2015年5月9日(土)
土橋真二郎先生最新作『コロシアム』で描かれるのはデスゲームと身近な友人たちの本性【電撃文庫新作紹介】
土橋真二郎先生が執筆する、電撃文庫『コロシアム』の紹介記事をお届けします。
自殺したはずの少女が送り込まれたのは、死と隣り合わせのデスゲーム。
土橋真二郎、最新刊!
『扉の向こうのコロシアムで殺し合っていただきます』
少女が目を覚ますと、そこは見たこともない空間。拳銃とナイフが与えられ、殺し合いを強制される。無慈悲に仕組まれた死のゲーム。集められた30人のうち、生き残れるのはただ1人――。
高校生の萩原悠人は、ある日ネットで拾ったアプリから“コロシアム”というデスゲームの開催と、そこに自殺したはずのクラスの中心人物・月島伊央が参加していることを知る。アプリを使って外部から彼女をサポート出来ることを知った悠人は、クラスメイトたちとともにゲームのクリアを試みるが……。
集められた30人の共通点が、悠人たちに恐るべき真実を突きつける! 目を背けることは許されない、学園サバイバルサスペンス!
【物語のここに注目!】
■デスゲームの会場“コロシアム”と平和なはずの学校――
2つの場所を舞台に繰り広げられる殺し合いの行方は?
最初にご忠告します。殺人はおろか、身近な友人たちの本性を垣間見る勇気がない方は、そっと本棚へこの本をお戻しください――。
サスペンスの名手・土橋真二郎氏の最新作『コロシアム』は、主催者不明のデスゲームに巻き込まれた少年少女たちの学園生活を描いたサスペンスです。この作品のユニークなところは、デスゲームに採用されているルール!
一般的に学園モノの殺し合いという場合、学園に閉じ込められた生徒たちが最後の1人になるまで戦う展開を想像しますよね? でも本作は、未知の会場に隔離されて戦いを強要された1人の女子生徒を助けるため、彼女をクラスメイト全員がスマホで監視しながらサポートしていくという内容になっています。
主人公はエリート高校の1年7組に在籍中の萩原悠人。ある日、萩原は不登校になっているクラスメイト・月島伊央が“コロシアム”というデスゲームにエントリーされていることを知ります。参加者は伊央を含め、全部で30名。このゲームをクリアするには、ラストワンのナンバーになること、自殺して参加を辞退すること。あと1つは明かされておらず、ゲームの中に隠されている方法を見つけなければなりません。
初期装備として伊央に与えられたのは、拳銃と弾丸が1つ、通信端末、食糧のみ。萩原は1年7組のクラスメイトたちに状況を説明し、伊央と連絡が取れる専用のアプリを使って彼女に降りかかる危機を排除しようとするのですが……。
最初は伊央から届く情報をもとにクラス全員で協力して地図を作るなど、熱心にサポートをしていたクラスメイトたち。やがて意見の食い違いや確執、学園内の実権を握っている生徒会の暗躍など、今まで表面化していなかった問題が浮上します。
人間の弱さや醜い部分も描かれ、さすが生々しい心理描写に定評がある土橋氏という感じ。しかも、“コロシアム”には学校でしか使用できない電子マネー専用の自動販売機が点在しているのです。その事実が示す真実を求め、ぜひ最後まで読み進んでください。なお、白身魚さんの描くかわいいイラストも必見です!
【登場人物のここに注目!】
■女子高生の“仲よし”は微妙なパワーバランスで成り立っている――
主人公を取り巻く同級生&先輩の人間関係がゲームの攻略に影響!?
デスゲームの参加者を救うため、今まで深い関係を持たなかった多く生徒に協力を求めることになる主人公の荻原悠人。やがて彼は学園という閉鎖的な世界で複雑に絡み合った人間関係に悩み、翻弄されることになります。特にそれぞれに美しい個性を放つ少女たちとの交流には注目してください。中には物語の核心に迫る人物も――!?
まずは1年7組の月島伊央。学級委員でみんなと上手く付き合っていたという彼女がなぜデスゲームの参加者に選ばれたのか、その理由が気になります。
学級内で荻原が孤立しないように気づかってくれる鈴原鳴美は、華やかな雰囲気が魅力の今どきの女の子。一方、お菓子作りが上手く、女の子らしい性格の聖沢緋香里は、本作の貴重な癒しキャラ。ちなみに緋香里は荻原の中学時代から一緒のクラスだったという同級生だとか。もしかしたら、一番の味方になってくれるかもしれません。
そのほかには、失態を犯した生徒を粛清する権限を持つという生徒会長・椎名流華や、荻原が在籍するチェス研究会の会長・黒川咲季など、美しくも妖しい先輩などが登場します。もし、自分が荻原なら彼女たちどのようにつき合うべきか、考えながら読むのもオススメです!!
(C)土橋真二郎/KADOKAWA CORPORATION 2015 イラスト:白身魚
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