2015年5月8日(金)
入間人間先生が執筆する、電撃文庫『おともだちロボ チョコ』の紹介記事をお届けします。
人型兵器で巨大生物から地球を守る。
そんな日々の中で、私、永森友香は一人の『少女』と出会った。
ロボット。少女は自身をそう自己紹介した。傍にいる、うさんくさい博士風の男によると、彼女は『チョコ』という名前らしい。
チョコは、私を『おともだち』に選んだという。
「トモカ、一つ尋ねます。友達とはなんですか?」
知らないのかよ。
……いや、待て。じゃあ私はその意味を知ってるのか?
ある意味、巨大ロボットよりも非現実的な存在で。人類の誰よりも綺麗な目をした機械。
これが私と、チョコの出会いだった。
TVアニメ化もされた電撃文庫『電波女と青春男』など、数々のヒット作を世に送り出してきた入間人間氏の最新作がついに発売です!! 2007年のデビュー以来、エイリアン(自称も含む)が活躍する物語を幾つも手掛けている入間氏。今回も気になる宇宙生物が――それも不気味な巨大怪獣が登場します。
といっても、怪獣が主役のハードSFではありません。人間を襲う謎の怪獣によって人類が絶滅に瀕している近未来を背景に、心を持ったロボットとその友達に選ばれた少女の交流を描いた物語です。
技術学校の2年に所属する主人公の永森友香は、通称“かたつむり”という人型兵器に乗り込み、襲来する怪獣と戦うパイロット候補生です。成績はごくふつう。特に操縦がうまいというタイプでもありません。
近い将来、きっと死ぬ。怪獣を呼び寄せる囮として――。本人もその予感を運命として受け入れているほどでした。
ところが、1人の少女との出会いが、永森の戦うだけの日常に新たな意味を与えてくれます。少女の名前はチョコ。人類の切り札として新型機のパイロットに正式採用された、ロボットです。チョコはなぜか永森を友達に選び、メカなりに親しみのある距離感で接してきます。戸惑いながらも、それに応えていく人間の少女……。
機械と人間の友情――そもそも“ともだち”ってなんだろう。永森が抱く疑問は、我々が日常の中で感じている気持ちでもあります。怪獣と人類の戦いの行方はもちろん、1人と1機が刻んでいく大切な心のやり取りを最後まで見届けてあげてください。
本作の中で一番謎めいていて、かつ重要な登場人物といえば、ロボットのチョコです。
チョコは人型兵器開発の中心的人物として知られる、有名な博士の手によって生み出されました。腰まで伸びたチョコレート色の髪、真っ白い肌。瞳は透き通るように輝き、胸のふくらみ(胸部装甲?)などは永森よりも大きいのだとか!
外見が女の子なのは、もともとは別の目的で開発していたロボをパイロットに転用したからだそうです。それは建前で、単なる博士の“趣味”という噂も……。
チョコに与えられた使命は、新種の怪獣と戦える唯一の新型機を操縦すること。ロボットなので、搭載された“C.O.S”というシステムの命令に忠実に任務をこなします。このシステムは戦場で敵を殲滅させるのに優位に働くものだそう。でも、永森を友達に選ぶ機能もプログラムされていて、そっちが本来の機能だったり――?
なぜ永森はチョコの人生(起動?)初の友達に選ばれたのか。その理由にも注目して読むと、より深く作品世界が楽しめますよ!
(C)入間人間/KADOKAWA CORPORATION 2015 イラスト:loundraw
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