2015年5月6日(水)
プロが考える“ゲームのおもしろさを決めるポイント”とは。マチ★アソビ恒例トークショーをレポート
徳島県徳島市で開催されていた“マチ★アソビ vol.14”。ここでは、5月4日に両国橋西公園ステージで開催された“ゲームクリエイタートークショー”の模様をお届けする。
マチ★アソビに参加しているゲームクリエイターが一堂に会する“ゲームクリエイタートークショー”は、毎回恒例の企画となっているが、今回はいつもと少しだけ趣が異なっていた。
ゲーム作りのプロである5名のクリエイターによる興味深いトークをレポートしていこう。
■ゲーム業界を代表する5人のクリエイターが徳島に集結!
これまではサイバーコネクトツー代表取締役の松山洋さんが司会を担当していたが、今回はお笑いコンビ“アメリカザリガニ”の平井善之さんが司会を務め、松山さんはトークに専念することに。
また、常連出演者だった『ゴッドイーター』シリーズの富澤祐介プロデューサーが、同時間帯にフェンリルカップ中国・四国エリア予選が行われていたため欠席するなど、出演メンバーの顔ぶれにも変化が見られた。
『戦国BASARA』シリーズのプロデューサーであるカプコンの小林裕幸さん、『大逆転裁判』のプロデューサーであるカプコンの小嶋慎太郎さんは、以前もこのイベントに出演している。
一方、『初音ミク Project mirai でらっくす』や現在開発中の『艦これアーケード』をプロデュースしているセガ・インタラクティブの大﨑誠さんは、今回が初登場だ。
そしてもう1人、『アイドルマスター』総合プロデューサーを務めるバンダイナムコエンターテインメントの坂上陽三さんが紹介されると、観客の『アイマス』ファンとの間で「変態!」「変態ちゃうわ!」というおなじみの掛け合いが繰り広げられていた。
▲写真左から、司会を務めたアメリカザリガニの平井善之さん、カプコンの小林裕幸さん、カプコンの小嶋慎太郎さん、セガ・インタラクティブの大﨑誠さん、バンダイナムコエンターテインメントの坂上陽三さん、サイバーコネクトツーの松山洋さん。 |
■人気ゲームのプロデューサーたちが、最近気になっているものは?
まず最初に用意されたテーマは、“最近気になるゲーム・アニメ・映画・人物は?”という非常に幅広いもの。これに対してカプコンのお2人は、どちらも映画のタイトルを選んでいた。
小林さんはこれから楽しみにしている映画として、『みんな! エスパーだよ!』の劇場版と『チャッピー』を挙げていた。続く小嶋さんの回答は、イベント前日の夜にTVで放映された映画『バトルシップ』だ。
大﨑さんが挙げたのは、Googleの位置情報アプリゲーム『Ingress(イングレス)』。このゲームにハマったおかげであちこち歩き回るようになり、5カ月で17キログラムも痩せたのだそうだ。
その一方で、これだけのゲームが無料で遊べることに、同じゲーム業界の人間としてはいろいろと考えさせられると語っていた。
坂上さんは、動画配信サービスで現在放送中のアニメ『俺物語』を見るのにハマっているという。特に第3話は、自宅で観ながら大泣きしたそうだ。
最後の松山さんは、無類のマンガ好きとして知られている。ここでは眉月じゅんさんのコミック『恋は雨上がりのように』を挙げて、ファミレスの店長と女子高生の恋愛模様を描いたこの作品の魅力について熱く語っていた。
次のテーマは、ゲームの“「おもしろさ」を決めるポイントは?”というものだ。これに対して小林さんは“自分”と回答。自分がおもしろいと思えないものは失敗する、という小林さんの言葉には、他の出演者の皆さんも頷いていた。
小嶋さんは“ハダ感”つまり自分の皮膚感覚、大﨑さんは“フィーリングや一体感”と、小林さんとほぼ同じ意味合いの回答になっていた。
坂上さんが答えた“ゲームストーリー”は、普段から自分の部下にもきちんと考えるように説いているものだという。ゲームストーリーといっても物語そのものではなく、ゲームを遊んでいる間に繰り返すサイクルから、遊び終えた後にプレイヤーがどんな気持ちになるかまでを含めたプレイの流れのことだ。
松山さんは最初、小林さんと同様の回答を用意していたようだが、流れを読んで別の切り口から“商品名”と回答していた。
ゲームだけでなくマンガやアニメ、映画などいろんなジャンルの作品で、作品自体はおもしろいにもかかわらず「ホントに売る気があるのか?」と感じるタイトルがついていることが多いのだという。
■今後やってみたい、意外な新企画が明らかに!?
次のテーマは“日々の生活で仕事のために心掛けていることは?”。すると、直前のテーマで答えを変えることになった松山さんが、素早く答えを書いていちばん最初に回答。
しかもその内容は“これ以上ハゲない”というもので、観客から爆笑と喝采を集めていた。
坂上さんは“朝早く会社に行く”と回答。他に誰も会社にいないので、仕事がはかどるのだそうだ。大﨑さんはリズムゲームの開発者らしく、“音の間(ま)”と答えていた。
TVや映画を見ていても、とにかく効果音の入るタイミングが気になるのだという。効果音のタイミングがほんの少しズレるだけでも、ゲームの気持ちよさが大きく変わってくるのだそうだ。
小嶋さんの答えは、“たまにヨソ見”というもの。どうしても自分がおもしろいと思うもの、好きなものに凝り固まってしまうので、たまにヨソ見をして新しいものに気づくことが重要だと語っていた。
今回は順番が最後になった小林さんは、“そばを食べる”と回答。仕事などで腹の立つことがあっても、おいしいものを食べると気持ちが落ち着いて許せるのだという。
ちなみに小林さんはそばが大好きで、カウントしてみたところ、今年4カ月ですでに34回そばを食べているのだとか。
最後のテーマは“今後やってみたいこと”。小林さんは“おもしろい企画”をゲームだけでなく、映像や舞台などジャンルを問わずやっていきたいと答えていた。
小嶋さんは“テーマパーク”と回答。といっても実際のテーマパークではなく、この“マチ★アソビ”のようにゲームやアニメ、コミックなどいろんなジャンルが1つに集まっているようなものを、自分もやってみたいという意味なのだそうだ。
大﨑さんは2つの回答を提示していた。まず1つ目は“未来感のあるもの”。アーケードゲームを手がけている大﨑さんとしては、かつての体感ゲームのように、家庭では味わえないような未来感のあるものを考えていきたいと語っていた。
もう1つ、最近は初音ミクや『艦これ』など女の子が主役のゲームが続いているので、個人的には男くさいものを久々に手がけてみたいという。
坂上さんは、『アイドルマスター』で昔の『オールナイトフジ』のような“バラエティ番組を作ってみたい”と回答。これを聞いた観客からは、期待の拍手が起こっていた。
大トリとなった松山さんは「やりたいことは、まだ言えないけどすでにやっている」と語った上で、だから今やりたいことは“早く来週のジャンプが読みたい”と回答。『NARUTO -ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム』などの開発者である松山さんらしいオチで、トークショーを締めくくった。
平井さんの軽妙な司会と、トークのツボを心得た出演者が集まったことで、客席は大いに盛り上がっていた。ぜひまた次回“マチ★アソビ”での盛り上がりにも期待したいところだ。
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