2015年5月13日(水)
多宇部貞人先生が執筆する、電撃文庫『魔探偵(ウォーロック)×ホームズ』の紹介記事をお届けします。
世界から魔導が消失して10年――かつては世界中に存在した魔導を封印し、戦争を終結させた魔探偵(ウォーロック)ことシャーロック・ホームズは、武器に変化(トランス)する相棒=多変型魔装人器(メイガス)ジョン・ワトソンとともにロンドンで続く、切り裂き魔の異能(ジャック・ザ・リッパー)事件を追っていた。
二人は、この事件の裏側に国家転覆を目論むグルーナー男爵と魔導復活を企む魔石王モリアーティが絡んでいることを突き止めるのだが……!? 前代未聞・驚天動地! ファンタジー世界のイギリスを舞台に、ホームズ×ワトソンコンビによる冒険が始まる――!
アーサー・コナン・ドイルの推理小説『シャーロック・ホームズ』シリーズをモチーフにした作品は数あれど、助手のワトソンが魔力で動く“魔装人器”という武器に変化して、怪事件の数々を名推理と異能バトルで解決するホームズは今までなかったはず。シャーロキアンもびっくりの戦う“魔探偵”、ここに誕生です!
舞台は魔導や魔石などの魔法資源によって発展した歴史を持つ、英国のロンドン――。かの有名な切り裂き魔のジャック・ザ・リッパーも、魔石の力で刃物を強化する異能者として登場します。
主人公のホームズは、体に埋め込まれた“魔石”の力で悪事を働く異能者を相棒のワトソンと共に倒す名探偵。ホームズはある目的のために治癒能力を持つ魔石を探しているのですが、その前途は多難です。だって、英国を騒がす危険人物――国家転覆を目論むグルーナー男爵、魔石王モリアーティ、女盗賊のアイリーン・アドラーたちは、名探偵とのスリリングな駆け引きを楽しまずにはいられない性分ですから。
世界的に知られるキャラクターたちがさまざまな異能力を持って登場するのは楽しいかぎり。刀や槍やレイピアに変形する“魔装人器”の助手・ワトソンを相棒に、異能力者と激しいバトルを繰り広げるホームズは予想以上のかっこよさです!! 頭脳派らしいシニカルな“口撃”と、華麗な格闘術での“攻撃”。その双方を浴びる敵(たまにワトソンも口撃の被害に遭うけれど……)の末路やいかに?
友情――それは人生の宝です。恋人はいつか去るけれど、親友はいつもそばにいて傷ついたあなたを慰めてくれます。恋愛よりも友情至上主義! 特に男同士の友情は、刑事ドラマから少年マンガまでリスペクトだという方、ぜひこの本を読んでください。信頼の絆で結ばれた、ホームズとワトソンの相棒っぷりを――。
明るく素直な犬系の助手・ワトソン。天才的な頭脳とツンデレ能力を持つ名探偵・ホームズ。2人はいつもケンカばかりしています。おもな原因はホームズの変人ぶりだったり、口の悪さだったり、身勝手だったり。常識人のワトソンにはそれが許せないのです。
もう1つ、ワトソンが気分を害していることがあります。端的にいうと「ホームズは相棒の僕に、なにか隠し事をしているのではないか?」ということ。
実はその推理は当たっていて、ホームズはワトソンの前では無関心を装いながら、10年前の戦争で命を落とし、“魔装人器”となった彼を人間に戻す方法を秘密裏に探しています。ホームズが治癒の魔石を求めるのも、すべては相棒の命と肉体を取り戻すため……。
なんて面倒くさい男なんだ!! ワトソンにすべてを打ち明け、自分のこと以上に親身に考えていることを伝えれば事件は無事解決、ケンカも減る――と思うのですが。 残念ながら、名探偵の辞書には“素直”の文字はないようです。
本作のような“バディもの”は、連携プレイが醍醐味! 正反対の性格をした2人がどのように協力して事件を解決するのかお楽しみに♪ また、破天荒なホームズの兄・マイクロフト卿に踏みつけられ、カーペット扱いされるワトソンの災難芸は必見です!
(C)多宇部貞人/KADOKAWA CORPORATION 2015 イラスト:加藤よし江
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