形を検討していました。“ぷよ”はグミを連想しやすいと思うんですが、正直『龍が如く』はグミの形をイメージができなくて……いろいろな候補は考えていたんですけどね。

――具体的にはどういったものだったのでしょう?

大村:龍の形とか、龍の漢字とか。セガ様からも代紋の形をはじめ、いろいろとご提案いただきました。ただ、グミとなると細かい文字は出せないんですよね。型屋さんに出向いて「こういうのできませんか?」と相談させていただいたんですが、難しいという結論に至りました。

 食感をもっとも意識したかったので、「シンプルにわかりやすいキューブでまとめてもいんじゃないかな?」という結論には至ったんですが、形を決めるのは難産でしたね。

――『龍が如く0』の舞台が1988年ですが、そちらをイメージされたことはあるのでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:そこも悩んだところだったのですが、1988年にこだわってしまった商品にしてしまうと、一時的にしか販売できないと感じたんです。販売期間がゲームと一緒になっているのですが、今後を考えるとシンプルに『龍が如く』シリーズで展開するべきではないかと思いました。そのため『龍が如く』のロゴで、主人公である桐生一馬も『5』のデザインにさせていただきました。

――このタイミングで発売されるので、『0』とのコラボになると思ったのですが、そこも大村さんがシリーズを遊ばれているからこそこだわった点なのでしょうか?

大村:そこはあると思います。せっかく商品を作るのであれば、今後も展開していきたいという気持ちは強くありました。そのために、『0』とのタイアップというよりは『龍が如く』全体とのタイアップだと考えていました。この枠組みであれば、もしも第2弾をやれる時がきても展開しやすいと思ったのは事実です。

――先ほど山田さんは「見た目がカッコよかった」とコメントされていましたが、『0』で描かれる若いころの桐生一馬はご覧になられましたか?

山田:『龍が如く』公式サイトで映像を見せていただきました。ちょっとやんちゃな感じですよね。もう1人の真島さんのほうが若いころはマジメな感じだったんですか?

『龍が如くグミ』

――え? マジメではないと思いますね(笑)。激しいというか予想ができない……尖ったキャラですね。

山田:もっと激しいシーンを見ていたんで、印象がよかったのかもしれません。若い時の桐生さんもカッコいいと思いましたが、個人的に最近のほうが好きですね。

――大村さんはどのキャラクターが好きですか?

大村:それは……すごく悩みますねぇ。真島が好きです、結構おもしろいキャラですし。

――では作品だと?

大村:それも悩みますねぇ。……個人的には『2』が一番好きです。わかりやすく東京と大阪という対立があるうえに、大阪のキャラクターは個性的でおもしろかったですね。郷田龍司が衝撃的でした……もろにライバルというキャラクターで、すごく強かった印象があります。

――「龍と呼ばれる男は一匹でいい」というセリフは印象的でしたね。

『龍が如くグミ』

山田:私は『龍が如く』のアクションがいいと思っています。バトルシーンの動きにリアリティがあって、爽快で。

――山田さんは普段ゲームを遊ばれるのでしょうか?

山田:自分はハマってしまうタイプなので、あえてできるだけやらないようにしています。でも『ぷよぷよ』は携帯ゲームでもよく遊んだりします。そうすると……もう1日中やってしまいます。

 『龍が如く0』は、トレーラーで見させていただいたのですが、やってみたいと思いました。街を歩いているだけで臨場感があって、すごくおもしろいと感じたんですよ。

――行ったことがない街でも、行ったような気分になれますね。「あっ、なんか歩けちゃう」みたいな感じで違和感がないんですよ。グミの話に戻りますが、味についてセガさんから意見やオーダーはありましたか?

大村:特にはなかった気がします。「味についてはお任せします」というところでやらせていただいたので、自由度を持たせていただけました。食感には特にこだわっていて、かなり固め。弊社が展開しているグミ商品の中で一番固いところまでもっていけたと思います。

――何か理由があって固くしているのでしょうか?

大村:男性向けの商品なので、固い食感のグミが売れ筋だと判断しました。また、弊社としても、固いグミはもっと上の段階にいけるのではないかというところで、挑戦したという側面もあります。

――“戦う前にこの一粒”というキャッチもおもしろいと思いました。

大村:ありがとうございます。

――『龍が如くグミ』と『ぷよぷよグミ』が発売されるということで、お2人からアピールポイントやメッセージをいただけますでしょうか?

『龍が如くグミ』

大村:『龍が如くグミ』に関しては、ゲームをそのままグミにしたようなイメージを実現できた商品。買っていただいた方にはゲームをやりながら食べていただきたいと思います。『ぷよぷよグミ(4連)』に関しては、ここまでシリーズを続けてこられて、さらに今までにない形態になっています。特に親御さんが買っていただいてお子さんにあげていただければうれしいですね。この形態の特徴は、小分けにして食べられるので、そこをきっかけに購入していただき、認知していただければすごくありがたいと思います。

――確かに小袋を1つあげるよりも、小分けの1袋のほうがお財布に優しいですしね。

大村:そうなんですよね。「今日はこの一袋だけよ」みたいなことをご両親が言っているのを想像しながら作りました。

――ちなみに、味がマスカットになっているのもバリエーションチェンジにあわせてでしょうか?

大村:そうですね。既存の小袋だと展開がコンビニエンスストア中心でサイクルが早いのですが、今回のような小分け形態はスーパーマーケット中心。長く置かれることが多いので、一般的な味のほうが受け入れられやすいと考えて選ばせていただきました。

山田:この『龍が如くグミ』を作る際、あえてゲームの内容を詳しいところまで聞かなかったんですよ。ゲームユーザーの方が購入層の中心になると思うのですが、見た時に伝わってくる雰囲気で「なんだろう」と気になってくれる方もいらっしゃると思います。多分若い方が多いと思うので、食べ飽きない味を今回作らせてもらいました。内容量も多くて満腹感もあります。

 さらには、味の濃さ、甘さにもこだわり、連食性を意識して作っています。勉強中やオフィスワーク中など、お腹が空いた時や、何かを一生懸命頑張っている時に、お腹の満たしつつ癒してくれるようなグミになっていると思うので、ぜひいろいろな方に食べていただきたいです。

――連食性ですか?

山田:デザインを携わっている女性社員が、「止まらない」ってずっと食べていますね(笑)。後味がスッキリしているうえに、ジンジャーエールやコーラにはピリッとした成分を入れているんですよ。

 味の特徴を複雑に出さず、グレープは巨峰の果汁感、ジンジャーエールは飲んだあとのスッキリ感、コーラ味はちょっとクセになるような味わいを意識しています。さらにいろいろな香りを組み合わせて作っていて食べ飽きないと思うので、ぜひ女性の方にも食べて欲しいです。

――ちなみに、今回のコラボ商品以外でアピールしたい商品がありましたら教えていただけますか?

『龍が如くグミ』

大村:弊社の商品だと『きえちゃうキャンディー』です。発売から20年以上になりますが、お子さん向けの商品として買っていただいています。パッケージは半年に1回変えさせていただいていますね。あとは“占い”ができるんですよ。飴を舐めると色が変わるので、その色の変化によって今日はラッキーとかアンラッキーとかがわかるんです。個包装には占いが書いてあり、それもすべて入れ替えて作っています。

 そんな、細かいことをずーっとやりつつ長年愛されてきている楽しい商品なので、ぜひお子さんに食べていただきたいですね。

――毎年10名に1万円のキャンペーンというのは、キャンディーとしてはすごいのではないでしょうか?

大村:こちらの対象商品は、随時更新されているのですが、毎月1,000名くらいの方からご応募が届きますね。ちなみに、『きえちゃうキャンディー』は、『ライオンバターボール』や『ライオネスコーヒーキャンディー』と並んでヘビーユーザーが多い商品です。

 個人的にはグレープ味が好きなんですよ(笑)。普通に飴としておいしいと思っています。おもしろい仕組みがあっても、最終的には飴なんで“おいしさ”だと思うんですね。そういう意味でこの商品が受けているのは、味が強いからだと判断しています。本当にこのグレープ味はおいしいです!

――今度食べさせていただきます。そしてゴールドマンは大ラッキーなんですね。

大村:はい! ゴールドマンが出るとうれしいですね!

――本日はいろいろと貴重なお話をありがとうございました。

(C)SEGA
(C)Lion Confectionery Co.,Ltd. All Rights Reserved.

データ

▼『龍が如くグミ』
■メーカー:ライオン菓子
■発売日:2015年3月2日
■希望小売価格:180円(税込)
▼『ぷよぷよグミ(4連)』
■メーカー:ライオン菓子
■発売日:2015年3月9日
■希望小売価格:160円(税込)
▼『龍が如く0 基本無料アプリ for PlayStation Vita』
■メーカー:セガ
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:その他
■配信日:2015年2月26日
■価格:基本無料
※有料ゲームパックの購入で遊べるゲームが増える。

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