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2015年6月16日(火)

『チェンクロ』第5章“薄命の大陸篇”のテーマは“命”――開発者インタビューを掲載

文:まり蔵

 スマートフォン用アプリ『チェインクロニクル ~絆の新大陸~』の6月18日のアップデートで、第5章“薄命の大陸篇”が実装されます。その内容を紹介するとともに、開発者インタビューをお届けします。

『チェンクロ』

 6月9日に開催された“セガネットワークス カンパニー メディアカンファレンス 2015 Summer”で発表された第5章“薄命の大陸篇”。今回のアップデートでは、新章の舞台となる“薄命の大陸”が実装される他、新たなキャラクターやこれまでにないスキル&アビリティが登場します。

 そんな新要素について、『チェインクロニクル ~絆の新大陸~』の開発をおこなうセガ・インタラクティブの、チーフディレクター・松永純氏にお話を伺いました。

『チェンクロ』
▲セガの松永ディレクター。

●第5章あらすじ

 義勇軍がたどり着いたのは、新たな大地“薄命の大陸”。
 そこは短い寿命を精一杯に生きる、薄命の民たちが暮らす場所だった。

 彼らは今、黒の軍勢との戦いによって滅亡の危機にあるという。

 暗躍する魔神たち――はたして彼らの目的は?
 運命に翻弄される薄命の民たち――彼らの未来はどうなってしまうのか?

 義勇軍は、悲しい宿命を背負う薄命の民たちとともに、戦う決意を固めるのだった

『チェンクロ』
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▲先日のメディアカンファレンスで電撃発表された第5章“薄命の大陸篇”。

■義勇軍、薄命の種族が住まう大陸へ!

――第5章“薄命の大陸”のシナリオのテーマや見どころを教えてください。

 今回は直球勝負で、“命”とは、“生きる”とはという真面目なテーマを取り扱いました。第4章の“罪の大陸”はどこまでも派手に、物語としてエンターテイメントしようというコンセプトだったので、がらりと変わる感じですね。

 ファンタジーの世界で寿命の長いキャラクターというのは結構多くいて、『チェンクロ』でも森妖精などを含めて、ひととおり“長命”というテーマについては、物語として描ききったと感じていたんですが、逆のテーマはやっていないな、と。

 なので、大陸としてまるごと1つ、長くは生きられない“短命”の種族がいて、彼らの葛藤や想いというものを描いてみたいと思ったんです。種族としてそういう民がいる、というのはファンタジーという世界観でしか描けないものなので。一般的な寿命の人々の中に、病気やその他の理由で、長く生きられない人がいる、というシチュエーションとは異なる物語が生まれてくると考えたんです。そのため、第5章で登場する薄命の民は、全員寿命が10歳前後という設定になっています。

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――スマートフォンのアプリで“命”を真正面から取り扱った作品というのはあまり例がないですよね。

 文学作品では少なくないと思うんですが、ゲームではあまりないですね。今回はギリギリと言いますか、若干一線を超えている攻めたテーマだと自覚しています。

 スマホで“命”というテーマを取り扱っていいのか、ということはかなり悩みました。ですが『チェンクロ』が“物語”にコンセプトを置いたゲームとして、プレイヤーの皆様から支持をいただいたタイトルであることを考えた時、物語という部分での挑戦をやめるべきではないと思ったんです。そこで、今回のテーマで章を作ることを決めました。

 とはいえ『チェンクロ』の物語であることに変わりはありません。いつもの読み味は踏襲していますので、すごく重い物語になっているのではと、心配されている方がいたらご安心ください。読みやすく、熱さあり、涙ありの物語。そして義勇軍の面々はいかなる状況でも、常に明るく、前を向いて進みます。その大前提を押さえたうえで今回のテーマにチャレンジしています。今までとは違う雰囲気の、けれど今までのよさは揺るがない『チェンクロ』の新章を、堪能してもらえればと思います!

 また今回は、きちんとテーマを持って物語を作るにあたり、いつも以上に世界観を作りこんでいます。そのうえで真面目なテーマとのバランスを取るために、キャラクターたちについては、華やぎがあって美しくかわいいイメージになるよう努めました。そしてそれが際立ったぶん、テーマとの対比で、切なさや儚さが感じられる世界になったのではと思っています。この大陸だからこその空気感や、キャラクターたちがその場所で生きているという感覚を感じてもらえたら、とてもうれしいです。

■10歳前後の愛くるしい新キャラクターたち

――第5章のキーパーソンや新キャラクターについて教えてください。

 薄命の大陸では、大陸に住む種族の中でさらに3つの勢力に分かれています。物語のキーパーソンは、その3つのグループの長たちですね。

 勢力は、ケ者の大陸では“種族”、罪の大陸では“犯した罪”によってグループ分けがされていましたが、今回の薄命の大陸では、短い命とどう向き合うかという“生き方”によって、グループが分かれています。

 ひとつは、寿命が短いのは種族の天命だと受け入れて、その中で何ができるかを考えようとする多数派の“受命者”グループ。逆に宿命を受け入れることをよしとせず、どうにかして寿命を延ばす方法はないかと、救済の道を探し続ける“探究者”たち。そして短い寿命なんだからと好き勝手に生きようとする“ハグレモノ”の3つです。

 その中の重要キャラとして、エルとアルという姉弟が登場します。ふたりは姉弟なんですが、エルは受命者、アルは探究者のリーダーなんです。中でもエルはこの大陸の最長老で。最長老といっても、13歳なんですが。このふたりが“寿命が短い”という宿命に対してどのように向き合うか、それぞれの考え方に基づいて行動することで物語を動かし、そこに義勇軍が絡んでいきます。

 あと絡むという話では、キーパーソンとして、第2部のライバル役である3魔神も今回いよいよ、物語の中心に絡むかたちで登場します。3魔神の目的が明らかになったり、フィーナの姉・リヴェラの持つ力が明かされたり、2部全体のメインストーリーもしっかりと描いていますので、そのあたりもご期待いただければと思います!

――薄命の大陸のキャラクターたちは、外見も特徴的ですね。

 そうですね。この種族は基本的に10歳以下で、オッドアイ+メガネという外見設定です。オッドアイであると同時に、視力が低いために、どうしても生活上メガネを必要としているという設定です。

――どのキャラクターのイラストも、ものすごく細かいところまで描き込まれていますよね。全部がSSRのキャラクターなんじゃないかと思うくらい……。

 今回は、キャラクターに華やぎを持たせたい、というコンセプトと同時に、10年しか生きられない中で、どのように社会形成などがされるかを考えてキャラクターを作っていきました。そうすることで、キャラクターの造形も細かく作りこむことができたのだと思います。

 眼鏡職人をしているキャラクターがいる。でも10歳そこらであれば、仕事場の風景は普通の人間のそれとは少し違っていて。他にも、“看取る”ことを仕事にしている子がいて、じゃあその子はどんな表情を浮かべているべきなんだろう、10にも満たない子が、看取るというのは、どういうことなんだろうとか。

 設定を深めることで、イラストレーターさんもその設定をどう表現しようかと、試行錯誤をしてくれて。それによって、絵の中の物語が、今回は本当に深くなったなと思っています。深くて、きれいで、かわいいキャラがそろいました。本当にイラストレーターさんたちに、感謝だなと。ぜひプレイヤーの皆さんも、その出会いを楽しみにしていただければと思います。


●薄命の大陸で登場するキャラクターたち

『チェンクロ』
▲“受命者”のリーダー・エル。

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▲“探究者”のリーダー・アル

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▲“ハグレモノ”のひとり、ナロ。

“愛されし少女”ピノ(声優:小林ゆう)
レアリティ:SSR ★★★★★/職業:魔法使い

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“幻想の少年”セト(声優:福圓美里)
レアリティ:SSR ★★★★★/職業:魔法使い

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“真理の少女”リン(声優:皆口裕子)
レアリティ:SSR ★★★★★/職業:魔法使い

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――松永さんの思い入れの深いキャラクターはどの子でしょうか?

 今回もメインシナリオにがっつり入らせてもらったので、個人的にはNPCに対する思い入れが強いです。メインにも登場して、酒場からも登場するキャラとしては、リンというキャラでしょうか。開発チーム内でも人気で、通称“チビアルドラ”って言われています(笑)。

 この子はアルの同志で、探究者グループの2番手のような立ち位置です。薄命の民の中では魔力も魔術知識も断トツで、世界の真理を解き明かすことを周りからも期待されています。ですが、真理に近づけるだけの力を持つがゆえに、自らの寿命では真理に至る研究を全うできないと悟るという……。

――設定がもう、切ないですね。

 他に、絵や書物を書く子たちもいて。物を残せない短い時間の中で、それでも作品を作ろうとするんですが、つたないものしかできないジレンマを持っていて。こうした切ない運命を背負っている子ばかりで、そのせいでどのキャラに対しても思い入れがありますね。

――気になったのですが、彼らはどのようにして生まれてくるのですか。

 全員、“誕生の樹”という場所で生まれます。ハグというキャラクターが生まれた子を樹から受け取る乳母的な仕事をしていて、里に降りて親となる民に渡すんです。また出産という概念はありませんが、単純にお互いを好ましく思う者たちは夫婦となり、たまに直接夫婦で樹にやってきて子をもらう民もいます。同じ親に育てられると兄妹という関係が生まれます。だからエルとアルは姉弟なんですよ。こうした設定も含めて、独特の世界観でお送りしますので楽しみにしていてください。

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――薄命の大陸のキャラクターはどの職業がメインになるのでしょうか。

 今回は魔法使いがメインになります。マナを扱うのが上手という設定の種族なので、それを各職業に生かしたりしているのですが、ダイレクトに魔力に反映できる魔法使いが多いという感じですね。

――個人的に気になっていることがありまして……第4章はクリア後に酒場が登場しましたが、今回は……?

 はい。前回は話の都合上、どうしてもクリア後になってしまったのですが、今回の酒場は、章の後半そこそこで出てきます。ご安心ください!

■マナに着目した新たなスキルが追加!

――今回実装される新システムを教えてください。

 まず挙げられるのが“マルチマナ”ですね。マナの扱いに長けている彼らならではのアビリティで、身体特徴であるオッドアイにちなんで、バトル中に出現するマナの中に2色入っているものが出るようになります。2色のどちらでも使えるというものですね。2色の組み合わせはランダムではなく、キャラクターによって決まっています。

 次に“マナ数追加効果”。これは何か特定のマナがあればプラスして効果を発揮するものです。マルチマナとシナジーを起こす形で、バトルで活躍してくれます。例えば、戦士のマナがあればスキルの効果がアップするというマナ数追加効果を持っている魔法使いキャラをパーティに入れたとしますよね。でも、戦士のマナはどうやってもこのパーティに入らない。そんな時マルチマナを持ったキャラクターがいてくれると戦士のマナが出現して、マナ数追加効果が発揮する、といった感じです。

 バトル中に何かするというよりも、こう組み合わせるとマナがそろえやすくなるんじゃないかという、パーティの組み合わせを楽しむようなパズル的おもしろさを取り入れました。

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 “リターン(返還)”や“地形変化(チェンジフィールド)”といったものもあります。リターンは、条件を満たすことでマナが戻ってくるというもの。これによってマナが出現する機会が増え、マルチマナやマナ数追加効果の遊びが、さらに際立ちます。地形変化はマナを使うとバトルの戦場が変わります。これによって、特定の地形で効果を発揮したアビリティの活躍できる場が増えるんです。背景も変わるので、かなり派手ですよ。

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 新スキルを導入したことで、これまで以上にマナの色を気にしながら楽しめる遊びになります。ふだんの「このマナきたー!」のあの感覚に、さらに遊びが加わったというか(笑)。そしてやはりパーティ構築の時間が楽しいですね。このキャラクターでこの色のマルチマナを出して、無駄な色を変えるためにリターンを持つキャラクターを組みあわせて……と、バトルを遊んだうえで、よりよい運用ができるパーティを考えるのが楽しい仕組みです。

 また逆に、より楽に遊びたい人、より派手に遊びたい人にも向いたスキルでもあります。1つのマナの中に2つの色が入るというのは、多色のパーティを組んでいるとき、単純に楽です。こっちのマナが足りない!ということが劇的に減るので。そして、結果として3マナの大技をガンガン使えるようになるので、派手なプレイが好きな人も楽しめる内容になっています。ぜひパーティに加えてみてください。

――今回に限らず、新章ごとにまったく新しいバトルシステムを追加されていますよね。

 ユーザーさんに新大陸の実装まで数カ月待っていただいているのに、ストーリーだけが進みますだけだとやはり寂しいと思うので。新大陸を実装するからにはストーリーもキャラもまとめてインパクトのあるものをお届けしたいと思っています。開発チーム一同、気合いを入れて作っていますので、今回も前回とは全然違うおもしろさがあるなと感じてもらえたらうれしいです。

――他にも実装される新要素などはありますでしょうか?

 以前試験的にやらせていただいた総力戦を、近日中のアップデートで、よりイベントシステムとして楽しめる形で提供したいと考えています。総力戦のフィールドだからこその遊びや、ユーザーさんからいただいた意見をしっかり反映させてお届けしますので、その際は新しい総力戦を楽しんでいただければと思っています。

■日々進化していく『チェンクロ』の今後に期待大!

――2周年記念のファンミーティングがいよいよ14日(仙台)から始まりましたね。

 2周年イベントでは、各会場で新発表を用意していますので楽しみにしていてください。ゲストも盛りだくさんですし、グッズも力が入っています。ラバーストラップの出来がいいんですよ!

 今回のグッズには第2部のキャラも交じっているんですが、どれくらいユーザーさんに喜んでもらえるか気になりますね。そういう意味では、2周年記念のオールキャラクター人気投票で、第2部のキャラがどのくらい人気を集めるのか非常に興味があります。

――第2部で松永さんのお気に入りのキャラは誰ですか?

 僕はボムボマーが好きです。ネーミングやキャラ設定含めて、なんというか、カッコよさとおもしろさのバランスがうまくできたなと。ただ、周りには最初いろいろ言われました。「なんでこのイケメンの名前がボムボマー?」って(笑)。

 第1部のキャラクターにも愛があるので頑張ってほしいんですけど、第2部も5章まで来ましたし、そろそろ第2部のキャラも上位にランクインしてきてくれたらうれしいですね。

 また、2周年のタイミングでは、ゲーム内でも大きなイベントが実施されます。詳細については、ファンミーティングで発表とのことなので、まだ言えませんがご期待ください!

――期待しています! それでは最後にファンに向けてひと言お願いします!

 新章を追加して世界が広がってキャラクターが増えて、今までのキャラクターも新しい場所で新たな活躍をしていく。そうやってどんどん広がっていく物語をお見せするのが、『チェンクロ』を開発し続ける意味だと思っています。今回も気合を入れて作りましたので、新章“薄命の大陸”を楽しんでいただけたらうれしいです!

(C)SEGA

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