2015年7月14日(火)
電撃PlayStation編集長が会場で遊んで面白かったゲームを動画付きで紹介!【BitSummit 2015】
盛況のうちに幕を閉じた“インディーゲームの祭典”BitSummit 2015。イベントとして毎年パワーアップしていて、その大きな要因が出展されるゲームの質の向上だ。
▲会場は連日の大盛況。 |
▲アワードの朱色賞(大賞)を獲得した『LA‐MULANA2』 |
今回はスポンサーブースをあわせて全部で91のブースがあったが、どこのブースも常に人が並んでいて、はずれのブースがない状態。前回と比較しても全体のゲームの質は明らかに上がっていた。
ということで正直、全タイトルを遊んで回るのは2日間あっても不可能だったので、個人的に好みのゲームを中心に紹介します。ゲーム制作者にお話も聞けたのであわせてどうぞ。
BitSummit 2015会場で見つけた注目インディータイトルを動画で紹介
●VANE(ベイン)
東京にスタジオを構える『FRIEND&FOE』というインディースタジオが手がけるアドベンチャー。スタッフには『人喰いの大鷲トリコ』の元スタッフなどもいるそうだ。とても幻想的な世界の中で、プレイヤーは世界の謎を解く冒険をする。FRIEND&FOEのRasmus Deguchi氏に話うかがった。
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――『VANE』はいったいどんなゲームなんですか?
子どもの頃にみんなやった冒険を思い出すようなゲームです。世界を回っていろいろな謎を解いていくオープンワールドのアドベンチャーになります。
――プレイヤーは鳥や少年に姿を変えていました。
鳥と少年でできることが変わります。謎を解くために必要な姿になっていくのです。鳥や少年以外の姿になることもあります。
――見たところユーザーインターフェイス的なものが何もないですね。
UIはありません。テキストや言語もありませんし、音楽もありません。そういうゲームを目指しています。『風ノ旅ビト』のようだ、とはよく言われます(笑)。
――このゲームをプレイアブルで出展するのは初めてだと思いますが、現状でどのぐらいできていますか?
今回のデモは4人で半年で作ったものですが、まだまだこれからです。こういったゲームを作りたいというプロトタイプになっています。スタッフはアーティストが多いので、見た目がメインになっています。グラフィック以外のところはあまりできていません。
――発売を予定しているプラットフォームは何になりますか?
まずはPCで発売する予定です。PS4やXbox Oneでも発売したいですね。
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今回のプロトタイプ版では、まずプレイヤーは鳥になって砂漠にあるポイントに降り立つ。砂漠には同じようなポイントがいくつかあり、いくつかに降り立ったあと地上に降りて建物の中に入っていく。そのとき鳥から少年にメタモルフォーゼ(変身)した。
建物のなかでいくつかの謎を解き明かし、再び外に出て鳥になり、羽ばたいたところでデモは終了した。会場での注目度も高く、ブースでは常に人だかりができていた。BitSummit 2015ではグラフィックが評価され、BitSummit Awardsのビジュアルデザイン賞を受賞した。
●DOWNWELL
すでにさまざまなイベントで出展しているので、ご存じの方も多いかと思うタイトル。モノクロベースの果てしない井戸の中をきつめの重力で降りながら、足についたガンブーツで敵を倒していく。ガンを撃つと一瞬浮力が働くので、撃って滞空して落ちて撃ってというようなリズムでゲームを進める。
操作にクセはあるが、慣れると気持ちいいゲームだ。まあいちばんビックリなのは、このゲームを学生時代に作り始めて、発表したらDEVOLVER(インディー支援のパブリッシャー)から声がかかったという作者のシンデレラボーイっぷり。moppinこと麓 旺二郎氏に話を聞いた。
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――そもそもどんなゲームなんですか?
ガンブーツという銃器がついた靴を装備して不思議な井戸を下っていくゲームです。
――ストーリー的なものはあるんですか?
そこはプレイヤーの想像に任せる形です! 文字とかそういうのは極力入れてなくて、ストーリーの説明はいっさい入れていません。
――もうアクションが気持ちいいことに特化してる?
そうですね。いわゆるローグライク的な感じでマップが毎回ランダム生成です。武器のアップグレードやHP回復はアイテムで行えますし、集めた宝石を使ってショップでアイテムを購入することもできます。ステージクリア後にランダムの3択でアップグレードするチャンスもあります。ドローンを付けたり、レーザーサイトを付けたり、敵の死体を食べることができるようになったりもします。
そういったことがランダムで出てくるので、毎回違ったプレイフィールが生まれると思ってます。
――1回のプレイは長いんですか?
何回も何回も遊べるようなゲームにすることに重点を置いてます。だから難しいし死にまくるんですけど、何度もプレイするうちにプレイヤーの技術を磨いてもらう感じです。スマホのゲームっていくつもやると思うので、同じステージだとか記憶でクリアできてしまうのはあってないかなと思ってそうしています。
――モノクロの世界にしているのは意図があると思うんですが、どうしてですか?
えーと、意図してやってないです(笑)。作り始めたときは一週間で完成させよう! と思ってたので、絵に時間がかけられないなというのもありました。低解像度でドット絵というのがいちばん作業が早いので……とか思ってたんですが、もう1年ちょっと作ってます(笑)。手伝ってもらっているところはあるんですが、基本的には1人で作っているのでモノクロでよかったかなと。
――海外からも注目されているし、DEVOLVERから発売されるなんて凄いですよね。
もうまったく想像してなくて、DEVOLVERは大ファンで、いつかDEVOLVERからゲーム出せたらいいなぁと思ってたぐらいだったので、誰よりも自分がビックリしました。
――どうやって声をかけられたんですか?
TwitterでGIF動画を投稿してるんですよ。それがリツイートされてリツイートされて、DEVOLVERの目に止まったみたいで。そしたらDEVOLVERからリプライがきて「なにこのゲーム?」みたいな(笑)。もうむっちゃ興奮して超説明したら「ちょっとメールさせてよ」とか言われて! それでビルド送ったらパートナーにしてもらうことができました。
――パートナーとして支援はどんなことを?
当時はバイトもして開発資金を捻出してたんですが、そういうのはしなくていいように、フルタイムで開発ができるように支援してもらえました。
――で、『DOWNWELL』はいつ頃遊ぶことができますか?
夏とか秋とか……その間ぐらいとか……2、3か月後には! iOSとAndroidは同時に、PCはちょっと遅れて出ると思います。
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●Asault Android CACTUS
INDIE MEGA BOOTHコーナーにあったシューティングアクション。ステージをクリアしていくストーリーモードと、ボスと一騎打ちで戦うモードが存在。アサルトアンドロイドというタイトルどおり、女性型のアンドロイドを操作する。この女性型アンドロイドが日本的なデザインで、日本人もきっと好きそうな感じだ。
選べるキャラも5種類以上いたので、攻撃方法など違ったプレイフィールで何度でも楽しめそうだった。まずはSteam、その後はPS4やPS Vitaでの発売も予定しているそうだ。PlayStationユーザーは日本ローカライズされることに期待しましょう!
なおこのゲーム、INDIE MEGABOOTHの出展作品中、最も輝いたタイトルに贈られる“INTERNATIONAL AWARD(インターナショナル賞)”を受賞していました。
●ENTERTHEGUNGEON(エンター・ザ・ガンジョン)
タイトルを見ればわかりやすい、ガンシューティングとダンジョン探索を組み合わせた2Dのゲーム。ショット、アイテム、ローリングを駆使してダンジョンを進んでいく。オブジェクトを盾にして戦うのは基本。映画の銃撃戦でよく見るような、テーブルを立てて攻撃を避けながら戦うなんてこともできる(ていうかそれが基本テク)。
ブースにたまたま開発の方がいなかったので、ブースにいた通訳の人にゲームについて聞いてみた。
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このゲームは来年1、2月頃に発売する予定です。まずはSteamで発売しますよ! ゲームプレイは完成されているんですが、コンテンツが足りなくて作り込んでいるところです。ストーリーもあるんですよ!
この王国には悪い王様がいて、彼が銃の魔法を扱ったんですよ。それが使い過ぎちゃって銃の神様の怒りを買いました。なにしてんねん! パーン! と呪いをかけた! そしたら彼の王国全部が銃みたいになった。だから敵が銃の弾の形をしています。
ダンジョンの奥のほうに行くと特別な銃“過去を葬むりし銃”があります。その銃は過去を消せる銃です。最後のボスを倒すと、その銃を手に入れて過去を消せるんです。このゲームはプレイヤーキャラが5人ぐらいいて、それぞれ違う過去を持っていて、人それぞれの理由で“過去を葬むりし銃”を取りたいと考えています。
キャラクターごとの違いは、初期体力が多かったり、強い銃を持っていたり、コンパスを所持していてショップの位置がわかったりと、それぞれ特徴があります。ゲームに出てくる銃の種類は、2日間この会場でずっと見ていますが、まだまだ見たことがない銃がま出てくるぐらい豊富です。
「ブラックホールガン」というのもあって、これは10秒ぐらいチャージして撃つと画面全体の敵をブラックホールに送る銃で強力ですが、チャージしている間は逃げ回らないといけません! アクションとしてはローリングを使ってください。ローリング中は一瞬無敵になる。弾幕系のシューティングなのでローリングをうまく使って戦わないとダメです。
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と、一気にまくしたてられました(笑)。このゲームについている通訳として最適の人でしたね。
プレイした印象としては、左スティックで移動、右スティックで射撃方向を決めるという操作で、常に移動しながら四方の敵を撃ち続けるのが基本。危ないと思ったらローリングで弾を避けると。操作感覚も軽快で避けながら撃つのがとっても気持ちよかったです。PS4も対応機種に入っていたので早く遊びたい。
実際はまだまだいいゲーム、気になるゲームはいっぱいありました。いやーほんと今回のBitSummitは楽しかったです。日本と海外のインディーゲームが一堂に会した感がありましたね。そしてどのゲームもクオリティが高くて個性的。場所は京都ですが、ゲームファンなら頑張って行って損はないイベントです。今年行けなかった人は来年はぜひ。