2015年6月11日(木)
『銀鍵のアルカディアトライブ』はスマホとカードが完全連動した新世代TCG
グリーエンターテインメントプロダクツとKADOKAWA、ホビージャパンが共同で製作している新作トレーディングカードゲーム『銀鍵のアルカディアトライブ(銀トラ)』の制作発表会が、6月10日に六本木ヒルズで開催されました。
この記事では、発表された順に“3社による新作TCG開発の経緯”、“『銀トラ』の特徴”、“『銀トラ』の簡単なルール”を紹介します。
■TCG業界では異例の製作委員会方式を採用
▲製作委員会について3氏から説明。 |
まず、KADOKAWAの池田正道氏から現在のTCG市場とスマホアプリ市場についての現状が説明されました。TCG市場は3年連続の下降となっている中で、スマホアプリ市場が右肩上がりの成長を続けている現状の説明がありました。
▲現状のTCG市場規模は3年連続で下降。 |
▲これに対し、スマホアプリ市場は右肩上がりで成長。 |
これに対する回答として、“スマートフォン完全連動 新世代TCG”として『銀トラ』を開発することになったとのことです。また、このTCGとスマホアプリとの連動は日本初のシステムで、すでに特許出願済みであることも伝えられました。(※連動については後述されると説明がありました。)
▲スマホと完全連動する新しいTCG。 |
製作委員会方式を採用している『銀トラ』の具体的な各社の役割について説明されました。具体的にはKADOKAWAがストーリー開発、世界観設計、発売および販売を担当、グリーエンターテインメントプロダクツがアプリ開発、そしてホビージャパンがゲームルール開発を担当しています。
▲3社の役割について改めて説明。 |
続いては、グリーエンターテインメントプロダクツの原田考多氏。従来のスマホとTCGの連動は、TCGのルールをスマホに落とし込んだり、カードの情報を読み取ってアプリで遊ぶゲームでしたが、それはそれで1つの解ではないかとの考えとのことです。
一方で、TCGの楽しさとは何かについて考えたとき、デッキ構築やコレクションもありますが、対戦中の空気感やコミュニケーション、会話などではないかとも考えているとのこと。
確かに、TCGショップなどでプレイヤー同士が定期的に交流しているものの、それは地域が限られてしまっているのもまた事実です。直接人とコミュニケーションを取ることがTCGのよいところであるにも関わらず、ローカルで収まってしまっているのはもったいないことでもあります。
▲コミュニケーションツールとして優れていても、コミュニティはローカル。 |
そこで、スマホをつかって目の前にいる人だけでなく、全国のプレイヤーとコミュニケーションができるようになれば、全国区のコミュニティに発展するのではないかと考えているそうです。
▲スマホを通して、全国のプレイヤーとコミュニケーションが可能になる。 |
これらをふまえ、『銀トラ』はいわゆる“陣取り合戦”を行います。ショップでの大会から全国大会まで、すべての戦績を記録して集約。プレイヤーが3つの陣営にわかれて、リアルタイムで陣取りを行うとのことです。
▲“異世界と現実の融合の先へ――”はキャッチコピーだろうか。 |
最後にホビージャパンの一戸健史氏から、開発についての説明がありました。ホビージャパンはこれまで20年以上にわたり国内でのTCG産業に関わってきましたが、近年ではTCGの開発も行っています。
アナログのTCGに、デジタルのスマホを追加するだけで「ここまで世界が広がるのか」ということを、実際に文字や口頭で伝えきれないと思っているので、実際に体験してもらいたいとのことです。
プレイヤーの分身となる“メイガス”は、スマホの中で成長し、衣装や装備だけでなく、様々な能力を持つことが可能となるそうです。ただ、連動といっても、ゲーム中に頻繁にカードとスマホの操作を往復することはないようにしているそうなので、片方を注視してしまうことはなさそうです。
▲わずらわしさを排除したシンプルな操作性。 |
▲自由にカスタマイズできるメインキャラクター。 |
▲アナログとデジタルの融合で新しいゲーム感覚の実現。 |
なお、体験会はありませんでしたが、これから多くの時間を取って各地で体験会を行う予定なので、気になる人はぜひ足を運んでみるとよいでしょう。体験会の日程などについては、このあとで詳しく紹介されています。
■これまでのTCGにない、3つの特徴
続いて、『銀トラ』プロデューサーのKADOKAWA・風間氏から、従来の商品にはない3つの特徴の説明がありました。
まず1つめは“スマートリンケージシステム”です。盤面にはスマホとカードを用意。プレイヤーの“メイガス”はスマホで、その“メイガス”が行使する“ユニット”や“スペル”はカードでそれぞれ使用します。“メイガス”は成長することで様々な能力を手に入れていき、デッキ構築にも無限の可能性が広がっていくそうです。
▲アプリとカードの役割。 |
▲メイガス・カード両方に3つの属性が存在。(第1弾時点) |
▲デジタルならではの成長要素も。 |
また、“メイガス”は3Dモデルで用意され、必殺技の演出などのシーンでは、豪華声優陣によるボイスも用意されているようです。発表された出演声優陣については、最後に紹介されています。
2つめは、先ほど原田氏からも説明のあった“陣取り合戦”はその名を“グラン・アポカリプス”といい、ブースター発売日から第1回目の“グラン・アポカリプス”が開始されるとのこと。
▲“グラン・アポカリプス”の基本的な流れ。 |
“グラン・アポカリプス”は3つの陣営にわかれ、2~3カ月の期間で開催を予定していて、勝利すればインセンティブが手に入る仕組みになっています。勝利した陣営は発展を、敗北した陣営は停滞をするといった、この先のストーリーとも連動するとのことです。
3つめはインフラの整備です。一見、TCGとは関係がなさそうですが、『銀トラ』はスマホによる通信が必須となります。そこで、そのインフラも整備するとのこと。具体的には、株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレスによる“TCG Community Network”と呼ばれるTCGショップ専用のWi-Fiサービスを実施。Wi-Fi端末から無料でインターネットに繋げる仕組みが用意されます。
▲TCGショップにWi-Fiサービスを提供する。 |
この取り組みについて、NPO法人カードゲーム文化振興協会の大河内卓哉氏からの賛同コメントも紹介されました。なお、このWi-Fiは『銀トラ』以外の用途でも無料で利用できる予定です。
▲カードゲーム文化振興協会の大河内氏からのコメント。 |
■クリエイターとキャスト陣、世界観や今後の商品展開が紹介
引き続き、風間氏により、クリエイター、スタッフなどの紹介と商品展開、プロモーション展開が発表されました。『銀トラ』のクリエイター、スタッフ陣は以下の通りです。(敬称略)
■ストーリー・世界観原案
桜井光
■設定協力
チーム・バレルロール(小太刀右京、三輪清宗)
森瀬繚
■アニメーション製作・メインキャラクターデザイン
グラフィニカ
■主題歌“Brand-new land”
作詞:勇-YOU-
作曲:太田雅友
歌:SCREEN mode
音楽制作:ランティス
■キャスト
ヴァン・B・D・ゾストラルゴ:林勇
リリア・E・Z・フォマルハウト:悠木碧
ナウム=リクル・クノロゾフ:三宅麻理恵
クルル:松下唯
駆堂・ハスト・アラステラ:浪川大輔
ネヴィア・風舞・コルヴィン:小松未可子
▲クリエイター&スタッフ。 |
▲主題歌とキャスト。 |
次に、ストーリーや世界観、今後のプロモーション展開について紹介されました。すでに公開されている公式サイトで確認することもできますので、そちらもご覧ください。
▲世界観とストーリーの概要。 |
▲“赤の魔術団 S∴F∴S∴(スター・ファイア・ソサエティ)”。 |
▲“黄の魔術団 朧月魔術学院”。 |
▲“青の魔術団 星方テンプル騎士団Co.Ltd.”。 |
▲“黒の魔術団 冥王による滅理帝国並びに重機械化兵団”。 |
▲スターターデッキ3種は9月10日発売。※第1弾環境では黒の魔術団は登場しない。 |
▲スターター封入特典でメイガスをパワーアップさせることが可能。 |
▲ブースターパック第1弾『開戦(シルバーキー)』もスターターと同時発売。 |
▲さらにデッキを彩る各陣営のスリーブも同日に発売となる。 |
▲ブースター第2弾は11月、第3弾は来年2月を発売予定。 |
▲青のビギニングデッキは7月31日発売の雑誌『カードゲーマーVol.23』に付録。 |
▲『電撃G's magazine』などKADOKAWAの4誌でもシリアルが入手できる連動企画を実施。 |
▲すでに開始している事前登録でPRパックを手に入れることができる。 |
▲キャスト陣などが出演のニコニコ生放送を全7回放送予定。 |
▲“グラン・アポカリプス”前哨戦として赤VS黄を開催。 |
▲プレミアムビギニングライブを6月24日六本木ニコファーレで開催。 |
▲発売前に全国4都市で赤と黄のビギニングデッキがもらえるイベントを実施。 |
▲7月下旬からTCGショップでの体験会も開催。 |
▲発売直後や11月にも大型の公式イベントが開催される。 |
▲11月までの予定をまとめるとこのようになります。 |
■スマホを使ったカードバトルのデモンストレーションも!
ここで実際に、スマホとカードを使ったデモンストレーションが行われました。ルールについてはまだ説明がなかったのですが、スマホを使うだけでこれまでとはまったく違うカードゲームをしていることはわかりました。
今回はデモンストレーション用に大きなスマホ端末を使っていますが、実際には普段から使用しているサイズのもので大丈夫だそうです。来場した流通関係者の中には、これを機に端末の新調を決意した人もいたようです。
▲スマホを置いてもプレイするためのスペースが極端に広くなることはないようです。 |
最後にルールの紹介がありました。カードゲームとしてはシンプルなターン制のゲームです。公式サイトでルールの詳細がすでに発表されているので、この記事では省略させてもらいます。
デモンストレーションとルール説明を受けて、実際にはまだプレイしていないものの、カードゲームそのものは難しくないように思えました。ただ、スマホが加わってくることで、どのくらいデッキ構築やプレイングに影響してくるのかが本当に未知数だなとも感じました。
▲実機でのスマホアプリのデモンストレーション。 |
“新世代TCG”の名前にふさわしい、新しいカードゲーム体験ができる気がしています。これからの新情報も楽しみにしていたいところです。それではまた!
(C)Project Silver Key