2015年7月12日(日)
7月10日に渋谷ヒカリエにて開催されたクリエイター向けセミナー“Game Graphics Groove #3”。この記事では、スマートフォンを使ったVRキット『ハコスコ』に関するプログラム内容をレポートします。
本イベントはDeNA、スクウェア・エニックス、GREE(グリー)、ポケラボの4社合同で行われたゲームグラフィッククリエイター向けのセミナー。さまざまなアプリ開発者が登壇し、講演を行いました。
●“Game Graphics Groove”のオフィシャル紹介文
Unity、Unreal Engine、Cocos2d-xなど、多くのツールが活況を呈し、コンソールだけではなく、スマホゲームの画質も大幅に上がってきています。
このイベントは、クリエイティブによるゲームの進化をさらに加速させるためのものです。
ゲームグラフィックのクリエイターが、最新のヒットタイトル開発のノウハウを余すこと無く共有します。
本記事では、スマートフォンと組みあわせることで、お手軽にVR(バーチャルリアリティ)の世界を体験できる製品『ハコスコ』を通じ、VRやAR(拡張現実)の未来について語られたプログラムをレポートしていきます。
“ハコスコとUIと時々、ご飯”と題されたこのプログラムでは、ポケラボに所属する鈴木匠太さんと矢羽田和徳さんが登壇しました。
▲ちなみに今回の発表内容は、あくまで個人の見解で、ポケラボとしてのものではないとのことです。 |
冒頭では、ポケラボが製作に携わってきたサービスの歴史を振り返りながら、ゲーム市場がどのように変遷してきたかということについて述べられました。あわせて、次世代のハードウェアがどのように普及していくかについての、鈴木さん個人の見識が披露されました。
鈴木さんは、Microsoft HoloLensやOculus Riftなど、ARやVRを利用するものが今後普及していくのではとの見解を述べていました。
▲実際に、近年発表されたハードウェアでは、ARやVRを利用するものが特に増えてきていると鈴木さんは指摘します。 |
また、AR分野におけるマーケットが将来的に大きく拡大する、という市場予測を取り上げ、ARが今後のトレンドになるのではないか、と述べられました。それを踏まえ、ARやVRを気軽に楽しめる『ハコスコ』に注目したといいます。
鈴木さんははじめに、かつて任天堂から発売されたVRゲームハード『バーチャルボーイ』が、なぜ普及に至らなかったのかという点を分析。当時は魅力的なコンテンツが欠如していたことやハードウェア本体が高価であったことなど、問題点を指摘しました。
▲鈴木さんは幼いころ、『バーチャルボーイ』が大のお気に入りだったそうです。 |
さらに、注目すべきポイントとして、VRやARを楽しむためのヘッドマウントディスプレイの購入者の大半が独身男性だった、という点を挙げた鈴木さん。VRやARのコンテンツが“アダルトな方面でしか利用されないのではないか”という点についても危惧していました。
そこで、ここからは『ハコスコ』の説明に。『ハコスコ』は、ダンボールで作られたメガネ型ビューワーにスマートフォンを取り付けるだけでVRを楽しめるので、幅広い層にアピールしやすいのではないかと考えたそうです。
ダンボール製なので価格が非常に安く、ノベルティや雑誌の付録として手軽に配ることもできることが、利点のひとつだと述べられました。
他にも“スマートフォンを『ハコスコ』にセットすればいいだけ”と設定もカンタンなので、専用のハードウェアを使用するときのような電源ケーブルなどが不要であるといった点もメリットとして挙げられました。
▲ライトユーザー層にもVRコンテンツを届けることが、より市場を豊かにできるのではないかと期待を寄せているようです。 |
『ハコスコ』のように、ライト層も手軽に楽しめるような環境を整え、そこに優良なコンテンツが現れれば、それらが市場を作っていけるのでは、と分析していました。
続いて矢羽田さんから、『ハコスコ』における操作性についての説明が行われました。
『ハコスコ』では、視点を360度見渡したり、身体を動かして加速度を利用する、といった操作が可能であるので、これらをしっかりと踏まえて開発を行うことが重要だと述べられました。
あわせて、実際に『ハコスコ』向けに制作されたコンテンツについての説明も行われました。
結論として、VRやARといったゲームには、従来のスマートフォン向けのゲームとは全く異なる操作性が必要であり、プレイする多くの人たちに「良いな」と思ってもらえるような新しい操作性を“発明”することが重要であるということが述べられました。
▲“食卓にコミットする”という、どこかで聞いたフレーズも飛び出し会場は笑いの渦に。 |
プログラムの最後には“おまけ”として、ARカードを利用することで豪華な食卓を表現できるアプリ『GENSOMESHI(幻想飯)』が紹介されました。“ご飯だけ”という寂しい食事でも“洋食”や“中華”のARカードを認識させることで、食卓に美味しそうな料理が出現!
画面に現れた美味しそうな食事を見た参加者からは笑い声や歓声があがっていました。こうしたユニークな遊びを提供できるのもAR・VRの大きな魅力。開発者のアイデアの数だけ、“おもしろい”がクリエイトされると思いますので、今後の動向にも注目していきたいですね!
(C)HACOSCO INC.
(C) Pokelabo,INC.