2015年6月19日(金)
アメリカ・ロサンゼルスで現地時間6月16日に開催されたスクウェア・エニックスのカンファレンス。そのカンファレンスにてインゲームトレーラーが公開されたPS4/Xbox One/PC用ソフト『Deus Ex:Mankind Divided』について、ディレクター・Patrick Fortier氏にインタビューを行った。
▲Patric Fortier氏。 |
本作は、カナダのゲームデベロッパー・Eidos Montrealが開発を手掛けるサイバーパンクアクション『Deus Ex(デウス エクス)』シリーズの最新作。テクノロジーが飛躍的に進化した未来の世界を舞台に、“オーグメンテーション(人体拡張技術)”による人間の機械化が引き金となって起きる、近未来における社会の変革が描かれていく。
インタビューでは、開発陣が本作を作るに当たってどんな点に注意したのかなどを聞いている。『Deus Ex』シリーズのファンはぜひチェックしてもらいたい。
――前作『DeusEx:Human Revolution』から2年後にあたる2029年の世界が舞台となる本作ですが、どのような物語が展開するのでしょうか?
前作は、オーグメンテーションを施した人間たちが暴走したところで終わりました。2年後の世界では、オーグメンテーションした人と、そうでない普通の人との間に差別や隔離といったものが行われています。そんな状況の中で、主人公であるアダム・ジェンセンの新たな物語が描かれていきます。
2029年のアダムは、インターポールが設立した組織“タスク・フォース29”に所属しています。これはアンチテロを目的とした組織なのですが、アダムは組織の中に“イルミナティ(※前作に登場した秘密結社)”のエージェントが潜んでいるのでは? という疑惑を抱くようになります。
物語の中では、“タスク・フォース29”に加えてもうひとつの組織が登場します。この組織は、活動家たちによって作られたものです。アダムは“タスク・フォース29”とこの組織をうまく利用して真実に迫ろうとします。
――アダムは自らが望んでいないながらもオーグメンテーションを施されてしまった人間ですよね?
そうですね。
――公開された『Deus Ex:Mankind Divided』World Premiere Gameplay Demoでは、そんなアダムがオーグメンテーション隔離政策に反対するテロ組織と戦う場面がありました。彼はどんな心境で戦っているのでしょうか?
反体制派のテロ組織に対抗する“タスク・フォース29”に所属しているアダムですが、心境的にはどちらでもない中間の立場で、自分の居場所を見つけられずにいます。当然、オーグメンテーションをしていない、普通の人間たちの中にも彼の居場所はありません。そうした状況の中で、アダムは揺れる思いを抱えています。
デモの後半部分で、アダムがタッカーという人物に出会うシーンがあります。彼はテロ組織を率いるリーダーなのですが、典型的な悪ではなく、自分なりの正義を持ったキャラクターです。プレイする人も、彼の話を聞けば「なるほど、そういう理屈もあるよね」と、一定の理解を覚えることでしょう。『Deus Ex Mankind Divided』の世界は、白と黒の2つにわけられるほど単純なものではありません。
本作に登場するキャラクターたちは、彼に限らず独自の正義を持っています。これは本作のテーマのひとつでもあります。そうしたものがアダムの目を通して描かれていくことになるでしょう。
――デモでは、タッカーとの会話の際に選択肢が出ました(※『Deus Ex Mankind Divided』World Premiere Gameplay Demoの19:37あたり)。どの答えを選んだかによって、ストーリーは変わっていくのでしょうか?
結論から言いますと、本作はマルチエンディングを採用しています。ですので、もちろんプレイヤーの行動や選択によって物語は変化しいていきます。プレイヤーの行動によって、通れる通路が増えることもあれば、情報をくれるNPCが現れることもありますし、サイドクエストが発生することもあります。
――“タスク・フォース29”ともうひとつの組織が登場するとのことですが、どちらかに肩入れすることで物語は変わるのでしょうか?
そうですね。“タスク・フォース29”の一員として、与えられたミッションを言われるままにこなすのか、それとも、別組織から得た情報を生かしてクリアするのかでも少し変わってきます。
ただし、最初のほうでも話した通り、アダム・ジェンセンの目的は、真実に迫ることです。自分に一体なにが起きてオーグメンテーションを施されることになったのか? その真実を見極めるための旅なのです。
――デモを見る限り、ムービーや演出に日本の作品――特にスクウェア・エニックス作品の影響を受けているように思えましたが、いかがでしょうか?
公開されているCGIトレーラーは、ヴィジュアルワークスが作成したものなんです。おそらく、それもあってスクウェア・エニックスらしさを感じたのではないでしょうか?
トレーラー自体は開発だけでなく、マーケティングチームの意見も取り入れたものになっています。私も彼らもアニメや漫画の影響はそれなりに受けています。日本向けに作ったわけではありませんが、そうした影響がどこかに出ていたのかもしれませんね(笑)。
私はカナダのケベックで育ちましたが、子どものころから日本のアニメを見る機会が多かったので、どこかしら影響を受けていると思います。
――『Deus Ex:Mankind Divided』が前作から進化したポイントは?
PS4やXbox Oneといった次世代機や、比較的性能の高いPCをプラットフォームに選んだこともあって、マップを大きく広げることができました。デモをご覧いただければわかると思うのですが、本作のマップは横だけでなく縦にも大きく広がっています。
また、『Deus Ex』シリーズの大きな魅力として、ボス戦などで単純に力押しで戦うのではなく、会話で丸めこんだりすることで、いい結果に至るというものがあります。そうした選択肢によって変わってくる表情やしぐさにも注目してもらいたいですね。
もうひとつ、作品が持つサイバーパンクな雰囲気にも注目していただいたいですね。エンジンがパワーアップしたことで、さまざまな部分の表現が洗練されています。
――本作では新たなアクションが増えていますが、それについて聞かせていただけますか?
前作との顕著な違いは、アダムの“ガンアーム”ですね。これによって「次にどんなアクションをしようか?」「次にどんなオーグメンテーションを使おうか」といった選択がとてもスムーズに行えるようになっています。
このようにコンバットに力を入れている理由としては、前作ではステルスプレイのほうが強かったという認識を開発スタッフが持っているからです。本作では、ステルスとコンバットのバランスを平等にしようとしています。『Deus Ex』シリーズでは、できるだけユーザーの好きなプレイスタイルで遊んでほしいと考えていますが、ステルスが強いとなると、皆ステルスプレイを選んでしまいますよね。そうならないように注意しています。
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