2015年6月18日(木)
スクウェア・エニックスが配信している公式生放送番組“SQUARE ENIX PRESENTS:E3 2015”で、PS4用アクションRPG『NieR New Project(仮称)』の新情報が公開された。
番組には、プロデューサーの齊藤陽介氏とディレクターのヨコオタロウ氏が登場し、さまざまな質問に回答した。この記事では、その内容を紹介する。
●動画:Square Enix Presents E3 2015 - Day 2(※『ニーア』は6:19:12ごろから)
――前作とのつながり、関連性は?
ヨコオ:ストーリー的にはあまり関係していません。世界観の設定は共有していますが、物語は独立して楽しんでいただけるようになっています。
――オールスターチーム(開発チーム)を集結させた経緯は?
齊藤:次にやるからには納得できるチームを集めたかったのですが、特にキャラクターデザインは重要だと思っていました。キャラデザを誰にお願いするのか考えていた中で、ダメ元で吉田さんにオファーしたところ、「やりましょう」と快諾していただけたので非常にありがたく思っています。
――前作は奥深いテーマや物語、キャラクター性が特徴でしたが、今作は?
ヨコオ:ユーザーさんが自分で何かを見つけてくださったのかなと思っていて、前作同様、奥深いテーマがあるとは思っていません。思いつきで作っているので、どうなるか楽しみです。まだ考えていないので、頑張って考えます。
齊藤:ハッピーエンドにすると言っているのでそこらへんは楽しみにしてください。でも、プロットにはどこをどう見てもハッピーエンドが書かれていないんです(笑)。前作もハッピーエンドって言っていますからね。
ヨコオ:だいたいハッピーエンドです。
――トレーラーに登場した女性は前作に関係あるキャラですか?
ヨコオ:全然関係ないです。
――キャラデザインについて、吉田さんへはどのような指定をされたのでしょうか?
ヨコオ:設定は早めに作りました。吉田さんには、モード系の黒で締まったシックな感じに統一したいとお願いしました。
――トレーラーの最後に出てくる謎の文字のヒントは?
ヨコオ:謎の文字は今のところ秘密です。
――プラチナゲームズの参入によってどのようなアクションゲームになるのでしょうか?
ヨコオ:ゲームデザイナーの田浦さんは若くてすごく優秀です。僕が指示するよりも圧倒的に素晴らしいものを作るので、バトルアクション、特に剣についてはほぼ完全におまかせしています。
そうすると、前作よりももっとバトル重視なゲームになると思われるかもしれませんが、現場の方が前作をリスペクトしてくださり、前作のRPG感を残していただきました。そのうえでバトルアクションの快適さを足すことにチャレンジしています。
――アクション部分のゲームバランスが気になります。
ヨコオ:齊藤さんからのリクエストでもありますが、『ニーア』のお客さんはJRPGファンが多いので、なるべく難しくないように調整をかけています。プラチナゲームズさんはアクションのエッジがきいていて難しいイメージがありますが、ほとんどアクションを遊んだことがない人でも楽しめるものを目指して作っています。
――前作のサプライズとして、アクションからアドベンチャーに変わったりといった奇想天外な展開がありました。今回も似たような計画はありますか?
ヨコオ:いろいろなゲーム性が入るのは基本的にはやっていきたいですが、前回と同じパターンを繰り返してしまうとマンネリになってしまうので、なるべくよかった部分は残して、たいくつだった部分は変えたいと思います。
テキストアドベンチャーについては悩んでいるのですが、特に欧米の方はテキストアドベンチャーが嫌いだとよく聞くので、逆に質問したいです。
――テキストアドベンチャーは十人十色だと思いますが、RPGファンであれば好むと思います。それと同時にアクションを好むファンだと退屈に思う懸念があります。そのバランスは取りにくいでしょうか?
ヨコオ:『ニーア』はバランスがとれたゲームではないので、ぐちゃぐちゃとなっていいと思います。お客さんからテキストアドベンチャーが欲しいという声があれば入れたいと思います。
――好みは十人十色なので最終的にはヨコオさんに決めていただければと思います(笑)。
ヨコオ:サイコロで決めます。
――前作では特別な言語を作って曲に登場させていましたが、今回の音楽について教えてください。
ヨコオ:前回と一緒のことをやってしまうと飽きてしまうので、新しい挑戦はしていきたいと考えています。前回にあったような造語はボーカルのエミ・エヴァンスさんがその場でアレンジされたもので、特殊な才能です。今回もできればお願いしたいのですが、まだオファーしていないので断られたら入らない可能性があります。
――あるエリアにいくと2人のキャラがいて話しかけると歌いだす演出がありますが、聞き入ってしまいました。そのような演出や素晴らしい曲があるとうれしいです。
ヨコオ:音楽をほめていただくのはうれしいのですが、ゲームより音楽のほうをほめられることが多くて、嫉妬してしまいます。
齊藤:岡部さんには前作の何曲かをアレンジして新作にも収録できるようお願いしているので、楽しみにしていただければと思います。
――前作のエンディングの1つに非常に難しい選択を迫るものがありましたが、そのような演出は新作でもありますか?
ヨコオ:何かしらはやりたいと思いますが、同じではないと思います。何かが起きるようにしたいとはいつも思っています。
齊藤:前作はかなりショッキングな仕様だったので、それは超えないでしょうと思いますが、この人は何を考えているかわからないので、ビックリするものを入れてくると思います。
ヨコオ:でもあんまり期待されるとダメになっちゃうんですよね。
齊藤:ほどほどに期待してください(笑)。
――最後にコメントをお願いします。
ヨコオ:最近コンシューマゲームに元気がないと思っているのですが、そんな中、こんなマイナーなゲームを作るスクウェア・エニックスと齊藤さんは勇気を通り越してクレイジーな領域に入っていると思っています。
そんなマイナーなタイトルをなぜ新しく作れるようになったかと言うと、前作のファンにすごく支えられたゲームだからだと思っています。『ニーア』のファンの方はすごく濃い方がいらっしゃって、その人たちの声が今回の新作の力になっていると思います。
齊藤:『ニーア』のファンってJRPGファンももちろん多いのですが、意外と女性が多くて、そう考えるとプラチナゲームズはいいゲームを作りますが、難しくならないのか心配される方もいらっしゃると思います。
そこに関しては田浦さんがしっかりターゲットユーザーを見据えてバランスをチューニングすると約束してくれているので、ご安心していただければと思います。比較的簡単な操作でカッコいいアクションになることを期待していただければと。
ヨコオ:操作が単純に簡単になっているだけじゃなくて、うまい人はうまい人なりに楽しめるような作りにしようと田浦さんがすごく頑張ってくれています。
――難易度設定は考えられていますか?
ヨコオ:ちょうど議論しているところです。逆に難易度設定はあったほうがいいんですかね?
――私に選択権を与えられても困りますが(笑)、アクションファンは経験が豊富で、コマ数をはかったり攻撃が何コマ目で終わるか研究するので、そういう方にとっては難易度が高い設定があればそれでプレイすると思います。JRPGを好む方であれば、難易度設定があればイージーでプレイすると思います。
齊藤:実は上手じゃない人をサポートするゲームシステムが入っているので、もしかしたら難易度調整ではないところで落ち着くかもしれません。それはこれから調整していくところです。
●動画:『NieR New Project』ティザートレーラー(E32015)
【制作スタッフ】
プロデューサー:齊藤陽介氏
キャラクターデザイナー:吉田明彦氏
ゲームデザイナー:田浦貴久氏
コンポーザー:岡部啓一氏
ディレクター:ヨコオタロウ氏
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