2015年6月20日(土)
川原礫先生と二見鷹介Pにゲーム『SAO』について直撃! 『Re: -ホロウ・フラグメント-』では女性キャラエディットも!?
5月27日のニコニコ生放送で発売が発表されたPS4用ソフト『ソードアート・オンライン -ロスト・ソング-』&『ソードアート・オンライン Re: -ホロウ・フラグメント-』。そのキーマンインタビューをお届けしていく。
さらに盛り上がりを見せるゲーム『ソードアート・オンライン』シリーズについて、原作者の川原礫先生と、ゲーム制作を手掛けるバンダイナムコエンターテインメントの二見鷹介プロデューサーにインタビュー。PS4版の情報から気になる続編の話まで、『ソードアート・オンライン』ファン必見の内容だ!
▲川原先生(写真左)と二見プロデューサー(写真右)。 |
■かねてからの川原先生の要望が最新作『-ロスト・ソング-』で実現!
――『-ロスト・ソング-』をプレイした、川原先生の感想は?
川原礫先生:ゲーム1作目の『インフィニティ・モーメント』のころから、「“飛べる”ゲームを作ってください」と二見さんにお願いしていましたので、「ついにこの時がきた!」という感じでした(笑)。最初に『-ロスト・ソング-』をプレイした時は、ホバリングモードと飛行モードの使い分けが難しかったりしたんですけど、なれると思うように動かせるようになってきて、楽しいですね。
二見鷹介プロデューサー:そこは川原先生の小説の描写そのままですね(笑)。
川原先生:そうなんです。レコンのように、最初は補助コントローラを使ってた感じで空を飛んでいました(笑)。はじめのうちはホバリングモードで戦わないと敵を見失ってたんですけど、ロックオンしてエリアルドライブで突っ込めばなんとかなるとわかってからはラクになりました。
二見P:僕も最初にゲームをプレイした時、飛行の操作が難しいんじゃないかと思ったんですけど、慣れるとそうでもなくて(笑)。
川原先生:飛行の移動速度は速いですし、飛んでいて気持ちいいんです。ただ、そうすると相対的にマップがせまく感じるというのは盲点でした。これが歩行だけだったらマップはかなり広いんですけどね。
――『-ロスト・ソング-』で好きなシステムや要素はなんですか?
川原先生:プレイアブルキャラの多さですね。本当にものすごく多いですよね。キリトがプレイヤーキャラじゃないと起きないイベントもありますけど、パーティの組み合わせが本当に膨大で。
二見P:キリトがいないとイベントが起こしづらいところもあったんですけど、ここはもっとゆるくしてもよかったのかなと思っています。
川原先生:でも全キャラクターが戦闘中に他のキャラクターに呼びかけるじゃないですか。あれも本当によかったですよね。
――川原先生が一番プレイしたキャラクターは誰ですか?
川原先生:攻略中はキリトが多かったですけど、エクストラクエストをプレイしはじめてからはレインですね。エクスキャリバーが欲しくて、ひたすらセブンをベシベシと……(笑)。レインは《サウザンドレイン》が本当に強いんですよね。
■大型アップデートは二見Pのやりたかったことがいっぱい!
――『-ロスト・ソング-』発売後のユーザーの反応はいかがですか?
二見P:川原先生もおっしゃってくださったんですけど、やっぱり原作のように空を自由に飛べるのが楽しいという声が多かったですね。あとプレイアブルキャラクターの数や、アスナやシノンたちが操作できるところもよかったと感想をいただきました。
川原先生:ボリュームで言えば2作ぶん入っている『-ホロウ・フラグメント-』には勝てませんけど、アクションや育成部分のやり込み要素が本当に多いですよね。熟練度を全キャラあげようとすると、本当に大変で(笑)。
二見P:1人や2人の育成じゃないですからね(笑)。ただ、『-ホロウ・フラグメント-』よりもストーリー部分のボリュームが少ないという声も頂いています。こちらももっとボリュームを増やしたかったのですが、いろいろな大人の事情で……。
――大型アップデート“剣戟の奏者”でPvP要素が追加されましたけど、こちらはどうですか?
川原先生:本編でのスメラギとの戦いをイメージしていて、お互いのOSSが決まったら終わりなんじゃないのかと思っていました。でも、実はそうじゃなかったですよね。
二見P:はい、復活はすぐできるようにしていて、トータルでより多くのダメージを与えた人が勝ちとなる仕組みですね。他にもルールは決められるので、遊び方に合わせてそこは変えてもらえればなと。
川原先生:やられても終わりじゃないってのがいいですね。
二見P:とはいえ、やられると何秒かは相手チームのほうが人数が多くなって不利になりますし、バランスよく回復しながら戦うのが大事だと思います。
川原先生:ヒーラーが重要そうですね。
二見P:他にもバフやデバフも強力ですね。
――アップデートでは大型ボスも追加されましたし、ボリューム自体は発売時よりもアップしていますよね。
二見P:そうですね。
川原先生:大型ボスってどのくらい大きいんですか?
二見P:かなり大きいですよ。大型ボスはボス自体がギミックとなっていて、ボスを攻撃していくことで、徐々にボスの新しい部位を攻撃できるようになっていきます。先日、藍井エイルさんに挑戦してもらったのですが、その大きさに驚いていました(笑)。
■動画:藍井エイルさん、全貌がつかめないほど巨大な大型ボスに挑戦!
川原先生:これは……1人でも戦えるものなんですか?
二見P:ボス自体はかなり強いですが、1人プレイでも戦えますし、他のプレイヤーとオンラインで一緒に戦うこともできます。今回のアップデートでは、PvPと大型ボス、ソードスキルの追加がメインです。ソードスキルについては、開発終盤で実は5個しかなかったことに気づき……。
川原先生:そう言えば、ソードスキルを登録できる数が6個なのに、ソードスキル自体は5個しかなかったですね(笑)。
二見P:そうなんです(笑)。それで、6つ目のソードスキルを作りましょうということになって。ただ、製品版には間に合わないタイミングでしたので、だったらアップデートで追加しようと。
川原先生:あえて1つ出さなかったと思っていました(笑)。それとOSSを作れるようになると、楽しそうでいいですよね。
二見P:自分でソードスキルを作るのはシステム的に大変なんですけど、やってみたい要素のひとつです。弊社のゲームで『ゴッドイーター』シリーズが、自分で作ったバレットを他のプレイヤーと共有できたりするんですけど、そのような感じでできるとおもしろそうですね。
――アップデートといえば、川原先生の著作である『アクセル・ワールド』の黒雪姫も登場しますよね。
二見P:以前に発売したゲームの『アクセル・ワールド』の、限定版特典OVAに登場した、《アクセル・アサルト》バージョンの黒雪姫ですね。ストレアが(黒雪姫と同じ声優の)三澤紗千香さんだったこともあって、ゲスト的に登場させることができました。
川原先生:黒雪姫はプレイアブルじゃないんですよね。
二見P:はい、敵として登場するんですけど、かなり強いので熟練度上げは必須のキャラクターです。あと装備をマップでも変えられたりするなど、遊びやすくなるようにシステム面を改良してるので、まだアップデートしていないという人は、ぜひしてくださいという感じです。
■二見P念願のPS4版の発売が、ついに発表! そして、『-ホロウ・フラグメント-』の続編は……?
――ついに『-ホロウ・フラグメント-』と『-ロスト・ソング-』のPS4版が発表されましたね。
二見P:ようやく発表することができて、ホッとしています(笑)。
――「PS4で出したい」など、いろいろなインタビューでにおわせてはいましたよね(笑)。
二見P:海外のことや大人の事情で、なかなかユーザーの皆さんにおしらせできなかったのがつらかったです。元々は北米欧州でPS4版の『-ロスト・ソング-』が発売されるので、それにあわせて日本でもPS4版を出せることになったんですね。だから日本は逆輸入版みたいな感じなんです(笑)。
川原先生:PS4で遊べるようになるのは、僕もすごく楽しみです。PS4では洋ゲーばかりを遊んでいたので(笑)。
二見P:クリエイターとしても、PS4に挑戦できることはとてもうれしいことだと思っています。
川原先生:これまでプレイしたデータを引き継ぐことはできるんですか?
二見P:『Re:-ホロウ・フラグメント-』はこれまでのセーブデータからレベルと装備は、制限はあるものの大部分を引き継ぐことができます。ストーリー部分は一からなんですが、ヒロインのAI情報なども引き継げるので、クリア済みの方はさくさくプレイできると思いますよ。
川原先生:他には『Re:-ホロウ・フラグメント-』で変わった部分はあるんですか?
二見P:オンラインモードが追加されます。『-ホロウ・フラグメント-』ではアドホックモードでの協力プレイだったんですが、これで離れている人とも協力プレイができるようになります。
▲『-ホロウ・フラグメント-』制作時には、実現しなかったオンラインでの協力プレイ。時を経て、それが可能になった。 |
川原先生:それはいいですね! 秘匿エリアの攻略がはかどると思います。
二見P:それとキャラエディットはキリトのみでしたが、要望が多かった女性のキャラエディットも追加しました。『-ロスト・ソング-』のほうは、フィールドの表示物がPS Vita版より増えています。
▲ハードをPS4にしたことで処理能力が上がり、PS3ではできなかった表現も可能になっている。 |
川原先生:画面を見るとモンスターもかなり多く表示されていますね。
二見P:よく見ると草も生えてるんですよ。内容自体は基本的にはPS Vita版のものですが、モンスターの数も多く表示できるようになって、ゲーム性も少し変わるんじゃないでしょうか。それと少しですが追加要素もありますので、こちらは今後の情報を楽しみにしてください。『Re:-ホロウ・フラグメント-』に関しては、『-ロスト・ソング-』までの間にどういうことがあったのかを補完するシナリオを追加しています。
――『SAO』シリーズの新作も楽しみなのですが、こちらの予定は?
二見P:PS4で出したことを察していただければ……(笑)。以前、『-ホロウ・フラグメント-』の売上本数が20万本を突破したら続編を作りたいと話していましたけど、まだその告知をしていないんですよ。
――2015年の目標を伺った際には、『-ロスト・ソング-』は続編ではなく新作ですと話していましたよね。
二見P:なので続編は作ります! 期待してお待ちください。
川原先生:今度はもっと広いマップを探索するようなものを期待したいです(笑)。
二見P:(笑)。《アインクラッド》を実際のサイズで表現するのはかなり大変なのですが、ゲームとして楽しめる部分も考えつつ挑戦してみたいですね。それとPS4などの次世代機でもしゲームを作れるのであれば、その機能を生かしたものを取り入れてやっていきたいです。
――もし川原先生がゲームのシナリオや企画に携われるとしたら、どんなゲームを作ってみたいですか?
川原先生:『SAO』シリーズなどで架空のゲームを作って小説を書いてきたんですけど、それらの世界ではストレージとメモリ容量に制限はなく、通信でもラグがでないという設定を作りました。それに《アインクラッド》は第1層は直径10kmの広さがあって、これを実際のゲームで作ろうとすると、どのくらいのものになるのかなと。二見さんたちのゲームの制作現場を見てきて、怖くなってきました(笑)。
二見P:すべてを再現しようとすると、吐血しますね(笑)。
川原先生:僕はゲーム制作については素人で、システム的な制約などを気にせず考えられるのがある意味で強みだと思っています。今後も二見さんに無茶な提案をしてみて、困らせることになるんじゃないのかなと(笑)。
二見P:(目をそらしながら)大丈夫です!
――最後に、読者にメッセージをお願いします。
二見P:『SAO』ゲームのタイトルがチャレンジを続けられているのは、ユーザーさんのおかげです。本当に感謝しております。『SAO』は僕の願いが叶う作品で、PSP、PS Vita、PS3と順番にゲームを出していくことができました。
▲PSP、PS Vita、PS3と進化を遂げてきたゲーム『SAO』シリーズ。そして新たな舞台・PS4へ! |
ゲームとして多くのユーザーさんに遊んでもらいながらステップアップをしているので、応援していただいているユーザーさんのためにもより頑張りたいと思います! そして、なぜ『Re:-ホロウ・フラグメント-』や『-ロスト・ソング-』がPS4で出すのか。そこを期待していただきつつ、『SAO』というコンテンツ全体を楽しんでいただけたらと思います。
川原先生:ゲーム開発には素人の僕が想像してきた《SAO》や《ALO》の世界を実際にゲーム化して頂いて、それを多くのユーザーさんに遊んでいただいて、ものすごく幸せなことです。ゲームは今後も新作が出るということで、原作者としても楽しみにしています。ちなみに今刊行中の《アリシゼーション》編の舞台は、世界の端から端までが1万kmくらいなんですけど……。
二見P:勘弁してください!(笑)
(C)2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAOII Project
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
- 『ソードアート・オンライン』ゲーム特集ページはこちら(電撃オンライン)
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