2015年7月9日(木)
【電撃PS】インディーを手掛ける4人が語らう“INDIE★STAR”コラム4回分をまとめ読み【前編】
現在、電撃PlayStationにて連載中のコラム“INDIE★STAR”。インディーにかかわる制作者たち4人が集まり、インディーへかけるアツい想いを語っていくコラムだ。
ここでは、現在発売中の電撃PlayStation 594号までに掲載された4回分のコラムのうち、第1回と第2回をまとめて掲載。7月11日と12日の2日間、京都で行われる日本最大規模のインディーゲームの祭典『BitSummit 2015』にまつわる内容となっているので、来場予定者はもちろん、多くのゲームファンに、ぜひチェックしておいてもらいたい。
“INDIE★STAR”を企てる者たち
▲伊藤雅哉(いとうまさや):有限会社キュー・ゲームス プロデューサー。『PixelJunk』シリーズや『The Tomorrow Children(トゥモローチルドレン)』『Nom Nom Galaxy』を担当。 | ▲村上雅彦(むらかみまさひこ):株式会社VITEI リードアーティスト。アメリカの芸大を卒業後、フリーのゲームアーティストへ。2009年にVITEIに参加。2014年『Modern Zombie Taxi Driver』でBitSummit大賞を受賞。 |
▲安浪宗彦(やすなみむねひこ):株式会社アクセスゲームズ プロデューサー。フリーのゲームプランナーを経てアクセスゲームズに参画。『D4:Dark Dreams Don’t Die』の立ち上げをキッカケにクラスチェンジ。 | ▲堀川和良(ほりかわかずよし):株式会社オーツー リードプランナー。テーブルトークRPGやボードゲームを愛するゲームプランナー兼シナリオライター。『peakvox』というレーベルで、オリジナル作品開発にも携わる。 |
“INDIE★STAR”連載第1回(電撃PlayStation Vol.591掲載)
■インディーの星達よ、京都へ集え!!
今回から始まりました“INDIE★STAR”は、“インディーゲーム”について、作り手でもある我々の取り組みと共に熱く語らせてもらうコーナーです。日本ではまだまだ馴染みの薄いインディーゲームを知ってほしい! どんな人間がどんな想いで作っているのか伝えたい!! 時代は今、面白いゲームを作りたいスピリッツに溢れている!!! そんなことを熱い仲間たちと語っていきたいと思います。
さて、そんなワケではじめまして。中の人4号こと、株式会社オーツーの堀川と申します。ゲームブックとテーブルトークRPGとボードゲームをこよなく愛する青春を過ごして出来上がりましたので、日本におけるインディーゲームには並々ならぬシンパシーを感じており、今回みなさんにお伝えする、先駆けの栄誉を賜りました。
……ところで。みなさんは「BitSummit」というイベントをご存知でしょうか? “日本のインディーゲームを世界へと発信していく架け橋になる”ことを目的に2013年に京都で生まれたイベントです。規模の大小に拘らず、面白いゲームを作る! という熱いスピリットを、開発者同士やゲームファンに直接ぶつけ、国内だけではなく海外メディアへも広くアピールする場となっています。前回の「BitSummit2014」では、3日間開催して、117チームがこだわりの作品を発表しました。
そして今年。GDCやGamescomなどの世界中のメジャーなゲームイベントでも活躍し、インディーゲームシーンのオピニオンリーダーとして世界中のゲーム関係者の目を惹きつけ、多くのクリエイターやゲームファンから信頼されている「Indie MEGABOOTH」とタッグを組み、パワーアップして、7月11日、12日に京都で開催されることになりました!
我々は、一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会を設立し、自らの手でこの「BitSummit」を立ち上げ、日本と世界の架け橋となるべく日夜、奔走しています。無限の可能性を持つ“インディー”の世界をひとつに。ゲームを愛する人々が一堂に会し、新たなシーンを産み出す刺激的な場となることを目指して。まだまだ語りたいことは尽きないのですが、それは次回にお伝えするとして、何はともあれ、百聞は一見にしかず。「みやこめっせ」でみなさんのお越しを待っています!
それでは今回の締めくくりとして、「BitSummit」の創設者であるJames Mielke氏と、強力なパートナーである「Indie MEGABOOTH」のKelly Wallickさんから寄せられた熱いメッセージをお伝えします!
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▲James Mielke (ジェームズ・ミルキー):EGM、1UPの編集長を経て、Q‐Gamesではプロデューサーとして活躍。2013年開催されたBitSummitの発起人。現在は神羅テクノロジーでコミュニケーションディレクターとして活躍。 |
過去2回のBitSummitで日本のインディーが海外のユーザーを意識し、「Indie」というキーワードが、日本のデベロッパーやメディアにポジティブに受け入れられたのを、目の当たりにしました。これにより、よりいっそう日本のインディーゲーム開発の為に動きたいと思いが強くなってきました。
第一回BitSummit開催以来、たくさんの小規模なインディーイベントが立ち上がりました。この動きは、これから日本のゲーム業界全体を活性化するだろうと信じています。この革命の一部として参加している事を名誉に思うと共にとてもワクワクしています。
目標の一つは、ニューヨーク市などのように、既に大きなインディーシーンがある都市にBitSummitの名前を広める事です。世界中で日本のBitSummitの知名度が上ることにより、BitSummit及び日本のインディーは、より一層力強くなるでしょう。
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▲Kelly Wallick(ケリー・ウォーリック):IndieMEGABOOTH発起人。イベント出展予算がAAAクラスになる中で、小さなスタジオでも出展できるように支援ネットワークを構築し、メジャーイベントへの出展を実現。シーンに大きな影響を与えています。 |
我々は世界各地のインディーコミュニティーの成長と、彼らがお互いに助け合う為のネットワークの構築をお手伝いしています。沢山の人が日本のインディーゲームに、とても興味があります。しかし最近まで、情報を探す事が非常に難しいものでした。
この状況を3年前の「BitSummit」が大きく変えてくれました。とても大きな衝撃を日本だけでなく世界中の開発者に与えてくれました。この素晴らしいイベントの変化を近くで目撃できること、それを支援できることが本当に嬉しいです。
「BitSummit」の後も、続けてBitSummit運営チームや日本の開発者達と一緒に日本のインディーコミュニティの成長をお手伝いできれば良いと思います。開発者同士や開発者とファンが繋がれる様な機会を沢山作りたいです。
「Indie MEGABOOTH」は、開発者同士の出会い、ゲームの発表の応援、そして開発者と必要なパートナーを繋げる事に力を入れて活動しています。それがどこかなんて関係ないですね。開発者がお互いの夢を実現できるのなら。
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“INDIE★STAR”連載第2回(電撃PlayStation Vol.592掲載)
これだけ熱くゲームを作り、BitSummitに懸けてます!
体の芯からインディースピリットがあふれて出てどうしようもないわ! そんなゲームの作り手4人が集まって“インディーゲーム”について熱く語るこのコーナー。今回の書き手は株式会社アクセスゲームズのプロデューサー安浪です。
さて7月に開催されるインディーゲームの祭典「BitSummit 2015」の開催に向けていろいろな人が活動中ですが、まずは本コラムを書いている自分たちについて知ってもらうべく、大阪は梅田にて集まって行った座談会を、今回はお送りします。
安浪:夜景がすげー!
伊藤:ほら、安浪さんは窓際に行かんと。
安浪:見ろ、人がゴミのようだ! わっはっはっ!
伊藤:相変わらずやね……それ去年のTGSの時もホテルのお風呂から、まっ裸でやってたという……。
堀川:なにやってんですか!
安浪:わっはっはっ!
伊藤:今回は、BitSummitにはこんな熱いメンバーが携わっているんやってことを伝えたい回ですね。まずは僕から。有限会社キュー・ゲームスはディランという『スターフォックス』(SFC)を作ったプログラマが作った京都の会社です。
『PixelJunk』シリーズはインディーの成功例として世界中で広く知られていると思います。僕が今担当してる『Nom Nom Galaxy』や『The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)』を見てもらえれば、そのクオリティの高さもみんな感じてもらえてると思います。インディーの1つの形だと自信を持っておすすめできるタイトルです。
村上:そうですね。僕の会社、株式会社VITEI代表取締役のジャイルズは、ディランさんと一緒に『スターフォックス』を作ったプログラマです。前回のBitSummitでOculus Riftのタイトル『MODERN ZOMBIE TAXI DRIVER』が大賞を獲って会社的にも認められたので、そっちに力を入れやすくなった事情もあります。
堀川:そっちって?
村上:自分たちの会社で作りたい物を作ろうということ。R&D、リサーチ アンド デベロップメントです。
安浪:それって、1人の人が、会社を回すビジネスの開発と研究開発を1日の中で時間を分けて進める形?
村上:いいえ。僕はビジネスの開発チームとは別で研究開発を行っていました。
安浪:おぉ。
伊藤:うちも別ですね。
村上:クリエイターはそこを別にしてあげないとできない。真剣に生み出そうとすると、それ専属でやらないといけないと考えています。でもこれには問題もあります。自分たちの研究開発がお金が生めていないというプレッシャーが半端ない。ビジネスの開発をやっているスタッフから、あの子たち何やってんだという目で見られるという……。
堀川:株式会社オーツーも受託をやっていて、でもオリジナルもやろうとしています。オリジナル専属チームで「peakvox」というレーベルでゲームを作っています。iPhoneとか3DSで配信しているし、最新のタイトルはSteamでのソフト『ゴッコオブウォー(GOCCO OF WAR)』がグリーンリッドして正式開発を開始しました。
村上:VITEIは賞獲ってから、VRじゃなくてもいいからなんか作ってとか、いろいろと連絡が来た。本当にBitSummitってスゴイって実感してます。
伊藤:うん、スゴイ。今エントリー総数も半端ない数になっている。世界中からビックリするくらい応募が来てるみたい。
村上:世界的に成功しているスタジオが出展しようとしていることに意味がある。
安浪:株式会社アクセスゲームズは『D4: Dark Dreams Don't Die』を出すよ。Xbox One版が世界で130万ダウンロードを突破したミステリーアドベンチャー。ちょうど6月6日(土)にPC版が出てますよ。
伊藤:ミリオン突破ですやん!
堀川:いろんな出展作品が集まってBitSummitの形になればいいよね。
伊藤:日本でゲームの展示会って少ないけど、こういう場が増えれば、普段は1人とか少人数のチームのクリエイターでも一般ユーザーと繋がれるし、作品を直に遊んでもらえる場ってほんと大事だと思います。
村上:美術とかって美術館にあるものもあれば、イベントや個展で展示する場もあるでしょ。ゲームってそういう文化がまだまだないじゃないですか。
堀川:ゲームが好きな人は気軽に来てほしい。
村上:地ビールや日本酒のイベントがそれに近い。飲むのが好きで、新しいものを求めて行っている。新しい出会いがある。
伊藤:生産者に直接会える。
堀川:それが目玉。BitSummitではクリエイターの人にどんどん質問をぶつけてほしい。作っている人にとってもプラスになる。
伊藤:海外の人間も多くいるから、いろいろな可能性を見てほしいなぁ。
村上:ゲーム制作について何か問い合わせがあったらクリエイターにつなげる場が出来た。
堀川:それがこのメンバーでJIGA(一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会)を立ち上げた意味でもあるし。
安浪:残念ながらうちは協会のメンバーには入っていないけど応援してるもんね!
伊藤:うん。JIGAについてだけど、発起人の1人であるキュー・ゲームスの開発マネージャー、トミさん(富永彰一)がみんなに想いを伝えたいって言ってますので聞いてあげてください。どうぞ!
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昨今BitSummitとは何ですか、インディーとは何ですかと質問される。しかし、インディーとはこれだ! とひとつの明確な定義があるわけではない。クリエイター各々に独自のインディーの定義があるはず。それこそがインディースピリッツの大事なところ。
JIGAのメンバーが共感して1つのものを作るわけではない。1つの目的を持って何かをする集団ではなく、各々が主張しあって探せばいい。見つかったときに組織として動ければいい。
各々が高見に上るために、支援したり指標になったりする先陣を切れる集団でありたい。インディーとは何かじゃない。例えるものでもない。新しい志と試み。チャレンジとスピリット。JIGAはそれを応援したい。
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伊藤:BitSummitの運営は1人では限界があったけど今回は会社が集まっているし、いろんな仲間が出来て本当に心底助かってます。
安浪:前回は伊藤さん走り回ってたもんね。
村上:インディーって高尚なものになってるけど、いろんな立場の人がいるのが面白い。ビデオゲームにこだわる必要もない。ボードゲームとか並べちゃってもいいんじゃないすか!
一同:マジでー!?
伊藤:よし! 開催に向けてまだまだがんばるでー!!
明日更新予定の後編では、第3回、第4回のコラムをお届けする。こちらもお楽しみに!
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