2015年5月25日(月)
4月より放送中のTVアニメ『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』について、完全新作エピソードのあらすじと場面カットが公開されました。
新作エピソード“PYROPHORIC CULT”は、6月20日に公開される映画『攻殻機動隊 新劇場版』へとつながる物語。6月7・14日の2回に分けて前後編での放送が予定されており、草薙素子たちと新キャラクター・パイロマニア(声優:津田健次郎)の戦いが描かれるとのこと。
本エピソードの放送を記念して、パイロマニアを演じる津田健次郎さんと、本作のシリーズ構成を務める冲方丁さんのコメントも公開されています。
2029年1月。ニューポートシティ郊外で航空機爆破テロが発生し、荒巻率いる公安9課は米軍情報部から共同捜査の要請を受ける。
事件の容疑者として挙げられたのは、疑似記憶を植え付ける電脳ウィルス“ファイア・スターター”のブローカーとされる、通称“パイロマニア(放火魔)”。
ホヅミ大佐を殺害するためにカルテルから派遣され、自身を追跡していた米軍情報部員を航空機ごと爆破テロによって殺害したとされる。
草薙はホヅミ大佐の身柄を餌に、パイロマニア捕獲のため包囲網を敷くが――。
激しい電脳戦の末にパイロマニアの身柄を抑えた草薙だったが、パイロマニアの正体と目されていたテロリストの遺体が、航空機爆破の墜落現場で発見された。
パイロマニアが何者か、その電脳が解析される中で、共同捜査から外された草薙たち部隊は、ホヅミ大佐の身柄の米軍情報部への移送の護衛へとまわる。
だがパイロマニアは、収容施設電脳技師を皆殺しにして脱走、ホヅミ大佐と草薙を強襲するのだった。
その電脳に残された意志はただ1つ、自身が“人類進化の鍵”と信仰する“ファイア・スターター”を守ること――。
ファイア・スターターに感染したウィルスの信奉者である、電脳ウィルス・ブローカー。ファイア・スターターの可能性を信じその流布に尽力しており、陸軍情報部ホヅミ大佐とも接触があった。
米国情報部の情報で南米系のガルベスという人物であることが判明しているが、その詳細は不明。『炎の天使』の一節を口ずさむことがある。
▲パイロマニア |
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を初めて見たとき、こんなに静かで深いSF映画がありうるのだと、とても強い印象を受けました。
ですから、シリーズ最新作にあたる『ARISE』の出演依頼をいただいた時はテンションがあがり、アフレコ時にバトーの軽口を聞いたりすると、ついファンの視線に戻ってしまいました。
僕が演じたパイロマニアというキャラクターは、見た目が独特でぼうっとしているように見えます。でも、同時に暗い何かを感じさせるようなザラっとした感触のある存在です。
初登場時はたき火を見つめているのですが、それがSF作品らしからぬ自然の中のシーンで、そこからしてパイロマニアの異様な雰囲気が伝わってくると思いました。
パイロマニアは感情を抑えて淡々としゃべるキャラクターなのですが、その中でどこまでセリフにエネルギーを込めていくかは苦労したところでした。そういう意味では、抑えたお芝居の多い草薙素子ともどこかしら共通する部分のある存在かなと思います。
パイロマニアは草薙素子と対峙していきますが、それは決して熱い戦いではなく、むしろ静かな戦いです。それはとても『攻殻機動隊』らしいものだと思いました。
この全編から漂っている『攻殻機動隊』らしさを楽しんでいただければ嬉しいです。
▲津田健次郎さん |
草薙素子と対峙する敵、パイロマニアを描く。それが『ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』#09、#10の狙いです。
パイロマニアは素子が肯定するものを否定し、否定するものを肯定します。彼はウィルス“ファイア・スターター”を全肯定するキャラクターで、それ故に、素子の敵であり同時に社会の敵としても立ちはだかります。
ネットはあらゆる価値観を拡散させ、社会的なくびきからの逸脱を可能にします。そのためネットの拡大に社会が追いつけない時、社会よりもネットの価値を重くみる存在が現れます。パイロマニアはそれ が行きすぎたキャラクターで、社会よりもウィルス“ファイア・スターター”のほうに価値を見いだしているため、社会を破壊することにいささかのためらいも持ちません。
一方、草薙素子は現在、既存の組織構造からはじき出されている存在ですが、それでもズカズカと現場へ入り込んでいって、自分のやるべき仕事をもぎ取っていく。
#09、#10ではそういう草薙素子の“戦い方”が一番強調されたストーリーになっています。そんな草薙素子はパイロマニアにどう立ち向かっていくのか。そこを楽しみに見ていただけたらと思います。
6月20日の公開に先駆け、特別番組が5月31日と6月21日にTOKYO MXで放送されることが明らかになりました。新エピソード“PYROPHORIC CULT”と合わせて視聴し、新劇場版に備えておきましょう。
【番組情報】
5月31日放送:“『攻殻機動隊 新劇場版』6.20公開!!25分でわかるARISE SP”
6月21日放送:“『攻殻機動隊 新劇場版』公開記念!!25年を25分でおさらいSP(仮)”
映画『攻殻機動隊 新劇場版』ストーリー
2029年3月、総理大臣暗殺事件という戦後最大の事件が発生した。被害者の中には草薙素子のかつての上司、501機関のクルツもいた。
バトーやトグサたち、寄せ集めメンバーと捜査を開始する草薙。「お前たちは私のパーツだ。パフォーマンスを発揮出来ないヤツはパージする」と言い放つ草薙に、「俺たちはパーツか?」と反発するメンバー。
事件の背後にあったのは、義体開発の行く末を左右する技術的障害“デッドエンド”をめぐる政治的取引。さらに“洗脳・ゴーストへの侵入・疑似記憶の形成”を一度に行う電脳ウィルス“ファイア・スターター”の存在も見え隠れする。そして、事件を捜査する中で掴んだ手がかりは、草薙の秘められた生い立ちにも繋がっていたのだった……。
暗躍する謎のサイボーグ。総理大臣暗殺の真相。“第三世界”の存在。その先に待ち構える罠。たった1人で己の“戦場”に向かう草薙は、後に残すメンバーに最後の“命令”を告げる。
「自分のゴースト(魂)に従え」
残された6人が己のゴーストに従う時、はぐれ者の寄せ集め集団は最高のパフォーマンスを発揮するチームへと変化する。
“攻殻機動隊”誕生の瞬間に、世界は震撼する―。
(C)士郎正宗・Production I.G / 講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊 新劇場版」製作委員会