2015年7月13日(月)
7月11日と12日の2日間、京都にて開催中のインディーゲームの祭典『BitSummit 2015』。本イベントに出展されたクリック・アドベンチャー『Samorost3(サモロスト3)』を開発したAmanita Design(アマニタデザイン)の開発者インタビューを掲載する。
Amanita Designとはチェコのクリエイティブ集団。独創的な世界観で世界中から高い評価を得ているPS3/PS Vita/PC/iOS/Android用ゲーム『マシナリウム』の開発陣だ。
▲まるで絵画のような世界の中を手探りで進んでいくことが魅力の『Samorost3』 |
――新作である『Samorost3』をプレイアブルで出展されるのは今回が初めてなのでしょうか?
GDC以来、2回目ですね。ただ、GDCで出展したデモバージョンよりも開発が進んだものになっています。
──日本のBitSummitに出展しようと考えられた理由を教えてください。
2つの理由があります。1つは、E3やgamescomのようなイベントは、大規模すぎて怖かったからです(笑)。もう1つの理由は、日本のマーケットと日本自体に興味がありました。日本の文化が大好きなんですよ。それから、チェコの映画が日本でも人気が出ていると聞き、その理由を知るために日本に来ました。
──『マシナリウム』は、緻密に描かれたグラフィックと順序立ててクリアしていくことが実に魅力的なゲームでした。本作はどのようなゲームになっているのでしょうか?
前作の『Samorost1』と『Samorost2』は小規模のゲームになっていましたが、今回は壮大なスケールの作品になっています。『マシナリウム』ほどの難易度ではなく、非常にプレイしやすいゲームとして作りました。
本作も、ポイントクリックのアクションアドベンチャーではありますが、何回もクリアしてもらえるものを目指しています。本来、アドベンチャーゲームは一度プレイしたら二度と遊ばないものですが、本作はバッググラウンドを調べたり、クリアしたパズルをもう1回解いても楽しいものにするつもりです。
──『マシナリウム』ではキャラクターデザインがカワイイことでも話題になりましたが、本作にもカワイイキャラクターは登場しますか?
もちろん、本作にもいます。たとえば『Samorost3』の主役となるこのキャラクターですね。彼、もしくは彼女には名前と性別がありません。ですが、無性別だからこそ、誰もが受け入れやすいキャラクターになっていると思います。
──なるほど。日本でアマニタデザインのゲームが受けているのは、こうしたカワイイキャラクターがいることも大きいと思います。
はい。私たちはキャラクターをシンプルにして、誰もがそのキャラクターになれるようなものを目指して制作しています。
──ちなみに、発売はいつ頃を予定されているのでしょうか?
今年中に開発を終えて冬には出すつもりです。ただ、確定したことはまだ言えません。配信はPCとAndroidを予定しています。
なお、1日目にはAmanita DesignのJakub Dvorsky氏による公演も行われた。公演のなかでJakub氏は日本のインディーについて、アマチュアから始めた製作者たちが「魂を入れて作っている」という話を聞き、それがとても感慨深かったと語っている。ゲームを作るときはビジネスを考えるが、日本のインディー製作者はビジネスではなく、まずいいゲームを作ろうとしているということに感銘を受けたという。
Jakub氏は、ほかにも公演のなかで『Samorost3』のテーマが“自然環境”であり、それをテーマにした理由は、自然が自分の身近でリアルに感じることができるからだとも明かした。さらに、驚くべきことに『Samorost』シリーズは、Jakub氏が大学の卒業制作で作ったことが始まりだという意外な事実も判明。
『Samorost3』は6人で作っているが、それが一番大きなプロジェクトだという。少人数で作っているのは、お互いに密な空気感を作りたいことと、いい人材を見つけるのが難しいことが理由であり、本作は自分の考えと近い仲間たちと作れるのがよかったとも語っている。
最後にJakub氏は、ビジネスで考えれば『マシナリウム2』を作るのが一番よい判断だが、自分が作りたいものを作りたかったので『Samorost3』を制作したこと。『Samorost』『Samorost2』とは、まったく違うゲームであると強調していた。