2015年3月25日(水)
2015年7月に発売予定となっている3DS用タイトル『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』。1991年に第1作がメガドライブでリリースされて以来、多くのゲームファンを魅了してきたあの人気シリーズが15年ぶりに復活します。
その歴史を振り返りつつ、シリーズ最新作『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』の注目ポイントについての座談会を開きました! 参加したのは、『ラングリッサー』をリアルタイムで遊んでいたゲームライター・田中尚道と、当時は小学生にもなっていなかったゲームライター・大用尚宏、そして電撃オンラインの編集者・そみんの3人。『ラングリッサー』らしさとはなんなのか!?
【座談会参加者】
●田中尚道
『ラングリッサー』第1作が発売された当時は浪人生。親に隠れてファミコンを遊んでいたところ、見事に見つかってしまって没収されてしまいました。メガドライブだけは難を逃れたので、『ラングリッサー』と『アドバンスド大戦略』ばかりやっていました。
●大用尚宏
メガドライブの全盛期は、小学校に入学したかしないかくらいの時期。残念ながら『ラングリッサー』シリーズはプレイしたことがありません。
●そみん
レトロゲームと言えばこの人! メガドライブにほれ込んでゲーム業界に飛び込んだ『電撃セガサターン』の元スタッフで、現在は電撃オンラインにて活躍中です。
▲大用尚宏(左)、田中尚道(中央)、そみん(右)の3人が『ラングリッサー』の魅力に迫る! |
そみん:15年ぶりのシリーズ最新作となる『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』ですが、ゲームシステムについては基本的に『デアラングリッサー』のものを踏襲するようです。
大用尚宏(以下、大用):齋藤プロデューサーからうかがった話では、「余計な要素は入れず、過去に評価されたものをすべて盛り込んでいる」とのことですね。
田中尚道(以下、田中):いきなりで恐縮なんですが、実は、私は『デアラングリッサー』だけプレイしてないんですよね。1995年の発売でしたが、発売日の前後にちょうど合宿に行っていまして。その間はゲームをプレイできないので、合宿からの帰りがけにアキバでソフトを買って遊ぼうと思っていたんです。
その準備のために、まずは駅前の本屋で攻略本を買って。ローカル線だったので待ち時間も長くて、ガマンしきれずに攻略本を読み始めたら、東京に着くころには隅から隅まで熟読しちゃっていて、ゲームをプレイした気になってしまったという……。結局、『デアラングリッサー』は買わなかったんです。
大用:なんというエアプレイ(笑)。
そみん:……『デアラングリッサー』はシリーズで一番人気があったのに……。トップセールスは『ラングリッサーIII』とのことですが。では気を取り直して、やはり『ラングリッサー』シリーズと言えば、うるし原智志さんのイラストを使ったビジュアルのインパクトが強烈でした。人気アニメーターがゲームのイラストを手掛け始めたのって、このあたりの時期ですかね?
▲『ラングリッサー』シリーズの開発に使用された設定資料の数々。 |
田中:ちょうど1980年代に『コンプティーク』で『ロードス島戦記』の連載があって、イラストは出渕裕さんでしたが、そのあとに『週刊少年ジャンプ』で『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の連載が始まり、日本でもファンタジー作品が受け入れられる土壌ができた気がします。1991年にはファミコンで『ファイアーエムブレム』が発売されて、SRPGブームが到来という流れですよね。
大用:今作のキャラクターデザインは、『超速変形ジャイロゼッター』などを手掛けたカイエダヒロシさん。起用にあたっては、かなり慎重に選ばれたそうです。
そみん:決め手はなんだったんですかね?
田中:実は、かなりいろんな方に声をかけたそうなんですよ。ただ、『ラングリッサー』と言えばうるし原智志さんのイメージが強いということで、しり込みされる方が多かったそうで。カイエダヒロシさんは意外なことに肌の露出が多い大人な雰囲気のイラストもたくさん描かれていて、新しい時代の『ラングリッサー』のイメージにピタリとハマったんじゃないでしょうか。次の世代への継承ですね。
最新作の主人公・アレス(声優:森嶋秀太) |
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ちなみに、『ラングリッサーIII』以降はプラットフォームもセガサターンに変わってグラフィック性能が向上しました。『ラングリッサーII』まではメガドライブでしたから。実は初代『ラングリッサー』の頃は、うるし原智志さんのイラストもそれほど露出度は高くないんですよ。
▲こちらは当時出版されたビジュアルブック。 |
そみん:今あらためて見ると、オッサン率が高いですね。
大用:絵がいかにも1990年代風ですよね。アーマーが逆三角形で。
田中:肩パットが入ってる感じ(笑)。
そみん:あの頃はTMネットワークも氷室京介も、肩の張ったスーツを着てましたから。
大用:そもそも、最初に『ラングリッサー』をプレイしたきっかけってなんでしたか?
田中:僕はアクションの操作が苦手で、シューティングゲームなどはどうしてもすぐにゲームオーバーになってしまっていたんです。だから頭を使って地道にプレイすればクリアできる『ドラゴンクエスト』が出た時に、「もっとこんなゲームをやりたい!」って思ったんですね。『ファイアーエムブレム』や『ラングリッサー』も、その1つでした。
そみん:僕が遊んだきっかけは、やはりシミュレーションかつRPGだったことですね。当時、メガドライブ用のソフトは圧倒的にRPGが少なかったんです。それに当時としては、キャラクターやストーリーがしっかりしているのが画期的でした。あとから全体を俯瞰してみると、『ラングリッサー』らしさが魅力になってたんだろうなぁと思います。際立った特徴として傭兵システムがあって、指揮官が10体まで傭兵を雇えるんですが、チビキャラによる10対10の戦闘とかも楽しかったです。
田中:僕はあれをちまちまと動かすのが苦手で(笑)。
そみん:『ラングリッサーIII』あたりになると、傭兵が雇えない代わりにその分強力なキャラとかが出てくるんですが……。ただ、隠しクラスのレンジャーは第1作からいましたね。あとはキャラクターごとに用意されたエンディングが独特でした。『ラングリッサー』は戦闘中にキャラが死んでも、次のマップで普通に使えるんです。でも、エンディングで酷いことになる。
思い出深いのは『ラングリッサー』にいた元傭兵の海賊・テイラーで、死なせずにクリアすると普通なんですが、途中で何度か戦闘不能・撤退になると“酒場で刺されて死亡”とか、そんな悲惨なエンディングになるんです。他には、ステージセレクトができることですね。初期シリーズでは隠しコマンド扱いでしたが、途中からデフォルトになりました。これを使って、有利なマップをひたすら遊んでレベル上げをしていました。
田中:それと、ユニット同士の力関係が三すくみになっているというのも、当時としては新しかったです。歩兵が槍兵に強くて、槍兵が騎兵に強くて、騎兵が歩兵に強い。属性を取り入れたのもかなり早かった気がしますね。
▲こちらは『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』の画面。ストーリー、グラフィック、ゲームシステムなどすべてが刷新され、これまで西洋ファンタジー風だった世界観には新たにスチームパンク要素が加わる。 |
大用:華やかなビジュアルとは裏腹に、かなり骨太なゲームシステムが搭載されていたんですね。
そみん:ストーリー的には、『ラングリッサー』に登場したキャラの子孫が次の『ラングリッサーII』に出てくるという、地続き感が特徴かと。実はそれが一番おもしろかったりしますね。『ラングリッサー』で生死不明だったランスが実はナームと結ばれて、その子孫のシェリーが『ラングリッサーII』に登場するとか。ドラマCDなどの他のメディアで、そこら辺を補完したりといったこともありました。
さらに言えば、『デアラングリッサー』以降に取り入れられたストーリー分岐のシステムがよかったですね。主人公が闇の軍勢に加担したりすることも可能でした。『デアラングリッサー』で、それまで仲間だったキャラを裏切って倒していく覇道ルートは衝撃的でした!
田中:そういえば、今回の『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』でもジェシカが登場するようですね。
大用:ジェシカってどんなキャラクターですか?
そみん:『ラングリッサー』から『ラングリッサーV』まで登場したキャラクターです。聖剣・ラングリッサーの秘密を知る魔術師で、転生の秘法を用いて1000年以上を生きていると言われています。
ジェシカ(声優:悠木碧) |
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田中:この作品が『ラングリッサー』シリーズの世界のどの時代に当たるのかも気になります。ジェシカは時間を超越した存在なので、過去でも未来でもどこにでも登場できますから。『ラングリッサー』の前にあったシミュレーションゲームの『エルスリード』の時から、ストーリーの基本が光と闇の戦いであるのは変わりません。それと、『ラングリッサーIII』以降だと恋愛要素も入ってきますよね。
そみん:『ラングリッサーIII』以降だと、会話の中で選択肢による好感度の増減があって、さらにフラグ管理で攻略対象となるキャラが決まる感じでした。今作のゲームシステムが『デアラングリッサー』からの発展形となると、そこのところはどうなんでしょうね。
大用:うーん、そこは重要ですよ(笑)。悠木碧さんが演じるジェシカもロリロリでカワイイですけど、東山奈央さんが演じるリコリスとか、上坂すみれさんのエルマ、沢城みゆきさんのトワ、井口裕香さんのロザリアも全員が魅力的で、仮に攻略できるとなると選ぶのが難しい!
リコリス(声優:東山奈央) |
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エルマ(声優:上坂すみれ) |
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トワ(声優:沢城みゆき) |
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ロザリア(声優:井口裕香) |
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田中:なにげに声優陣が豪華だ(笑)。
大用:声優さんの兼ね役はほぼナシとのことなので、力が入っていますね。それと、音楽はこれまでのシリーズ作品を手掛けてきた岩垂徳行さんです。サウンドのクオリティが特に高かったPC-FX版の『デアラングリッサー』をベースにアレンジされた楽曲が収録されるようです。
そみん:書き下ろしの曲もあるそうなので、期待しています。
田中:いくつかお約束的な話をしましたが、他に何か言っておくべきことってありましたっけ?
そみん:クラスチェンジで進化の分岐先を選べるのは新しかったと思います。隠しクラスがあって、他のクラスが3段階なのに、特定のクラスに進むと4段階目があってより強いとか。
田中:ありましたね。
そみん:進化先が選べるので、部隊のカスタマイズもできました。そういうところが楽しかった覚えがあります。あと、最初は光と闇の戦いだったのが、『ラングリッサーII』からは聖剣ラングリッサーと魔剣アルハザードの戦いの話になっていきました。今回の『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』では、光輝と帝国と闇の3勢力の争いになるみたいですね。これは『デアラングリッサー』と同じです。
大用:キャラクターごとにアイテムを装備することはできるんですか?
そみん:できますね。指揮範囲を広げたり、魔法の効果範囲を広げたりといったアイテムがありました。あとは『ラングリッサー』らしさというと、やっぱりチビキャラ(傭兵)ですね。都市伝説かもしれませんが、戦闘アニメをOFFにするとあっさりやられてしまうのに、ちゃんと戦闘アニメを見ると1人だけすごく粘ってる奴がいたりしました。そうそうダメージの入らない相手に、思わぬ大ダメージが入ったりするといったこともありましたね。
田中:乱数をどうやって発生させていたかはわかりませんが、そういうこともあったと思います。
そみん:音声も人の声のサンプリングで、それまで1対1の多かったSRPGに比べて“軍勢感”が出ていたのが特殊だったし、新しかったです。
田中:敵が仲間になるという要素も新鮮でした。
そみん:確かに、敵の中で明らかに顔のいい奴は、後半で仲間になるというのがありましたね。それも、シリーズの後のほうでは変わりましたが。
田中:それと、やっぱりやり込みプレイが熱いという点。第1作の最初のマップは目的が逃亡を成功させることになっていて、通常は敵を全滅させることは想定されていないんですよ。でも、いろいろと工夫してじっくり時間を掛けることで、全部倒せちゃう(笑)。後のPCエンジン版では修正されていましたが。
大用:チビキャラ(傭兵)とクラスチェンジとストーリー分岐。シリーズの特徴としては、そこら辺に集約されるんですかね。
そみん:そうですね。今言ったようなことが『ラングリッサー』らしさなので、今作でもその辺が再現されているとオールドファンには懐かしいし、新規のファンには新しい感覚になるんじゃないですかね。根底に流れているのは王道の物語ですしね。
田中:きっと手強い内容になっているハズなので、『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』では皆で情報を交換しながら攻略していきましょうよ。
大用:『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』については、まだまだ明かされていない情報が多いですし、今後の続報が楽しみといったところですね。自分は過去のシリーズを遊んでいないので、今作でSRPGの原点みたいな部分が楽しめるとうれしいです。それと、恋愛要素があれば(笑)。
過去に一世を風靡した『ラングリッサー』シリーズから、特に人気のあった『デアラングリッサー』をベースにしたという今作『ラングリッサー リインカーネーション-転生-』。傭兵やキャラクターのクラスチェンジ、クラス間の三すくみといった特徴的なシステムはすべて継承されることが名言されています。15年の時を越えて復活する王道ファンタジーSRPG。懐かしさと新しさの融合が新たなプレイ体験を呼び起こしてくれそうです。最後に、本作のプロデューサーを務める齋藤創志氏からのメッセージをお届け!
●齋藤プロデューサーからのコメント
「ただ今鋭意開発中です。ファンの皆さんにはかなり満足していただけるのではないかと考えていますが、開発メンバー全員が『もっと作り込みたい!』と意欲的に開発を進めています。弊社自身がパブリッシングする一発目のタイトルですし、『ラングリッサー』という歴史のあるシリーズなので、欲を言い出したらキリがないですが、復活した『ラングリッサー』シリーズをこれからもどんどん展開していきたいので、そういった意味でいいスタートになるんじゃないかと思います。応援、よろしくお願いします!」
(C)extreme
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