2015年6月19日(金)
米国にて開催されていた“E3 2015(Electronic Entertainment Expo 2015)”会場にて、2016年初頭に発売予定のPS4/Xbox One/PC用ソフト『DARK SOULS III(ダークソウル3)』のデモンストレーションが行われた。
本作は、アクションRPG『ダークソウル』のゲームコンセプトを継承したシリーズ最新作。ダンジョン探索の緊張感や達成感につながるゲーム性はそのままに、新たな世界で構築された完全新作の本格アクションRPGとなっている。
解説を行ったのはフロム・ソフトウェアの宮崎英高ディレクター。同氏は、本作には3つのポイントがあると説明したので、まずはそこから記載していく。なお、会場内は撮影不可だったため、現在公開されているイメージアートやE3会場に設営されていたモニュメントの写真を掲載していきたい。
モニュメントの彫像イメージは“死に祈る”。これはシリーズが持っているゲーム性のテーマであり、本作の物語性のテーマでもあり、合致するために作ってもらったとのこと。いくつかのしかけもあるということで、写真でぜひチェックしてほしい。
1つ目のポイントは“世界のスケール感と没入感”だ。シリーズで初となるPS4、Xbox One用タイトルということで、マップがより立体的になっているという。その探索マップで没入感をより感じられるように、風やライティングなどの表現に力をいれているとのこと。
宮崎さんは「スケール感を増した3Dマップは、すごく楽しんでもらえると思います!」と語っていた。
2つ目は世界観で“終末の世界と物語”。コレまでのシリーズ以上により終末を迎えた世界を描くのだが、ただ暗いだけでなく、枯れた美しさを描きたいようだ。その中でシリーズおなじみの“薪の王”と、彼を殺す者の物語……そんな英雄譚を描くとのこと。
なお、プロモーション映像の最後に登場した、巨大な燃えている王。あれは過去の偉大な王である“薪の王”がよみがえるイメージだとか。
そして3つ目は“ゲーム性”。達成感につながる難易度の高いアクション性、ユニークなオンラインシステムを継承したうえで、その先に本作ならではの調整が加えられているそうだ。
これらのシリーズコンセプトをしっかり継承しつつ、進化させたものが『ダークソウル3』だ。なお、今回のデモンストレーションは進化した剣戟アクションを中心に説明が行われた。
剣戟アクションに欠かせないのは、武器カテゴリーやアイテム。それを深堀りし、調整していく作業が本作では行われていると宮崎さんは説明した。深堀り、調整することで“アクションゲーム”としての『ダークソウル』と、“ロールプレイング”としての『ダークソウル』、両方向に貢献するそうだ。
ここで実際のゲームをプレイ。キャラクターの面前にそびえるのは、巨大な城だ。いままでにないスケール感を感じる建物となっていた。
まずは篝火(かがりび)に点火して、拠点を設置。今回はE3バージョンということでやや簡単な難易度にしているそうだが、やはり死んでしまうことがあるため、拠点は欠かせない。
少し進んだところで、カメラが空に向けられた。そこには色あせた太陽が映し出されていた。道にはその太陽を祈る亡者の姿が。他にも空から舞い散る灰などを見られる。この舞っている灰は少し進んだところにある龍の死体から出ていた。
暗闇に包まれた城に入ったので松明(たいまつ)に火をともす。すると、暗かった室内が明るくなり、本作から描かれている光や風の表現などを確認できた。特に、松明からハラハラと落ちる火の粉は、これまででは確認できなかったほど細かく描かれ、思わず熱さを感じるほどの臨場感であった。
ここで後ろから不意打ちを受ける。宮崎さんがすかさずに「プレイヤーを殺す気まんまんの配置は健在ということで安心してほしい」とメッセージを送ると、報道陣からは笑いがあがった。
本作ではさまざまな場所に、火をともすことができる小さな墓が存在。火をともすと、文字を読むことができ、そこから世界観の一端を知ることができるようだ。この小さな墓はマップの各所に隠されているので、探す楽しみがありそうだ。
通路の先には、多くの亡者が闊歩していたため、階段を上がって迂回することに。ところがそちらにはドラゴンが待ち構えていた。このドラゴンは、『ダークソウル』シリーズに登場した“岩の古竜”の末裔でもあるようだ。
なお、最初の城でドラゴンを出してプレイヤーを殺すのは、宮崎さんお気に入りのシチュエーション。今回もしっかりやっていることをアピールしていた。
とはいえ、このままドラゴンに挑むのは正直難しいので、先ほどの場所に戻ることに。するとドラゴンが首をかしげて、こちらにブレスを放ってくる。そのブレスによって、さきほどまで通路の奥にたむろしていた亡者どもが一掃された。このように、敵のアクションを利用することで、こちらが有利になることもあるようだ。
次は暗い塔を降りていくことに。ここでもやはり後ろから強襲される。ただ、本作ではやられるばかりではなく、やりかえすことも可能だという。普通に進んでいくと後ろから攻撃をしかけてくるように亡者が配置されている場所でも、上から観察してオブジェクトに火を放てば、炎で倒すこともできるようなので、諦めずに周囲を観察してみては?
塔を出て屋根の上を進んでいくと早贄(はやにえ)に祈る亡者が多数見られた。すると、突然亡者が黒いクリーチャーに変化。この黒い塊は現在、城が直面している問題になっているようだ。攻撃を受けてやられてしまったため、激しく恐ろしい敵であることを確認できた。
ここまで見せた後、宮崎さんは『ダークソウル3』のアクションは『1』や『2』と比べて、早く直感的に動くようになっていることを明かした。それは騎士や黒い塊などの敵に、プレイヤーが全力で挑んでほしいという方針だからとのことだ。
ここからは剣戟アクションの進化についてまとめて掲載していく。
直剣、ロングソードには、“かまえ”という新しいアクションが加わっている。そこからは2種類の特別な攻撃を繰り出せる。そのうちの1つは盾をくずすもの。それをうまく使って、盾の亡者に挑むシーンが公開された。宮崎さんによるとこの“かまえ”は、直剣のよさを強調するものだとか。
2つ目に手にしたのは、大剣、グレートソード。こちらには“ふみこみ”という新要素が用意されている。“肉をきらせて骨を絶つ”という、大剣としてやりたいと思える要素が搭載されているようだ。なお、このモーションは日本の人気作品『ベルセルク』のガッツをイメージしていることが明かされた。
その“ふみこみ”を使い、騎士に挑む。本作の騎士は、早く、強く、硬いうえに、先ほどのかまえも使ってくるために、単体で出現しても十分に強いとのこと。宮崎さんは「『Demon’s Souls(デモンズソウル)』の時のように、会っただけで緊張するような騎士が帰ってきます」と話していた。
3つ目に披露したのはショートボウ。本作では速射性が加わることで、ローリングやステップをしながら撃てるようになっている。『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラスのような戦いもできると宮崎さんは加えた。
これまではパラメータの差でしかなったロングボウとショートボウが別の戦略をとれるようになり、それぞれがより個性化され、戦術を広げる調整がされているのがわかるのではないだろうか。
最後に使ったのは、曲剣、シミター。この武器は両手持ちすることで、二刀流となる。そして本武器に加わったのが“回転”だ。事前動作として回転することで、アクションが華麗に変化する。
進んだ先で多数の亡者に襲われてしまう。弱いがもろい敵に対して、回転から周囲を激しく攻撃することで、一掃するデモンストレーションになる予定であったが、うまくいかなった。ただアクションの変化については見てとれた。
そしてボスアリーナに突入することに。その前には2体の騎士との戦いが待っていた。その片方は槍の騎士とのことで、シリーズ経験者であれば2体の敵の強さが分かるのではないだろうか?
ただ、あまりに強敵なので、攻略の糸口を用意していることを宮崎さんは明かした。なお、今回は発売後の楽しみにしている読者のために、割愛させていただく。
いよいよボスキャラクターと対面することに。部屋の奥にはわかりやすくアイテムが置いてあり、それに手を伸ばすとボスが登場した。
黒い瘴気のような塊が天井から降ってきた後、塊を成す。このボスは“冷たい谷の踊り子”と現在名づけられているそうだ。
全身鎧のキャラで、花嫁のようなベールをまとっていた。モニターを見ていて感じたのは、動きがゆっくりで読みにくいということ。シリーズではこれまでにも独特な敵が多数出てきたが、それは今回でも健在。それどころかより洗練されたものを見られるようだ。
また、“冷たい谷の踊り子”が持つ炎の剣により生まれた火は、周りの城に燃えていき、演出も強化されている。さらには『ブラッドボーン』で見られたように、後半には敵のアクションがより強化される。今回の敵は灰の剣を取り出し、二刀流でより激しい攻撃をしかけてくる。これには思わず、見ていた報道陣も苦笑い。
というところでプレゼンテーションは終了となった。以下では、質疑応答のコーナーを掲載する。
――『ダークソウル』シリーズが高名となり、他のゲームにマネされることがあると思うのですが、どう感じますか? イライラしていますか?
実感としてはあまり影響を与えていないと思っている。が、もし影響を与えていたとしたらうれしい。イライラなどしません。僕自身がこのようなゲームが好きなので、すごくいいことだと思います。
――本作のCO-OPは『ブラッドボーン』のようなタイプでしょうか? そことも『ダークソウル』シリーズのようなタイプでしょうか?
どちらを採用するかは未定だが、フレンドとマッチングするための手がかりを用意します。
――難易度が与えるHPゲージへの影響は、本作『3』ではどうなっているのですか?
デスペナルティは本作用にリファインされるが、基本的なHPのマネージメントは『1』や『2』から継承されます。
――いくつかの武器についての特徴を見せていただきましたが、すべての武器に特徴があるのでしょうか?
全部つけようと思っています。モーションではなく、ちゃんと特徴をつけることで、武器それぞれのロールプレイングをもう一段階出していけると思っているからです。だって、そういうのがない武器はかわいそうじゃない?(笑)
――過去数年にわたってPC版を出してきて、PC版のプレイヤーについてどのようなことを学びましたか?
PC版のプレイヤーというくくりで考えたことはないです。ただ、PCの経験が我々が浅く、トラブルが多かったので、そこはよりいいものを作っていこうと思っています。
――キャラクタービルドについて選択の幅を広げるという話しがありましたが、具体的には?
武器の個性を出すものが、本作のアプローチです。これまではショートボウとロングボウを使ってもそこまで変わらなかった。そこに違いを出していくのが本作。あとで聞かれると思うので先に言っておきますが、当然魔法もあるし、同じような発想で調整がなされます。
――各マップのつながり方は『ブラッドボーン』的ですか? 『ダークソウル』的ですか?
僕自身がデザインしているので、クセがあるため、『ダークソウル1』や『ブラッドボーン』に近いと思います。
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