2015年4月19日(日)
『ファンキル』を例とした、外部とのアプリ開発で起こりがちな3つの問題点への対策
4月17日に渋谷ヒカリエにて開催されたクリエイター向けセミナー“Game Graphics Groove #2”。この記事では、iOS/Android用アプリ『ファントム オブ キル』のプログラム内容をレポートします。
本イベントはDeNA、スクウェア・エニックス、gumiの主催で行われたゲームグラフィッククリエイター向けのセミナーで、さまざまなアプリ開発者やグラフィッカーが登壇し、講演を行いました。
この記事では、『ファントム オブ キル』の事例をもとに“3D制作におけるクオリティコントロールのポイントと実制作の裏側”というテーマで進められたプログラムをクローズアップしてレポートしていきます。
●“Game Graphics Groove”のオフィシャル紹介文
Unity、Unreal Engine、Cocos2d-xなど、多くのツールが活況を呈し、コンソールだけではなく、スマホゲームの画質も大幅に上がってきています。
このイベントは、クリエイティブによるゲームの進化をさらに加速させるためのものです。
ゲームグラフィックのクリエイターが、最新のヒットタイトル開発のノウハウを余すことなく共有します。
クリエイティブの視点から、ゲーム開発の効率化や、表現力の向上、そして、新しい体験の具現化について、突き詰めていけるような情報をご紹介いたします。
■協力会社と連携する際、いかにしてクオリティコントロールを行うのか
本プログラムでは、『ファントム オブ キル』のマネージャー兼アートディレクターである、辻畑孝信氏が登壇。180体以上ものキャラクターが登場する本作において、外部制作の管理や“Unity”での3Dゲーム開発についての解説が行われました。
▲プロフィール画像はgifで真顔と変顔が切り替わるおもしろい仕様でした(笑)。 |
辻畑氏から語られた外部制作で生じる問題は大きく分けて、対応に時間がとられる、クオリティが上がらない、データの仕様のミスが多いの3点。
まず、対応に時間がとられるという問題については、「メールだけではなく、直接会ってのミーティングや電話、Skypeなどを使用し、普段からやり取りを密にすることが大切」だと辻畑氏。
そして、やり取りを円滑に行うために、可能であれば自社から距離の近い開発会社さんと仕事をすることが重要であると述べられました。
▲チェックフローを作成することで、作業の手順を統一することも有用であるとのこと。 |
▲フィードバックを行う際にも、修正箇所を分かりやすく明示しています。 |
クオリティについても、デザインやデフォルメをする際に必要となる資料を大量に用意したとのことです。キャラクターの背面など、実際に表示されない部分の補足デザインも用意しておけば作業がスムーズになると語られました。
▲協力会社に依頼する場合に必要となるデータには、細かくメモで補足を入れていることがわかります。ちなみに背景フィールドモデルはExcelで制作しているとのことです。 |
データ仕様のミスが多いという問題には、データチェックシートを配布し、確認作業の統一化を図ることで解決したようです。
次に、“Unity”での3Dゲーム開発についてです。ここでは、3D背景のライトマップによる陰影表現や3D演出の制作フローを動画で紹介していました。
▲陰影がつくことでリアルかつ立体的な表現が可能になるとのこと。 |
▲シェーダーアニメーションの制作に関して、gumiでは“SHADER FORGE”というビジュアルスクリプトエディターを使用しているとのこと。デザイナーがこれのみでシェーダーを作れることも採用の理由とのことでした。 |
▲『ファントム オブ キル』では必殺技を作る前に“AUTODESK MAYA 2015”で3Dのコンテを作成しています。それを“Unity”に持っていき、エフェクトやSE、ボイスをのせるのだそうです。 |
最後に、協力会社さんとは密になってメール以外でもやり取りをする、協力会社さんがストレスなく制作できるように資料を作る、チェックシートで人為的なミスを減らすといったことをまとめとして強調した辻畑氏。
高いクオリティを維持するためには、こうしたやり取りも重要であるとし、本セッションをまとめました。
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