2015年7月13日(月)
7月10日に渋谷ヒカリエにて開催されたクリエイター向けセミナー“Game Graphics Groove #3”。この記事では、iOS/Android用アプリ『パズクエ』のプログラム内容をレポートします。
本イベントはDeNA、スクウェア・エニックス、GREE(グリー)、ポケラボの4社合同で行われたゲームグラフィッククリエイター向けのセミナー。さまざまなアプリ開発者が登壇し、講演を行いました。
●“Game Graphics Groove”のオフィシャル紹介文
Unity、Unreal Engine、Cocos2d-xなど、多くのツールが活況を呈し、コンソールだけではなく、スマホゲームの画質も大幅に上がってきています。
このイベントは、クリエイティブによるゲームの進化をさらに加速させるためのものです。
ゲームグラフィックのクリエイターが、最新のヒットタイトル開発のノウハウを余すこと無く共有します。
本記事では、『パズクエ』のリリース前に実施されたUX(ユーザーエクスペリエンス)テストについてと、『パズクエ』内で利用されているアニメーションソフトウェア『Spine』の利用事例の解説をテーマに行われたプログラムをクローズアップ。
このプログラムでは、まず最初に、『パズクエ』のUI(ユーザーインタフェース)/UXディレクターの細川菜々恵さんが登壇。“パズクエにおけるUXテストについて”と題されたテーマで、講演が進められました。
GREEでは、UXテストは必ずしも行うわけではなく、コンテンツごとの完成度やタイミングを見計らって行っているとのこと。『パズクエ』では、数回に渡ってテストを実施したと述べられました。
UXテストを行う際に重要なのは“誰に対して”、“何が知りたいか”を明確にすることだそうです。それらを満たすために必要なのは“テスト目的”、“テストスコープ”、被験者要件”の3つとのこと。
▲テストの実施にあたっては“何が知りたいのか”、“どういう状況やタイミングを想定するのか”、“どのような対象を想定して行うのか”を定めることが重要なようです。 |
『パズクエ』の場合、ゲームの基本部分の理解度の測定やUIの操作感などを確認するための社内向けのテストを行った後、ゲーム全体の総合的な完成度を見るための総合テストを実施。その上で、さらに社内向けのクローズドベータテストを行ったといいます。
次に、社内向けUXテストで観察された、実際の事例が紹介されました。
パズルとタワーディフェンスの要素が組みあわさった『パズクエ』のルールは少々独特なので、これにユーザーがすんなり適応できるか、という部分が、UXテストでは重要視されていたとのこと。
▲社内の開発部署以外から、2パターンの被験者3人が想定ユーザーとして選ばれました。 |
1回目のテストは散々な結果に終わったそうです。その理由として、主にゲームの基本的なルールが上手く伝わらなかった、ということが挙げられました。しかし、この結果から、何を改善すべきかが明確になったとのことです。
明確になった問題点を改善した後、2回目のテストを実施。ここでも、文字での説明が飛ばされてしまうなど、いくつかの問題が明らかになりました。
このように、検証と問題点などに対する改善を反映することの繰り返しによって、製品の質が高められていったのだと述べられました。
▲テスターは少人数でも大丈夫だということや品質を高めるためテストは複数回にわたって行うべき、という意見も。 |
結論として、事前に想定されうる問題点を除いた上で開発途中に行うテストは、製品のクオリティを高めるために非常に重要だったと、UXテストの重要性について述べられました。
続いて、『パズクエ』デザイナーの二宮大輔さんが登壇。『パズクエ』のアニメーションを実現するソフトウェア『Spine』についての解説が行われました。
『Spine』は、『Cocos2d-x』や『Unity』といった開発環境に対応したボーンアニメーションツール。動作が軽く、すでに制作した素材の使い回しも容易だとのことです。
▲代表的なアニメーションツールである『Flash』との比較も挙げられました。 |
実際に『パズクエ』で使用されている素材を使って、どのようなアニメーションが実現できるのかが解説されました。“メッシュ”を利用することで、オブジェクトを柔軟に曲げるような表現ができるとのこと。
▲画像では伝わりにくいのですが、“メッシュ”をかけられた部分が、柔らかく、自然に動いていました。 |
“メッシュ”を応用すれば、オブジェクトを立体的に表現したり、動かすことができるという点も述べられました。
最後に、様々な機能を上手く組みあわせることで、『Live2D』のようなアニメーションツール以上のものを実現できるかもしれないという『Spine』の可能性に触れられたところで、本プログラムは締めくくられました。
(C) Wright Flyer Studios, Inc.
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